※この作品はR-18です。

プロデューサーは人でなし   作:どろまみれ

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七草はづき⑤:(落書き用トイレ)

 

 

 七草はづき⑤

 

 

「―― ねえプロデューサー! 放クラのみんなの水着宣材写真はいつ揃うのかしら?」

 

 誰も居なかった事務所に1番乗り。部屋中にハリのある声が響く。

 放課後クライマックスガールズのメンバー、有栖川夏葉の声だ。

 彼女はグループ内では最も年長である。率先して予定を把握しておきたい。そんな信条からくる言葉だろう。

 

 だから、俺が責められている訳ではないことを理解して。

 務めて平静に予定を並べる。「水着宣材写真とはいうが、ちょっと気は早い。まずは幾つもデザインを紹介(・・)されているから、みんなで選ぶのが先だね」と。

 

「そうね……。特に果穂とかは気を配らないといけないものね!」

 

 そうだろう。だから慎重にな、と同調して。すかさず引き出しから現在出揃っている分のデザイン画を取り出し企業順に並べる。

 企業デザインのものを選んでも良いし、個人製作のものを選んでも良い。そこはアイドル達に一任している。

 

「今年もいいのが沢山あるわね! ……こっちのは凛世に似合う。智代子の色合いは……いっつもイメージ通りだけれど、今年はどうするのかしらね? 樹里は……少し、意見をぶつけ合ってみたいかも」

 

 目の前で有栖川夏葉は表情をくるくると変えながら、楽しそうにデザインを物色してゆく。

 筋力トレーニングにしろレッスンにしろ美容にしろ、何かとひとつ所に留まってはいられないのだろう。

 全身全霊で、全力。そんな彼女だからこそ放課後クライマックスガールズを引っ張り、切り拓いてくれているのだ。

 そんな有栖川夏葉という人のセルフプロデュース能力を、俺はとても信頼していた。彼女の様子を頼もしく思いつつ。

 

「―― あら~。こんにちは~」

 

「はづき! 今日も外回り?」

 

「いいえ~。今はただの買い出しですよ~」

 

 はづきさんが外回りから帰ってきていた。

 両手に持った布バッグを受け取る。はづきさんから笑顔で「ありがとうございます~」と返され、そのまま台所へ運び込んでおく。

 台所で飲み物の類を下ろして多くだけでも楽になるだろう。

 

「マスクをしながらの外回りは大変よね。……あ、千雪とは合流できた?」

 

「いえ。アルストロメリアで合流できたみたいだったので、そちらは任せてきちゃいました~」

 

「あら。私を呼べばよかったのに。荷物持ち、必要じゃなかったかしら?」

 

「ふふふ。これくらいは持てないと行けませんし~、それにいざとなったらプロデューサーさんを呼びますから~」

 

 ふたりに視線を送られたので、大きく頷いておく。

 ……はづきさんがひとりで行動していたのには、他にも理由はあるが。

 それはそれとして「車があるしな。荷物に関しては」と有栖川夏葉に向けた補足を加えておく。

 

「それもそうね……。でも、必要だったら呼んでくださいね?」

 

「ありがとうございます~」

 

 はづきさんがデスクに座りそうなタイミングで、目配せ。俺は有栖川夏葉を呼び寄せる。

 再びこちらでデザイン画を広げる。デザインの個人受注、一品もののワンオフな所を紹介しておこうと。

 

「凄いわね……。こんなにデザインが送られてくるようになったの?」

 

 ソファに座り、出力したデザインを端から端まで眺めながら感嘆(かんたん)の声をあげる。

 これもアイドル達が注力し、事務所としての名前を大きくしてくれているからだよ、と告げる。

 

「……ふふ! やっぱり、きちんと成果が見えると嬉しい物ね」

 

 夏葉は機嫌を良くして、デザイン束を抱えてソファに腰かけた。

 傍にはダンベルや流行雑誌の今月分も合わせて添えてある。

 

 ―― だから、有栖川夏葉は、しばらくそこから動かないだろう。

 

 プロデューサーとしての俺のデスク。その正面離れて、広めの四角テーブル。

 アイドル達が周囲で(いこ)うためのソファ。今夏葉が座っている場所がそこだ。

 

 そこから更に奥。入り口横にある事務員用のデスクで。

 

 ―― はづきさんが、スカートを捲り上げる。腰を突きだす。

 

 タイツに包まれた尻と、殿裂部を挟んで左右に『便、器』。

 そんな無様な様子を、俺に向けて見せつけた。

 

 壁なく。倫理もなく。

 すぐそばで別たれる、日常と非日常。

 

 ……そう。あれからはづきさんは、俺のために「自ら落書きをして事務所に出所する」ようになっていた。

 基本的に誰もいない場所や仮眠室で……という事が多いが。

 今日はアイドル達全員の行動が割れていること。有栖川夏葉が丁度いいタイミングで事務所に居座ったことから、このまま羞恥プレイをしようと目論んだようだ。

 

 視線がくぎ付けになる。

 その視界の中……いや。端の方には、当然、有栖川夏葉もいるのも(いと)わず。

 

「―― ねえプロデューサー。この内だと、予算的にはどうなりそうなの?」

 

 びくりと肩を震わす……ことだけは避けた。

 俺は冷静に。企業側が量産を見越してたてているデザインは、宣伝費の分を考慮できそうだと返答し、ファイルの最初の方が企業側だよと伝える。

 

 ―― はづきさんが突き出した尻はそのままに、正面を向く。下着を履いていない。直タイツだ。

 そのまま、デスク横のソファの後ろへ移動して……ギリギリ腰が隠れない位置で、がに股になる。

 腰を突きだし、陰部を晒すような体勢。

 

「ふーん……。事務所としては? 私たちの好き嫌いだけで選んでも良いのかしら?」

 

 基本的にはまず、アイドル側の選択が優先されるべきだろう……と、俺は思っている。

 だからデザインを優先させたいと言えるほど気に入ったのがあるならば教えて欲しい。

 その上で、だ、が……。

 

 ―― はづきさんは、今度はシャツの裾端をめくってゆく。

 腹肉に『プロデューサー専用』。陰部の直上、子宮の上に派手なハートのタトゥーシール。

 陰核の直上に『クリチンポ』。すでに露出しているそれを、ぐりぐりと親指で潰し、弄り始めた。

 

「その上で、気になった情報は出してもらえるのね。ありがとう。私はどうしても気になっちゃって。スポンサードとか、提供の付き具合とかね」

 

 本来であれば収支はアイドル達にはあまり気にして欲しくない部分だが、有栖川夏葉であれば確かにそうだろう。

 ……そうだろう。うん。

 

 ―― はづきさんがそのままシャツのボタンを外し……(はな)からノーブラだった。

 露出した乳首は勃起していて、周囲に淫猥な円の落書き。それぞれの先は、ダブルクリップで挟まれてもいる。

 片手で陰核を弄ったまま、もう片方でクリップを引っ張って『垂れ乳』と書かれた乳房を乱暴なくらいにブルンブルンと引っ張り回す。

 

「経営状態は良いと聞いているけれど、しばらくは新しいアイドルを入れない方針になったんでしょう? プロデューサー。アナタも今の内に疲れは取っておくべきね!」

 

 有栖川夏葉が満面の、美しい笑顔で ―― 話す。

 その横。

 

 ―― はづきさんの吐息に熱が混じる。熱を吐き出すためにマスクを外した。隠されていた鼻の下に『便器事務員』。そのまま舌をだらっと、犬の様に突き出した。

 舌の上には昨日俺が貼った淫紋のシール。そのまま涎を口の端から流しながら、白目を剥いて、陰核をつまんでしごいて快楽を貪る。

 美しい笑顔の後ろに、自身(おれ)に対比させるように並んで。勝手に羞恥に自慰を続ける。

 

「この間まで色々と大変だったでしょう、プロデューサーも。少し事務仕事と提供先を見直す時間でも作ってみたらどうかしら?」

 

 そういう訳にもいかないよと苦笑する。

 この業界には多くの人材がいる。今回の決定も一時的なものだし、会社としての規模は比べられないが、346などはもっと多くのアイドルを有し、回すことが出来ている。

 ……とはいえ、少し考えてはいるのだ。アイドル達が有名になったからこそできる、自社内で回せるイベントなどを。

 

「そうなの? どういったものかしら!」

 

 有栖川夏葉が身を乗り出す。

 彼女がこちらにきた。

 

 ―― その頃合いを見て、遂にはづきさんが自慰の勢いを一気に強めた。

 事務所内にうっすらかかっていたBGMが「夢咲きAfter school」に差し掛かったところで、その歌声に紛れるように喘いで、水音を鳴らし、ぶんぶんと乳と腰を振って。

 

「283プロダクションでの夏合宿とその特集……バラエティ要素多めの動画の撮影? ああ、動画サイト連載向けの企画にもぴったりね!」

 

 それなら中核は事務所内で決定できるし……と、夏葉もご満悦の様だ。

 俺としてもこの企画は、「力は入れなくても良いが営業として成り立つ」ものだと思う。

 

 ―― どうやらはづきさんもご満悦の様で。

 クライマックス。腰を突きだし、タイツ越しに陰核をねじり、ダブルクリップごと乳首を咥え。

 最高潮、の歌詞に合わせて。アイドル達の歌の想いや爽やかさを反発の原動力にして。

 羞恥に、無様に、絶頂した。

 

「……どうしたの? プロデューサー」

 

 少し気をそらしてしまったのも仕方あるまい。

 俺は夏葉に「俺が君たちが着る予定の水着をじろじろと見ているのもいけないと思ってね」と言いながら席を立ち、大外回りに事務員机の側へ歩いてゆく。

 

「そうね。……あら。はづきは?」

 

 周囲を見まわした。

 ……七草はづきは、事務所の奥にあるソファの裏にへたり込み、汁という汁を撒き散らしている。

 

 俺は「外回りが長かったからなぁ」とトイレに行った事を濁して伝え。夏葉にデザイン画を持って帰って良い旨を話す。「わかった。放クラのみんなだけに見せるわね!」と喜んで、有栖川夏葉は事務所を出て行った。

 

「―― へっ、へっ、はへっ。……凄……かったぁ~」

 

 倒れこんだはづきさんが、ほんのりと笑う。

 

 ついに抑えが利かなくなった俺自身も、専用の穴でこいて捨てて。

 汁が付いたままのナプキンをタイツの中に履かせて。シャツまで脱がせて、ジャケットだけにして。

 最後に中央の……先ほどまで夏葉がデザイン画を広げていた机の上で。

 鼻フックまで付けた上のがに股ダブルピースで写真を撮って、本日2発目の射精をした。

 

 

 

 

 

 ……あれから。

 彼女がこうした理由を、俺は思い出していた。

 彼女がこうした理由を、直接話されてもいた。

 

 俺がこうすることで、人で居られるのなら。

 寄り添う事で、わたしもやっと人間を思い出せるのです……と。彼女は言った。

 








 next:七草はづき⑤→黛冬優子⑥→フリー枠。





 system1:Happy birthday. 有栖川夏葉 .

 system2:2シーズンまでを更新終えましたので、評価の字数制限を解除します。
      0,10以外はコメントなしで入れることが出来るようになりました。

 system3:そんな制限があったのに入れてくださったお二方に、多大なる感謝を。





 ・・・

 かつてのわたしが。薄く、子どもだったわたしが居たそこは。
 集会所……というよりは「託児所」というのが適切な場所だったと、今振り返ってみれば思います。
 一時期、わたしはそこに居る事が多かった。少なくとも、年の離れた妹はまだいなかった頃のことです。

 何をして遊べばいいのかはよくわかりませんでした。
 だって託児所(あそぶためのばしょ)だとは言っても。物を壊したりしてはいけないのです。

 子どももあまり多いわけではありません。読書をしたり、みんなマイペースに過ごすのが常。
 その中で、わたしは……どうでしょう。何をしていたんでしょうね。
 少なくとも忙しくはなかったので、外のベンチに座っていることが多かったような気がします。

 ある日。
 ベンチに座っているわたしに声をかけて来た男の子がいました。

 ―― こんにちは!、と。

 ―― 新しく入ってました、よろしくお願いします、と。

 やたら礼儀正しい男の子。

 ―― あそぶ? と。

 とてもいい笑顔で尋ねられて。
 何をすれば、というのが判らなかっただけで。
 別段遊びたくない訳ではなかったので、わたしはその誘いを喜んで受けました。

 バドミントン。ゲートボール。キャッチボール。ドッチボール。
 どれもそつなく出来る女の子は珍しかったようで、彼はとても喜んでいました。

 スマッシュが出来るたびにスゴい、とはしゃぎ。
 ボールを真っ直ぐ投げられるだけでカッコいい、と喜び。
 そのたびに可愛いだの美しいだのと褒めてきます。

 正直、年少の女の子に送る賛辞ではないと思いますが。
 悪い気はしない……が、延々と続いてしまうと。効果はあったのでしょう。
 お互い、毎日いる訳ではありません。会う回数は少ないもの。ですが、会える(たび)に遊びました。
 彼は間違いなく、わたしの友人だったのです。

 ある年始。
 わたしは彼に羽根つきをしよう、と提案しました。

 罰ゲームのある遊びはややリスキーだなと思いはしますが、あの時のわたしはどうしても試したかったようです。
 彼は特に異議を唱えることなく賛同し、結果は散々。

 わたしは顔を隅まみれにしながら笑って。
 彼はわたしに落書きをしながら笑って。

 そういう、暖かい記憶としてわたしの中に残っています。
 ……多分それが、学童期に年の近い友人と遊んだ、最後の記憶だったとも。

 時は過ぎ去ります。
 義務教育が始まると、あの場所に行くことも少なくなり、遂にはなくなり。
 そして働き始めます。

 割と年早いうちから、沢山の仕事を経験しました。
 忙しさに塗れて、埋もれて。兄妹達とも交流がない日が続きます。

 そして、とある年始の日。
 新しく入って来たプロデューサーの方が発したこんにちは、に。
 わたしは……既視感と、懐かしさと、笑顔を覚えたのです。

 ……時が流れて。
 アイドル達のプロデュースも(つつが)なく進められて。
 会社の業績は上向きで。

 そこへ、追加で入ってきたのがわたしの妹でした。
 嬉しいような。けれど、あの妹の気性を思うと心配のような。
 アイドルとはどんな職業か。それが判っているからこそ、わたしは心配が勝ってしまっていました。

 そこからプロデューサーさんの激務が始まります。
 彼は貫き通すのだと。そういう信念でもって彼女に接し続けます。
 正直に言うと、我が妹ながら、うわあと思うこともありました。
 学生なので仕方がない……と。仕事ならば……と。
 そういう板挟みの内に、プロデュサーさんが疲弊してゆきます。

 わたしには支えることしか出来ませんでした。
 そして彼は……いえ。彼女は、成し遂げました。
 その末尾に、せっかくの成功に、自分勝手に影を落としながら。

 憔悴した彼の背中が全てを物語っていました。
 社長がかける言葉を無くしたほどです。
 わたしも、どうすればいいのか、皆目見当もつきませんでした。

 結論から言えば、ある程度は時間が解決してくれたようです。
 それと同時に、社長は彼に対して燃え尽きや神経病の心配をするようになります。
 そういうのになり易い年齢。時期。仕事。すべてが重なっているからです。

 社長がいう「福利厚生」がなんなのかは判りませんでしたが。
 冬優子さんの写真を見たときに、なんとなく察することは出来ました。

 ……わたしは何を思ったのでしょう。
 悔しさ。(うらや)ましさ。やるせなさ。
 ばらばらな、とりとめのない感情であったと思います。

 わたしは、保留していた社長からの「賞与」を決めることにしました。
 ある日の社長室で言います。プロデュース業に会社としてしっかり力を入れて欲しいと。
 しばらくはそれに専念してほしいと。そしてわたしにも、一部事業を手伝わせて欲しいと。

 社長は言います。「わかった」と。
 彼への負担を軽減する、もしくは時間をかけて癒すための期間を作ろうと、承諾してくれました。
 わたしの助力については「もうやってくれているだろう、キミは」と言われてしまいましたが。

 彼にせめても、人間らしい生活を。忙しいのは承知で。
 わたしは彼に寄り添おうと思い ―― まぁ、あの写真と。視線とかで。色々と察することが出来てしまいましたから。
 こちらから、アプローチをかけてしまうことにしたのです。


 ……。
 ……。

 ぜえぜえと懸命に動く肺。味が判らないほどドロドロに(ほど)けた口腔内の感覚。
 痛さはなく、快楽に(ほだ)された後の、心地よ過ぎる疲労感。彼が求めた、求めてくれたという充実感。
 仰向けに寝がえり。わたしの視界には、二段ベッドの裏側が移りこみます。

 そこへ、彼の顔。ペンのキャップを外したようです
 (ひたい)を拭かれながら。……ぼやつく視界ながらに、どこか、彼の表情は笑っているように見えて。
 あの日、あそぶ?と尋ねられた ―― わたしが子供(・・)だったとても短い期間の、唯一の友人の笑顔と重なって見えて。


 仕事など考えていなかった頃の、でも、何もなかった女児に。
 遊びというものを、一緒に教えてくれた人。

 だから。
 凄く楽しく嬉しい気分で、わたしは彼の落書き遊びに付き合ったのです。
 付き合って、いけるのだと思うのです。

 彼と一緒ならわたしも、あの頃と同じ気持ちでいられる。
 とても、とても気持ちいい(ドキドキする)のですから……。
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