プロデューサーは人でなし 作:どろまみれ
注意。
危険なので、本作の真似は絶対にしないでください。
彼らはプロットアーマーによって守られています。
櫻木真乃⑤
その日は強い風が吹いていた。
これから気圧配置が入れ替わる……その前兆なのだそうだ。
台風がこの街を訪れる。
夕方から、朝方にかけて列島を縦断するらしい。
台風が来ると、街中は途端に慌ただしくなる。
飲食店は普段はピークである夕食時を苦々しくも閉店時間とし。
学校からは早めに帰り。家では停電などに備えて、災害グッズを確認する。
そういうのが、ごく普通の対策なのだろう。
そう。ごく普通は。
「―― うん。判った。ゆっくりしてきて……とは、事情が事情だから流石に言えないね。ふふ。でも、私のほうは心配しないで。ふたりとも安心して記念旅行を楽しんできてね」
櫻木真乃がそう言うと両親が「ありがとう、そっちも十分気を付けるんだぞ」と答え、電話が切られた。
ふぅと息をひとつ吐く。両親が(ジューンブライドだったらしい)結婚記念日を迎えたのが先週のこと。記念旅行に行こうという話になったのだ……が、アイドルの活動がある櫻木真乃は同行できない。
どうにかこうにかスケジュールをやりくりしようとしていた両親に、櫻木真乃は自分を置いて出立するよう促した。かなり渋ってはいたものの、機会はまたある。娘の強い押しに答えてハワイへと出かけたのが先日。
そして、台風が急速に発達して、進路を急激に変えまでしたのが出立の日の事。
当然航空機に影響が出るため、両親は帰るのが遅れるようだ。旅行会社の方で対応もしてくれるようで、滞在の延長は問題ないとのこと。
「……ふぅ」
息をひとつ。そして櫻木真乃は、また別の相手へ電話をかける。
「もしもし、
通話を切る。
胸の鼓動はやや早め。
じわりと額に汗をかいている。
私はどこまで私で居られるものか。
……いや。
どこまで壊れることが、出来るのだろうか。
握っていた掌をほどく。
代わりに。ずくんと。下腹部に……重く甘い不愉快さを、感じた。
・・・
事務所の俺のデスクに座りながら、空を見る。
外からの風が渦巻いて、がたがたと窓が鳴り出した。
窓の外を見上げれば、雲は千切れなのに分厚く、どんよりと暗い色を帯びている。
夏を前にした、台風だ。
ニュースでは風速がとか、避難地域とか、水害の可能性についても示唆されるくらいの規模の物。
進行速度は遅く、都心は夜中の間中、風雨に晒されるようだ。
―― テレビの中で、美人リポーターが風の中でリポートをしている。
髪型が崩れて顔の前をぞわぞわと塞ぎ、身は縮こまり、苦しそうながらに笑顔を崩さないで居る。
その表情に。苦境に。どろりと。心の奥底で疼くものがある。
「するべきではない」に反するからこそ。
それが元来の性格とはかけ離れた……「良い子」の属性であれば、尚更。
がたりと鳴った窓音に、思考を戻される。
事務所には他に誰もいない。俺だけが多少居残って、明日以降の出先の調整をしている所だった。
デスクトップPCに意識を戻す。シーク音を大きくかき消して、風音が耳に残る。
これで良いのか、と思わない日はない。
アイドル達を、自分の性嗜好に巻き込んで。
自分勝手に発散に
……許されている。彼女ら自身には。
それで受ける罰とやらがあるならば ―― 「罰を受ける覚悟」を、持つ他ない。
いつまで続くのだろうか。いつまで続けられるのだろうか。
誰が受け止めてくれるのだろうか。誰までが許容してくれるのだろうか。
判らない。が。
―― ぽつ、ぽつ。
―― ざあああ……。
雨粒が当たり始めたと思ったら、すぐに本降りになり始めた。
台風の規模を聞くに、これはまだ本領ですらない勢いのハズ。
撤収を始めるべきだろう。メールを各所に送信し終え、鍵の確認。
火の元。ブレーカー……は、最低限。警備会社。
PCのバックアップを行い、外付けのHDDをまぁ影響を受けないであろう場所に隠す。
これはまぁ、俺自身もクラウド化済のタブレットを持ち歩くので念のためだ。
こうして片づけをしているのに浮足立ってしまうのは、これから待つイベントのせいだろう。
黛冬優子にも。七草はづきにも。そのどちらにも、こんなにも自分を汚すことを強要……いや。確かに強要か。とにかく、させたことはない。
まるで彼女自身の外殻を
新しい彼女を晒していくような。
それが風雨によって、だとするならば……。
ぎぃ、とドアの開閉音がした。
俺も事務所のドアを施錠して、階段を下りてゆく。
守衛さんと会釈。正面に向き合うと、待ち人。
「―― えと。送迎よろしくお願いします、プロデューサーさん」
櫻木真乃が立っていて、頭を下げた。
送迎。そう。俺の車で、櫻木真乃を送迎する。台風が迫っているから。
守衛さんの前だ。順序はおかしいのだが、そういうことになっている。
ふたりそろって事務所を外へと出る。
風と雨は、勢いを増しつつある。
向かう先は櫻木真乃の家ではない。「別宅」だ。
そう ―― 本日は。台風を利用して。好き放題に櫻木真乃を露出させようという、試みなのである。
台風は規模的には(分類方法は色々とあるが)スーパー台風とは言えない規模であるらしい。
しかし雨量が強い。それ次第では、警報は色々なものが出されるのだそうだ。
幸いにも別宅は水害の予想地域には入っていない。周囲の住宅もだ。
やや高台にあり、避難の経路にも含まれていない。車も人の通りも少ないことが予想される。これは元から、人目に付かないような場所に建築されているから……というのが大きい。
別宅に入ってすぐ。玄関周りで防水のための皮外套を羽織って、長靴を2足出す。
小さなバッグと、撮影器具。防水加工のためのあれやこれ。
自らの防水セットを万全にして。
―― ただし真乃には代わりに、
「……これを、着るんですね……」
一度、受け止められないような表情をして。
貼り付けたその表情が、その先を期待して、すぐに崩れる。
「わかりました……ん」
櫻木真乃は服を脱ぐ。下着は始めからつけていない。
靴下もなし。長靴は俺がバッグに入れる。
だから、身に付けられたものは、雨合羽のみ。
「ど、どうで……しょう?」
裸足。
陰部。陰毛。
膝上丈のレインコートを通して、それらぜんぶが見えている。
最高だという意味を込めて真乃を抱きしめ、唇を
「……んにゅ、れう、ふ、ふあはっ、れりゅ」
唇を堪能し。胸を揉みしだいていると、レインコート越しにも判る程にくっきりと乳頭が顔を出す。
下へ手を。陰核も既にぴしりと芽を出し、期待をしている。
顔を離して。耐水バッグを背負って。
櫻木真乃の手を取る。
「あ……」
何かを思い出したような間があった。
いつだったか。敗退はしたものの……一番最初のオーディションに向かう時。
舞台裏から出られなかった彼女にも、自身はこうした覚えがある。
手を取る。重ねられる。
外へと一歩、踏み出した。
「―― う、わぁ」
街全部が灰色に染まっていた。
風がごうごうと耳にうるさい。
別宅の入り口周囲には小さいが通路と庭があり、その先にひとつ門がある。
そこまで歩いて行って、門を開く。門の前には通路と、隣接した公園があった。
「……」
隣に立った彼女の横顔を見る。
真乃……では、既にないようだった。なので、自身はカメラの動画撮影を開始する。
乳首は貼りきれない程に勃起し、口がぱくぱくと金魚の様に喘ぐ。
我慢できないとばかりに左手が陰核に伸び、親指で潰しては、顔をだらしなく崩してゆく。
「はっ、はっ、はっ……」
背中を押して、道路にまで連れて出る。
住宅街内の、狭めの一般道だ。
電信柱がある。アスファルトに舗装されている。制限速度は20キロ。
そこに、ほとんど裸の動物が1匹。
風雨にうたれて。
突っ立ったままではぁはぁと息を荒く、発情していた。
「うっ……ふぅっ、はぁっ! ……っは、は……」
息を止めたり、思い出したように再開したり。
苦しそうだ。ただ、確かに笑っている。
口の端を吊り上げる様な、貼り付けた笑みだが。
瞳孔をガン開いて。
「っふ……ふ、ふはっ……は、ふぅーっ! ……ふーっ」
息荒く、仰向けに四つん這いになる。
舗装路に尻を突く。
そのまま腰を上げ、女性器を突き出す体勢。
「ふ、は……ふぁ、ふ!」
レインコートの裾がはためいて、陰部が雨風にうたれる。
降雨など関係なく、陰唇はずるりと濡れている。
たまに大きな雨粒が陰核にぶつかって、その度に動物は嬌声をあげる。
嬌声をあげては、風雨に吹きさらされて、他の誰にも届かない。
「あっ、あっ……んあ゛っ」
視線が自身に向けられる。物足りないだろう。
バッグから愛用のディルドを差し出して投げてやる。腹の上でキャッチして、すぐにそれに
「はっ……! れう、れうるろ、べりゅ、んぼっ……あ……あ、あああ゛あっ!!」
涎で濡らしてすぐさま、女性器に突っ込んだ。
自慰が開始される。一般道路の上で。
「ああっ! うあっ!! あ、あがっ! ん、んあはっ」
大股開きに、両手で抱えたディルドを、水音が立つほど突き立てながら。
ごろごろ、ごろごろとのたうつ様に獣声をあげている。
悶えているようだ。快感による刺激と、この状況に。
「あっ、ああっ、ああああああ……んあ゛はぁぁぁぁっっ!!」
絶頂した。ディルドがぼんと女性器から発射されて、排水溝に飛び込んだ。
ひうう、とすぼむ様な声を出して。一般道の上で動物が身を震わせる。
雨に当たって寒さで震える動物……ではない。
「あ、ひあ……」
身体を持ちあげる。その顔は確かに、アイドルとは似ても似つかない。
動物ですら見せない、酷いありさまの崩れ様だった。
最高だ。最高だ。
だから自身は、彼女を連れて周囲を回ることにする。
―― 目前の公園。
「んああっ、ああっ、あああっ!!」
プラスチックのベンチに。
いつか小糸が乗って遊んでいたような、スプリング式の乗り物遊具に。
鉄棒に。水飲み場の蛇口に。
手当たり次第好き放題、陰部を、陰核を擦り付けて
「おっ、おほぉぉっ……!!」
最後はジャングルジムに陰核を打ち付けて、絶頂。
べちゃり。脱力して、泥の中に倒れこむ。
バレはしない。どうせ雨合羽を着ているのだから。
「ふっ、ふっ、ふぅぅぅ……」
がくがくと手足に力を入れて、泥だまりから立ち上がる。
ハイキングなどをよく行うので、体力は並みの人以上にはあるはずだ。
再び立ち上がる。まだ快楽を貪りたいと。
だから次の場所へと連れてゆく。
―― 車道。
防犯カメラのない場所を選ぶと、ここを通り抜けるしかない。
自身の隣に真乃を付けて、路の端を歩く。
……当然、車は通る。
水の波を立てながら、速度は遅めで。
「……はっ、はっ」
いつもの様に発情した吐息を漏らして。
全裸にレインコートの動物が、自身の陰に身体を隠す。
隠しきれてはいないけれども。
陰部を弄れば愛液が駄々洩れだけれども。
それでも、彼女は引き返さない。
「うっ……ふっ……うう」
車が通りすぎただけで、この有様。
野太い声で呼吸をするのは、身体を大きく前に倒しているから。
身体を隠すため。そして耐え切れず、陰部を弄る腕を伸ばすため。
足を伝う雨濡れと。被ったフードを鳴らす雨粒と。
そんなものに興奮する動物を引き連れて車道をゆく。
「あ、はっ……ぴ、ぴーす……」
ついでなので、車道のど真ん中でがに股ピースをしてもらって撮影をした。
裸レインコートの裾が風でまくれ、陰部は殆ど常時もろ出しにしているようなものだ。
……雨風は勢いを増している。そろそろ暴風域に突入する時間帯だろう。
―― 公道。
流石に減っているが、それでも先ほどまでの通路よりも頻回に車たちが通行している。
台風が通りかかるタイミングである以上……その多くは、自家用車というよりは。期限を守らなければならない大型トラックたちなのだが。
「ぷ、プロデューサーさん……?」
喉元を引っ張って、公道の傍を歩く。
車道はじゃぶじゃぶと水に満ちているが、二段は高い歩道はまだ問題なく歩けている。
そのまま引っ張って行って。
歩道橋の横。街路樹を2本隔てた先。
半ば放棄された、公衆電話ボックスの中へ、連れ込む。
後ろ手に入り口を閉める。
公衆電話は、昨今では撤去されていて既にない。電気も付かない。台座だけが残されている。
街路樹と歩道橋に被されているうえ、薄暗く。雨のせいで
「……! あ、ああ」
何をされるのかは判るだろう。動物の顔が、えへらと期待に歪んだ。
舌を入れる。レインコートを捲り上げる。雨と尿と愛液と期待に濡れ散らかした膣口へ、我慢に我慢を重ねた男性器を突っ込んだ。
「うぅぅ……お゛っ! おおぅほおっ!!」
真乃がびしゃりびしゃりと水を吐く。
ごんごんと腰を打ち付ける音すらも、雨風が吹き流しては目立たないものにしてくれる。
「ふぁっ、ぅほっ、おっ、おっ、あっ、んふっ、はうぁっ」
嬌声。嬌声。嬌声。
その眼には光はなく。笑みは張り付いて剥がれない。
喜んでいる。こんなにもありえない境遇を。
性欲を満たすためだけの状況を。
「う、ううっ、ああはぁっ、んはっ」
小さな台座の上に置いた尻を、腰つきに合わせて健気に突き出してくる。
動物の鳴き声の艶なりが最大になったところで、大きく腰を引いて。
膣内の裏の
「―― っ、ほぅあああぁぁアアァッッッ!!」
射精する。すぐに体を下ろして、顔にもぶちまける。
そのまま電話ボックスの外へと連れ出して、掲げる。
「ふ、へ……う、あ……ぁぁぁ」
両足を広げる形で掲げると、意を得たりとばかりに、排尿した。
灰色の空。空気を隔て視界を覆う程の雨のカーテン。
反対車線をトラックが通りかかった。1台。2台。
その度に動物は身体をしならせ、遠くまで尿を飛ばした。
そして、それら道中を経て。
ついに、目的地にまで到達する。
―― やや離れた位置にある、閉鎖した牧場。
きちんと許可を得たうえで、柵の内へと入る。
自身が以前から懇意にしていた農家が所有するもので、自由に出入りしていいと言われていた。
従業員、動物ともに既に牧場内からは移設されている。ここはあと数か月もすれば、他の施設としての開発が始まることが決まっている……のだそうだ。
自身に鍵を渡した老夫婦も、よりにもよって台風の日に入られるとは思っていなかっただろうが……しかし、この時を置いて他にない。
彼女を無様に
「ここは……」
館の入り口。かつて受付があった場所から、動物は周囲をきょろきょろと見回している。
上記の内容を説明し。
……説明すると、動物はごくりと唾を飲み込んだ。
「それは、つまり……私を」
完成させたいと、自身は説明を加える。
お前はここで自由にして良いのだと。「牧畜される側」であれば、それは首輪すらいらず。
今は牧場ですらないのだから。そこで放たれたならば ―― お前はただの「動物」になることが出来るのだと。
「……」
口が開いたまま塞がっていない。
状況を振り返っているのだろう。
本来であれば牧場は数多くの通路に面しており、人目を避けることは出来なかっただろう。
廃棄されたばかりの牧場は乱れてもおらず、業者の下見などが来たかもしれない。
だからこそ。今こそ。
自身は
「はい。……どうぞ!」
笑ってくれた。震えはない。恐れは削がれて既にない。
ただ、受け入れられたという暖かさだけがあった。
……。
野山を、全裸の動物が駆けまわる。
雨が強く、風が強いからこそテンション高く。童子のように無邪気に。
馬房に行って、ねだられるので交合して。
雨風の中でも発情した動物が必死に男性器を舐めるので、仕方なく交合して。
アイスクリーム屋の廃屋で、ショーウィンドウに身体を貼り付け、乳房やら頬やらを潰した写真を撮って。
そのまま看板の角で自慰をさせて、尿をぶっかけて。
豚小屋に行って、飼葉の中でディルドオナニーをさせて。
絶頂した彼女を通路の脇まで抱えてくと、自らびちゃびちゃと泥浴びを始め。
張り出した高台の上で、街を見下ろしながら交合して。
拾ってきたトウモロコシの食品
セットした髪型など跡形もなく、口を常時開いたままにするほど息を荒げ。
アイドルとしての体面などとうに崩れ去り、跡形もなく、性行為に没頭し。
泥だらけで。雨粒を喜んで浴びて。風がかき消してくれるからと、全力で声を出して喘ぐ。
ただ。まっすぐに一生懸命に精を貪るというらしさだけが、
社会性を削られて。脱ぎ捨てて。
遂には、快楽に上塗りされて記憶の隅からも忘れ去られた。
「―― ほわぁぁ、ああアア゛っ、ぁぁあぉぉオあぁ……」
無様に。獣の様に。
風と雨に消し去られ、記憶に強く焼き残る。
彼女は動物になったのだ。
彼女は動物になってくれたのだ。
……彼女は、動物に、成り下がってくれたのだ。
その、暖かさでもって。
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