※この作品はR-18です。

プロデューサーは人でなし   作:どろまみれ

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黛冬優子②:(アイドル)→(???)

 

 黛冬優子②

 

 

 

 三度(みたび)問う。

 好きにして許されるのならば ―― 許されるのだろうか?

 

 社会的には許されない。いいや。社長は許容すると言ってしまった(・・・・)

 俺自身が許すか。既に考える脳は男性器にある。許されるなどと「思う事が許される」のは、この熱を吐き出したそのあとだけだ。

 

 では。

 黛冬優子は許すか。そう。許されるか。

 床に女の子座りになりながら、上気した表情の、上目遣い。整った顔。整えたメイクの……しかし口を半開きにしたまま、露出した男性器を見つめている。

 

「……ここから、どうすれば良いのって……聞いたつもりなんだけど?」

 

 首を傾げ、尋ねられた。つまりは、許されている。

 どうすれば。自身は多分、精を吐き出せればそれで良い。

 目の前には黛冬優子の口があった。オーラル、と言って通じるかが判らない。通りが良いのはフェラチオだろうか。取りあえず、舌で舐めて欲しい旨を伝える。

 

「ん……それは、知ってる。やってみる」

 

 髪をかき上げて、瑞々(みずみず)しい赤色の舌を出す。

 触れる。ぞわりとした感触が脳を駆けあがり、びくりと反応してしまう。

 

「なによ。動かないで欲しいんだけど?」

 

 すまなかったと謝ると共に、生理現象であることを告げる。

 気持ちが良いから続けてくれと、情けなくもお願いする。

 

「うん。判った。ぇろ……ろ」

 

 根元から先へ。竿を()って。先でまぶして。鈴口を(ねぶ)って。

 なんとなく、見たことのある動きを繰り返している。そんな様相だ。

 実際に気持ちいい。気持ちは良いのだ。

 

「ん」

 

 どうよ、という目で見られている。

 ただ、自信を示しているというよりは、可否を尋ねられているようだ。

 正直に答える。気持ちが良いよと。

 

「んぼぅ……。違うわ」

 

 竿から口を離す。

 不満気だ。

 

「勃たせるための動作なんでしょ。射精させるにはどうすれば良いか、聞かせて」

 

 あくまでも目的に向けた道筋の最適解を、彼女は問うてくる。

 気持ちが良い。それは間違いない。

 ただ、自身の性癖が、ただの射精を許すはずもない。

 

「……ここまでしておいて、後には引けないわ。引く気もないけど」

 

 黙った此方を見て、冬優子が続ける。

 この気性は彼女らしいな、と思う。……思うが。

 

「事務所の入り口のカギはかけてきたわ。デスクワーク場所の照明は消したし、洗面所側ならこれから帰る所だったで言い訳もスムーズにできる」

 

 指折り数えて、冬優子は準備万端であることを重ねて告げる。

 用意周到さも、彼女らしいなと思う。……思うが。

 

「だから良いのよ。今のふゆは、あんたのためにここにいるの」

 

 思うが。思うが。

 彼女はアイドルだ。間違いなく、アイドルだ。

 だからと。自身の趣向に合わせずに収めようと。

 ……そう思っていたのに。

 言葉にされる。

 

「やったことないし、技術がないんだから、あんたが気持ちいいようにやって。……今だけはふゆを性処理の道具(・・)だとでも思って、使ってみてよ」

 

 情景がぶれる。腹の奥が燃えるように熱い。

 動画や二次元という創作物の中でしか、在り得なかったと ―― そう思っていた言葉が確かに聞こえた。

 ただそれは、自身にとっては間違いなく、救いの言葉ではあった。

 熱が伝って、どこかでぷつりと音がした。

 自身は、最後に残った人としての言葉でぼそぼそと告げる。

 

 冬優子へ。刺激が欲しいから、口の中で咥えて欲しいと。

 彼女へ。多少苦しいだろうが、出し入れが最も刺激になると。

 道具(・・)へ。早く出すから、喉奥へ突っ込ませて欲しいと。

 

「わ、かった。あ……ぐ……」

 

 従順だ。良い。

 顎が外れかねない大きさにまで怒張した男性器(本体)を、黛冬優子の中へとねじ込んでゆく。

 グロスが図らずも潤滑剤になった。まずは口内を。

 

「あ、ぼ、ぶぅぐ……ぼぇ」

 

 竿で顎の位置を調整しながら、少しずつ奥へ。

 動かす度に音が鳴る。鈍い音が。

 

「ぼ、ぶ、ぼ、ぼぅぶ」

 

 どうやら本能的に歯は避けているようで、優秀だ。

 涎に塗れてくる。苦しそうに表情が歪む……そのせいで、男性器の体積が一段と増す。

 口内で出し入れを。(なら)す。たまに奥を突いて、準備をさせる。

 

「お゛っ! ……ぶぇ、ぐ、ぶ、ぼっ、ぼっ……ぼばぁっ」

 

 前後にタイミングを合わせて鼻で息をしろと伝える。涙目のまま、彼女は頷く。

 頷いたそのせいで竿の位置がずれる。やはりというか、喉奥に突き刺さって嘔吐(えず)いた。

 必死だというのに。滑稽さが。アイドルなのに。

 無様だなぁと、思ってしまう。

 

「ぼっ、んぼっ、ぐぶぅ……ぼべっ、ごお゛っ、お、お!」

 

 どうやら酸欠に近くなってきたので竿を引き戻す。

 涙目は頬を伝ったまま。鼻水は口元に入り込んだまま。涎は床にぼたぼたと、際限なくしとどに落ちる。

 完全には抜かさない。呼吸を整えてもらう。同時に、次は行くぞと顔を見る(にらむ)

 

「……かふぅーっ……ぶふぅーっ」

 

 傘を加えたまま。今まで、これまで、ずぅっと見たことのない顔を黛冬優子はした。

 単純に歪んだ顔。不細工な顔。見栄えもクソもない顔だ。

 表情も、驚愕だろうか。恐怖だろうか。いずれにせよ、視覚的な興奮をもたらしてくれる。

 

 ここまで来て。彼女は終に、やめろとは言わなかった。男性器に被せた口を離すこともない。

 垂れて来た鼻水に苦慮しながら、竿と口唇の合間に出来たわずかな隙間を利用して、か細く必死な呼吸をする。

 

 従順だ。だからこそ、安心して込み上げる。

 ここで引くならば、自身も引くだろう。平身低頭謝り倒して、最後の最期まで身を粉にして彼女に尽くし終える(・・・)。そんな気概で情事を始めてはいた。

 しかしそうではなかった。その事実こそが、心の最後の枷を外してゆく。

 

「……! ん」

 

 いよいよ近づくと、彼女の目が窄められ、顎がくいと持ち上げられる。

 優秀だ。入りやすい角度になった。

 頭の横(ちょうどいい所)にあった髪房(テール)をわしと掴んで、注挿を再開する。

 今度は奥へ。

 

「ごっ! んごっ!! ……ご、お、ぇっ……! お゛っ! ぼお゛っ!?」

 

 奥へ、奥へ。突く度により奥へ、掘り進めてゆく。

 

「ごぼっ、ごおっ、おっ、お゛っ、おっ、んぼおっ!」

 

 リズミカルに。感触が全て全身(こかん)を覆うような、生暖かさと細かな衝撃に包まれる。

 自分でするのとは比べ物にならない。コンドームよりも肉厚で深く。ダッチワイフよりも浸潤で暖かで。

 

 そして、オナホールとは ―― ふと思う。

 オナホールとは、違いはあるのかと。

 

「んっご、んっご、ぼふぉ、ぼふぇ!」

 

 当然ある。

 ローションも必要なく、貫通型だとか面倒なことを気にする必要もなく。

 持ち運びが要らず、無駄にインテリア風にしなくてもよく。

 洗うだとか。ディスポだとか。外装の外しだとか。構造のデザイン性だとか。

 

「おごっ……ぉぇっ、おごっ、おごぼっ、ぼぶぉっ」

 

 そういうのは、全部、これ(・・)に負けているではないか。

 だとすれば、これは、上位互換のオナホールなのではないか。

 狂気じみた思考の電波に脳が侵されてゆく感覚。それもそのはず。自身の脳は今、男性器にこそある。

 

「ぼっ、ぼぇ、ぶふぅ、ぶふ……お゛っごっ」

 

 そんな毒電波を受信している間にも、これは絶え間なく刺激をくれる。

 自分でしごかなくてもよく、腰を振れば深さの調節も出来ている。

 喉はこなれてきたようだ。

 

「ぶっ、ぶぅ、ぼごぇっ、ごっ」

 

 豚のような鳴き声。

 いつもは繊細に歌を奏でる喉が、気持ちよくするというその為だけに、男性器の形に隆起する。

 整っていた顔を涙と鼻水と涎が入り混じって伝い、着飾った私服が汚泥に染められてゆく。

 瞳は虚ろで生気がなく、マネキンにも劣る道具の様。

 唇が竿の出入りに沿って突き伸び ―― 実にアイドルとは思えない、ひょっとこにも劣る無様を晒す。

 ついでに腰の高さに頭を持ってくる格好が、男性器に媚び(へつら)っているかのような幻想まで見せてくる。

 

 興奮している。興奮している。

 黛冬優子の無様で。自身は、人生の中で今、最高潮を迎えている。

 これ以上なく気持ちが良い。気分も身体も、満たされてゆく。

 

「ごぐぇっ……ばぼぁっ、んぐっ……!」

 

 一層に隆起した口いっぱいに頬張って。

 喉奥に、男性器を飲み込んで。

 彼女はスパートをかける。

 

 ……許さない。

 

「……ぐっ、ごぼっ!?」

 

 自分自身で、思い切り腰を突く。

 喉の奥へと割り入る感覚。締め付けられて、絞られて。

 最高潮を道具の側に取らせてなるものか。そういう自分勝手な感情が全て。

 アイドルの喉が最高に気持ちのいいオナホールだと、知ったのだから。

 

 だから。最後の最期まで自分だけの快楽のために

 身勝手な、最高の射精を迎える事が出来た。

 

「……! ぶ、ぼごぉ」

 

 最高の量が出る。出ている。

 喉奥へ。奥過ぎる。気管には入るまい。

 白濁は胃の中へどばどばと吐き出され。

 口内に溜まっていた汁が粘り気を帯びて鼻穴から噴出し。

 

 気持ちよかった。

 それだけの感慨で、竿を抜く。

 

「が、ぼ……ぼごぇっ」

 

 最後まで受け止めてくれた冬優子を横にする。気管に詰まらない分を嘔吐させた後、ウェットティッシュで喉周りをふき取ってゆく。

 うがいを挟んで、静寂。

 

「……ん、ん゛。言いたいことは、色々あるけど」

 

 周囲に汁の飛び散った有様のまま。

 今度は確かに、先ほどまでの無様な顔が、黛冬優子の前に重なって見えている。

 

「気持ちよかったのね?」

 

 頷いた。

 ただ、ありがとうと言うのは(はばか)られ、大きく深く頭を下げる。

 

「……なら、良かった」

 

 黛冬優子はアイドルではない、親愛のこもった表情で笑う。

 少しの打算もあるだろう。ただ、打算の元が取れたのか。

 おかげで彼女はプロデューサーに、これまでと同様の触れざるただの少女ではなく。

 ―― その喉は「気持ちのいいオナホール」であると、認識されることは出来ていた。

 

 それは、幸か、不幸か。

 






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