プロデューサーは人でなし 作:どろまみれ
黛冬優子②
好きにして許されるのならば ―― 許されるのだろうか?
社会的には許されない。いいや。社長は許容すると言って
俺自身が許すか。既に考える脳は男性器にある。許されるなどと「思う事が許される」のは、この熱を吐き出したそのあとだけだ。
では。
黛冬優子は許すか。そう。許されるか。
床に女の子座りになりながら、上気した表情の、上目遣い。整った顔。整えたメイクの……しかし口を半開きにしたまま、露出した男性器を見つめている。
「……ここから、どうすれば良いのって……聞いたつもりなんだけど?」
首を傾げ、尋ねられた。つまりは、許されている。
どうすれば。自身は多分、精を吐き出せればそれで良い。
目の前には黛冬優子の口があった。オーラル、と言って通じるかが判らない。通りが良いのはフェラチオだろうか。取りあえず、舌で舐めて欲しい旨を伝える。
「ん……それは、知ってる。やってみる」
髪をかき上げて、
触れる。ぞわりとした感触が脳を駆けあがり、びくりと反応してしまう。
「なによ。動かないで欲しいんだけど?」
すまなかったと謝ると共に、生理現象であることを告げる。
気持ちが良いから続けてくれと、情けなくもお願いする。
「うん。判った。ぇろ……ろ」
根元から先へ。竿を
なんとなく、見たことのある動きを繰り返している。そんな様相だ。
実際に気持ちいい。気持ちは良いのだ。
「ん」
どうよ、という目で見られている。
ただ、自信を示しているというよりは、可否を尋ねられているようだ。
正直に答える。気持ちが良いよと。
「んぼぅ……。違うわ」
竿から口を離す。
不満気だ。
「勃たせるための動作なんでしょ。射精させるにはどうすれば良いか、聞かせて」
あくまでも目的に向けた道筋の最適解を、彼女は問うてくる。
気持ちが良い。それは間違いない。
ただ、自身の性癖が、ただの射精を許すはずもない。
「……ここまでしておいて、後には引けないわ。引く気もないけど」
黙った此方を見て、冬優子が続ける。
この気性は彼女らしいな、と思う。……思うが。
「事務所の入り口のカギはかけてきたわ。デスクワーク場所の照明は消したし、洗面所側ならこれから帰る所だったで言い訳もスムーズにできる」
指折り数えて、冬優子は準備万端であることを重ねて告げる。
用意周到さも、彼女らしいなと思う。……思うが。
「だから良いのよ。今のふゆは、あんたのためにここにいるの」
思うが。思うが。
彼女はアイドルだ。間違いなく、アイドルだ。
だからと。自身の趣向に合わせずに収めようと。
……そう思っていたのに。
言葉にされる。
「やったことないし、技術がないんだから、あんたが気持ちいいようにやって。……今だけはふゆを性処理の
情景がぶれる。腹の奥が燃えるように熱い。
動画や二次元という創作物の中でしか、在り得なかったと ―― そう思っていた言葉が確かに聞こえた。
ただそれは、自身にとっては間違いなく、救いの言葉ではあった。
熱が伝って、どこかでぷつりと音がした。
自身は、最後に残った人としての言葉でぼそぼそと告げる。
冬優子へ。刺激が欲しいから、口の中で咥えて欲しいと。
彼女へ。多少苦しいだろうが、出し入れが最も刺激になると。
「わ、かった。あ……ぐ……」
従順だ。良い。
顎が外れかねない大きさにまで怒張した
グロスが図らずも潤滑剤になった。まずは口内を。
「あ、ぼ、ぶぅぐ……ぼぇ」
竿で顎の位置を調整しながら、少しずつ奥へ。
動かす度に音が鳴る。鈍い音が。
「ぼ、ぶ、ぼ、ぼぅぶ」
どうやら本能的に歯は避けているようで、優秀だ。
涎に塗れてくる。苦しそうに表情が歪む……そのせいで、男性器の体積が一段と増す。
口内で出し入れを。
「お゛っ! ……ぶぇ、ぐ、ぶ、ぼっ、ぼっ……ぼばぁっ」
前後にタイミングを合わせて鼻で息をしろと伝える。涙目のまま、彼女は頷く。
頷いたそのせいで竿の位置がずれる。やはりというか、喉奥に突き刺さって
必死だというのに。滑稽さが。アイドルなのに。
無様だなぁと、思ってしまう。
「ぼっ、んぼっ、ぐぶぅ……ぼべっ、ごお゛っ、お、お!」
どうやら酸欠に近くなってきたので竿を引き戻す。
涙目は頬を伝ったまま。鼻水は口元に入り込んだまま。涎は床にぼたぼたと、際限なくしとどに落ちる。
完全には抜かさない。呼吸を整えてもらう。同時に、次は行くぞと顔を
「……かふぅーっ……ぶふぅーっ」
傘を加えたまま。今まで、これまで、ずぅっと見たことのない顔を黛冬優子はした。
単純に歪んだ顔。不細工な顔。見栄えもクソもない顔だ。
表情も、驚愕だろうか。恐怖だろうか。いずれにせよ、視覚的な興奮をもたらしてくれる。
ここまで来て。彼女は終に、やめろとは言わなかった。男性器に被せた口を離すこともない。
垂れて来た鼻水に苦慮しながら、竿と口唇の合間に出来たわずかな隙間を利用して、か細く必死な呼吸をする。
従順だ。だからこそ、安心して込み上げる。
ここで引くならば、自身も引くだろう。平身低頭謝り倒して、最後の最期まで身を粉にして彼女に尽くし
しかしそうではなかった。その事実こそが、心の最後の枷を外してゆく。
「……! ん」
いよいよ近づくと、彼女の目が窄められ、顎がくいと持ち上げられる。
優秀だ。入りやすい角度になった。
今度は奥へ。
「ごっ! んごっ!! ……ご、お、ぇっ……! お゛っ! ぼお゛っ!?」
奥へ、奥へ。突く度により奥へ、掘り進めてゆく。
「ごぼっ、ごおっ、おっ、お゛っ、おっ、んぼおっ!」
リズミカルに。感触が全て
自分でするのとは比べ物にならない。コンドームよりも肉厚で深く。ダッチワイフよりも浸潤で暖かで。
そして、オナホールとは ―― ふと思う。
オナホールとは、違いはあるのかと。
「んっご、んっご、ぼふぉ、ぼふぇ!」
当然ある。
ローションも必要なく、貫通型だとか面倒なことを気にする必要もなく。
持ち運びが要らず、無駄にインテリア風にしなくてもよく。
洗うだとか。ディスポだとか。外装の外しだとか。構造のデザイン性だとか。
「おごっ……ぉぇっ、おごっ、おごぼっ、ぼぶぉっ」
そういうのは、全部、
だとすれば、これは、上位互換のオナホールなのではないか。
狂気じみた思考の電波に脳が侵されてゆく感覚。それもそのはず。自身の脳は今、男性器にこそある。
「ぼっ、ぼぇ、ぶふぅ、ぶふ……お゛っごっ」
そんな毒電波を受信している間にも、これは絶え間なく刺激をくれる。
自分でしごかなくてもよく、腰を振れば深さの調節も出来ている。
喉はこなれてきたようだ。
「ぶっ、ぶぅ、ぼごぇっ、ごっ」
豚のような鳴き声。
いつもは繊細に歌を奏でる喉が、気持ちよくするというその為だけに、男性器の形に隆起する。
整っていた顔を涙と鼻水と涎が入り混じって伝い、着飾った私服が汚泥に染められてゆく。
瞳は虚ろで生気がなく、マネキンにも劣る道具の様。
唇が竿の出入りに沿って突き伸び ―― 実にアイドルとは思えない、ひょっとこにも劣る無様を晒す。
ついでに腰の高さに頭を持ってくる格好が、男性器に媚び
興奮している。興奮している。
黛冬優子の無様で。自身は、人生の中で今、最高潮を迎えている。
これ以上なく気持ちが良い。気分も身体も、満たされてゆく。
「ごぐぇっ……ばぼぁっ、んぐっ……!」
一層に隆起した口いっぱいに頬張って。
喉奥に、男性器を飲み込んで。
彼女はスパートをかける。
……許さない。
「……ぐっ、ごぼっ!?」
自分自身で、思い切り腰を突く。
喉の奥へと割り入る感覚。締め付けられて、絞られて。
最高潮を道具の側に取らせてなるものか。そういう自分勝手な感情が全て。
アイドルの喉が最高に気持ちのいいオナホールだと、知ったのだから。
だから。最後の最期まで自分だけの快楽のために
身勝手な、最高の射精を迎える事が出来た。
「……! ぶ、ぼごぉ」
最高の量が出る。出ている。
喉奥へ。奥過ぎる。気管には入るまい。
白濁は胃の中へどばどばと吐き出され。
口内に溜まっていた汁が粘り気を帯びて鼻穴から噴出し。
気持ちよかった。
それだけの感慨で、竿を抜く。
「が、ぼ……ぼごぇっ」
最後まで受け止めてくれた冬優子を横にする。気管に詰まらない分を嘔吐させた後、ウェットティッシュで喉周りをふき取ってゆく。
うがいを挟んで、静寂。
「……ん、ん゛。言いたいことは、色々あるけど」
周囲に汁の飛び散った有様のまま。
今度は確かに、先ほどまでの無様な顔が、黛冬優子の前に重なって見えている。
「気持ちよかったのね?」
頷いた。
ただ、ありがとうと言うのは
「……なら、良かった」
黛冬優子はアイドルではない、親愛のこもった表情で笑う。
少しの打算もあるだろう。ただ、打算の元が取れたのか。
おかげで彼女はプロデューサーに、これまでと同様の触れざるただの少女ではなく。
―― その喉は「気持ちのいいオナホール」であると、認識されることは出来ていた。
それは、幸か、不幸か。
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