※この作品はR-18です。

プロデューサーは人でなし   作:どろまみれ

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市川雛菜⑤:(専用ドール)→(???)

 

 

 市川雛菜⑤

 

 

 学園祭ライブの準備はとんとん拍子で進められた。

 元より、通常のライブイベントとは違い、演出・曲ともに手持ちの武器で勝負して良いのが学園祭ライブと言うものである。

 その代わりに、MCなどで通常よりもややアドリブ力が試されたりはするものの、許容範囲内ではあるだろう。

 

 彼氏君は彼女候補がアイドルとしてライブイベントに来るせいで気もそぞろ……というか。

 市川雛菜は彼氏君に伝えていなかったようだ。あれからもう1回デートを行った機会に伝え、驚かれていた。ちなみにデートの内容は前回に同様の結果になったので、割愛しておく。

 

 ノクチルそれ自体の仕上がりもそこそこ。

 市川雛菜と福丸小糸はレッスンにも身が入っているようだ。……身体の方は心配していたが、特に注意しなければならないということはなく。むしろ相手(・・)をする頻度がやや増えたくらいだろうか。

 

 身体の関係を持った人ら全員が全員、俺が頻回に相手をしているかと言われるとそうではないが。

 今回のようにユニット単位で長く受け持つようなことがあると、帰り際は殆ど別宅へ寄るような状況になる。

 

「―― も~、小糸ちゃんずるい~」

 

「―― ふ、ふーん……! だってわ、わたしは入れ物(チンポケース)だもの!」

 

 このように、だ。

 市川雛菜。本日は柔らかめの色の私服で揃え、自身(おれ)の指で陰部を弄られている。

 福丸小糸。ベッドの上で自身に抱きかかえられるような形で男性器をくわえ込み、自らの腹をぽんぽんと叩く。

 痛くはないが。衝撃は男性器に割とダイレクトにくる。

 

「い、()れておくのは、わたしの役目だから……。こ、このまま寝るまであっちゃうね!」

 

 割と珍しく、雛菜に対しても自らの役割(・・)を主張して動こうとしない。

 

「むー。ね~、プロデューサー。雛菜も~……んう」

 

 市川雛菜は、福丸小糸の右側……自身の右太股に割り入って乗りかかると、唇を奪ってくる。

 

「んべぅ、ちゅ」

 

 舌を埋め尽くすように入れ込み。太股に自らの陰唇を、抱きついた右腕に乳首を擦り付け。

 

「―― んはっ。……あは~」

 

「むぅ……ぷ、プロデューサーさん……! お、お腹ぐりぐりを……お願いしても、い、良いですかっ」

 

 市川雛菜に唇を奪われたまま。

 空いた左手で、抱きかかえた福丸小糸の下腹部 ―― 膀胱ではなく、の位置をぐいと押し込める。

 タイミング良く。奥を刺激するように。同時に、男性器の先でぐりぐりと入り口を揺らしてやる。

 

「お゛っ、ふっ……お、おお゛ほっ……」

 

 濁声が響き始める。

 効いているな、としばらく続け。呼吸が乱れた頃合いで。

 ずふんと鈍く奥へ響くように。拳でぐー。

 

「おお゛オぅっっ!!」

 

 びくん、とくの字に曲がり。すぐさま絶頂で跳ね上がった。

 どうやらお気に召したようだ。涎を垂らしてトリップした表情。膣内がぎゅいぎゅいと締め付けてくる。

 

「あは~……すっご~」

 

「えへ、えへへ……き、気持ちいいんだよ……すっごい。な、慣れちゃうともう、やみつきで」

 

 自慢気な様子で、福丸小糸が赤い跡の付いたお腹をさする。

 

「あ~、でも雛菜だって~……ほら~!」

 

 そして何故か対抗した市川雛菜が、フリフリ付きスカートを大きく(めく)ってミミズ腫れの跡を晒す。

 尻肉の上に何重にも付いたそれは、スパンキングを行いに行った時に付いた物だ。

 

「水着ない季節のうちに~、いっぱい遊んでもらうんだ~」

 

「そ、それもそうだね……。わ、わたしもお腹、もっとい、いじめてもらわないと……」

 

 ふたりから視線を感じる。どうやら意気投合されてしまったようだ。

 ……いずれにせよ、今週末には学園祭でのライブが待っている。

 衣装は確認した。ふたりとも、目立たない位置の跡だ。

 だからといって、際限なく出来るわけではないが。

 

「あは~。いまさらだ~」

 

「だ、だね。……始めちゃうと、か、加減が効かなくなるのは……いっつも、プロデューサーの……ほ、ほうだし……」

 

 その通りである。面目もない。

 ……そして。こうして2人に刺激され続けていて。我慢もならないので。

 

「あ~。……はい、どうぞ~」

 

「あっ。……え、えと……いっぱい、つ、使ってください!」

 

 市川雛菜に尻を突き出させた体勢で押し倒して。

 福丸小糸をベッドに押し潰すような体勢で押し倒して。

 結局。満足するまで。共に並べて、犯した。

 

 

 

 

 

 ・・・

 

 

 学園祭当日。

 ノクチルのライブは、2日目のステージイベントの大トリ。夕方の終盤に組み込まれていた。

 とはいえ。学園祭の実行委員などはあるものの、基本的にはこちらで主導してスタッフなどを動員してしまうので、むしろ普段のライブなどよりもテンプレート染みた作業となる。

 

 セトリは出来上がっている。読み合わせは俺がしてしまえば良い。

 照明機材は最低限借りて。ステージの大きさと状態を当日にも確認し。

 メンバーは時間までに現場入りし、メイク等を済ませればそれでOK。

 とはいえ学生アイドルなのでメイクは最低限だ。今回は装飾も華美ではないため、時間はかからないだろう。

 

 つまりは。

 段取りとやるべき事はあるが、それはノクチルとしても慣れた物。

 現場入りは各自集合。むしろ昼過ぎまでは休みのようなものとなったのである。

 

 ……そう。本来であれば、そうなのだが。

 

「―― それじゃあプロデューサー。まわろ~!」

 

 人波にまぎれて俺の腕を抱きかかえる、市川雛菜がここに居た。

 何分、一緒に学園祭を回ると約束してしまった。期待(・・)も、してしまった。

 行かないという選択肢は、(はな)からないようなものなのである。

 

「ねーねー、どこから行こっか~」

 

 入り口で貰ったパンフレットを楽しそうに眺めながら、市川雛菜は上目使いで俺を見る。

 ……どこに行くか、か。学園祭というもの自体が久し振りだ。大学のあれは学園祭と言うよりは、サークル活動費のための販売競争みたいな所があるため、迂闊(うかつ)に楽しむなどということは許されなかった。

 俺もその頃の彼女も、別々のサークルに所属していたこともあり。別段の思い出があるわけでも、ないのである。

 

「こことか~、あ~、ここも~!」

 

 しかし市川雛菜が居てくれればそのような……向かう場所に困るようなことも、なさそうだ。

 そうして選んでくれている間に、周囲を見回してみる。

 

 呼び子。運動部のユニフォームを着た学生。子ども。そして成人男性。

 お客は近場の学生や家族が主たる層だが、ライブイベントなどの催しがある日は外からのお客も多い。

 俺はいつものスーツ姿なのだが、そういう事もあって、別段浮いた格好という訳でもなくて一安心していたりする。

 

「じゃあ~……最初は~、ここ!」

 

 市川雛菜がパンフレットを指さす。

 「おばけ屋敷」。教室2つ分を使ったもの……だ、そうだ。実に学生らしい出し物と言えよう。

 

「プロデューサーとこういうの回るの、楽しみ~!」

 

 腕を引っ張り、校舎内へと入りながら。市川雛菜は鼻歌を歌い出すほどご機嫌だ。

 並ぶ下駄箱。ややノスタルジーを感じるが。お祭りだけあって、どこもかしこも装飾付きでカラフルなもの。

 ……そうか、確かに。市川雛菜と。こういう風にふたりで遊ぶために出張る、というのはあまり無かったかも知れない。

 

「プロデューサーは~、他の子とは出掛けてるって聞いたけどね~。冬優子さんとか~?」

 

 あのイベントのことだろう。一人称デート映像。

 釈明(しゃくめい)はしておく。あれも下見の一環だったと。

 

「夏の時の~、小糸ちゃんもそうでしょ~?」

 

 下見と言われてしまえば、確かに。成る程、分は悪そうだ。

 諦めて。今日は市川雛菜と十分に楽しむことを、口に出して約束する。

 

「あは~、それならいいよ~! ……じゃあ、入ろ~!」

 

 いらっしゃいませー、と受付の学生。

 名前を適当に書いて。砕いてきたコインで支払い。

 お化け屋敷の入り口の看板を潜った。

 

「お~、くら~い」

 

 お化け屋敷だからな。

 ……と。

 

「あは~」

 

 ふんわりと笑いながら。市川雛菜は、自身の腕を完全に股の間に入れ込んだ。

 擦り付ける。陰唇のピアスのおかげで、擦り付けるだけでも陰部を擦りあげてしまう。

 元々、最近では下着すら履かなくなってしまったのだが。

 

「ん、ふぅ……あ、は」

 

 暗闇の中。すっかり擦り付けるのがメインになってしまっている。

 右折……脅かし役。ばぁ。

 

「あは~、こわ~い」

 

 完全にノリノリで更に身を寄せてくる。

 これ幸いとばかりに胸元で、自身の胸を当てこする。

 

「んは~」

 

 すりすり。ぐりぐり。胸と頭を、臭い付けの様に何度も左右。

 脅かし役の女生徒から生暖かい視線を感じる。いたたまれない気持ちで、矢印の方向へ歩き進む。

 

 そんな感じで、お化け屋敷らしいアトラクションが続く。

 

 突然光る街灯。

 自身の後ろ側に回り込んで、背中で愛撫(すりつけ)

 

 足元に転がる黒い物体。

 身体ごと飛びついて、本格的に太股で陰部を愛撫(すりつけ)

 

 緑色の人魂が宙を舞う。

 屈んだ(すき)に指を膣内に入れさせて、愛撫(かきまわす)

 

 こんにゃく(風味のクッションゼリー)。

 身を(かわ)す。壁際に身体を寄せ、口に舌まで入れられた。

 

 ……等々。

 ご覧の通りの有様である。

 

 ご来店ありがとうございましたー、との声が聞こえた。

 どうやらお化け屋敷の出口に辿り着いたらしい。

 が。こちらはそれどころではない。

 

「……あは~、連れてかれちゃう~」

 

 完全にスイッチを入れられてしまった。

 責任を取って貰うべく、階段をあがる。早足で。

 登る、登る。屋上の扉を開いて、市川雛菜をそこへ持ち込んだ(・・・・・)

 

 屋上の鍵は、ライブのための機材置きの場所のひとつとして、事前に貸して貰っていたのだ。

 普段は学生は入れず、設置型の物置が幾つか並んでいる。

 

 開け放ったドアを、後ろ手に施錠する。

 学園祭の喧噪が一手に聞こえる場所。同時に、青空がいっぱいに広がってもいる。

 市川雛菜をフェンス際まで押し込み。唇を奪う。

 

「んう……れろ、れろぅ」

 

 そのまま服を脱がしてしまう。屋上で。全裸に。

 陽光に、市川雛菜の局部に着けられたピアスやイミテーションが煌めいて。

 

「……しちゃう~?」

 

 するが……普通には済まさない。

 自身が物置から取り出したそれ(・・)を、広げてみせる。

 

「え~……あ~!」

 

 着ぐるみだ。

 被り物も、胴体も大きな ―― 人2人くらいは入ってしまいそうな。学校のマスコット。

 学園祭の中でも数体は同様のものが闊歩(かっぽ)しているのを見かけたものだ。

 

 その中に、市川雛菜を放り込む。

 すっかりふやけた膣内に、我慢できなくなった男性器を挿入し。

 

「あ、ふ! ……もしかして~……」

 

 抱き上げて。ふたりで(・・・・)着ぐるみを着てしまう。

 挿入し、尻を持ち。

 抱きかかえた体勢のまま。

 悠々と、階下へと降りてゆく。

 

 

 

 

 

 

 中庭にちょうど良い場所があった。

 人の出入りはそこそこで。ベンチに座ることが出来る場所。

 そこのベンチの真ん中に、腰掛ける。

 

「ぷろ、でゅー……さーぁ……!」

 

 着ぐるみの中。

 市川雛菜と密着し、男性器を膣に挿入しながら、ゆさゆさと腰を揺する。

 どうやら声は抑えているらしい。唇を噛んでいるのが、わずかな明るさの中でも見て取れる。

 

「雛菜だけ、はだか、なんだ……けど~」

 

 知っている。自身は着ているので問題は無い。

 市川雛菜で楽しむのは、自身の特権である。

 

「……。あは~……そう、だね~」

 

 諦めたような表情だ。それでいい。

 自らの役割として、再び腰を動かし始める。

 

「んはっ」

 

 すっかり露出した陰核のピアスが、向かい合って腰を揺すると刺激されるらしい。

 それをぐりぐりと押し付けるように、市川雛菜は腰を上下する。

 

「は、あっ、んあっ……くふぅっ」

 

 学園祭の喧噪(けんそう)が間近に聞こえる。

 迷子を呼び出したり、今現在行われているイベントを紹介する放送の音。

 お客の呼び込みをする……運動部の生徒だろうか、の元気の良い声。

 目前、手を繋いだ親子が通りかかり ―― 足を止めた。

 

「あはっ……こっち、来ちゃった~」

 

 女児が指さしながら、こちらへと近づいてくる。

 マスコットの姿をしてはいるが。中でこんなことをしているとも知らずに。

 

「んっ、ふっ、はぅ」

 

 腰は止めない。むしろ最中に射精するくらいの勢いで腰を揺する。

 目の前まで来た女児が、話しかけてくる。

 対応は自身が出来る。座ったままではあるが、腕を適当にコミカルに動かしてみせた。

 

「は、ふぅ……んに゛っ!」

 

 無様な声が漏れる。

 女児が体当たりをしたせいで、市川雛菜の尻が押されてしまったのだ。

 

「んへっ……はぁっ」

 

 首を傾げる女児。何やら痛む場所を刺激してしまったのかと心配するその親。

 予想外の刺激に(とろ)けた息を吐く市川雛菜。

 ……自身は腕を伸ばして女児の頭を撫でる。大丈夫だよ、と。

 

「っひ」

 

 同時に腰を振る。

 笑った女児が、腕に抱きつくと。

 

「―― い、い゛」

 

 またも予想外の刺激に、市川雛菜の膣がぎゅうと絞まる。

 なので自身も。女児の目の前で、膣内に射精してみせた。

 

 頭を撫で。手を振り。親子は遠ざかってゆく。

 どくどくと脈打ち、子宮へ叩きつけるような感覚。胸に埋まっていた市川雛菜が、顔を上げる。

 

「……これ、すごい~。もっと~……して~」

 

 完全にお熱のようだ。

 さてどうしようか、と考えていると。

 

 放送がかかる。

 どうやら午前のメインイベント。芸人さんのステージライブが始まるようだ。

 ただでさえ(まば)らだった中庭の人手が、さっと散ってゆく。

 これ幸いと、校舎の裏側へと回り込み ―― 体勢を変える。

 

「あ~……この体勢、プロデューサーがいっぱい見える~」

 

 自身は半ば着ぐるみを脱し、市川雛菜をでんぐり返しさせる。

 首と背中を地面に着けて。陰部と尻を上げて。こちらへ差し出すような形に。

 彼女の脚を大きく広げさせ。自身は立ったまま。

 

「ん……はぁっ」

 

 叩きつけるように。再び、膣内へ男性器を挿入した。

 柔らかく、堅く。腰が陰唇にぶつかる感触。

 開いた脚同士を十字に交差させ。互いの陰部を押し付ける。

 特に、自分本位に下へと押し付けられるのが良い。もどかしい感覚がまるでない。

 いつもよりも奥へ容易に達する。入り込む角度も感覚もいつもと違って、心地が良い。

 

「ね、も、声……む、りっ……あ、あに゛ぁっ!」

 

 身体全体を使って腰使いを受け止める形の市川雛菜が、(あえ)ぐ。

 少なくとも周囲に人はいない。声も、喧噪に容易に紛れるだろう。

 それよりも早く。この感覚を楽しみたかった。

 

「はっ、あはっ……あぅ、あっ、ぎ、あ、ひぃっ!」

 

 余裕もない。喧噪も既に聞こえていない。

 実際は別の学校内ではあるのだが。

 そもそも校舎の裏で、相手も制服ではなく全裸に剥いてしまっているが。

 

 ―― まるで、校内で。

 生徒としての市川雛菜を汚しているような感覚に襲われる。

 

「んはっ、ひ、ひななっ、もっ……い、く……」

 

 こんな非日常的な光景でなくても、とは思うが。

 恐らくは、彼女も似たようなことを思っているはずだ。

 ……学校だろうが、アイドルだろうが、それ以外だろうが。

 

「い、く……いく、いく、いく……ん、は、あ゛ふぁっ……!!」

 

 市川雛菜は自身の()なのだと。

 そう刻みつけるように、奥に叩きつけるように射精した。

 

 出して。絞られて。抜いて、どろりと溢れる愛液と白濁。

 敷かれた着ぐるみの中だか外だか判らない様な場所で寝転がったまま、市川雛菜が息を吐く。

 

「あは~……これで雛菜、学校でもプロデューサーのものだね~」

 

 やっぱり、と思うと共に。

 壊れているのだな、と思うと共に。

 この有様でも自身に笑いかける彼女に。安心感を、覚えてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 ・・・

 

 

 ノクチルのライブが、(つつが)なく終了された。

 ライブそれ自体は異常無く。

 進行それ自体も遅延なく。

 アンコールのシャイノグラフィまで含めて、予定通りの ―― 盛況を迎えていた。

 

 浅倉透が笑って手を振る。

 樋口円香が目を閉じて一礼する。

 福丸小糸が元気よく走り去る。

 市川雛菜が愛想を振りまきながら踊り去る。

 

 そうして。

 終了を迎えたのだった。

 

 ……そして。

 終わらせなければならないものが、もうひとつ。

 

「―― の゛、ふ。……それじゃあプロデューサー、行ってくるね~」

 

 ステージ衣装のままの市川雛菜が、手を振って屋上へと歩いて行く、その背を見送る。

 最初の喘ぎ声は、自身によって膣に手持ち型マイクをぶち込まれた際のものだ。

 その状態で、彼女は屋上へと……彼氏君の待つ場所へと向かったのだ。

 

「あ、あの……プロデューサーさん」

 

 屋上へと続く階段の踊り場。

 他の生徒がこないかどうかを見張る役目を務めていた俺の隣に、同じくライブ衣装のままの福丸小糸が並ぶ。

 視線でせがまれたので。雛菜と同様にマイクをぶち込む。

 

「んお゛っ! ……う、ふ、おぉぅ……。……これを入れる、く、くらいなら……チンポのほうを……んひっ!」

 

 既に校内にも人が多くいる。そういう訳にもいかないので、乳首のピアスを引っ張ってやった。

 これだけの刺激で、福丸小糸は耳を真っ赤にしてしまう。すっかり(うる)んだ目と股をもじもじとさせながら。

 

「あの……ひ、雛菜ちゃん。なんですけど。し、心配はいらないですからね……!」

 

 そう、力強く鼓舞してくれた。

 ……だろうか。俺自身、正直言うと自信はない。

 

 市川雛菜はいつでも、何度でも、言ってくれた。

 それでも。それでもだ。

 

 自身は。人でなしだ。

 例え市川雛菜が、自身と同様の壊れ物(おにんぎょう)であろうと。

 自分自身の有様(ありさま)に相違がない限りは……この心持ちは、変わる事がないのだろう。

 

 しかし、福丸小糸はというと、全力の同意でもって言い切ってみせる。

 

「はい! こ、こっぴどく振ってくれると、思います!」

 

 それはそれでどうなのだろう。

 ……ただ、感情以外の。理屈でならば理解出来ている。

 

 市川雛菜は確かに彼氏君を振る。

 なぜならば。今回の一連の流れは全て「彼女の有様」を見せつけるためのものだった。

 

 今回のライブで。

 彼氏君……候補、は。アイドルとして活動する市川雛菜を目にしただろう。

 学生ではなく。モデルでもなく。遠い所に居るのだ、という彼女の姿を。

 

 そしておそらく。「だからこそあなたでは普通すぎる」と。

 そういう風に、真っ直ぐな言葉で突き放すのだろう。

 

 彼女は俺に選ばれたかったのだ。

 俺でしか満たされることはないのだ。

 

 俺が俺に、選ばれるだけの自信を持てなくとも。

 彼女が身をもって示した行動だからこそ、その事実だけは揺るぎなく確かで。

 

 そう思えると、安心感が沸いてくる。

 傍にすり寄ってきた福丸小糸の頭を抱き寄せ、撫でる。

 

「……え、えへへ……」

 

 撫でながら待っていると、しばらくして屋上の扉が開いた。

 

 ―― ひとりの男子学生が。階段を一目散に駆けてゆく。

 

 踊り場を蹴って。すぐにその姿は見えなくなった。

 続けて、がちゃり。

 

「……あ~、小糸ちゃん、またずるい~!」

 

 何時も通りの市川雛菜が屋上の扉を抜けて。

 自身の背中に、飛びついてきた。

 

「あは~、プロデューサー!」

 

 彼女は陰り無く。柔らかに。笑顔で。

 こちらの心境など理解していましたとばかりに。

 

「雛菜は~、プロデューサーのお人形(もの)になれて~……ちゃ~んと、しあわせだからね~!」

 

 行動でも言葉でも語るようにそう言って。

 福丸小糸が思わずああっと悲鳴を上げるような速さで。

 俺の唇を、貪るように奪っていった。

 

 






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