プロデューサーは人でなし 作:どろまみれ
黛冬優子③
黛冬優子の喉奥に射精したあの日。
あれから俺は、あの最上と呼べる射精の感覚を追う ―― 追って夢を見るようになってしまった。
だから、性欲処理のために別宅を訪れる機会と時間が増えた。
探って、探って。
そして少しだけ後悔する。あの日の黛冬優子を超える
違うとは理解していながら。プロが演じるシチュエーション動画で、ありがたくお茶を濁す日々が続く。
出したのにすっきりしない。脱力感に乗じて眠れはするが。あの日から殆ど毎回のように抱く感触だ。
また
理性的にはそうもゆくまい。ストレイライトとは事務所で毎日のように出会う。しかし彼女らは学生であり、アイドルだ。そういう事を致す時間を見繕う暇はなく……ましてや、プロデューサーという間柄で。
半ば、諦めることにしていた。許されたからと甘えてばかりもいられない。そう、省みた。
処理は出来る。人並みの生活を過ごす。
確かに以前までの自身は、趣味に手を付ける事も出来ず、家でも仕事のことが頭から離れず。そういう兆候……どころか、まさにその通りの症状が出ていた。
精神的な天秤を傾け、こぼす。揺れは止まらず、皿も中身も元には戻らない。そうと成り果てるよりは確かに、これこそ、健全な過ごし方と言えるだろう。
とある日。
事務所から人がはけていく時間帯。
「プロデューサーさん……まだお仕事ですか?」
櫻木真乃が、俺に声をかけて来た。
声色がどこか申し訳なさそうだ。が、謝る部分など微塵もない。あるはずもない。
彼女にまだ仕事があることをPCデスクを指さすことで示し、「君たちがきちんと帰ってきたこと、それ自体も報告しなきゃいけないからね」と伝える。
すると彼女は、ほわわと鳴きながら。
「そっ、それもそうですね! ありがとうございますっ! 私は応援することしか出来ないでしょうけど……頑張ってくださいね、プロデューサーさん!」
力こぶを作る励ましポーズと共にそう告げて、イルミネーションスターズの2人と合流してから事務所を外へ出て行った。
窓から階下を見やる。日は沈みかけて、ビル群が交差路に大きく影を伸ばしてゆく。
ふと、嫌な予感がする。この時間の生理現象が。
慌てて周囲を見回す。事務所に他に居る人と言えば。
「―― あらー。どうしましたかー?」
はづきさん。七草はづき。ここ283プロダクションの、事務員さんだ。
基本的には事務処理を全て任せている……のだが、外回りがあるときには送迎なども担当してくれている。
視線があったから、どうかしましたかと聞かれた。自身が周囲を急に見回し始めたのだから、さもありなん。
「何かお探しでしたか?」
とと、と小走りに寄ってくる危ない。
俺は手のひらを指しだして彼女を留めると、捜し物ではなく、時間感覚がなくなったので時計を探してしまったという旨の言い訳を試みる。
「そうなんですかー。……もう少しで19時ですねぇ」
はづきさんが窓側を見やる。日が沈むのは遅くなり始めている時期だ。
人通りは少なくないが、多くもない路地に面したビル内の事務所だ。学生の喧噪なども少なからず聞こえてくる。
「19時だとまだ部活とかをしている時間なんですかね?」
そうだろうな、と思う。暗くなっても照明下で部活は出来るものだ。
学生時代のそういった活動を思い返すと、残業くらいはあまり気にならなくなってくる……ような。社長には「きちんと帰れ」と固く言われてはいるものの。
とかなんとか言っているとはづきさんに笑われた。ワーカホリックの血がうずき出す前に、PCをスリープさせる。
「あら、お帰りですか」
今日出ていたアイドル達は全員帰宅した。たまにくらい、はづきさんに任せて帰宅するのも許して欲しい。
……実際の所、あまり長くいても良くはない。主に、
「そうですか。では、あとは私に任せてください。お疲れ様でした~」
鞄を持ち、はづきさんに向けて腰を折り、事務所の扉を後ろ手に閉める。
階段を降りる。テンポをあげてゆく。ビルの守衛さんに頭を下げる頃には限界が近かった。
足を交互に前後させる。腿が擦れる。当たり前に歩くことによる刺激すら、心地が ―― 良い。悪い。良い。
ビルを出てすぐの角を曲がる。大通りに人はいない。
別宅を目指してもう一度曲がる。
……その先に。
「……あっ、プロデューサーさん。いま帰るところ、ですかぁ?」
居た。黛冬優子。
暖色の薄手のカーディガンを羽織り、呆然と目を見開くこちらを見上げている。
はっきりと思い出した。
我慢という文字が、脳内からはっきりと蹴り出され。
代わりに首をもたげる。性欲。
「……! な、なにを……」
ややしおらしい黛冬優子の後ろ側に回り、無言で背を押す。
「……。……あ」
背を押しながら腰を前へ。
柔らかな尻に向けてスーツ越しに股間を押し付けると、幾分か気が紛れる。
代わりに、黛冬優子の口数が少なくなってゆく。
「……わかった。わかったわよ。逃げないから……大丈夫だから……」
人気のない方へ。
誰にも見られない方へ。
別宅へ。黛冬優子を、連れ込んだ。
・・・
シャワーも浴びず。ベッドも使わず。
玄関を潜った瞬間にズボンを下ろし、突き出す。
「ちょっ、ちょっと。いきなりがすぎるんじゃない……?」
余裕がなかった。
別宅に入るまで我慢ができた ―― 閉じ込められたままだった
「また舐めれば良いの? 舐めれば……良いのね?」
黛冬優子を玄関先の壁にもたれさせ、押し付ける。
先を少しだけ舐らせてから、早速、腰ごと喉へと押し入る。
「んぐぉっ! ……」
動かさず、しばらく
びくびくと呼吸をする度に締め付ける。
本来は、話すためにある人の喉。
本来は、歌うためのアイドルの喉。
それが今、性器をしごく。気持ちよくする。そのためだけに存在し、
なんと幸せなことだろう。そう思う。
「……
上目使いに黛冬優子が尋ねる。
咥えられながら声を出されるのも、新たな感触でこれも良い。
……が、まずはひとつ。吐き出しておかなければ収まりはつかない。
「……ごっ、んぼっ、ぼっ、ぶじゅぼ」
口で男性器を咥えている総時間が増してきている経験からか。対応が早い。
浅い位置での抽挿を始めると一気に涎が分泌され、奥へ奥へと誘う。
喉の入り口。舌を分け入り喉元へ。傘先でつつく ―― どころか、こじ開けるように押し込んで。
入る。
「おごえっ」
いい音が鳴る。
受け入れるために首が反り返り、一直線の肉の筒を成形する。
やはり……と思うや否や。
足元が生暖かい。
ふと床を見ると、水溜まりが出来ていた。
涙と涎と。他に、軽く失禁したようだ。下肢を外側に向けて床にぺたりと座り、壁に押し付けられ、体勢的な猶予はない。
眼瞼が。瞳がちかちかと瞬いている。失禁していることに気付いているのかは、判らない。
ただ。ついでに弄れば、
「……ぼえ!?」
足の先を腿の間に滑り込ませる。
視線だけが動いて反応はあったが、喉を固定するために顔を向かすことは不可能だ。
手で隠そうとする前に、がっつり入り込んでしまう。ついでに膝で腹を押さえると、ぐえっという鈍い声を鳴らして、なすがまま。遂に観念したようで、全身から力を抜いた。
「ごっ、ぼっ、ぼびゅっ、ぶぇっ、ごっ、お゛っ……」
バ行は呼吸を試みている音だ。
ブ行は涎を吐き出そうとしている音だ。
ボ行は吸気に合わせて絞れた音だ。
ゴとかオとかは、意図したタイミング外での挿入 ―― 自身が遊びで早くしたり遅くしたりした音だ。
「ご、ぐごっ、ぼっ、ぼっ」
遙かに長く感じた数日ぶりの咥え込み。
突き入れの感触を噛みしめ……楽しみながら表情を伺う。
足で女性器を外側から執拗に刷り上げると、喉の動きが不随意に変化してくれて楽しめる。
少し、考える。
この喉をより使い易くするのならば。
やはり、生体であることを活かして……相手側にも快感を感じて貰うのが好ましい。
この場合の好ましいとは、決して相手側のためにという訳ではない。
その方がより長く。より多く。より積極的に楽しめる。自分都合、冥利に尽きる理由からである。
だから、足の方も動きをややも激しくする。
「んぼっ」
瞳が潤み始めた。
自身好みの顔になりつつある。
同時に、自分自身がケダモノへと転がり落ちてゆく音がする。
転げているのは自分なのか。世界の方が回っているのか。
どちらでもよかった。今は、気持ちいいから。
「ぼっ、んじゅぼっ、ごぼっ……お、ご、ぼぶぅっ!!」
許可を取ることもタイミングを教えることもなく。
精液を出したくなったから、出した。
喉の奥へ。腹の中へ。出すと同時に絞られ、具合が良い。
「ご、ぼ」
鼻から色々と混じった白い液が逆流して泡を吹いている。
笑える情景だったので、仕事用アイドル用とはまた別のプライベートのスマートフォンを取り出し、写真に収めた。これからはこの画像が、よほどの動画などよりもずっと使える要素となってくれること請け合いである。
「お。……。ぇぁ、あ」
黒髪が汗に濡れて額に貼り付いていて、口の端から涎と精液を垂れ流しながら、意味の無い音を吐く。黛冬優子。
春色のカーディガンに染み込んで、紫苑の色相。
最後に入れ込んでいた足を抜くと、その刺激で達したようで、身体を大きく仰け反らせ、脳天を壁にぶつけていた。
身体を支える。そのまま、ベッドへと運ぶ事にした。
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