プロデューサーは人でなし 作:どろまみれ
黛冬優子④
「―― げぷっ。……あっ」
ベッドに運ぶ途中で、黛冬優子が目を覚ます。
乱暴にして悪かった。少し焦っていたという旨を告げて謝罪する。
「そう、ね。……もう少し、練習をさせてもらえればとは思うけど。でも、また、気持ちよかったのよね」
それだけを免罪符に頷く。またも、黛冬優子は許してくれるようだった。
ベッドに横になったまま。涙を服の袖の裾端で拭い。
「……その。激しいのが好きなの?」
そう尋ねてくる。
これまでのオーラルでの経験を踏まえると当然の反応である。
こんなにも付き合って貰っているのだ。話さねばなるまい。以前は、最低限しか伝えなかったが。
……無様な姿を晒して欲しい。
……倫理をこそ逸脱して欲しい。
……輝いたまま汚れ塗れて欲しい。
そんな、最低最悪の性癖を。
「そう。……そう」
俺なりに分析した「自身が興奮すること」を伝えると、冬優子は顎に手を当てて何事かを考え始める。
ひとつ頷いてから。正面、目線を合わせて。
「あんたはそういうふゆを見て、興奮してるのよね?」
大きく頷く。
そしてそれが今現在の自らが持つ、仕事以外の……唯一の人としての営みであることも。
「大げさ……と、言いたいところなんだけれども。確かにあんた、そういう風に見えてたわ」
やはりお見通しだったようだ。
呆れ笑いつつも、冬優子は続ける。
「―― あんた、アイドルに手を出してるってのは判っているのよね」
もう一度、神妙に頷く。
直立したまま、彼女の言葉を受けるべく待つ。
「判っているなら良いわ。
頷いたままだった顔を上げる。
つんと可愛く。理知的で。偶像染みた ―― それだけでなく。
「そもそも『責任を取る』だなんて大それた……誰かに糾弾されるような。その必要があるなら、だけれど」
言葉が出ない。
これは罪だと、思っている。
罰が降れば楽になるのだと。
けれども。違ったのだ。
「だって気持ちいいんでしょ? それで良いじゃない。あんたは、知らないかもしれないけど。……ふゆ、いつもは堅苦しい顔ばっかりしてるあんたが、たまぁに嬉しそうな顔をしてるの……結構好きなんだから」
彼女と共に歩んできた先にある、この地。
休息または終着の地でふたり。翼を畳んで
青空を
「だから、ほら。さっそく責任を取らせてよ……」
笑顔のまま。覚悟を声に乗せる。
「ふゆの喉をあんたのペニスをしごくための道具にして」
退廃的に、蠱惑的に、輝ける目を細めて。
「せっかく整えた顔もメイクも、めちゃめちゃに崩して不細工に歪めて」
カーディガンもキャミソールも外し。
汚物に塗れたキュロットも下着も脱ぎ捨てて。
「ついでに、
男性器が一際、これまでに無いほどに、大きく固く反り返る。
既にそこへ入ることしか考えられなかった。
精を吐き出すことしか考えられなかった。
自分都合に扱うことしか考えられなかった。
それは。彼女だったものは。
「―― あんたが教えて、躾けて、無様に崩して。ふゆを、あんたのオナホールにしちゃってよ」
声にならない声があがった。
自身は泣いていたのかも知れない。
少なくとも目前穴は、涙を流して
男性器は既に口の中。喉の奥。ただ快楽を求めて肉を押し突く。
自身の所持する
屈んだままの体勢に腕を伸ばし、桜色の乳首を引っ張り上げ、張りを保っていた胸が
ステージの上で輝いていた。
流行に目を凝らし。アピールのための手管を揃え。抜かりなく営業を回る。
自前で揃えた輝く翼で青空をゆくその姿。鳥にも、愚か人にも似ていた ―― そう思う。
それが今や、日の当たらぬ薄暗い部屋の中。
汚濁に塗れ、男性器に
生命の倫理に反し、道理に
この穴は、無駄うちをするための存在だ。生産性では家畜にも劣る。
けれども。
最高に無様で。
最高に気持ちよくて。
だから、この穴こそが、自身には、必要不可欠だったのだと、気付くことが出来た。
突いて突いて。
一度。
二度。
三度、射精を叩きこんだ頃。
「―― ご、ぼぇっ……!
腹に当てていた膝をごりと突き出す。
背がくの字に曲がって、再び。竿を喉元まで抜き戻して促す。
「……
最高の快楽を得られるという確信を得た。
自身から、求められた最後の精液を吐き出す。
「お ―――― ぼお゛おお゛おっ……!」
野太い喜びの声が鳴って、心地よい射精を促す。
尿道内に残った分までを絞って、自身を穴から抜き出した。
「ぼぉっ、ん」
白目を剥いて舌をだらり。
いい顔なのでまたも写真と、動画に残す。
男性器を頭の上にべたりと乗っけた上でもう一枚。両手を勝手に弄ってピースまでさせる。
それらを、
辱めて。辱めて。辱めた。
さぞや無様な姿を晒してくれた。
ありがとう。本当に。
そういう感謝の気持ちを込めて ―― こき捨てるように処女を奪った。
気絶に近い状態のままの彼女をみて、再び隆起した男性器の収まりがつかなかったからだ。
ティッシュで拭き取るくらいの手合いで中にも出した。
最後に
ああ。これで気持ちよく眠れそうだ。
そう思ったので。そのまま大切そうに抱きかかえて、泥のように眠りに落ちた。
achievement:黛冬優子(具合の良い喉)→(オナホ1号)
next:黛冬優子④ → 黛冬優子⑤
・・・
誰かを幸せにする。笑顔にする。
そういう仕事はもう
アイドルという活動は、決して嫌いじゃあない。
ただ、底が。天井が。見えすぎず暗すぎる職業だと思ったのだ。
飛び続けるか否か。迷ったままに飛んでいた。
確かに飛び立ったときの喜びを、ずっと確かに覚えているから。
いつかは降り立つ時が来ると知っている。
けれども、最も危険な瞬間は着地の時なのだと皆は言う。
このままに飛んでいては。着陸の時には、きっと
地面にぶつかるように落ちて。崩れる。そういう未来は、端的に言って嫌だった。
自分の中のクレバーな部分が告げる。そうなる前に余力を持ってどこかに降りてしまうのが良いと。
輝きを保ったまま安息の地に隠れ潜めば良いと。
そう考えるようになったのだ。
そう考えるほどには、アイドルという活動を続けてきた。
アイドルという活動を選んで、良かったと思うまま、生きていきたいと思った。
だから、止まり木を探した。
そして、探すまでもなくすぐ傍に在ってくれた。
彼ならば良いと思う。
傍に居て休んでいたいと思う。
アイドルとして活動を続けるに連れて、そう強く思うようになった。
いつからだろうか……いや。あの
彼は疲れるようになった。疲れを、
彼をこそ休ませねば、と考えるようになった。
ただ、
そうやって悩んでいた時に、彼の
理由を付けてあさひと愛依からの誘いを断って。夕食をだしに、相談に乗れればと思っていた。
けれど見たのは、彼の男性としての側面だった。
案の定、すぐに彼は謝罪をしてきた。
それではいけないと思った。倫理的に彼が悪いわけではない。
そして何より、彼にこれ以上負担を被って欲しくない。強く思った。
シチュエーションの出所が同人誌なので、多分、拙かっただろうけれども。
彼を性欲にうち負かすことが出来ていた。
彼は性欲が強い……の、だろう。
だから処理を担当しよう。そうしたいと、望む。
彼の好きなように。望むように。
ふゆというアイドルすらも
その上で、彼の傍で歌い続けてみせる。支えたままで飛び続ける。
きっと。いつかふたりで、安息の地に降り立つために。
例えその時。
しゃぼんの彩色に輝いていた身体が、彼の白濁に染まっていたとしても ―― 構わない。