プロデューサーは人でなし 作:どろまみれ
大崎甘奈③
かくして再び、慌ただしい日々の中を走り出した。
今年度が忙しくなかったという訳では無いが、俺自身の不調と復帰もあり、緩やかなスケジュールを組んでいたのは間違いない。
春にしろ夏にしろ。秋にしろ ―― そうして、冬が来た。
12月。
じいんと寒さが染みる季節になっていよいよ、本格的に事業を動かしてゆくこととなる。
緋田美琴の海外挑戦を支援するためだ。気合いを入れていこうと思う。
直近の目標は年内の
そこで評価を整え、海外への足掛かりとする。
緋田美琴の現在の国内評価はアイドルとしては中堅の域を出ない。それを海外に挑戦させるのは普通であれば有り得ないことではある……が。そのための手段は用意した。
率直に言えば、海外の方が国内の「アイドル」という生業に関して興味を示している。
SNSや動画サイドの発展した昨今。海外からのオファーを得ることそれ自体はそんなに難しいことでは無いのである。
無論、そこで結果を残すことが出来るかはまた別の話。
しかしアイドルという冠をひっさげた我が事務所自慢の緋田美琴は、パフォーマーとしての力が強い。
彼女自身の色だ。それでいてアイドルらしさのある活動も可能。売り込むには絶好の機会であると考えている。
加えて。
舞台上での活動に関して言えば、そのものが緋田美琴の
一石二鳥。と表現してしまうのは、我が強すぎもするだろうか。
では自身の体調はどういうものか。端的に言って芳しくは無い。
海外挑戦の果てに待つものを想像してしまうその度に、
これを踏み越えなければ俺自身、いつかは自壊するのも目に見えている。
……これらを解消することは、一生かかっても不可能なのかも知れないが。
それでも俺は目指さねばならないだろう。少しでも
……。
罪と言えば。
こうして多くの自社アイドル達に手を出している・出されているのも罪ではあろう。
無論人間としての欲求を塞ぐ権利は、プロデューサーである俺には無い。
アイドルが恋愛禁止なのかは人によるとして。
社是としては別として。
社長からはOKを貰ってしまっているのだから。
しかし数が多い。
本来であれば身体の関係は避けるべき。
それも手順をすっ飛ばしているのだから、自らの不覚を恥じるばかりである。
今までにはっきりと恋愛感情の告白を受けたのは、櫻木真乃のみ。
他に親愛の情を強く浴びせてきていたアイドルは。
杜野凛世は
浅倉透は伝えたいのか伝えたくないのかが明瞭では無く、逸らすことが出来る。
月岡恋鐘は叶わないことを悟って事実の方を埋めに来て。
残る、大崎甘奈はというと。
「ふー……ふーーっ……う、おぉ~~ッッ!!??」
鬼気迫る表情で。事務所の中。
誰も居ない自身の机の上に跨がっては、PCモニターの
日に日に酷くなっていた自慰の末路、とでも呼べば良いのだろうか。
経緯としては理解出来る。彼女が
それらを食べ続けた果てに、彼女自身も刺激を求めるようになっていった。
初めは姉の部屋に侵入して。
次は誰も居なくなったリビングで。
夜中の玄関口で。
……遂には、事務所の中でまで。
「うう゛……う、う、う、ふ、う……」
歯を食いしばってがに股になってまで机の上で脚部を開き、必死に快感を求めて腰を振る。
擦るのに丁度良いからだろうか。下着は履いたまま。タイツ越し。どころかキュロットも履いたまま。
それでいて無理矢理に突き出した腰の先、股の間を刺激する。
今、自身がこの状況をどうやって見ているのかというと。
仮眠室の中。扉の隙間から、否応なしに見せられているような状況だ。
余所への連絡を控えるべき昼食時に合わせて仮眠をしていた。そこまでは良い。
扉を開いたまま寝てしまっていた。それもまぁ不用心ではあるが、事務所の中なので問題は無い。
強いて言えば。
こちらが寝ていることを視認して尚、事務所内で自慰を始めるなどとは思っていなかった。
想定が甘かったという点だけが、改善できる箇所だろう。
「……ぅっ……! ぅ……」
大崎甘奈がモニターを抱きかかえるようにうずくまり、
背側に染み出した液体が伝う。配線は整理してあるので感電の危険性がないことは幸いである。
「……」
恍惚の表情のまま首を振って、彼女は周囲を確認する。
視線が合う前に扉の陰に隠れると、彼女はがたがたと姿勢を動かして……あろうことか続きを始めてしまった。
「ん……と……」
キュロットでは脚を開いても直接は股を擦れないことに気付くと、脱ぎ捨てて目の前のモニターに引っかけてしまう。
開脚。下着越しでも陰核の隆起が視認出来る。
そこへ向けて。
「……んはっ……んっ!」
今度はキーボードをお気に召した様だ。
両手で縦に持つと、丈の長いスペースキー側を押し付ける。
「く、うっ……! は、あ、あ!!」
陰唇と陰核をなぞるように上下。勢いも凄まじい。
引っ張られた別配線のテンキーが机の上から滑り落ち、ぴんとぶら下がって、振り子の要領で引き出しにぶつかり始めるのもおかまいなし。
下着の染みが縦に伸びて。尻を汚す。椅子から大きく臀部がはみ出しているため、そのまま床までだらだらと。
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ……!!」
何をそんなに必死になっているのか、は判らない。
時間だろうか。確かに事務所にはいつ誰が来てもおかしくは無い状況だ。
だが自身が仮眠しているのは理解しているはず。大崎甘奈が扉を開けてこちらを覗き込む際に目を覚ましたのだから。
だとすれば。
「……さんっ。……う、あま、な……あま、なっ……!」
勝手にひとりでよがっては盛り上がってゆく。
本来の使い方とはほど遠く。手で持って上下するだけでは飽き足らず、腰をがくがくと動かしてはキーボードを酷使する。
がりっ、と角に引っかかった拍子に。
「お゛っ!? う゛!!! ぅ」
事務所中に響くようなこもった声をあげて、仰け反った。
ずるり。ずるり。べたり。椅子の上から床へ、尻から落ちては寝転がる。
静寂。
そして大崎甘奈が立ち上がる音。
「は、ぁ。……ん、ぅ」
視線。……は、合ってはいないが。
確かにこちらを。仮眠室の方向を、大崎甘奈は見た。
熱っぽく瞳を濡らしたまま。吐息を漏らしたまま。
意図は、理解出来た。
壁に追い込まれ。右
ここから自身が出て注意をしなければ、彼女はいずれ来る誰かに自慰を見つかる可能性が高い。
少なくともよろしくは無いだろう。
では注意をするのが好ましいか。
大崎甘奈は年頃の少女。学生である。
大人の男性である自身が諫めるのは必要ではあるが、倫理的に好ましくない。
では事務所での自慰が発覚し彼女を社会的に
自身と
少なくとも関係性に拗れが生じるのは避けられまい。
問題はまだある。
この状況を彼女が狙って作り出したとして。
しかしならば、12月24日の食事会とかいう
……。
先の事は、今考えても仕様が無い。
目先の事案を何とかしなければ。
「うっ、あ、んっ……う」
再び響き始めた喘ぎ声をBGMに暫しの熟考。
……仕方あるまい。相手は未来ある学生。
自身が泥を被る。もしくは彼女との
自分とアイドルが始まる時は、多分いつでも誰とでもこうだった。
受け身でしかありえないが。そうでなくては、許されることもない。
気
モニターに引っかかったままの衣類。見ない間に下着まで脱ぎ散らかされ、事務所のど真ん中に捨てられている。
近寄って見下ろす。
全裸 ―― 大崎甘奈。
「えへ、へ。……見つかっちゃった……」
移動して、事務所のソファの上。
ねだるような甘えるような視線でこちらを見上げるのは、真っ昼間の事務所で全裸になったまま陰部を弄る変態。
「プロデューサー、さん、に。みつか……み、つぅっ! ……かっ、ちゃっ、た……」
頬を染め、可愛らしくしているつもりなのかもしれないが……いや。そんなことは無いか。
そのつもりがあるならば通常、自慰は止める。しかし彼女は手を止めるつもりが無いようだ。
手というか。腰か。
ソファの上。いつかの動画内の
かくかくと腰を動かし。足を虫の触角みたいに掲げて曲げて。恍惚とした表情で、陰部を擦り続けている。
「あの、ね……び、びっくりしちゃっ……た! かも! しれぇ……。……。しれんっない……けっ、どっ!」
聞き取り辛い。そもそも伝えるつもりがあるのだろうか。
圧倒的に不審者で刑罰を受けるような格好をしている彼女の表情を見ていると、唇を歪めて笑顔。
この状況に
いや。実際、陶酔しているのかも知れない。
おそらくは彼女が夢にも見た……ここ最近、1日3回は夢想していた状況なのだろうから。
股に擦り付けているのは、よりにもよって(軽めの)鉄アレイ。
有栖川夏葉に勧められ購入した、自身のデスクの引き出しに入っていたものだ。
「あまっ……な。あまな、はっ……う、う、う……う!」
手つきが乱暴になってくる。重さが丁度良いらしい。
最初は擦り付けていたものが段々と、叩くようなリズムに成ってゆく。
リズムどころではない。べちべちと、彼女の陰唇に当たって鳴っている。
「気持ち、良くっ、て! がまん、できな、くぅっ……っっっっッ! て!」
息を切らして。唾を飛ばして。日本語になっていない箇所もしばしば。
そんなことを気にせず、自分のためだけに、大崎甘奈は繰り返す。
「あまなっ! プロデューサーっ、さんっ……で! オナニー、してるっっ!」
見れば判る。
……何をしようとしているのかも、同時に。
「ずっと、いっつも、してっ……たっ! めっちゃ! えっちでっ! ごめんなぁっ……さっい!」
親指で陰核をなぞりながら。
陰唇は鉄アレイの球面でひたすら揉むように擦る。
顔よりも尻と陰部を高く掲げて。
「くり……クリスマス、に、しよぉと、思って、た……けどぉっ! がまん! ……無理ぃっ、だったっ!」
くっきり露出した陰核を、切ったばかりの短い爪で押し込むように弾く。
ずるずるの陰唇。以前に自室で咽せていたというのに懲りておらず、乳房、乳頭、首元まで液を垂れ流しながら。
「う……うぅ……ふぅっ!!」
最高潮に合わせて振りかぶる。
気合い一声。鉄アレイ。べちん。
「―― あなたがっ! 好きっ! あまぁぁ……っとぉっ! づきあって……ぐだっ……さいぃぃぃっ!!」
逆さだったせいで膣内に溜まっていた液を噴出させながら。
告白をされた。
「ぃぃ……ぃ、ぅ」
残響。無言。
スーツの裾が濡れてしまったが。焦点はそこではない。
繰り返すが。
大崎甘奈に。事務所の中で、全裸で自慰をしながら、告白をされた。
常軌を逸したシチュエーションではあるが。恋愛的な意味で、の告白だろう。
……答えは決まっている。否だ。
相手が櫻木真乃であっても、杜野凛世であっても、浅倉透であっても、月岡恋鐘であっても。
大崎甘奈であっても、その返答に変わりは無い。
プロデューサーとアイドルだから、というだけでなく。恋人と仕事では求めるものもまた違ってくる。
それらが重なっていては尚更だ。そこに「もしもアイドルでなかったならば」というIFを差し込む意味も無い。
ただ、大崎甘奈は策を弄した。
あれら自慰の餌にしていた動画を
クリスマスのお膳立てをして置いて、無駄にして。
整えるべき段階・順序のどちらもをぐちゃぐちゃに、すっ飛ばして。
いつものしっかりとした大崎甘奈を投げ捨て、汚して。
自らの社会的な立場を危険に晒して、担保にしてまで。
そして厄介なことに、その策は成功している。
目の前で繰り広げられたのは考え得る限り史上最低の告白。
だからこそ、自身の好みに合致してしまった。
頭を抱える。いつものことではある。いつもではマズいのだが。
結局はアイドルの側から押し込まれてしまえば、自身に抗う余地は無い。
この癖を抱えて生きてゆく限り。
「へぇっ……へぇっ……」
膣内もろとも全てを出し尽くした大崎甘奈が荒い息を吐き出している。
汚れた室内。誰かが来ない内に片さねば、わざわざ対面した意味は失われてしまう。時間は有限である。
答えはとうに出ている。
目の前で節操なしの獣の様に自慰を繰り広げ、液を吹き出しながら告白をした彼女を見下ろして。
ため息。
告白は一息に
続けて、いつもの
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