※この作品はR-18です。

プロデューサーは人でなし   作:どろまみれ

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黛冬優子⑤:(オナホ1号)

 

 黛冬優子⑤

 

 

 ようやくと日常を手に入れた。

 人並みの……と(よろこ)べる日常を。

 自らの人らしさの一片を掴んで、離さずに、胸元に抱き続ける。

 

 迎合はされずともただ、自分に芽生えたこの欲望を。

 身や心を汚す悪癖を、理解してくれる()を得ることが出来たのだから。

 

 実際の所は喜ぶべきなのではないのかもしれないが……それでも。

 自分自身に。あの良さ(・・)に。せっかく知れた自分自身に、嘘をつくことは出来なかったのだ。

 

 そうして。本日も。

 283プロダクションは、滞りなく営業を続けてゆけている。

 

「―― プロデューサーさん。今日は外に虫網持ってっていいっすかー?」

 

「あー……あさひちゃん、今度は何捕まえるつもりなのー?」

 

 自身(おれ)が「良いよ。でも昼ご飯はちゃんと食べて来てくれな」と答えると、芹沢あさひは「わかったっす!」と快哉(かいさい)をあげた。舌で唇の端をひと舐めして、裏の倉庫へと走ってゆく。

 その背を、和泉愛依が後ろ手を組みながら見送る。「大丈夫かな」と(世間話として)聞かれたので、少し悩んだ素振りを挟んだ後で「任せよう」と返答する。

 危惧するところは判る。

 

「まー、行ったのはいつもの近所の公園だろうし。うちもだいじょぶっしょ~とは思うけどね~」

 

 着け爪をゆるうく艶めかせて、指を動かしスマートフォンを弄りながら。すっかりと慣れた様子だ。

 ストレイライトとしての活動も……世間における一般的なアイドルグループの活動期間の長さと比べても、確かに……と長くなった。芹沢あさひは怪我や小犯罪や逸脱した行為に対する、脳内的な優先度合が低い。つい気にかけてしまうのはよく判る。

 ただし。彼女が持つ危うさとは、人間としての(ある側面における)不合理で、偶像(アイドル)として随一の魅力に他ならない。

 優先度合を下げ ―― そして出来た合間に、彼女が自ら探し見つけ(すく)い取った、唯一星を掲げ。

 その輝き(・・)目掛けて、一直線ひとっ跳びに飛んでゆける。そういう才能の持ち主なのだから。

 

「今日は冬優子ちゃんがいない(・・・)じゃん? だからほら、ちょっとだけ気になっちゃったよね~」

 

 そう。そういう危うさに対して最も気にしい(・・・・)であった少女は、今はいない(・・・)

 無論グループを脱退したとかではなく、この場にいないというだけの話である。

 和泉愛依がスマートフォンから顔をあげたタイミングで、自身の昼休憩がずれてこの後なのでそれとなく公園を見に行ってみる旨を伝える。

 伝えて。「……それに冬優子も勉強に行ってる時期だからね。応援しよう」と会話を(しめ)た。

 

「そだね。じゃあプロデューサーに任せて、うちは帰宅にしよっかな。次の台本ちょーだい?」

 

 言って、和泉愛依はこちらに歩いてくる。

 探しているのは今ラジオで連載している、ボイスドラマの台本だ。

 

 ―― 股座で、びくっと揺れる。

 

 道具(・・)粗相(そそう)である。動じてはならない。

 自身のデスクの……マウスの動作内から外れて、連絡帳と予定表を更に挟んで右側。付箋と共にナンバリングされた台本のうち、和泉愛依にあてられたものをスイと手に取る。

 ぽんっ、と。タイトルが見えるように反転させてデスクの向こう側端に置いてみせる。

 

「さんきゅ!」

 

 デスクの反対側。PCを挟んで向こう側に和泉愛依が立つ。

 感触(・・)が楽しさを増す。無様にも緊張しているようだ。

 

「それじゃあね、プロデューサ~!」

 

 彼女は結局、それ以上はこちらに近づくことなく。

 春になってからアレンジを繰り返している編み髪の裾を振って、事務所の出口を外へと潜った。

 

 振り返していた手を止める。

 ……昼間の街頭の宣伝の五月蠅(うるさ)さの中に、水音が混じる。

 

「……ん、ぼぉぁっ……はぁっ」

 

 デスクの下からの音。

 バレない様にと喉奥に突っ込んだままだった男性器を、口内から解放した音だ。

 服も下着も無い状態のオナホ1号(まゆずみふゆこ)が、股の間、暗がりから声を発する。

 

「まだ……んむ、続ければいいの?」

 

 声色は苦しそうだが、頬は紅潮し、目元は緩んでいる。

 まだもなにも。直帰だったはずのストレイライトのメンバーが突然事務所にやってきてから、30分ほどしかたっていない。

 これからが本番である。今、事務所には誰もいないのだから。全力で処理を行うべき。

 

「そぉね。……わぉぐ、んご、むごぐっ……」

 

 傘を唇の内に入れ込み。

 歯を当てぬよう頬を一杯に膨らませて。

 舌の上へ竿を滑り込ませて、先から飲み込んでゆく。

 

「ごっ、ごっ、お゛っ、お゛っ……」

 

 竿の3分の2ほどを入れ込んだところで唇を伸ばし、リズミカルに上半身を前後させ始めた。

 オナホールとして使い始めてから数日。内部構造がそろそろ形に慣れてきたようだ。

 無理やりに入れ込んでもつっかえる頻度が減っている。角度や体勢も習熟してきたようで、かつて痛さを与えていた部位が引っ込んだような……(なら)されたような感覚を覚える。

 

「ぼっ、じゅぼっ、ぼっ、ぼっ」

 

 安心感と心地よさ。快感に勝る充足感に包まれながら。上から順に受信ボックスを開け、案件へのメールを転送する。

 歴が長い(とはいえ中堅だが)事務所顔役のイルミネーションスターズや個性の幅が広いアンティーカ。学生をイメージしたイベント向けの放課後クライマックスあたりには、そろそろ個人でも依頼を多く回す事が出来るだろう。

 逆に人数比が少なくなってくるならば、ユニット単位で案件を回せた方が稼働率が良い。無論その中には、ストレイライトも含まれている。

 ユニットで受けられる仕事で、とスケジュールを確認しつつ ―― いきなり腰を突きだす。

 

「……ごぉぇっ!?」

 

 びちゃっとした水音が床で鳴った。

 視線はデスクのPCのままだ。処理は任せてある。抽挿はすぐに再開された。

 しかし昨年度末と年度始めにW.I.N.Gを戴冠したシーズのふたりならば、個人としての知名度で、もう少し売り込みをかけて然るべき。……例え彼女がどう思おうとも賞は取ったのだ。相応の顔出しは欲される。

 方針をまとめきり、スケジュール表と照らし合わせ。

 視線を戻した頃合いで。

 

「ん、ご、……ぶふぅ、ぶふぉぅっ!」

 

 一度ぼたぼたと汚い音がした後で、なにやら足の上に重みを感じた。

 どうやら自身の革靴に局部を擦りつけ始めたようだ。

 

「お゛っ……ぼあ゛っ、ばっ、お゛ぅっ」

 

 腰を突き出すために、折った膝を床にごつごつとぶつけ。

 尻肉を床にぺちぺち、ぺちぺちと打ち付け。

 時折頭を引き出しにぶつけることなど構わず。

 芸をするオットセイの様な嬌声をあげながら。

 意地汚く浅ましく、かくかくと腰を振る。

 

「じゅぶっ、ぶっ、ぶ、ぶふぁっ、ごっ、おっ、おお゛っ……」

 

 上半身を前後に振ることは忘れず、下半身を降って擦って、喜び(むせ)ぶ。

 陰核は存在を腫脹し、乳首はこれ以上無くそそり立ち、空いた両手で余すことなく弄り(むさぼ)る。

 

 滑稽で。無様で。

 オナホ1号は最高だ。最良だ。デスクの下の様子を見てしまえば、自身が射精することなどわかりきっている。

 だからギリギリまで刺激のみに感覚を任せ、耐えていた。

 耐えて。

 耐えて。

 耐えて ―― がちゃり。

 

「―― あら~、プロデューサーさん。ここでお昼ですか?」

 

 七草はづきが扉を開け、事務所内に入ってきた。

 下半身側でがたりと身動ぎ……しかし抽挿を止める必要は無い。

 自身を喉に押し込んで、再開するよう告げる。

 逡巡するような間の後。オナホ1号は、活動を再開する。ゆっくりと。

 自然な様子を可能な限り保ったまま、はづきさんに応じる。昼食は済ませた後ですと。

 

「今日は早いんですね~? ああ、でもみんなはもう帰った後ですものね~」

 

 はづきさんは自らのデスクの上にバッグを置き、ジャケットを脱いで壁に掛けている。

 刺激が弱い。竿を咥えて前後に動かすだけでは達することは出来ないだろうと、靴で陰部をぐりぐりと押し込んで催促する。

 くぐもった音がした後、喉奥までの長いストロークを使った運動が再開された。

 

「わたしはどうしましょうかね~」

 

 昼食を、という事だろう。

 春先というだけあって、飲食店には活気があるほうだ。特にオフィスビル周りには幾つか行きつけ……とまでは行かないが。ランチタイムがお得な定食屋が盛んである。

 ……喉奥にあたると、やはり感触が良い。飲み込ませれば飲み込ませるほど、震える程に熱を帯びる。

 立ち戻って。昼食については花粉症がなければ、と笑い崩しながら伝えることにする。

 

「そうですねぇ、そうしましょう~」

 

 はづきさんがバッグから財布だけを取り出し、パンプスの踵を直す。

 荷物番はしておきますよと話すと、はづきさんは笑顔で「よろしくお願いします~」と返す。

 

「……ん、ぐぉ」

 

 股の間。ほっとした様な気配があった。

 なにを、と思う。判っていない。意味が無い。

 彼女がそこに居る今。羞恥の要素が存在するその間に出してこそ、最高に気持ちが良いのだから。

 

「……?」

 

 はづきさんが腰を伸ばす。

 事務所内のBGMがローテーションで変わり、アップテンポなものに。

 

「……ぉぇっ!?」

 

 はづきさんが背を向ける。

 感触を頼りに頭を掴み、押し付ける。ごえっという濁音は、ドラムメジャーに混ざって消える。

 

「……ぅ゛ぉっ、ぶ、ぅー……ぉぉぇ……」

 

 はづきさんが扉の取っ手を掴み、回す。

 ねじ込んだまま腰を揺すり、最奥まで、根元まで。オナホ1号の入り口が陰毛に埋もれ、陰嚢にまで密着する。

 

「ぉ……ぉ゛……」

 

 はづきさんが扉を開く。事務所の外へ踏み出そうとする。

 最後に大きく抱えたオナホを押して、引いた。身体が反り返るほどに腰を押し込み、射精した。

 射精。射精。射精。脈打つ。勢いが止まるまで。

 靴下に、生暖かい感触が広がってゆく。

 

 ……ゴンッ。

 

「……どこかぶつかりましたか~?」

 

 振り返ったはづきさんに、「見送りに立ち上がろうとして少しばかり膝をぶつけました」と笑って返す。

 デスクの下に黄色の液体が広がり始めていた。脱ぎ捨てられていた衣服を雑巾代わりに広げておく。

 はづきさんはあら~と笑って。

 

「お怪我には気をつけてくださいね~? ……それでは、しばらく席を外してきます~」

 

 再び振り返って。扉を開けて。後ろ手に閉めて。階段を降り。事務所正面の路地を歩いて行ったのを確認する。

 ……ふぅと息を吐いて。陰部はだらりと露出したまま立ち上がり、窓際に寄ると、換気のために順に開ける。

 

 ひととおり窓を開けて戻ってくる。

 オナホ1号だった黛冬優子が、いつものように白目を剥いて。自らが出した黄色の水溜まりの上で、大の字に床に転がっている。

 乳首の先も、完全に露出した陰核も、大股開きに隠すことなく。

 

 最近では、いつものことだ。

 実に、無様なことだ。

 

 お湯を沸かす。

 沸くのを待っている間に雑巾で拭いて。それらは仮眠室のシーツと一緒に洗濯機に放り込んで。

 彼女の身体をボディタオルとウェットティッシュで最低限拭いてから、ダンスレッスン用途のジャージを着せて、仮眠室の自身のベッドに寝かせることにする。

 

 お湯が沸いた。コーヒーを入れる。いつものよりも、香りが強い物を。

 最後にメールを仕上げて送りつけ、本日の午前の業務は終了となった。

 






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