プロデューサーは人でなし 作:どろまみれ
春。桜の咲く季節。
いつもの公園には多くの人がやってくるようになる。お花見を兼ねた行楽シーズンの到来である。
満開では無くとも人々はやってくる。がっつり席を取って食事とお酒を楽しんで……というものではないが、それでも気兼ねなく歌えるような環境ではなくなる。
だから。
櫻木真乃が散歩がてら別の場所で歌おうと思います、と良いだして。
自身がそれに付き合う流れになるのも、頻回にあることだった。
互いに車に乗り込んで、早い内から事務所を出る。
最近では俺よりも
こういった時間は十分に取ることが出来ていて、大変にありがたい。
「―― そのっ、プロデューサーさん。一緒にピーちゃんの新しい止まり木を見るのに、付き合ってもらえたりはしませんでしょうか……?」
こういう提案が出たのは、車を出してしばらく経ってからの事だった。
櫻木真乃は視線を少し泳がせながら、ちらりちらり。こちらの様子をうかがっているのだろう。こうして外に気分転換に出掛けるついでに買い物に寄ってもらうのは、彼女なりの
快諾する。ワガママだとすら思わない。
ちなみに真乃の行きたいペットショップはどこだろう、と尋ねておく。
「はい! えっと、ここの……」
身を乗り出しカーナビを操作しながら、真乃が説明をしてくれる。
すぐに見つかった。遠くはないし、そもそも件の練習場所にゆくまでの道なりである。わかった、と返して車を発進させる。
繰り返すが、行楽日和である。
現在は週半ば。お花見に出かけるのは休日に会社側の人数が揃わないところや、仕事終わりに文字通りの花見をしようという方々だろう。決して多いわけではない。車窓を過ぎてゆく人の数もまばらである。
だが。櫻木真乃が鳥たちと歌うためには確かに多い数なのだろう、とも思う。
「その……急に予定を頂いてしまってごめんなさい、プロデューサーさん。私、少しだけ、一緒の時間が欲しくって」
櫻木真乃が頭を下げた。
いや、俺もそうだったよと返す。本当のことだ。しかしこれは……別宅がなくなり。今の
身体目当ての一緒にいたい、なので。相変わらずの人でなしではあるが。
実際あれから俺は、自宅にばかりいる訳でもなく。七草家に入り浸っている訳でもない。
最も居ることが多いのは未だに、事務所の仮眠室であることは間違いない。
「ふふっ。判ってます。アイドルと、プロデューサーですから。……お家は一緒に買っちゃいましたけれど。それは、変わりませんよね」
本当に可笑しそうに、口元に手を当て朗らかに笑う。こちらとしては無言のまま肯定する他ないのでそうしておく。
いつかの告白の尾を引いて。満足気な表情をしているな、と思った。
「ほわっ、そうでしょうか。……そう……ですね。はい。私、満足しているのかも知れません。これで満足、というのではなくて……現状が満足、とでもいうのでしょうか」
頬に指をあてて考えながら、思いついた満足を並べてゆく。
「イルミネのふたりが、居てくれる。プロデューサーさんが居てくれる。事務所の皆も、笑顔でいられる。私もアイドルとして歌を歌っていられる。……アイドルとして途中ではありますけれど」
実際、イルミネーションスターズの活躍は目覚ましい。
風野灯織も八宮めぐるも、ソロ活動をやり通した。曲を持つというのは中々な重荷でもあるが、ライブでのバリエーションを広げられたことは喜ばしい。
特にめぐるは秋の競技会の結果に落ち込んでいた分、以降は一層のパフォーマンスを発揮しているように思える。3人が揃って輝くことが出来ているのであれば、俺としてもこれ以上の幸せはない。
「でも満足って言っちゃうと、そこで足を止めてしまいそうですね。幸せ……って、言うことにしましょう。ふふ。プロデューサーさんと、おんなじですね」
……真乃が言ったのは海外旅行の時の、感極まってしまったあれのこと。
そうだな。皆のことになるといつも自信はないが。こんな扱いをしているというのに幸せだと言ってもらえるなら、ありがたいことだ。
「私もです。ありがとうございます、プロデューサーさん」
返されてしまった。笑い合う。
……。
……心地よい無言の時間。
……。
……車窓の外を過ぎてゆく、見覚えのある店名……!
「……あっ……。……と、通り過ぎちゃいました。ペットショップ……」
笑い合っていた俺達の横を、目標地点と
互いに見落としたことを謝ってしまって、また笑い合う。
どうせ対向車線に回る必要はあった。ぐるりと回りこんでから駐車場を探す事にしよう。
雰囲気の柔らかなペットショップだった。
大きくはないが、ペットそれ自体を販売するのは鳥類のみに絞り。犬猫などについてはアクセサリーや生活必需品を揃えて置くことで、ショップとしての需要を満たしているようだ。
……すぐに分析を始めてしまうのは悪い癖である。俺は首を振って一度思考を止め、商品棚の前で屈んだ真乃の隣に並ぶ。
「あっ、プロデューサーさん。探していたもの、見つかりました!」
ぱっと咲いて立ち上がる。
買う物は、事前にイルミネのふたりと一緒に目星を付けてあったようだ。止まり木と餌と浴びるための砂。一通りは揃っている。
真乃はこちらへ、つととっと近寄って。俺が先ほどまで鳥の入っているケージを見ていたからだろう。
「そういえばプロデューサーさんは、ペットとかは飼おうと思ったことは……」
定番の質問をしようとしたのだろうけれども、それを途中で止めてしまった。
目を閉じる。難しげな顔。唸り声。
その間を縫って、店員さんが話しかけて来た。
お兄さんもペットをお飼いですか、と。
「いえ。その! も、もう十分だと思うので……はい。あの、もう、飼っていますから……!」
慌てて手を振りながら説明している。俺はペットを飼っているのだそうだ。
……ああ、
彼女がそのまま顔を赤くして伏せてしまったので、
私は283プロダクションのプロデューサーです、と名刺を差し出した。
こちらこそ、とペットショップの名刺を返される。
いきつけだけあって、店員さんは真乃が事務所属のアイドルであることは知っていたようだ。
俺はペットを飼っているということになったので、店員さんとペット用品に関するやり取りしておくべきか。
ついでである。
いくつか、是非とも専門職の知識をお借りして選んでもらいたい。
「ほわ……。あ、あの……」
新しいものが必要なんですと、首輪とリード。
あと車で外に連れて歩くためのケージが欲しいと思っていまして。
「その……。……」
大型犬用のケージを紹介された。両面に入り口のあるタイプで、大きさは十分そうだ。
即決になるが買っても良いですかと尋ねると、積載できるお車ですかと返されたので。現在の車の大きさを測定したうえで、座席をあげなくても括れるものを選んでもらった。
荷物ではあるが
店員さんにお礼を言って。
俺の家からは遠いのですがまた近くに寄った際には……と。この店の普段使いは出来ないことを印象付けておいて。
店を出て。
店から離れる。
「んっ……は、はいっ」
ぺしん、ぺしん。
すっかり
「今日は泊まりの予定なので……その……」
そのつもり満々でやってきた雌畜生の
当初の目的地である河川敷へ、向かうことにした。
・・・
川の上を渡す大きな橋。
河川敷には青草がなびき。流れる水と風の音に満たされていて。中州は工事中のようで、重機が幾つか。
振り返れば闇夜の中に、満開の桜が咲いている。
少し早く満開になる桜の並木。
以前に真乃と訪れた朝の時と同様、人の姿はない。
現在時間が夜ともなれば、尚更だ。
ここの桜並木は早咲きのせいで、お花見の場所としてはあまり知られていなくて。
普通の桜前線の到来タイミングで訪れた人には、散ってしまっているから覚えられてもいなくて。
だから誰の記憶にも残らないのかも知れないな、と少しだけ思う。
「前に来たときはピーちゃんと一緒、でしたね」
足元から声がする。人間の声だ。
飼い主とペットと。人と動物と。……今現在も構図としては一緒だが、足元で四つん這いになっているこのペットが、鳥よりも手のかかるのは間違いない。
「ほわっ……か、風が……」
髪をかき乱され。ぶるりと身体を震わしたのは、四つん這いになった ―― 全裸の
頭上に日の色を含んだ桜の髪があって……それだけだ。その他は肌の色、肉の色。
彼女には買ったばかりの首輪とリードが付いていて、持ち手を自身が握っている形である。
「あの、今日のお散歩は……んふっ。……わんっ」
喉を撫でてやるとがばっと仰向けに寝転がり、真っ白なお腹と乳房と女性器を晒して見せる。
言葉を話しているよりも、反射で出た態度の方が雄弁だ。
楽しみにしているならば、異存は無い。
自身にとってもこの時間は楽しい物だ。櫻木真乃の散歩は飼い主の義務で。飼い主は、自分である。
後部座席から荷物を取り出し、早速と
手と足を指なしにするミトン。膝装具。耳付き口開きの全頭マスク。
最後に尻穴にプラグ付きの尻尾を差し込めば完成である。
「―― わほっ、ほっ」
性器と乳房丸出しで、前脚と後ろ脚で四つん這い。
喰って寝て排泄してのサイクルに生きる、飼われ者。
鳥どころか櫻木真乃の跡形もない、完全無欠の雌畜生だ。
それで興奮する人でなしも一緒ならば、怖くは無い。
リードを引いて促し、歩き出すことにする。
「おほっ……ほぉぅっ……わほっ……」
尻尾の
躾はしてあるつもりだが、これを散歩するには周囲への配慮が必要だろう。
リードを引っ張るたびに、畜生は引っ張られた方向へ向けて、元気よく四つ足で歩いてゆく。
「うぉほっ。わふっ、ふはっ」
よたよたと遅い歩み。時折思い出したように、こちらの足へ柔らかい身体を擦り付けてくる。
青い月光が河川敷に降り注げば、白い肌は否応なしに浮かび上がる。端的に言って目立つ。見渡しのよい土手であるため、人が来れば早々に認識できるのがせめてもの幸いか。
時折意味も無く草むらに顔を突っ込んだり。ぐるぐると周囲を回りながら、舌を垂らして吐息を漏らしたり。
大型獣相応に可愛らしくはあるだろう。そう思う。
用意していたボールを投げれば口で咥えて拾ってくるし。
「―― へっ、へっ、へっ!」
拾ってくれば、頭撫でられ待ちで礼儀正しくおすわりなどしてみせる。
躾のためにアメは十分必要だろう。頭を撫でてやると、くぅーんと細く甘い声などを発するのも愛玩らしい。
遊びを含めて、距離は確保できた。
今度は目的地に向けてリードを引く。
下段、河川敷の側から。
草原の坂を昇って、上段へ。
四つ足での坂登りはこたえるようで、そろりそろり登り始める。
指を無くすためのミトンにはグリップこそあるものの、爪は無い。
つまりは獣未満なわけだが……。
「わぅっ!? ……ぉ、お」
後ろ足で踏ん張ってぷるぷると震えている。
ずり落ちそうだ。応援してやることにしよう。
平手を振り被り。尻の丸い部分に向けて、思い切り振り抜いた。
「っぉぉん!!」
2発。
「っほぉん!!」
3発。
「―― わぉぉんッ!!」
最後だけタイミングを合わせて叩いてやると、駄畜生は
近所迷惑にもほどがあるのでもう1発……と思ったが。叩くたびに尻を押していたおかげでか、坂は登り切ることが出来ている。
ついでとばかりに発情して涎を垂らし始めてもいた。やめておこう。アメの与え過ぎになる。
「へっ、へっ、へっ」
明らかに期待の目で此方を見上げているので。
早く歩け。節操のない女性器を、革靴の先端で蹴り飛ばした。
「おうっ!? ……お、おぉぉ~……」
ぐっと前屈。顔を土に埋め、尻を高く掲げて……漏らして始めてしまった。
革靴だけが汚れるならば踏まれ大好き
思わずため息を吐いた自身の視界に、「ペットの排泄物は持ち帰りましょう」の看板が入り込む。これは小なので許して欲しい。
震える尻から排泄をかます様子を最後まで見守ってから。
もう1度尻を叩いてやると、畜生はなんとか前脚で身体を支え、歩き出した。
「はーっ……はーっ……ん、はぁーっ……」
夜の土手の歩道を、畜生は歩いてゆく。
髪は全てマスクの中に収められ。服も着ておらず。言葉は発せず。
かつてのアイドル・櫻木真乃の面影などひとつも残ってはいない、
時折立ち止まっては尻を振る。要望に応えてはたく、蹴る。
尻は掌の跡どころか赤く腫れあがり、ますます性器から垂らす汁の量を増やしてゆく。
仕方があるまい。
今の彼女は獣である。畜生である。ショップでは何故か、自身のペットはもう居るのだ……と張り合って見せていた。立場に執着まで持っている。
自身は彼女の面倒を見続けることだろう。
性欲の発散に役立ち、傍に居てくれる獣で有る限り。
「ほあっ……あふぃっ……!」
遠くに聞こえる車両の音。自転車で帰路についた学生たちの声。河川の向こう側でランニングコースを駆けてゆく足音。
そういう物を全て興奮した吐息でかき消しながら、雌畜生は前へ前へと四つ足で進む。
リードは引っ張っていないのに、引っ張られる。
実は散歩に連れ歩かれているのは自身の方なのかも知れないと思うほど。
「いぎっ……ぼうっ、おお゛ォ……!」
ぎりぎりと緊張したリードが音を立てた。
最近ついてしまった変な癖だ。こちらが自由にさせてやっていると、あちらは勝手に先に先にと進んで、自分の首を絞めにゆくのである。
真乃が海老反る。
口をまぁるく大きく開いて、泡を吹き出しながら、遠吠え。
「ごぉっ……お、お、お、ぉ~……ん……ぁ、ぁ」
そのまま、やたらと乳房が震えて強調される角度まで仰け反った。流石に身体は柔らかくなったようだ。
しかし酸素不足になられても困る。リードを思い切り緩めてやると、べしゃり。顔から地面へと突っ込んだ。
「えほっ、えほ……わ、わん……へっへっ」
ここまで含めて遊びのつもりなのだろう。
喜びの声と共に尻を振りこちらへ媚びるものだから、突き上げられた尻尾も揺れる。
……この遊びに延々付き合うのはやぶさかではないが。
勝手にひとりで興奮していたことへ、反省を促す意味も込めて。
「おンっ!?」
頭頂部を手のひらで握り、首を無理矢理あげさせて ―― 着いたぞ、と告げてやる。
目の前いっぱいに、桜並木が広がっている。
「……」
畜生が見上げた鼻の先に、
淡い桜色が空を埋めている。この河川敷に観光名所になるような長さと華やかさは無いが、樹には定期的な手入れも行われているようだ。枝も随分綺麗に
他に人は居ない。おすわりの体勢で見上げたままの人と獣と。
尻に入った尻尾のうぃんうぃんという駆動音だけが、やけにうるさく並木に響いている。
いつか一緒に見上げた景色。
綺麗で、綺麗で、懐かしくて。
だからこそ、ずっとこうしてはいられない。
目的を果たすべきだろう。カメラを構え、尻を蹴飛ばす。
「わんっ」
散歩の〆は決まってこれだ。
畜生は素早く足元を離れると、写角のとれる位置まで移動する。
ポーズ。
「―― ほわぉんっ」
ちんちん、の構えで通路の真ん中に発つ。ぱしゃり、1枚。
「―― わふっ」
四つん這い。片足を上げ、これぞ犬という排泄。
樹には迷惑をかけられないため未だ通路のど真ん中。ぱしゃり。2枚。
「―― ぉォんッ!」
尻をこちらに向け、高く掲げて大開脚。尻穴も女性器も晒し、股の間から顔を出す。
そういえば排泄したままだった。腹と乳と顔を伝って落ちるが、気にした様子もない。
……ぽとり。ぱしゃり。3枚目。
撮影した写真をみて気付く。
花がひとつ。花床から
広げた陰部に咲いた飾り花。やたらと
最後の遠吠えの際、鳥が逃げていく音が聞こえていた。
今年もやってきていたシジュウカラだった、なんてこともあるのかも知れないが……夜なので樹上で休んでいたカラスや鳩あたりだろう、と思っておくことにする。
いずれにせよ鳥には感謝しておこう。おかげでいいものが撮れた。撮影はこれで十分。
通路の真乃へご褒美をあげるため、こいこいと手招く。尻を振り尻尾をなびかせ乳を揺らし、嬉しそうにこちらへと駆けてくる。
足元にすり寄って。
……近寄っただけで無く、前脚だけで立ち上がると。
「はっ、はっ……んはっ、ほっ、ほぁんっ……!」
ご褒美。自身の左脚に、腰をかくかくと擦り付け始めてしまった。
春か。獣にとっては恋の季節であると聞く。仕方があるまい。こちらは動画で収めておくことにしよう。
カメラの起動音が鳴っても構わず。
発情しっぱなしの畜生は、ますます腰の動きを早めてゆく。
「へっ、へはっ……あ゛! あっ……ほぁっ、ほ、あ……ぶひゃっ」
ごしゅごしゅという凄まじい擦過音が左脚から鳴り始め、自身の股間には顔を突っ込まれ。
鼻息が荒い。パンツ越しでは当然呼吸は苦しくなるだろうに、鼻も口も密着させてくるのだから筋金入り。
「んほっ……ふごぉっ!」
盛り上がっているようなので、鼻穴に指を入れて吊り上げてやった。彼女お気に入りのスタンスだ。
リードだけで無く鼻フックを持ってくれば良かったな、と思う。流石にペットショップでは無くアダルトショップの商品なので、手元に無いのは仕方が無い。
「んがっ……ふごごっ、ごぉっ、んがっ、ふんがっ……!」
真乃は鼻息を一生懸命吹き出しながら腰を振る。
こちらの足を挟んで潰れた乳が盛大に変形しながら揺れ、尻穴をプラグと尻尾ごと靴や地面に押し付け、刺激を
股の動きが段々と上下から前後に動き始めたところで……そろそろだろう。
「んがっ」
こちらも男性器を出して、マスクの中に入れ込んだ。
顔をさんざっぱら擦り付けられ、刺激されていたのだ。さっさと射精しておきたい。
マスクの中。鼻筋に沿って、目の上あたりまでで往復させる。
畜生の頬に向けて腰を打ち付けてゆく。刺激は十分だろう。
「べう……ふごっ、ほごっ。じゅぱっ、もごお」
すっかり持て余した真乃は舌を伸ばし、袋を舐め始めた。
涎塗れの口腔で音をたて、
「ほぉ……ぼぉあ、ぉぼっ……。んぼっ! えはー、は……ぼじゅっ、ばぼっ!」
顔は見えなくとも伝わる、死にもの狂いの様相。
舌の動きも涎の量も股の滑らかさも、ラストスパート。
丁度良い場所に股間がある。刺激が欲しいのならばくれてやろう。
足を少し離して。合わせるように、畜生の腰は後ろに引いて。
「―― んん゛ん、アアーッ! ……あ、ふがぁっっっ……ごっ」
遠吠え。ぎゅっと足に抱きつきながら、畜生は絶頂した。
自身も彼女のマスクの中で射精をしておく。眉間かそこ辺りで出した。性器を抜くとだらりと、頬や鼻から精液が垂れ流れてくる。
「はっ……はっ……。んべろ」
口に差し掛かったタイミング。背を曲げ通路に寝転がる畜生は、大きく舌で舐め回した。
嚥下音。長い吐息。ご満悦である。
ご満悦なのだろうが、こちらとしては裾が濡れていて気持ちが悪い。
長時間往来のど真ん中で往生するわけにもいかないので、倒れ込んだ身体を抱えて車両の後ろへ移動する。
リアを開く。大きなケージが鎮座している。
「まの」と書かれているが、彼女がぎりぎり入るサイズだ。
押し込む。がしゃりと柵を閉めれば、詰め込まれた彼女の頬が歪む。
そのまま、桜並木を後にした。
帰宅後。
「ふごっ……ほわっ。あ、ありがとうございました。お散歩、とっても気持ち良かったです!」
満面の笑みで櫻木真乃はそう言う。
目の端に精液の残り。唇はグロス要らずのてかり様。
頬と尻には柵の網目が綺麗くっきり残っているし、喉を見れば絞首の跡。
身体の
乳首も陰核も出しっぱなしの勃起しっぱなし。鼻穴は紅く広がっていて、拳を握ろうにも指が無い。
楽しめた。桜を一緒に見上げたのも、散歩も。
ならばやはり、櫻木真乃と自身の関係はこれで良い。
深夜までかけて外を連れ回した甲斐は、確かにあったのだ。
「―― それで。相談があるんです」
身だしなみを整えた後。再びアイドル然とした櫻木真乃が声をかける。
後部には彼女のケージを積んだままだが、今は助手席。
「えぇと。その、次の散歩の日程も大事では……あるんですけど」
膝の上で右と左の指をひらひらと遊ばせ。
業務用の黒革ケースのスマホを表に裏に回しながら、こちらを見た。
「私。灯織ちゃんとめぐるちゃんには……私とプロデューサーさんは恋人にはなれない、っていうお話をしておいたほうが、良いと思うんです。プロデューサーさんは、どう思いますか」
成る程。今の関係だからこそ出る、もっともな提案だ。
危うさはある。しかし社会的な立場を鑑みれば、理解をしてもらえるだろうとも思う。
灯織もめぐるも。真乃の告白の後押しをしてくれたのだ。あれがなければ今のような肉体関係にはならず、俺が救われることも、真乃がこうして隣にいることもなかっただろう。
ふたりには真乃から「前向きに検討している」と伝えてはいるようだが、それでずっと待たせているのでは、いつまでも通じる言い訳では無い。
彼女らと真乃。そして俺。特にイルミネーションスターズは群を抜いて連帯感が強い。この関係を続けるつもりがあればこそ、一定の理解を得てもらう必要はあると考える。
話はしよう。決まった。
問題はどう伝えるかだ。
「はい。ううん、そうですね……プロデューサーさんにお断りしてもらった。というのは、あまりよくありませんよね。かといって前向きに検討してもらっている……から進展がないのでは、報告する意味がありません」
難しいですね、と真乃は呟く。
この期間を恋人のお試し期間のようなものだった、とするとして。
けれどやはり恋人にはなるつもりがない、という結論を理解してもらわなければならない。
断る理由は幾らでもあるが、俺と真乃には離れるつもりが無い。
これがまた、ややこしさを助長しているのだ。
ふたりで揃って悩むこと数分。
なんとか櫻木真乃の家に着く前に、結論を出すことにする。
灯織とめぐるには、俺から口頭で伝えよう。
やはりというか、恋人にはなれない。それでも今まで通り、今まで以上に頑張ってプロデューサーを務めるよ……と。
「ほわ……。あの、それでいいんでしょうか。私もなにか……」
俺の方が年上で、管理する立場にある。これが1番良い。
ただし話す時には、真乃に隣に居てもらいたい。後ろめたい関係では無いことを示すために。
「ふふっ。それ以上の関係ですから。後ろめたいといえば、後ろめたいですけれどね」
それもそうか。
しかし焦点は、あのふたりに可能な限りの誠意を見せるという部分。
全てをあけっぴろげにするという事ではないと、俺は思っている。
「わかりました。プロデューサーさんが、そう仰るなら。……ちょうど、さっきの桜並木へお花見に行く日取りを決めようと思っていたんです。その場でお話を……いえ。せっかくのお出かけなのにそういうお話は、駄目でしょうか?」
ずっと前から計画していた、イルミネと俺でのお花見だ。
行事の前で良いだろう。櫻木真乃の告白の成否その一事で変わるような関係ではない。
俺自身も同様に、そう在ることが出来たなら、喜ばしいと思っている。
「プロデューサーさんも大丈夫です。絶対。……これからもよろしくお願いします、プロデューサーさん」
櫻木真乃が親指でスマートフォンの画面をフリックする。
春の夜。建設的な未来の予定がまたひとつ、増えた。
system:腰が引けているコミッションとかのためのサンプル2(10000字くらい)