プロデューサーは人でなし 作:どろまみれ
「小糸。買い物、もう出掛けるの?」と、リビングから声がした。
お母さんの声……と。隣の部屋から顔を出した、い、妹からの……
「も、もう出るよ……!」
春色に揃えたいつもの服。
階段を急いで降りてゆくと、キッチンに居たお母さんがまた聞いてくる。「その服で行くの?」。
……なんだろう? え、と。この服で、い、良いと思うんだけど……。
続く言葉は「デートだと思っていたんだけれど」。
……。……で、デート! だけど! アイドルをやってるからには、お、おおっぴらに言うのも……ダメな気はする。
答え方を迷っていると、「だって、夜遅くまでかかるって言っていたでしょう」。
二の句を継げないでいると、「
そ、そうだけど。
福丸家に門限は、今はない。暗黙の了解みたいなもので、そうなっていた。
お母さんとしては別に、遅くなっても良い……っては、言われてる。アイドルをして自分で稼いでもいるのだし……犯罪にさえ巻き込まれることがなければ、とは思うけど。それは時の運としか言えない、って。
「けれど
お母さんとこういう話を出来るようになったことは、嬉しい。
でも、間が悪い……!
わたしがどうやって返したものかとわたわたしていると、妹が居間まで寄って来て、不思議そうな目でこちらを見ていた。「お姉ちゃん、デートなの?」。
慌てて靴を履く。玄関の扉に手をかけ、振り向いた。
「で、デートだから! 大丈夫なの! 迎えも来てくれる……し! 送っても、く、くれるから!」
わたしはそうやって最後に言い捨てて、早足でお家を出た……の、でした。
・・・
春ではあるが、人通りは少ない火曜日の昼。
外周りを早々に終えた俺は、住宅街の端っこにあるパーキングへと車を停めた。
空は高い。並木の桜は散って葉桜。
また春が来た。しみじみ、ありがたく思う。
今でもプロデューサーとしての仕事量は変わりないが。誰かが傍に居てくれるという一事が、こんなにも心を軽くしてくれるものか……と。本当にありがたい。あるいはあの日、天井社長が発した恋人を云々というのも、真理ではあるのかも知れないと今にしてみれば思う。
……が。残念ながら俺は一般的な恋人というものでは満足できない、人でなし。
アイドル達は大切だが。その大切さを自分自身で踏みにじることでしか感触を得られない、人間の
だから、ありがたく思う。
自分がここに居られることが。心を平穏に保てていることが。プロデューサー業を続けられていることが。生きている、ことが。
……などなど。
世を
今では肩に重荷は感じない。背中も曲げてはいられない。目眩も吐き気も、十二分に処理は出来ている。
そうでも無ければ、こういった
「―― ! プ ―― ーん!!」
距離は遠くない。周囲に気を使って、声量を抑えているのだろう。
一層小さく見えていた身体が、交互に小刻みな足音を立てながら、角を曲がった先に居るこちらに向かって駆けてくる。
「―― お! お待たせしましたっ、プロデューサーさん!」
福丸小糸。
本日の俺は彼女からデートに
俺は開いていた手帳を閉じて、彼女に向き直る。
福丸小糸らしく可愛さのある組み合わせ。髪はわざと降ろしているのだろう。ヘアピンもポシェットも印象的で、色はおそらくこちらに合わせてパステルカラー。空色と桜色とで、とても春らしい。
こちらに合わせて。先日自宅に来たときに、市川雛菜と福丸小糸に私服を検分されていたのだ。基本的に私服は数を持っておらず、コーディネート対決などが始まったりした。本日は外回りから直行しているため、ネクタイなどのほうで彼女と色を揃えられている。
まぁ、それは今はいい。彼女に集中すべきだろう。
今日はよろしくお願いしますと、手に持っていたジャケットを後部座席に投げながら助手席を開く。
「は、はい! わたしに、任せてくださいっ……!」
どこか誇らしげな様子で胸を張り、拳を握る小糸。
そう。彼女にデートに誘われたのだ。プランを組んだので、と。
成る程。恋人になってください、と言われたならば断るが。
きちりと計算されたこの申し出は、断る理由がなかったのだ。
休日の午前。外回りを入れたその日の午後を、福丸小糸に、2週間前から予約されていた。名目では外回りもしていたため、アイドルと一緒に居ることにも言い訳はつく。なんとも綿密である。これもまた福丸小糸らしい。
「運転、よろしくお願いしますっ」
やる気が伝わってくる声に、任せてくれと返した。
ふたりで助手席と運転席に乗り込んだところで、まずは予定を聞くことにする。
彼女が組んだというプランそれ自体は、明日まで楽しみにしておいてくださいと秘密にされていたのだ。
「もう。そんなに楽しみにしてたんですね、プロデューサーさんってば!」
終始弁慶仁王立ち後方腕組み小糸。満足げな上に楽しそうで、何よりである。
ただまぁ。何を置いても楽しくするべきは、これからだ。
楽しみだった。だから、楽しいデートにしよう。そう告げると。
「はいっ!」
隣に座る彼女は、明朗な音で答えてくれた。
福丸小糸が組んだプランは以下の通りだった。
お互いの服選び。アクセサリーショップ。少しお高い理容品のポップアップストア。最後にもうひとつ。
ラストは秘密にされてしまったが、とっておきということなのだろうか。
これらの店は全てモールの中に収められているため、近場の駐車場に車を停め。ふたりで並んで歩き、ゆっくり回ることにした。
「せっかくのデートですから! そ、その……流石に手とかは、繋げませんけど」
自分で言ったそのくせ頬を赤くして、身体の熱を吐き出すように息を吹く。
それはそうだ。アイドルとプロデューサーがどうこう以前に年の差もある。相手が小柄で年齢よりも下に見られるであろう福丸小糸では、尚更だ。
「でも、
ちゃりん。彼女の胸元で、軽い金属音。
乳頭に着けている、穴を維持するためだけのリングピアスを揺らした音だ。
「これも、あ、アクセサリーショップで……プロデューサー、さんに。新しいの選んで貰えたらな……って。思って。服は! ……服はその。し、下着を……」
ここがモールのど真ん中であることに気付いたのだろう。直後に声が
周囲を見渡す。人は多くは無いが、店内であれば少なくも無い。聞こえたかの判断はつき辛いが、下着くらいは買い物としては普通の内容である。(相手が俺である事を除けば)問題は無いだろう。
一応、最後まで言わずとも伝わった。下着を選ぶのは流石にどうかと思うが、俺と福丸小糸の関係性であれば。
新品のアクセサリーに、新品の下着。理容品の方は?
「それは、あの……。『別宅』にあった、し、シャンプーが……とっても、髪が良い感じ……だったので」
銘柄を調べたと言うことか。あの別宅にあったものは確かに、ハイエンドというか。備蓄分まで含めて全てが高級品ではあった。
「大切な思い出も……あるので。買いに行きたいな、って。思ってたんです」
こちらを見上げながら、福丸小糸は小さく笑う。
あの別宅での出来事を、彼女は思い出と呼んだ。嬉しくはあるが、プレッシャーでもある。その思い出を裏切らないよう、自身は務める必要があるのだから。
「……あっ!?」
隣から驚き声。
「え、えと!
今度こそ耳まで真っ赤にしながら、頷いてもいるし首を振ってもいる。肯定なのか否定なのか。
……そして自分は、そんな顔をしていただろうか。性欲を面に出した覚えは無いのだが。
取りあえず今現在、欲情してはいない。
デートを台無しにするつもりもないので、まずは服を見に行こうと促す。
「そっ……ですか。……です、か。……ぴゃっ!?」
さっきまで
手のひらを手のひらに。指の間に指を絡め、服屋の方へと歩いて行く。
「ぴぇ……」
言葉は出てこないが歩けてはいる。握った手も、握り返されている。
人手は少ない。見つかったら見つかったで、顔が赤いことを理由に、体調不良などで押し通そう。
そういう言い訳を考えながら、福丸小糸の手を引いて、モールの中を並んで歩いていった。
下着は市川雛菜の趣味にも引っ張られていたようなので、バリエーションをと完全に俺の趣味で選ばせてもらった(きわどい物などでは決してない)。
カットソーやキャミトップなどのインナーも数着。
昼食。店頭を順繰り眺めながら、福丸小糸の希望でカフェを選んだ。
アクセサリーは気に入った物があったようだが、財布とにらめっこをしていたのでプレゼントとした。
恐縮されてしまったので、私服財布用のチェーン(というかバンド)を返礼としてプレゼントしてもらった。
入り口付近のポップアップストアの中。
別宅で使っていたシャンプーとボディソープを、ふたりで懐かしみながら購入し。
「―― んんーー……っ! いっぱい、買えましたっ!」
両手に抱えた荷物を車の荷台に積みながら、福丸小糸は満足そうに笑みを浮かべた。
小物はポシェットの中に大切そうに入れ込んで、一足先に助手席へと乗り込んでゆく。シートベルトを締めて。フロントガラス越しの小さな手で、こちらを手招いた。
「雛菜ちゃんが……プロデューサーさんとデートした、って聞いたので。わ、わたしもしたいなーって、ずぅっと思ってたんです」
確かに。とはいえ市川雛菜と行ったのは、デートと言うよりはシチュエーションプレイである。
そういう意味では、アイドルと真っ正直にデートを行ったのは……いや。買い物や出先での収録ついでをカウントすれば、あるにはあるか。
それでもこちらから発したのは、おそらく彼女に対してが初めてだ。デートをするなどというのは、プロデューサーという立場にあっては、言う事が出来ない単語なのだから。
空は夕暮れで、間もなく夜がやってくる。帰宅の路に着くにはやや早いが、間もなく混み始めるだろう。
それでもまだ時間の猶予は十分にある……と考えていると、助手席の上でもじもじしている福丸小糸が口を開いた。
かなり夜更けまで外出してくると伝えてある、と前置いて。
「えっと、ありがとうございました! でも、あの……もうひとつだけ、付き合ってもらっても、いいですか」
彼女の問いに頷く。エンジンを点け、運転席のドアを閉めた。ギアを入れる。
じゃあ、どこに行こうか。福丸小糸にプランを問う。
「はい! ま、街の外れのほうなんですけど ――」
……。
街の外れへ向かって、車は走ってゆく。
フロントを横切って景色は流れる。店頭展示のある自動車販売業者。貨物の宅配業者。運転免許場。カラオケ場。
……黄色いDVD屋さん。
「こっ、ここですっ……!」
福丸小糸がシートベルトをぎゅっと握りしめながら、震える指で店を指した。間違いであって欲しかった気もするが、間違いではないようだ。
左折して駐車場に車を入れる。降り立った小糸は大層興奮しているようで(性的では無く、神経的に)、小柄な彼女が肩を大きく上下させて息を吐く様は、今が夜中で本当に良かったと思わせてくれる。身分などを尋ねられるのは精神衛生上よろしくはない。
「それじゃあ入りましょう! ……は、入りますよっ」
扉を開く。勝手に閉まる。
入ってすぐの出入り口の万引きセンサーにびくっとしたが。気を取りなおして、勢いよく足を踏み入れてゆく。
その後ろを追う。……入るなり、雑誌棚で足は勢いを失った。
「……ぴぇっ」
呆然としているようなので、その腰を抱いて棚の前に立たせてやる。
……黛冬優子や七草はづきと来たことはあるが、流石にデートの〆にアダルトショップを訪れるのは初めてだ。福丸小糸も来たかったというのであれば、目的なり理由なりがあるはずである。
なので、聞いてみる。適当に雑誌を物色しながら。
「え、えと……その……。……お家にあった冬優子さんの……ぐ、ぐにぐにした奴。おなほっ……に、わたし、負けないですからっ! 敵
小さな身体を揺すって奮起。ちゃりんちゃりんと鳴るリングピアス。
加えて、敵情視察も嘘では無いのだろうけれども、単純に興味があったとも彼女の顔には書いてある。
とはいえ、だ。
福丸小糸にここまで促されておいて、思う所がない筈はない。お店自体も以前に来たことのある系列だ。何とかなる範囲で、男女での来店には寛容な所。
ならば良いだろう。
お膳立ての、お望みの通りに手を出させてもらうことにする。
福丸小糸に1歩寄って身体を被せる。すっぽりと腕の間に収まるサイズ感。顔を突き出して下を覗き込むと、服の上からでもしっかり突起が見えていた。
胸の上からつま先を沈め、引っかいた。
「ん、ひ……!? お、お店の中っ……です」
引っかく度に身体はびくんと揺れるが、逃げ出すことなく受け入れている。
そもそも。店内でいちいち、動く度にリングピアスが揺れるくらいに乳首を起たせているのも。
いずれも、小糸の側である。
「それっ、は、ぁ……ん。そ、ですっ、け、ど!」
途切れ途切れで抗議なのか喘ぎなのか判らない。台詞に意味はなく、意味がないなら喘ぎで良いかと聞き流す。
かりかりと連続。こねてからぴしりと弾く。いずれも大変反応が良い。
さらに彼女お気に入りのシチュエーションに
うなじを右
「ひ、ぅ、ぅ、ん、んっんぷぁっ、あ、おっ」
腕の中で撫でられ、反応して震えるだけの、いつもの彼女。ただの容れ物と相成った。
しばらく弄って遊んでいる。……尖り過ぎた。そのまま引っ張れそうだったので、乳首ごと摘まんで店の奥へと連れてゆく。
「う、ふぅーっ、ふぅーっ。……あの、これって……あ!」
見つけたのは ―― オナホール。仇敵である。
折角なので買ったらどうだ、と促してみる。オナホに関しては彼女はどうあっても使えないものではあるが、他にも色々とあるものはある。
「えへ、えへへ……そ、それじゃ……え、選んできます、ね」
口角を歪ませるような、にへらっとした笑いに様相を崩して……福丸小糸がゆっくりと歩いてゆく様子を、入り口側から見守っておく。
買い物かごを持った。量を買うつもりだろうか。
彼女はポシェットから手帳を取り出して。
「えーと、あ、これ……!」
別宅で黛冬優子の写真を張り付けてあったオナホと同種類のものをカゴへ。
メモを取っていたようだ。オナホールの銘柄の。
そのままコーナーを奥へ移して。
「……似てる……な、名前も一緒だ……」
見上げて手に取ったのは、ロリータ染みた容姿のキャラクターをイメージモデルとしたオナホールだった。
名前までは判らないが、アイドルたる福丸小糸を意識しているのは明らかだ。高い位置でのツーテール。髪のウェーブ。名札まで平仮名で「こいと」。アニメ調の髪色で水色なのが、せめてもの別人要素だろうか。
ご本人はそのキャラクターと見つめ合った後、丁寧な手つきでカゴに入れて。次。
女性用のコーナーに差し掛かる。
置き場は下の方なので、しゃがみ込んで顔を近づける。
「……」
無言だ。口をぽっかり開けたまま、じぃっと、男性器を模した梁型や。ゆめかわ色の卵型ローターや。食べられる系統のローションや。女性器用按摩器などを、見つめる間。
見つめて。
見つめて。
……ぽたり。
「へ、えへっ、んへ」
左手が胸に、右手が股間に伸びていた。
カメラを確認する。撮影角度が判る種類のものだが、さっきから回っていない。店の奥なのでダミーなのかも知れないが。
再び下に視線を戻すと、本気で指を動かし始めてしまっていた。
「ぅ、ぅう……い、いひっ、ぇはっ、はっ、ほぉっ」
アホ面を晒しながら摘まんで弄って。……仕方があるまい。彼女はどうせすぐに絶頂するだろうから、これも見守ることにする。
「ふ、う、い゛っ……ぇぉっ、あ、は! は! ……っ、くっふ」
小糸は
女性用コーナーにあるものは大方、別宅にも存在したものばかりだ。当然ながら福丸小糸には全て使用したことがあり……だからこそ、明瞭に思い浮かべているのかもしれない。それを使われている自分自身の光景を。
「い、ですっ、いっ……! きも……ちぃ、よぉっ……!」
女性器から響く水音はすぐに最高潮。店内に流れる成人向け恋愛シミュレーションの主題歌に勝り始める。
スカートの中に手を突っ込んではいるが、量が多いせいで、漏らしたも同然のねずみ色。
胸にあてた手の動きも、引っかいているんだか揉んでいるんだか判らない荒さ。
そろそろだろうな、というタイミング。
「い、き、ますっ……う! あ゛うっ!」
躾の通りに宣言して、身体を「つ」の字に曲げながら絶頂した。
ぷるぷると震えている。床が唾液やら汁やらで汚れたが、靴履きなので問題はない。尿を漏らさなかっただけ褒めておくべきだろう。
いつまでも震えている彼女の腰を掴んで立たせる。
こちらにしがみつきながら息を整えているので、自慰の間ずっと見つめていた……貼り付け型のディルドをひとつ、カゴに放って。足腰がなんとかなったので、暖簾の外へ。
彼女自身に店員呼び出しのベルを押させ。彼女自身の財布を出させ。全て購入させておいた。
店を出る。
びっしゃびしゃに汚れ、呆けた顔をしている福丸小糸。助手席では体勢を保てていなかったため、後部座席へ放り投げる。
車を出す。
目的地に着いた頃には足元で転がっていた。丁度いいこと、この上ない。
……。
車で向かった先。目的地は公園である。
公園は福丸小糸が自身をある意味で驚かせてくれた場所。
件の公園そのものではなく別の場所だが、より福丸家に近い所を選んだ。遊具の特に多い公園だった。
「や、やっぱり……えへ。プロデューサーさんには、わかっちゃうんですね……」
人が居ないのを確認し。自身の左脇に抱えられたのは、福丸小糸。
裸に剥かれ。腕を後ろに回し。足を折りたたんだ状態で ―― ほとんど全身をダクトテープで巻かれた、芋虫である。
判るには、判る。自分もあの貼り付け型のディルドを見てから、そういう光景を思い浮かべてはいた。
だから。あれだけ
「はい。ど、どうぞ……!」
テープを巻かれていないのは顔と胸と尻と女性器。会話は可能であるが、社会的に隠すべき場所は隠されていない。
が、そもそもダクトテープは服ではないので仕方がない。芋虫は容れ物としての正装であるのだからして。
福丸小糸を抱えたまま公園の奥まで歩く。砂場と雲梯と。滑り台にブランコに、スプリング遊具。地面に大きなバネを付けて、動物を
あれに乗ってみたかった、と。そう言って本当に遊ぶ彼女を見た時は、何とも呼べない気持ちになったものだ……と懐かしく思う。
べたり。兎だ。真っ白く可愛らしいその背中に、彼女自身が購入したディルドを貼り付けて。
「ん、おぉっ」
股を開かせてディルドを女性器に挿入。芋虫を腹ばいに置く。ローションも何も使う必要はないので助かった。
置いて後、テープで全身を兎部分に巻き付けた。しっかりと張り付いているのを確認して。
足の裏で、蹴り飛ばす。
「ぎぃっ!? いっ ―― ぃっ ―― いっ!」
ぎしりぎしりと兎が揺れる。ついでに上に乗った芋虫も揺れる。
いい刺激になっているようで、実に楽しそうだ。
「ぃっ ―― んぴっ! ぅぁぅ ―― あぉっ!」
ぐわんぐわん。前後、前後。
行っては来るその度に、兎の背中に汁が垂れてゆく。
揺れに耐えるためだろう。
アイドルじみた福丸小糸の丸い顔が、歯を食いしばって崩れてゆく。
兎の動きが弱くなってきた。再び蹴って奥へやる。
「うぅっ!? お゛っ ―― ほ゛っ ―― ぐっ ―― いっ ―― ぐっ」
バネの限界を試すように奥へ手前へ。勢いが良すぎて逃がす様に左へ右へ。
泣いているようだ。頬を雫が伝う。伝って涎と合流し、兎まで到達すれば、もう体液だらけなのでなんであろうと水は水。
3度目。がつり。
「う゛ ―― オッ ―― オッ ―― ぉ ―― 」
だらり。弛緩してゆく。しがみつく力が無くなった所でぶちりと支えのテープが切れて、芋虫は地面をごろごろと転がっていった。
ぎこり、ぎこり。
ディルドを貼り付けたままの淫猥な兎が動きを止めた頃になってから、歩いて追いかける。横に転がったうえ、勢いはなかったため大丈夫だろう。
すっかり汚れと土に塗れたその身体を抱えて、ついでなのでと砂場へ歩み寄る。
昼の間は子どもが遊んでいたのだろう。砂場には作られてそのままの、砂山が出来上がっていた。
ありがたい。適当に掘り返してから、芋虫の顔を突っ込んだ。
「ぶぇっ……んぼっ……ぷはぁ……うあ゛!?」
尻だけを砂場に出したままにしておいて、すっかり待たされた男性器を挿入する。射精のためだ。
本来はテープで弾かれるはずだが、そもそも体液塗れなせいで砂にも塗れてしまっている。砂が付いていないのは女性器くらいのものだが、それだけあれば十分だった。
「がぼっ、ぺっ、ぺっ……ひぃっ、すはっ、ぴぃぃっ……!」
どうやら砂山の向こうまで貫通したようだ。砂塗れの顔面で甲高い喘ぎ声を出し始める。
こうなると締まりは上々。彼女の癖が癖なせいで、すっかり入り口は外側に広がってしまっているが、具合の良さは相変わらずである。
がすりがすりと自分本位に腰を打ち付ける。
まるで貼り付け型のように土中に固定された
「ぇぅっ、おっ、おっ、おほぅ……!」
濁音。腹に力が入った。膣内も合わせてぎゅうと締まる。
上の穴から先ほどまでは我慢できていた尿が勢いよく漏れ始め……これも子どもが作っていたのであろう砂場の水路を辿って、山のために掘り返された穴へと流れ込んでゆく。
ついでに砂遊びも楽しめているのならば一石二鳥。これを三鳥にするために、腰を振って、射精した。
「ひんっ……へぁ」
脚を腰の後ろでがっつりを絡ませて、抱え込むように押し付ける。
息を整える。抜いて、ウェットティッシュで自身だけは後片付けを済ませておいて。
足元を見る。
砂塗れの体液塗れ。芋虫。もう良いだろう。
波うつ髪の毛を、ヤシの木みたいにひとまとめ。むんずと掴んで、持ち上げる。
「ぅ」
すっかり染み込み終わった穴に砂山を蹴り入れて、砂場を
片づけが終わると芋虫を丸太のように横に置いて、その腹の上にどすり腰かけた。
「げふっ……う゛っ!」
陰部の直上、膀胱の裏。
まだこんなに出るのかという程の液体が噴き出されたのを盛大に無視。
座ったままポケットから飲料水を取り出し、缶のタブを起こす。
容れ物、容れ物と呼称しておいてなんではあるが……こんな扱いが出来る時点で、それ以上。
夜の公園。デートの最後。
尻の下の彼女に向けて感謝を告げながら飲むコーヒーは、今まで飲んだどの市販品よりも美味しいと思えた。
・・・
「た、ただいま」
「おかえりなさい」、とお母さん。「おかえりなさーい」、と妹。「おかえり」、とお父さん。
すっかり日が暮れて。でも深夜を超えない程度の時間で、わたしは家に帰ってきていた。
着替えはプロデューサーさんのお家に置いていたものを、取りに行って。
シャワーも借りて、も、もう1回だけ使ってもらって。
それから、送ってもらった。
あのまま帰りたくなかった気も、す、するけれど。プロデューサーさんに迷惑は、かけたく、ないし……。
それに、お母さんとお父さんにも。あんまり迷惑をかけたくはない。
部屋で着替えて。
挨拶とかお話をしに、一度、リビングに降りることにする。
「―― そんな感じ、だったよ。う、うん。楽しかった……!」
お父さんには楽しかったかだけを聞かれ。お母さんには、今度連れて来なさいよ、と無茶なことを言われた。
お小遣いを前借りするための条件だった……から。詳しく聞かれなかったのだけは、よかったけど。
夕食もプロデューサーさんと食べて来たので、お風呂に入ってしまうことを告げて、リビングを出る。
シャワーを浴びながら、後から雛菜ちゃんにも通話で報告しよう……ついでに、
そんなことを考えながら、浴び終えて。肌とヘアケアを始めようと、パジャマに着替えて自分の部屋に戻る。
……と。
妹が「お姉ちゃん、これなに?」。長方形の箱に「こいと」ちゃんが描かれた……あああ! オナホを!?
「ぴゃ、だっ、ダメダメッ!? ……これはお姉ちゃんの……じゃ、ないけど……ううん。ちがっ、お姉ちゃんのお土産だから……!」
その手からばっと奪って、部屋の隅へ放り投げた。
「お姉ちゃんがかいてたー」。名残惜しそうにわたしの部屋を眺める妹、その背中を押して、自分の部屋まで移動させる。
「お、お姉ちゃんの部屋には勝手に入らないこと……! いい?」
「部屋の前に落ちてたよ」。本当だった。廊下にグッズがばらり。倒れた袋からこぼれてしまっていたみたいだ。
どうしよう。怒るに怒れなくなってしまった。こういう物を買って、ただ袋に入れていたのも。入り口近くにただどんと置いただけなのも。部屋の鍵をかけなかったのも……ふつーに、わたしが悪い……!
「えと……ご、ごめんね。……」
「ライブの応援のグッズ?」。違うの。い、言えない。
「プレゼントだから。く、詳しくは、教えられなくって……」
「そっかー」。まだ興味津々。
どうしようかな……とか思いながら、なんとかどうにか誤魔化して。
その夜。雛菜ちゃんには言い訳の方法を一緒に考えてもらうことに、なったのでした。
system:やるかどうかすら未定のリクエストのための短編サンプル1(12000字くらい)