改造天使と狂科学者~異世界に改造技術を持ち込んだ男は美少女剣士を魔改造~ 作:gazerxxx
Dr.マッドネスとエメーシャは、縄張り争いをする魔物の群れを討伐に向かう。
しかし、群れのボスである
機先を制して魔物たちを圧倒するも、
Dr.マッドネス
サイボーグの身体で異世界に転生してきた男。
瘦身に白衣を纏い、目元を完全に覆うバイザーを着けた科学者然とした風貌。
物語は彼視点で進む。
エメーシャ
15歳 T145/B 78(D)/W51/H76 体重39キロ
ロングの金髪をハーフアップにした碧眼の美少女。
貴聖剣サルヴァトラーを振るい、身軽な高速剣技で戦う。
命がけで戦いに身を投じ、人の命を案ずる高潔な性格。
【エメーシャside】
私は、夜空へと舞い上がり、頭上の光で周囲を照らしながら、
夜の闇から襲い来る夜行性の魔物たちは、私たち人間より夜目が利いて手強かったというのに。
この光を得てからは、私の視界は明るく開けている上に、魔物たちは光を恐れている。
この光輪は私に必要な力、実際に戦ってみて、そう思える!
それにっ、翼で飛ぶスピードも速い!
及び腰で距離を取る八百鴉に、私は飛翔して急接近、すれ違いざまに斬り裂く。
縦横無尽に飛行する私を、ボス級の
「ぐぎゃあっ!」
「カカッ、人間がちょこまかと、目障りな~っ!」
「カカアッ!近づくと、また光に目をやられるねえ。円の動きで包囲するんだ!」
八百鴉が陣形を広げて、全員で旋回しながら私を取り囲む。
バラバラに散りながら不規則に攻撃してたさっきまでとは違う。
全員がグルグル回って、狙いを定めさせてくれない。
私がどれかを狙って飛べば、反対方向から八百鴉が一斉攻撃してくるはず。
でも、今の私は、離れて飛行する魔物も討てる!
「逃がさないっ!貴聖剣サルヴァトラー!」
剣の柄に仕込まれたスイッチを押すと、ブゥン…と空気を震わせる音が鳴り出した。
Dr.マッドネスが修復した貴聖剣サルヴァトラーは、もう折れないように硬く鍛え直されて、柄の中には刃を高速で振動させる”超電導モーター”?が入っているそう。
刃が高速で揺れて、複数の残像が見えるのに、私が持ってる柄は全く手ブレしないからすごい。
そして、この高速振動が、剣に風の切れ味を纏わせる。
「
素早く剣を振るうと、ブオンッ!と空気を裂く音がして、刃から透明な斬撃が放たれる。
刃から飛んだ斬撃が、距離を取ろうとする八百鴉たちを切り裂いた。
「がぎゃあっ!」
「ぐぎゃぎゃっ!」
「バカカッ!剣を振る真似だけでやられるはずがあるカッ!」
「カカアッ!離れていても斬れるって言うのかい?飛び道具も使える剣士ってことだねえ…」
もう一人で影鴉と戦って、瀕死に追い込まれた頃とは違う。
驚きながらも影鴉たちは、警戒心をむき出しにしてくる。
すると、下の方を旋回していた
「カッ、影鴉様っ!地上で
「えっ、金縛り?」
私も地上を見下ろすと、棒立ちになったDr.マッドネスが、
「カカッ?大闇猫に先を越されたかっ!あの術をかけられてはおしまいだ」
「カカアッ!仕方ないねえ、今夜は、小娘を殺してイーブンにするよ!」
「Dr.マッドネス!やめてっ!」
「ぐっ、来るなっ!私ならば心配いらないっ、気にせず戦いたまえ!ごふっ!」
ハンマーで殴られて、爪で切り裂かれながらも、仰々しい口調のまま、強がってみせるDr.マッドネス。
危ないっ、助けなきゃ!
私が構わず地上に向かおうとすると、
「どいてっ!」
「カカッ、どこへ行く、お前は我々の獲物だ!」
「カカアッ!地上で金縛りかけるしか能がない
そうだった、対立してる魔物たちは、むしろバラバラに戦いたいんだ。
下から突き上げる攻撃で、私を地上へと逃がさない。
「カカッ、どうした、防戦一方だな?」
私は地上の様子が気になって、
そうこうしてる間に、動けないDr.マッドネスは、何度も頭を殴られて、顔が血まみれになってしまう。
早く、早く行かないと、間に合わないっ!
そして、最後のハンマーが直撃すると、ゆっくりとDr.マッドネスが倒れ込んでしまう。
「そんなっ、Dr.マッドネスっ!!」
自分でもびっくりするような叫び声が、空に響き渡る。
私が敵わない魔物を退治して、瀕死の重傷を治してくれたのに、寝ている私を犯す人だった。
私をこの世から失いたくないから、自分のものにしようっていう、勝手な理屈で付きまとってきた。
私に魔物の羽をくっつける、おぞましい真似をしておきながら、魔物と戦える力をくれた。
Dr.マッドネスを名乗る通り、訳のわからない人だった。
…だからまだ先に行かないで、私、あなたのこと何も分かってないよ…。
「カカッ!泣いてるぞ、こいつ?」
「カカアッ!小娘、あんな無様に死んだ男が好きだったのかい?」
好き、とは言えないのに、なんで視界が滲んでるんだろう。
でも、何も分からないうちに、奪っていく魔物は許せない。それだけは分かる。
私は目元を拭って、嘲笑する
【大闇猫side】
Dr.マッドネスがゆっくりと目を閉じると、黒猫又たちがゴロゴロと満足げに喉を鳴らす。
「こいつはもういい…次はまとめて金縛りさせてやるんだなぁ」
「にゃはあっ♪あいつら、空飛ぶ娘を殺そうと焦ってるなあ。お前たち、しっぽの準備はできてるなあ?」
「はいっ、我々の尻尾を伸ばして、大闇猫様を空にぶん投げればっ!」
「あいつらのど真ん中を横切って、全員動けなくできますっ!」
黒猫又たちは長く伸ばした尻尾を巻き付けて、巨大な尾を形作ると、大闇猫を上に乗せる。
部下の尻尾を使って上空に投げられた大闇猫が、影鴉やエメーシャの中心を”横切る”ことで、射程に捕らえた全員を金縛りにかけられる。
高速飛行できる影鴉やエメーシャも、空中で動きを封じられたら、落ちるしかない。
墜落した敵を、地上で一網打尽にする気だ。
「にゃはあっ、よ~く狙えお前たち。小娘と
夜空に高らかに勝利宣言する
すると、ハンマーを手放して飛び立とうとした大闇猫の尻尾を、放たれたレーザーが焼く。
「にゃはっ!?誰だあっ!」
「私だ」
「生きていたのですねっ、Dr.マッドネス!」
【Dr.マッドネスside】
顔は血にまみれ、白衣をドロドロにした私を、死体が起き上がったような目で見る
「バカなぁ、なぜ全身ズタズタ、頭をボコボコに殴られて、生きてる?」
「私の身体は、骨格が全てメタルコーティングしてあってね。そして、痛みもシャットアウトさせてもらった。つまりは全く効いてなかったのだよ」
血が付着したバイザーを白衣の裾で拭いながら、私は答える。
私の骨格は、鋼鉄でコーティング加工されていて、脳や内臓を頑強に守っている。
無防備に殴られ、引っかかれて血は流したが、内臓や脳にダメージは届かない。
頭蓋骨内にはガスを充満させて脳が揺れず、脳震盪も起こさない念の入れようだ。
加えて、神経を操作することで、痛覚遮断していたから、痛みもなかった。
血液も凝固しやすくなっていて、傷口もすでにふさがっている。
「私が死ぬまで解かないと言っていたから、死んだふりをして見せた。他の相手に金縛りを使うために、一度私の方は解いてくれると考えたのだが」
この乱戦の中、死んだ相手にかまうことはない。大闇猫は案の定、不要と判断した金縛りを解いてくれたわけだ。
「にゃはあっ、騙されたぁ!だったらもう一度…」
「初見殺しの術は、もう私には通じないのだよ」
「何をぉ?」
また私の前を横切ろうと身構えた大闇猫は、そこで自分の異常に気付いた。
二股の尻尾で構えた2つのハンマーが、尾先から離れない。
慌てて尻尾をブンブン振り回す。
「にゃはあっ、なぜっ!」
「レーザーの熱で、尻尾にハンマーを溶接させてもらった」
はんだ付けの要領で、レーザーでドロリと溶けた金属が接着剤になり、尻尾にくっついてしまってる。
「その重いハンマーはトドメ用なのだろう?尻尾にぶら下げていたら、もう高速移動はできまい」
「にゃはっ、まっ、まずいっ…おっ、おいっ、動けない私に、何をする気だぁ?」
計算通り、ハンマーが重しとなって、大闇猫は金縛りの術が封じられてしまう。
ハンマーを手放そうと焦る大闇猫と、黒猫又に、左手の銃口を向ける。
「10発、殴ってくれたようだね。10倍返しだ、100発お返しする!」
寝ている間に、5マガジン一気に装填させてもらった。
マシンガンの弾丸100発が、バラまかれて、黒鉄色の雨が固まっていた黒猫又たちを、打ち抜いた。
巻き上げられる砂煙の中で、バタバタと倒れていく黒猫又たち。
100連射を終えて、私は左手を下げる。
痛覚遮断していてわからないが、100連発した左手は余熱で相当に熱くなってるはずだ。
うかつに自分の肌に触れさせたらヤケドするほどに。
そして、もうもうとした砂埃から、黄色い目をぎらつかせて、手負いの
何発か体に穴を開けられながらも、フーフー唸り声を上げて、一気に詰め寄って来る。
「にゃははぁっ!避けられないなら…殴り殺すっ!」
「殴り殺す、か。私はあまり好きではないな。
左右から振り下ろされたハンマーが、また私の頭に迫って来る。
私は手を握り直すと、振り下ろされたハンマーを、ワンツーパンチで粉砕する。
バラバラになったハンマーの破片を見て、大闇猫があんぐりと赤い口を開ける。
「にゃはあっ!?素手でハンマーを殴り返してっ…」
「言ったはずだ。私の骨は全て鋼鉄化してある。よって肌の下には鉄拳があるのだよ!」
鋼鉄の骨格は、攻撃に転用すればこの破壊力だ。
もちろん、肌にはダメージがフィードバックするので、痛覚遮断していないと、使えたものではない。
拳自体は無事でも、手の甲はジンジンと腫れて血を流している。
「さて、マシンガンが弾切れでは仕方ない…殴り殺そうか
「にゃぼぇっ!?」
重しとなっていた武器も失った大闇猫の顔面を、思いっきり殴り倒してやる。
ぬるいハンマーとは違う一撃に、顔面が崩壊した大闇猫は、ばったりと即死した。
「不吉の前兆とやらも、私には通じなかったな。あとは…」
私が夜空を見上げると、光り輝く天使と2体の黒鳥が、地上に向かっている。
心配してくれたエメーシャに、私も手を貸そう。
エメーシャの装備
・貴聖剣サルヴァトラー
プラチナを含んで錆びない名剣を、Dr.マッドネスが修復し、機械改造を施したもの。
柄に超電導モーターが内蔵されて、刃を高速振動させることで、刃の周辺に真空を作り出し、自身より硬い物質でも斬れる。
さらに、エメーシャの素早い剣捌きで振るうことで、真空のカマイタチを発生させ、斬撃を飛ばす
エメーシャは、この技を風の刃と理解している。
Dr.マッドネスの機能
・痛覚遮断
神経系の電気信号を操作し、痛みなどの触覚をマヒさせる。
怪我による痛みを一時的に無視して、戦闘を継続可能。
・鋼鉄の骨格
鋼鉄でコーティング加工された骨格により、脳や内臓を頑強に守り、致命傷を防ぐ。
特に頭蓋骨内部にはガスを充満させていて、脳へのダメージを最大限緩和する。
攻撃に転用すれば、鉄拳となって敵を粉砕する。
ただし、鋼鉄の骨格を内包した肌や肉は反動でダメージを受けるので、痛覚遮断と合わせないと使いたがらない。
最初と立場が逆になって、焦り、悲しみを見せるエメーシャ。
元から人を救いたい気持ちは強い彼女ですが、Dr.マッドネスには、それだけではない複雑な感情を持っているようです。
Dr.マッドネスは、科学者風に見えて、フィジカルが頑強なタイプです。
反動に目をつむれば殴り合いもできる、見た目詐欺な男です(笑)
次回は、地上でエメーシャとDr.マッドネスが再び共闘。
読了ありがとうございました。
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