※この作品はR-18です。

改造天使と狂科学者~異世界に改造技術を持ち込んだ男は美少女剣士を魔改造~   作:gazerxxx

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前回までのあらすじ

Dr.マッドネスとエメーシャは、縄張り争いをする魔物の群れを討伐に向かう。
しかし、群れのボスである大闇猫(おおやみねこ)と影鴉(かげからす)は、一時結託して人間を標的にしていた。

機先を制して魔物たちを圧倒するも、大闇猫(おおやみねこ)の金縛りにDr.マッドネスがかかってしまい…?

Dr.マッドネス

サイボーグの身体で異世界に転生してきた男。
瘦身に白衣を纏い、目元を完全に覆うバイザーを着けた科学者然とした風貌。
物語は彼視点で進む。

エメーシャ

15歳 T145/B 78(D)/W51/H76 体重39キロ
ロングの金髪をハーフアップにした碧眼の美少女。
貴聖剣サルヴァトラーを振るい、身軽な高速剣技で戦う。
命がけで戦いに身を投じ、人の命を案ずる高潔な性格。



剣姫落涙と反転攻勢

【エメーシャside】

 

 私は、夜空へと舞い上がり、頭上の光で周囲を照らしながら、八百鴉(やおがらす)の群れと戦う。

 夜の闇から襲い来る夜行性の魔物たちは、私たち人間より夜目が利いて手強かったというのに。

 この光を得てからは、私の視界は明るく開けている上に、魔物たちは光を恐れている。

 

 この光輪は私に必要な力、実際に戦ってみて、そう思える!

 

 それにっ、翼で飛ぶスピードも速い!

 及び腰で距離を取る八百鴉に、私は飛翔して急接近、すれ違いざまに斬り裂く。

 縦横無尽に飛行する私を、ボス級の影鴉(かげからす)も捉えられていない。

 

「ぐぎゃあっ!」

「カカッ、人間がちょこまかと、目障りな~っ!」

「カカアッ!近づくと、また光に目をやられるねえ。円の動きで包囲するんだ!」

 

 八百鴉が陣形を広げて、全員で旋回しながら私を取り囲む。

 

 バラバラに散りながら不規則に攻撃してたさっきまでとは違う。

 全員がグルグル回って、狙いを定めさせてくれない。

 

 私がどれかを狙って飛べば、反対方向から八百鴉が一斉攻撃してくるはず。

 でも、今の私は、離れて飛行する魔物も討てる!

 

「逃がさないっ!貴聖剣サルヴァトラー!」

 

 剣の柄に仕込まれたスイッチを押すと、ブゥン…と空気を震わせる音が鳴り出した。

 

 Dr.マッドネスが修復した貴聖剣サルヴァトラーは、もう折れないように硬く鍛え直されて、柄の中には刃を高速で振動させる”超電導モーター”?が入っているそう。

 

 刃が高速で揺れて、複数の残像が見えるのに、私が持ってる柄は全く手ブレしないからすごい。

 そして、この高速振動が、剣に風の切れ味を纏わせる。

 

「真空刃(エア・スラッシュ)!」

 

 素早く剣を振るうと、ブオンッ!と空気を裂く音がして、刃から透明な斬撃が放たれる。

 刃から飛んだ斬撃が、距離を取ろうとする八百鴉たちを切り裂いた。

 

「がぎゃあっ!」

「ぐぎゃぎゃっ!」

 

「バカカッ!剣を振る真似だけでやられるはずがあるカッ!」

「カカアッ!離れていても斬れるって言うのかい?飛び道具も使える剣士ってことだねえ…」

 

 もう一人で影鴉と戦って、瀕死に追い込まれた頃とは違う。

 驚きながらも影鴉たちは、警戒心をむき出しにしてくる。

 すると、下の方を旋回していた八百鴉(やおがらす)が、地上の様子に気づいて声を上げる。

 

「カッ、影鴉様っ!地上で大闇猫(おおやみねこ)が、金縛りを使いましたっ!」

 

「えっ、金縛り?」

 

 大闇猫(おおやみねこ)にそんな力があったなんて!

 私も地上を見下ろすと、棒立ちになったDr.マッドネスが、大闇猫(おおやみねこ)に殴られ、爪で切り裂かれている。

 

「カカッ?大闇猫に先を越されたかっ!あの術をかけられてはおしまいだ」

「カカアッ!仕方ないねえ、今夜は、小娘を殺してイーブンにするよ!」

 

「Dr.マッドネス!やめてっ!」

「ぐっ、来るなっ!私ならば心配いらないっ、気にせず戦いたまえ!ごふっ!」

 

 ハンマーで殴られて、爪で切り裂かれながらも、仰々しい口調のまま、強がってみせるDr.マッドネス。

 危ないっ、助けなきゃ!

 私が構わず地上に向かおうとすると、影鴉(かげからす)が行く手を阻む。

 

「どいてっ!」

「カカッ、どこへ行く、お前は我々の獲物だ!」

「カカアッ!地上で金縛りかけるしか能がない大闇猫(おおやみねこ)の相手なんて、後でも構わないねえ」

 

 そうだった、対立してる魔物たちは、むしろバラバラに戦いたいんだ。

 影鴉(かげからす)たちは、大闇猫(おおやみねこ)の金縛りを避けるために、空を狩場にするつもり。

 下から突き上げる攻撃で、私を地上へと逃がさない。

 

「カカッ、どうした、防戦一方だな?」

 

 私は地上の様子が気になって、八百鴉(やおがらす)の突撃を、剣でいなすので精一杯になってしまう。

 

 そうこうしてる間に、動けないDr.マッドネスは、何度も頭を殴られて、顔が血まみれになってしまう。

 

 早く、早く行かないと、間に合わないっ!

 

 そして、最後のハンマーが直撃すると、ゆっくりとDr.マッドネスが倒れ込んでしまう。

 

「そんなっ、Dr.マッドネスっ!!」

 

 自分でもびっくりするような叫び声が、空に響き渡る。

 

 私が敵わない魔物を退治して、瀕死の重傷を治してくれたのに、寝ている私を犯す人だった。

 私をこの世から失いたくないから、自分のものにしようっていう、勝手な理屈で付きまとってきた。

 私に魔物の羽をくっつける、おぞましい真似をしておきながら、魔物と戦える力をくれた。

 

 Dr.マッドネスを名乗る通り、訳のわからない人だった。

 

 …だからまだ先に行かないで、私、あなたのこと何も分かってないよ…。

 

「カカッ!泣いてるぞ、こいつ?」

「カカアッ!小娘、あんな無様に死んだ男が好きだったのかい?」

 

 好き、とは言えないのに、なんで視界が滲んでるんだろう。

 でも、何も分からないうちに、奪っていく魔物は許せない。それだけは分かる。

 私は目元を拭って、嘲笑する影鴉(かげからす)に立ち向かっていく。

 

【大闇猫side】

 

 Dr.マッドネスがゆっくりと目を閉じると、黒猫又たちがゴロゴロと満足げに喉を鳴らす。

 

「こいつはもういい…次はまとめて金縛りさせてやるんだなぁ」

 

 大闇猫(おおやみねこ)はDr.マッドネスを足で転がすと、次は上の空中戦に目を付けた。

 

「にゃはあっ♪あいつら、空飛ぶ娘を殺そうと焦ってるなあ。お前たち、しっぽの準備はできてるなあ?」

 

「はいっ、我々の尻尾を伸ばして、大闇猫様を空にぶん投げればっ!」

「あいつらのど真ん中を横切って、全員動けなくできますっ!」

 

 黒猫又たちは長く伸ばした尻尾を巻き付けて、巨大な尾を形作ると、大闇猫を上に乗せる。

 

 部下の尻尾を使って上空に投げられた大闇猫が、影鴉やエメーシャの中心を”横切る”ことで、射程に捕らえた全員を金縛りにかけられる。

 

 高速飛行できる影鴉やエメーシャも、空中で動きを封じられたら、落ちるしかない。

 墜落した敵を、地上で一網打尽にする気だ。

 

「にゃはあっ、よ~く狙えお前たち。小娘と影鴉(かげからす)たちも倒して、私たちが、ここを縄張りにする夜が来たあ!」

 

 夜空に高らかに勝利宣言する大闇猫(おおやみねこ)が、空中に掲げられた。

 すると、ハンマーを手放して飛び立とうとした大闇猫の尻尾を、放たれたレーザーが焼く。

 

「にゃはっ!?誰だあっ!」

「私だ」

 

「生きていたのですねっ、Dr.マッドネス!」

 

【Dr.マッドネスside】

 

 大闇猫(おおやみねこ)の後ろでは、私、Dr.マッドネスが起き上がっていた。

 顔は血にまみれ、白衣をドロドロにした私を、死体が起き上がったような目で見る大闇猫(おおやみねこ)たち。

 

「バカなぁ、なぜ全身ズタズタ、頭をボコボコに殴られて、生きてる?」

「私の身体は、骨格が全てメタルコーティングしてあってね。そして、痛みもシャットアウトさせてもらった。つまりは全く効いてなかったのだよ」

 

 血が付着したバイザーを白衣の裾で拭いながら、私は答える。

 

 私の骨格は、鋼鉄でコーティング加工されていて、脳や内臓を頑強に守っている。

 無防備に殴られ、引っかかれて血は流したが、内臓や脳にダメージは届かない。

 頭蓋骨内にはガスを充満させて脳が揺れず、脳震盪も起こさない念の入れようだ。

 

 加えて、神経を操作することで、痛覚遮断していたから、痛みもなかった。

 血液も凝固しやすくなっていて、傷口もすでにふさがっている。

 

「私が死ぬまで解かないと言っていたから、死んだふりをして見せた。他の相手に金縛りを使うために、一度私の方は解いてくれると考えたのだが」

 

 この乱戦の中、死んだ相手にかまうことはない。大闇猫は案の定、不要と判断した金縛りを解いてくれたわけだ。

 

「にゃはあっ、騙されたぁ!だったらもう一度…」

「初見殺しの術は、もう私には通じないのだよ」

「何をぉ?」

 

 また私の前を横切ろうと身構えた大闇猫は、そこで自分の異常に気付いた。

 二股の尻尾で構えた2つのハンマーが、尾先から離れない。

 慌てて尻尾をブンブン振り回す。

 

「にゃはあっ、なぜっ!」

「レーザーの熱で、尻尾にハンマーを溶接させてもらった」

 

 はんだ付けの要領で、レーザーでドロリと溶けた金属が接着剤になり、尻尾にくっついてしまってる。

 

「その重いハンマーはトドメ用なのだろう?尻尾にぶら下げていたら、もう高速移動はできまい」

「にゃはっ、まっ、まずいっ…おっ、おいっ、動けない私に、何をする気だぁ?」

 

 計算通り、ハンマーが重しとなって、大闇猫は金縛りの術が封じられてしまう。

 ハンマーを手放そうと焦る大闇猫と、黒猫又に、左手の銃口を向ける。

 

「10発、殴ってくれたようだね。10倍返しだ、100発お返しする!」

 

 寝ている間に、5マガジン一気に装填させてもらった。

 マシンガンの弾丸100発が、バラまかれて、黒鉄色の雨が固まっていた黒猫又たちを、打ち抜いた。

 巻き上げられる砂煙の中で、バタバタと倒れていく黒猫又たち。

 

 100連射を終えて、私は左手を下げる。

 痛覚遮断していてわからないが、100連発した左手は余熱で相当に熱くなってるはずだ。

 うかつに自分の肌に触れさせたらヤケドするほどに。

 

 そして、もうもうとした砂埃から、黄色い目をぎらつかせて、手負いの魔猫(まびょう)が襲ってくる。

 何発か体に穴を開けられながらも、フーフー唸り声を上げて、一気に詰め寄って来る。

 

「にゃははぁっ!避けられないなら…殴り殺すっ!」

「殴り殺す、か。私はあまり好きではないな。鋼拳1・2(メタルフィスト・ワンツー)!」

 

 左右から振り下ろされたハンマーが、また私の頭に迫って来る。

 私は手を握り直すと、振り下ろされたハンマーを、ワンツーパンチで粉砕する。

 バラバラになったハンマーの破片を見て、大闇猫があんぐりと赤い口を開ける。

 

「にゃはあっ!?素手でハンマーを殴り返してっ…」

「言ったはずだ。私の骨は全て鋼鉄化してある。よって肌の下には鉄拳があるのだよ!」

 

 鋼鉄の骨格は、攻撃に転用すればこの破壊力だ。

 もちろん、肌にはダメージがフィードバックするので、痛覚遮断していないと、使えたものではない。

 拳自体は無事でも、手の甲はジンジンと腫れて血を流している。

 

「さて、マシンガンが弾切れでは仕方ない…殴り殺そうか必殺鋼拳(メタル・フィニッシュ)」

「にゃぼぇっ!?」

 

 重しとなっていた武器も失った大闇猫の顔面を、思いっきり殴り倒してやる。

 ぬるいハンマーとは違う一撃に、顔面が崩壊した大闇猫は、ばったりと即死した。

 

「不吉の前兆とやらも、私には通じなかったな。あとは…」

 

 私が夜空を見上げると、光り輝く天使と2体の黒鳥が、地上に向かっている。

 心配してくれたエメーシャに、私も手を貸そう。




エメーシャの装備

・貴聖剣サルヴァトラー

プラチナを含んで錆びない名剣を、Dr.マッドネスが修復し、機械改造を施したもの。
柄に超電導モーターが内蔵されて、刃を高速振動させることで、刃の周辺に真空を作り出し、自身より硬い物質でも斬れる。

さらに、エメーシャの素早い剣捌きで振るうことで、真空のカマイタチを発生させ、斬撃を飛ばす真空刃(エア・スラッシュ)を放つ。
エメーシャは、この技を風の刃と理解している。

Dr.マッドネスの機能

・痛覚遮断

神経系の電気信号を操作し、痛みなどの触覚をマヒさせる。
怪我による痛みを一時的に無視して、戦闘を継続可能。

・鋼鉄の骨格

鋼鉄でコーティング加工された骨格により、脳や内臓を頑強に守り、致命傷を防ぐ。
特に頭蓋骨内部にはガスを充満させていて、脳へのダメージを最大限緩和する。

攻撃に転用すれば、鉄拳となって敵を粉砕する。
ただし、鋼鉄の骨格を内包した肌や肉は反動でダメージを受けるので、痛覚遮断と合わせないと使いたがらない。


最初と立場が逆になって、焦り、悲しみを見せるエメーシャ。
元から人を救いたい気持ちは強い彼女ですが、Dr.マッドネスには、それだけではない複雑な感情を持っているようです。

Dr.マッドネスは、科学者風に見えて、フィジカルが頑強なタイプです。
反動に目をつむれば殴り合いもできる、見た目詐欺な男です(笑)

次回は、地上でエメーシャとDr.マッドネスが再び共闘。


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