部屋を暗くするのは習慣だった。
初めての時、三人の要望はそれぞれ違っていて、求める刺激が違ったことを覚えている。
桜子は電気を消してミニスタンドの明かりを点け、少しだけ見える環境を欲しがった。
美砂は電気を点けたまま、明るい環境で全て見たいと言った。
円は逆に暗くして、見えない環境で触れ合いたいと願った。
三人が揃う時にはその時々で誰の意見を採用するかを話し合いで決めており、今日はたまたま円の意見が通った。他の二人もそんな気分だったのだろう。室内の明かりを一切消して、真っ暗な中で人肌の感触を頼りに動いている。
電気を消して真っ暗になると、視覚以外の感覚が鋭くなる。
どこからか香るわずかな匂いやすぐ傍から聞こえるかすかな物音。静かな息遣いやぴちゃぴちゃという水音がやけに卑猥に聞こえる。
広いベッドの上に凪が寝そべっていた。
隣には桜子が寝そべり、何度も顔中にキスをしている。そろりと胸を撫でてもいた。
股間に美砂と円が顔を寄せて、反り返る肉棒に舌を這わせていた。円の舌使いは献身的で、時折パンパンに膨らんだ亀頭を口内に挿入し、唾液を絡みつかせて激しく吸っている。その一方、美砂は時折ペニスから離れて、彼の玉に舌を這わせて刺激していた。
年頃の少女たちが、自分のために全てを曝け出し、慈しむように触れている。
手慣れた快感が与えられて、一所懸命な刺激で満たされている。しかし凪は笑わず、感じてはいても喜んでいる様子は見られない。
彼は、相手をしなければならなかった。愛情はあるが義務でもあった。
「ん、ふぅ……ねー、凪さんも舐めて」
甘える声で桜子が呟いて、おもむろに動き出すと彼の顔を跨ぎ、腰を下ろす。
目の前に差し出された肉の貝に、凪は躊躇わずに口を押し付ける。
舌を出して、ぺろぺろと舐め始め、閉じられた肉を押し開けようとする。桜子は彼の吐息を直に感じて、舌の感触に頬を赤らめ、嬉しそうに身を捩った。
協力し合い、それぞれ違った位置を舐めていた円と美砂は、抜け駆けするようにそうした桜子を恨めしそうに見やり、互いに顔を見合わせる。
肝心な部分は一応フリー。どちらも恥じらいを見せるが意思ははっきりしていた。
「えーっと……どっちが」
「先にする?」
「私、したいんだけど」
「いやいやそれを言ったら私だって」
「あんっ、んっ、あっ――」
牽制し合う二人を他所に、桜子だけは嬌声を発していた。
そもそも恋人みたいなキスをして唇を独占していた彼女がさらにわがままにクンニをさせてしまっている。ずるい、と思わずにはいられず二人の表情は苦々しい。
空いているのはペニスと手。どっちを選ぶと言われれば当然本番だ。
再び睨み合う円と美砂は互いに拳を差し出した。
「ジャンケンする?」
「する。勝った方がおちんぽだから」
「ジャーンケーン……!」
「ポンッ!」
気合いの入ったじゃんけんで雌雄を決する。
円が出したのはグー、美砂が出したのはパー。勝者は美砂だった。
よっしゃあと拳を突き上げて喜びを露わにして、権利を手にした美砂はいそいそと動き出して彼の体を跨ぐ。うううと悔しげに声を漏らす円は彼女のために退いてやりながらも、諦め切れずに恨めしそうに美砂の行動を見ていた。
「じゃー凪さん、私のおまんこでおちんぽ気持ちよくしてあげるからねー。ぎゅぎゅって締められるの好きだもんねー」
「ううぅ……凪さん、次は私だから。指でしてよ」
悔しそうな円は凪の手を取り、自らの股間へそっと導いて触れさせる。ペニスを舐めながら自分で触れていたこともあって、秘所はすでに濡れそぼっていた。
指を挿入させると彼の意思で動かされる。
その時には凪を跨いだ美砂が、ゆっくり腰を下ろして、膣にペニスを挿入させていく。桜子の小さな嬌声をかき消すように、美砂が大きな声を響かせ始めた。
「んああっ! あっ、はぁぁ……! すごっ、かったっ」
「あ~美砂ずるいー」
「んっ、はっ。いやいや、ずるいのは桜子だから……あんっ」
美砂は大胆に腰を動かし始めた。すでに膣は彼を受け入れる準備ができていて、挿入して動かすと水音が響く。
ゆっくりと抜き差しを繰り返して刺激を与える。じゅぷじゅぷと音が鮮明で、興奮した面持ちの美砂は嬉しそうに笑っていた。
円は羨ましそうに美砂の姿を見ながら、凪の指を体内に含めて腰を揺らす。
指では不満だ、と当初こそ思ったものだが、いざ迎え入れてみれば彼の体であることに変わりはなくて、やはり喜びは胸に広がる。円は小さな嬌声と吐息を漏らした。
桜子もまた美砂を羨ましく思い、小刻みに腰を揺らす。
凪の舌を受け入れ、更なる刺激を求めてぐりぐりと力を込めた。
こうした時間が近頃は当たり前になっていた。
抵抗せずに、求められるまま受け入れる凪は平然としており、動揺もしていない。女性の裸体や行為に若者らしく興奮こそしているが、我を忘れる様子は見られなかった。
素直に陰茎を勃起させて、彼女らの愛撫で頬を緩ませ、時折声を詰まらせながら彼女たちへの奉仕も忘れない。
そうして彼らは夜を過ごし、関係を確かめているのである。
「あ、ゴム忘れちゃった……ね、凪さん。中に出していいからね」
艶っぽい声で美砂が呟き、嫉妬する桜子と円が対抗心を露にする。
絶対自分も。
そう考えているだろうと察して、凪は口をおまんこに触れさせたまま小さく息を吐き出した。