出席番号8番 神楽坂明日菜
8月1日。
じりじりと照り付ける太陽の光が嬉しい反面、辛くもある夏の季節である。
このままでは死んでしまうのではないか、と思うほどに暑い日に、
「暑い……本当に暑い」
「わざわざ言わないでよ。本当に暑くなるから」
ベンチに並んで隣に座る
勝気そうな少女ですらりと背は高く、オレンジ色の長い髪をツインテールにして、鈴が付いた髪飾りがチリンと鳴る。
足を投げ出して座り、アイスを食べて、彼女も暑さには参っているようだ。
それでも肩が触れるほど凪の近くに座るのは改めるつもりがなさそうだった。
ただ座っているだけで汗が噴き出してくる。
アイスで体を冷やそうという試みはすでに失敗しており、むしろアイスが暑さに負けてドロドロになろうとしているところだ。急いで食べなければ手がべたべたになるのでどうしても労力を割かなければならず、大変な作業だったのかもしれないと考えている。
気落ちする凪はぐったりして夏が嫌いになりそうになっていた。
軟弱そうな顔だ。普段のようにしっかり座れずに傾いている。
しばらく黙っていたものの、流石に無視できなくなって明日菜が彼の顔を覗き込む。
「もっとしゃきっとしてよ。夏休みだからって気が抜け過ぎよ」
「いやー無理だろ、この暑さは……」
「情けないなぁ。あっ、ほら、早く食べないと溶けちゃうから」
「うー……」
暑さに弱いことを知ったのは初めてだ。運動はそれなりにできる方だと知っていて、汗を掻いている姿だって見たことがある。
そこまでぐったりしている姿は、それこそ、倒れるくらいにセックスした時くらいしか見たことがない。
その時の姿を思い出して、明日菜は頬を赤らめ、何を考えているのだと頭を振る。
「なんか思い出してる?」
「んなわけないでしょ!」
「顔が赤くなるからわかりやすいなぁ」
「思い出してないってば!」
感情的になる明日菜は焦ってしまい、そうだと思いついて話を変えることにした。
「そんなことより夏なんだからさ、海とか行こうよ!」
「あ~海かぁ……」
「いいでしょ? 暑いし夏なら泳げるじゃん」
「女の子の水着も見られるし」
「変態!」
「何を今更」
無気力そうな顔だったが一応凪は会話に付き合ってくれる。時に飛び出す下ネタがあまり好きではなかったが明日菜が懐いているのは明らかだった。
はっきりとした答えを出さない凪の顔を覗き込み、明日菜がにこっと笑いかける。
「ね、行こっ?」
「そうだなぁ……行こうか」
「やった」
早速予定を決めなければ。明日菜は輝く太陽のような笑顔になった。