※この作品はR-18です。

怠惰のエデン   作:o-fan

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楽園帰祭

 長い夢を見ていた。

 チャンピオンになり挑戦者を待ち、暇を見つけては四天王と過ごした日々のこと。

 体を動かし、ギャンブルを楽しみ、本を読ませてもらっては、まどろみの中、温かな柔らかさに包まれる。

「おやすみなさい、アタクシの――」

(そうだ、確か……)

 一緒にずっと誰かと寝ていたような、そんな気がしてトウヤはベッドから上体を起こし、隣を見た。

 誰もいない。いた形跡もない。

(誰だっけ……?)

 冒険を共にする相棒ではない気がする。

 部屋を出てホテルを出ると、まだ人工島パシオは朝もやの中に静まっている。

 トウヤは白く息を吐き、手を口元に当てた。10月も終わりにさしかかった気候は、薄手の身に少しこたえた。

 視線の先にはハロウィン、ナイトバトルパーティーの役目を終えたゴーストポケモンの屋敷がある。

 人やポケモンたちの気配はなさそうだが、まるで花の蜜に誘引された蝶のように、トウヤは足を運んだ。

 トウヤの服装は赤黒二色のキャップに青のジャケット、黒のカーゴパンツというもっとも着慣れ見慣れた姿、ではなかった。

 ハロウィン用に特注された狼男、いやグラエナ男をイメージしたコスチューム。そんなマジコストウヤの眼前にはダンスパーティーが行われたホールがある。

 今は静寂に包まれ、ゴースを思わせる紫色のもやもない。

 ただ窓から差し込まれた陽光を、ホールの中心でスポットライトにしている少女の背中だけが、トウヤの視点をとらえて離さなかった。

「カトレア、"さん"」

 豊かな金髪をなびかせ、カトレアの碧眼はトウヤを映した。

 

「あら、トウヤ。今日は早いのね」

 カトレアは少しとろんとした瞳、ほのかな微笑みと、甘くまとわりつくような声色でトウヤへ語りかける。

 ヤミラミをイメージした黒いドレスに赤い水晶の意匠。怠惰と睡眠を体現したような桃色の衣装とはうってかわって、凛とした優雅さ、神秘性がエレガントにアプローチされている。

 トウヤがイッシュで出会った、四天王カトレアとは明らかに違いがあった。

 衣装だけでなく、その内面も。

「まるで幽霊でも見たような顔ね。アタクシがここにいるのが、そんなに不思議かしら?」

「え、いや」

 トウヤの返答を待たず、カトレアはコツコツと足を鳴らしてトウヤへ近付くと、トウヤから目線を外して中空を見つめながら、

「素敵な時間だったわね」

 と、静かな感嘆の言を吐いた。昨夜のハロウィンパーティーのことだろう。

 確かに数多のトレーナーが着飾りゴーストポケモン達が彩った空間は、誰もが魅了されるものだった。

 だが、トウヤの脳裏からマグマのように泡立った記憶はそうではない。

(カトレアさんが、踊っていた。男の人と……)

 トウヤではない、深窓の令嬢カトレアに似合う美男子。一枚の絵画が現実に投影されたかのような光景は、トウヤに認めがたい感情を呼び覚ますものだった。

(なんで、隣にいるのが、僕じゃ)

 トウヤは頭を振って思考を中断した。

 カトレアとは男女として深い仲、ではないはず。

 かつてチャンピオンとして過ごした日々は長くはなかったが、カトレアとはトレーナーとして良き友人関係を築けたと思っているし、このパシオでもそうだ。三人一組でのバトル、彼女とは幾度も協力してバトルをしてきた。

 パシオでのカトレアは行動的だった。

 自らのポケモンバトルに確固たる考えをもちながら、他者のあり方を認める柔軟性も持ち合わせ、一つところで眠りながら挑戦者を待つのではなく、自ら様々なことに好奇心を持って近づいていく。

(カトレアさんは、こんな表情をするんだなって、気付かされることが多かった。僕がこのパシオを新鮮で楽しく思うように、カトレアさんもまた……)

 それ自体はトウヤにとっても好ましい。カトレアの興味津々な笑顔が脳裏に浮かぶ。

(けど、あんな風に、ダンスなんて。僕以外の手を……!)

「どうしたの? トウヤ」

「えっ? あっ」

(近っ!?)

 トウヤの目の前にカトレアの顔がある。少し傾ければ唇が触れ合える距離だった。

 トウヤは慌てて距離を取ろうとしたが、カトレアはトウヤの袖をつかんで制する。

「カトレア、さん……?」

 カトレアは眼球の半ばまでまぶたを降ろし、小さな微笑みを作る。碧眼の反射と唇の艶がいやでも目につく距離だった。

 綺麗すぎる、可愛すぎる。トウヤは何も考えられなくなる。

 錯綜する少年の思考に水滴を落としたのは、仄暗い井戸の底から響くような、カトレアの冷たい声だった。

「ねえ、トウヤ……ふふ……聞かせて」

(えっ)

 ゾクリと心臓をわしづかみにされたような感覚。口元だけが笑っているカトレアの顔から、目が離せない。

「今、どんな気持ちでいるの? ハロウィンパーティー、とても楽しかったわ……あんなに興奮したのは初めてかも」

「!」

 豹変したカトレアに恐怖するトウヤの心の隅に、どろりとした感情が地面から顔を覗かせる。

「ポケモンを模した仮装の男女、周りの人間はお似合いのカップルと思ったかもしれないわね。アタクシと踊る、エレガントなあのおと」

「やめて!」

 トウヤは、カトレアの肩をがっしりと掴んでいた。トウヤの表情には、怒りが浮かんでいる。

「僕は、僕はカトレアのことが、カトレアのことが、なのに……!」

 今にも押し倒しそうな勢いでトウヤは距離をつめる。

 肩を掴む手の力は、明らかに相手が可憐な少女ということを忘れていた。

「ふふふ……あら……情熱的ね」

 カトレアの表情は変わらない。

 加害者は間違いなくトウヤだったが、心体に異常が生じ始めたのはトウヤだけだった。

 

『ありがとう。……アタクシもアナタが好きよ。トウヤ』

 

『トウヤ……きて……』

 

『トウヤ……もうアタクシたちはこのベッドから出る必要はないの』

 

(なんっ……だっ……?)

 トウヤの心にかけられた、いくつもの鍵が一つ一つ破砕されていく。

 仮装だけ見ればまるで狼と赤ずきん、トウヤの沸々と煮え立つ感情がカトレアを襲おうとした瞬間。

 ピトッ。

「え」

 カトレアの人差し指の先が、トウヤの唇に触れていた。

「ごめんなさいね。少し、いじわるしちゃたかしら」

 トウヤの心体から熱のこもった緊張が抜けていく。

「あっ……ご、ごめんなさいカトレアさん!!」

 トウヤはすぐにカトレアから距離をとった。自分のしようとしたことが信じられなかった。

(ぼ、僕はカトレアさんに、何をしようと……!?)

 トウヤは自分に恐怖している。対してカトレアは気品を感じさせる歩みのまま、

「落ち着いてトウヤ。そんな距離の取られ方したら、アタクシ、少し悲しいわ」

「でも」

 カトレアは気にした素振りもせずに、社交ダンスをするような形でトウヤの手をとった。

 トウヤは呆然としてなすがままだった。

「アタクシが変わったのは、アナタのおかげかもしれないわ」

「僕の……?」

「トウヤの冒険心、いろんなことに挑戦する好奇心、ポケモンたちと様々な困難を乗り越えていくアナタの姿……アタクシ、とても好きなの」

「!!」

 トウヤの顔が真っ赤に染まり、口をパクパクとさせて何も言えなくなる。

「パシオは飽きないわ。この島に来なければ、トウヤもアタクシも、こんなコスチュームに身を包むことはなかったでしょう? そしてこんな風に手をとることも……」

「カトレア……さん……」

「踊る前に、錠前にぶら下がっている解けた鍵を外しましょうか。アタクシとトウヤだけが知っている、秘密の時間……チュ」

「んっ!?」

 ホールに柔らかな音が響き、沈黙が訪れた。ダンスの姿勢のまま、トウヤとカトレアの唇と唇が触れ合っている。

 二人の心体にほとばしる多幸感。そしてトウヤにだけ、電撃が走ったかのように、封じられた記憶の枷が、粉々になった。

 

『もうアタクシたちはなにもしなくていいの』

 

『ただこのベッドの上で抱き合って貪りあって……求め合ってていいの。ずっとアタクシに溺れてていいの』

 

『ずっと一緒よ……アタクシの、トウヤ』

 

「あっ……ああっ……!」

 トウヤの脳内のもっとも深い部分の封印が粉々になり、カトレアと過ごした記憶が濁流のように全身を駆け巡る。

 夜空と桃色の夢空間で彩られた、イッシュ地方四天王カトレアルーム。

 その中央のベッドの上で、裸の少年少女がいつまでも絡み合っている。

「ああっ! トウヤっ、いいわっ素敵よっ、もっと注いで、アタクシのっ中にぃんんんちゅうう、ちゅるれろ」

「カトレアっ、カトレアっ……あっ」

 トウヤはカトレアへのしかかり、彼女の中の奥の奥に到達した男性器から、白い欲望を際限なく吐き出していく。

 カトレアの女性器から許容量を超えた精液が吹き出し、二人の体が痙攣してとめどなく発汗し、つながりあった舌と唇の隙間から白い泡がゴポゴポと吹き出している。

(……)

 快楽の奔流にトウヤとカトレアの意識がブラックアウトし、糸の切れた人形のように体が脱力した。

 しかし、ベッドの周りにいるカトレアのエスパーポケモンたちは、主人の命に従い再び二人の腰を動かし始める。

 意識を断ち切るのが快楽なら、また戻すのも快楽だった。

「あっ……カトレアっんんっカトレアっ」

「ん……ちゅうう、トウヤっんちゅる、トウヤもっとっこわしてっ、アタクシをっちゅうう」

 カトレアが作り上げた楽園に、いつまでもいつまでもトウヤは浸った。それ以外の思考が消え去っていた。

(……あら、残念ね……)

 だが、終わりは突然訪れた。カトレアが受けとった思念波は、自らのポケモンへ課した警戒網からの侵入警告だった。

 カトレアが作り上げた楽園の真実を、暴こうとするものがいる。

「んちゅ……トウヤ、ごめんなさいね……少し、お別れみたい」

「えっ……そんなやだよっ……カトレアと、ずっと、ずっとこのまま……」

「大丈夫よトウヤ……アタクシとアナタがいる限り、またこうして過ごせるわ。ただ、感のいいトレーナーも何人かいるみたいだから。行方知れずとなったアナタを探すトレーナーたち……トウヤって色々な人に好かれてるのね」

「そんなの関係ないよっ……カトレアんんっカトレアっ」

「ちゅ……アタクシもっんちゅ、そうしたいけど…あんっちゅ、でもアタクシとアナタの楽園を守るために、少しだけ魔法をかけさせて……ちゅ」

 そう言ったカトレアの口づけは特別だった。カトレアの肉体を求めるのに無我夢中だったトウヤは、今度こそガクンと意識を手放し、深い眠りについた。

「……トウヤは新たな冒険に夢中になりすぎて、周りへの連絡を怠った……そしてひょっこりみんなの前へ姿を表す。そういうことよ、トウヤ」

「……」

 カトレアの胸の中へ、トウヤは顔をうずめて眠っている。

 カトレアは聖母のような笑顔を浮かべ、優しくトウヤの頭を撫で、楽園へ別れを告げた。

 

「あっ……ああっ……!?」

 トウヤは焦点の合わない瞳のままよだれを垂らし、膝をガクガクと笑わせている。

 視界にいるのはカトレア。頭の中もカトレア。今トウヤが求めているのはカトレア。

 カトレアの桜色の唇が動き、幼子をあやすような声色でトウヤを撫でる。

「落ち着いてトウヤ、アタクシを、見て。アタクシだけを見て、トウヤ」

「あっああ……」

 トウヤはゆっくりと膝をつき、カトレアは両手でトウヤの頬を包んで顔を覗き込んだ。

 互いの瞳に互いの瞳が映っている。

「僕……は……」

 

『チェレン、ベル、本当に僕からでいいの?』

『ああ。そのプレゼントボックスの中に、僕たちのポケモンが待ってる』

『ツタージャ、ミジュマル、ポカブだって! ねえねえどれにするの?』

 

『アタシはフキヨセポケモンジム、ジムリーダーのフウロです。準備ができたらジムに来てくださいね! 大歓迎しますから!』

『わたしはライモンポケモンジム、ジムリーダーのカミツレ。ジェットコースターでくらくらしてない? 次はわたしの愛しのポケモンたちで、クラクラさせちゃうけど』

 

『ボクはチャンピオンを超える。誰にも負けることのない唯一無二の存在となり、全てのトレーナーにポケモンを解放させる! それほどの強い気持ちでなければ、トウヤにボクは止められないよ』

『N……』

 

『トウヤ!! 君には夢があるといった……その夢、君の力で叶えて真実とするんだ。トウヤにならできる!!』

『N……!!』

 

 走馬灯のようにトウヤの脳内を駆け巡るイッシュ地方、旅の記憶。

 チェレン、ベルと迎えた初めてのポケモン。ジムへの挑戦。

 Nと運命の出会い。リーグチャンピオン、伝説のポケモンと迎えたその結末…そして、

 

『アタクシの眠りを妨げる野暮なお方は、どなた……? あら、またアナタなのね』

 

 怠惰の楽園の幕開け。

 

 ハロウィン、ナイトバトルパーティーホールの中心で、トウヤはカトレアにすがりつき、カトレアは優しく微笑みながらトウヤを受け止めている。

「どうして……今、なんだ……?」

 かすれた声でトウヤはカトレアへ疑問をぶつけた。なぜ今あの享楽と堕落の日々を思い起こさせたのか。どうしてパシオで合流した日から、僕を放っておいて、今なのか。

 カトレアは両の手のひらでトウヤの頬を包こむ。

「アタクシもこのパシオに興味があったからよ。世界中のトレーナーとどんな日々を過ごせるのか、新しいポケモンバトルが繰り広げられるのか。そして、トウヤがどんな風に変わるのかも」

「僕、が?」

「アタクシに与えられたハロウィンパーティーのマジコス、とても素敵だったわ。新しいパートナーポケモンと新しいイベント、新鮮な体験の数々……その中で、一番アタクシが目を惹かれたのは、アナタだったから、トウヤ」

「え?」

「トウヤのマジコス、グラエナをイメージしたワイルドな衣装。そして、アタクシがダンスパーティーで踊る中、トウヤがアタクシに向けてくれた熱く激しい視線……ふふ」

「!?」

 トウヤが激しい嫉妬を抱いていたことを、カトレアに気づかれていた。トウヤの頬が羞恥で赤く染まる。

「ふふ、これでお互い様よ、トウヤ。アナタがベルやフウロさん達といる時、アタクシがどんな気持ちでいるのか、少しはわかったかしら?」

「え……それって……」

(僕が女性といる時、カトレアも嫉妬していたってこと?)

 と、トウヤは言葉を続けようとしたが、カトレアは再び人差し指をトウヤの唇に当て言葉を制す。

「ずっと待っていたの……アタクシがかけた記憶の鍵を、トウヤ自身が外す瞬間を。アタクシが無理やり解くこともできたけど、この方がエレガントで素敵でしょう?」

「……」

 トウヤの脳も落ち着いてきた。

 ハロウィンでの激しい嫉妬、カトレアとの快楽漬けの記憶の復活。

 全てを受け止めた時、トウヤの体に沸き起こったのは、カトレアへの性欲。

 

『トウヤぁっ中にぃ出してぇっ』

 

 その強烈な記憶の対象が、今目の前にいる。記憶の封印によって押し止められた性欲のバネが、激しく開放された状態。

(僕は、今……)

 トウヤは自問する。トウヤ自身はこれから何をしたいのか。

 このパシオ島において、トウヤはNと再会した。Nだけじゃない、他のジムリーダーやチェレンとベル、興味を引いてやまない数多のトレーナー達と邂逅した。

 今自身が着ているマジコス、グラエナとのコンビネーションも日に日に高まっている。

 新しい出会い、冒険、ポケモンバトル。ポケモンマスター達の夢の祭典。だというのに、

「カト……レア」

「ふふ……」

 トウヤが初めて出会ったポケモン、長き旅路とチャンピオンへの到達、全ての人々とポケモンとの今までとこれからが全て消え去って、

「トウヤ、アナタが今欲しいものを教えて? アタクシは……」

 カトレアの指がトウヤの唇、頬と滑る。

 カトレアはトウヤの頬を掌で包むと、唇と唇が紙一枚の距離になるまで近く。

「アナタが望むすべてを、叶えてあげる」

 トウヤの世界を支配するカトレアの麗しき姿、香り、体の感触、とろけるような声。

 少し唇を伸ばせば、甘い味も堪能することができるだろう。

「ぼく、は」

 トウヤの頭の片隅のどこかで警鐘が鳴っている。

 行けば、戻れなくなる。

 トウヤのこれからのポケモントレーナーとしての未来、カトレアの世界。天秤は、

「トウヤ、愛してるわ」

「……僕も、愛してる……」

 片方に傾いて崩れ去った。

 

 カトレアの青い目が閉じられ、突き出た唇がトウヤへ向けられる。情欲をともなうカトレアの可愛らしいキス顔を記憶に刻みながら、トウヤは彼女の唇を吸った。

「んちゅ……トウヤぁ……ちゅる……」

 カトレアはトウヤの唇の形を覚えるかのように、あらゆる角度でついばんでは、カトレアの唇の潤いをトウヤへ送り込む。

(甘い……カトレア……!)

 トウヤの神経を駆け巡る、途方もない幸福と性の刺激。

 彼女の甘い吐息、つばの蜜、プニプニとした柔らかい唇の感触を、トウヤだけが余すことなく堪能できる。

 高ぶりきった性欲と所有欲のまま、トウヤは唇を押し付けながらカトレアの腰を抱いた。

 カトレアもまた、トウヤの首に手を回して応える。

「ちゅ好きっ……トウヤ、もっと深くキスして……んんっちゅ」

「んんっわかった……カトレア……」

 トウヤはカトレアと唇をつけあいながらも、目を開く。カトレアも開いて見つめ合いながら、トウヤの言葉を待った。

「なにかしら?」

「もう、止められない、かも」

 現在地を見据えたトウヤの逡巡。

ゴーストポケモンハウス、ダンスホールの中心での男女の逢引は、二人の理性とともにロマンティックから外れ始めている。

 カトレアは静かに微笑むと、

「ふふ……そうね、結ばれた男女が幸せなキスをして終わりなら、ここは絶好の舞台だけど……」

 それ以上のことがしたい、とトウヤは口に出さず、ギラギラに輝き始めた性欲の眼光で応えた。

「アタクシも、今のトウヤは独り占めしたいわ。だから」

 カトレアが一度トウヤへ強く吸いついてチュッと音を立てると、トウヤに突然の浮遊感。

「えっ?」

 ぽすん、と音がしたのは、トウヤとカトレアがベッドの上に収まった姿だった。無論、ダンスホールにベッドなどない。

「テレポート……? この部屋は」

「アタクシがパシオで寝泊まりしている部屋よ」

 カトレアは彼女自身がエスパー、いや彼女の所有しているポケモンも協力したのかもしれない。

 ともかく、二人がいるのはカトレアの部屋。トウヤがカトレアを抱きながら周りを見ると、星空が散りばめられた内壁の意匠に、カトレアのブロンドヘアーに似た厚いベッドカーテン。

 そして二人がいるのは桃色のベッドの上、トウヤがカトレアと初めて出会ったあの場所を思い起こさせる。

「四天王の……あの場所みたいだ」

「この感じが落ち着くのよ。眠るのも……」

 カトレアはぐいと体を寄せ、唇と唇をトウヤへ密着させる。

「アナタと愛し合うのも……トウヤはいかが?」

 

『どなた……? アタクシの眠りを妨げる、野暮なトレーナーさんは』

 

「最高だよ……カトレア、もう、今日は、眠らせない」

「ふふふ……!」

 カトレアの頬が紅潮し、興奮で唇が笑顔に歪む。

「退屈なセックスだけは、簡便ね……? んちゅうう」

「んんっ」

 カトレアの唇を貪り尽くすかのようなトウヤの口づけ。カトレアも強く反応し吸着音を響かせる。

(トウヤぁ、舌吸わせてぇ)

 カトレアのテレパシーがトウヤに響く。トウヤがカトレアの口内へ舌を突き入れると、熱烈な歓迎が待っていた。

「ちゅぱっちゅるんっちゅうっおいしっんちゅううれろちゅぱ」

 カトレアは唇でトウヤの舌を揉みほぐしながら、トウヤの舌先をちろちろと舐め回してあと、抱き合うように舌全体を絡ませる。

「ちゅぱっんちゅちゅるはぁんトウヤぁんちゅ」

(好き、トウヤとのキス大好きよっ、ああっ幸せ……好きっ好きっ好きっトウヤぁ)

 カトレアのチュパチュパと音を立てた舌と唇の愛撫、絶えず送られてくる愛のテレパシー。

 トウヤの幸福と情欲は許容値を突破、理性はずたずたに引き裂かれ、トウヤの心体はカトレアへの愛欲で支配される。

(どうして、忘れていたんだろう、こんな、こんなに大切で大好きで気持ちよくて、最高の、カトレアっ)

 トウヤはカトレアと唇と舌で繋がったまま彼女を抱き、衝撃がいかぬようゆっくりとベッドへ押し倒す。

 自身の重さを彼女へ、されど苦しくないように、激しく強く。

(カトレアの催眠術で忘れていたっていうのはわかってる。でも、だからって)

(あっだめっトウヤっ)

 テレパシーで繋がっていたトウヤの思念が、カトレアの魂を抱きしめる。

(大好きなカトレアと愛し合うことを忘れるなんて、もうできないっ!)

「らめっトウヤっんちゅっアタクシっんちゅううううっ!」

 ビクビクビクビク!! プシュッ!

 カトレアの体が痙攣し、潮を吹いた。抱きすくめて口づけしていたトウヤにもわかるほどのカトレアの脈動、トウヤは股間に感じるほのかな湿り気を、愛欲と性欲と所有欲に満たされながら受け入れた。

「んちゅる……トウヤぁ……アタクシ、キスだけで……ちゅるん……」

 カトレアの口づけは激しい吸引力はなくなっていたものの、ねっとりとトウヤの唇と舌の形をなぞっている。

 トウヤは嬉しそうにカトレアの舌をからめながら、

「ん……カトレアを気持ちよくできて、よかった……んんっねえ、次は僕も……んんっ」

「ちゅぱちゅる……ええもちろんよ、トウヤに選ばせてあげる、ちゅ」

「あっ」

 カトレアの手のひらが、トウヤのズボン越しに盛り上がった陰茎をなでる。

「トウヤのここ、固くて素敵になってるわ。どちらがいいかしら、すぐにアタクシの中に突き入れるのもいいけど……んちゅるるん」

「んんんっ!?」

 カトレアの舌が渦をまくようにトウヤの舌をなでまわし、ついでカトレアの唇はチュパチュパと音を立てトウヤの唇と舌をなめしゃぶる。

 トウヤは反射的に下腹に力を込めて、暴発しそうになったペニスを制した。理性でとった行動だが、本能が求めていた。

「あむっちゅるっどうするのぉ、トウヤっんちゅうう」

 今トウヤの口を愛撫するカトレアのこの唇、舌、喉に、我慢汁をどばどばと垂れ流す陰茎を捧げたら、どうなってしまうのか。

 あるいは、先にトウヤにイかされてしまったカトレアが、反撃のためにさいみんじゅつで誘導していたのかもしれない。

 トウヤは返答のため、なんとかカトレアの舌を舌で押し出すと、

「カトレアの、口でっ」

 期待と興奮、はやる気持ちを抑えきれないトウヤの吐息を、カトレアはアロマに癒やされるかのように堪能し、桃色の吐息で返した。

「はぁあん……慌てず、騒がずに、ね? ちゅっちゅっ」

 カトレアは子供をあやすような声色で、トウヤの唇から外れて顎、首筋へとキスを振らせていく。

 カトレアのキスがトウヤの正中線を降下していく中、トウヤは上半身の外衣を脱ぎ去っていく。彼女のキスが、素肌に触れるように。

「ちゅっちゅぱっちゅ」

「う、あぁ」

 トウヤの腹筋、下腹を唇でなぞるカトレア、トウヤが慌ててズボンを脱ごうとしたところを、カトレアはトウヤの手をつかんで制す。

 カトレアはそのままトウヤのスボンのチャックを口でつまみ、下へ降ろす。すると、

 ぶるんっ、

「あっはぁあぁ……素敵ぃ……」

 カトレアの目の前にはトウヤの勃起したペニス。カトレアの吐息で揺れる竿、鈴口からはピュッと我慢汁が飛び出した。

 我慢汁がカトレアの唇の上に飛び、カトレアはちゅるりと舐め取る。

 カトレアがそっと竿に手を添えると、トウヤは「あっ」と声を出して反射的に腰を突き出してしまった。

 そのまま亀頭は、ぷにっとカトレアの上唇を押し上げる。

「あら、情熱的ね……火傷しちゃいそう……ちゅうう」

「くっうぅうう」

 カトレアの鈴口への吸着に、トウヤは眼と口を引き絞って耐えた。あまりの気持ちよさに速射してしまいそうだった。

「トウヤの急所はどこかしら? んちゅるちゅうちゅうう」

 カトレアは右手で竿を軽くしごきながら、唇を尖らせて亀頭を咥えると、鈴口をチロチロと舌先でくすぐる。

「あっくっうぁ」

 カトレアの瞳はトウヤを見上げ、あえぐトウヤの顔を見つめている。

(すこし強くしてもいいかしら。裏の方をもっと撫でてあげる)

 まるでいたずらっ子のような茶目っ気のあるカトレアのテレパシー。裏筋をねっとりと舐めあげ、鈴口から溢れ出る我慢汁をちゅるりと吸い取っては、唇を亀頭の形に歪めて浅く前後して、カリ首から鈴口まで唇と舌で圧迫して撫でていく。

「でるっでちゃうっかとれぁあああっ」

 カトレアはシコシコと竿をしごく速度を上げ、ちゅぱちゅぱと音を立てて亀頭へ口づけしながら吸い上げていく。

 トウヤの視界がバチバチと弾け、今まさにトウヤの睾丸から白い濁流が本丸へせり上がろうとした瞬間、

 すっ……。

「えっあっえっなんでっ」

 カトレアの唇と手がトウヤから離れ、ピクピクと痙攣するだけのペニスが残る。

 涙のように我慢汁をあふれさせる鈴口。トウヤは涙のしずくをため、カトレアへ視線で懇願する。

 カトレアはまるで聖母のようににっこりと微笑み、

(安心して、トウヤ。忘れられないくらい、気持ちよくしてあげるわ)

 カトレアはすぅーと軽く息を吸うと、「ん……」と口を開ける。愛するトウヤを包み込むのに、最適な大きさに。

 次の瞬間、普段のカトレアからは信じられない速さで、トウヤのペニスを咥えこんだ。

 ぢゅぽぉっ!

「いっ!?!?」

 トウヤの視界が今度こそ飛んだ。突如訪れた口淫、ペニス全体をぬるぬるとしたカトレアの唇、舌、上顎、喉に包み込まれ、そして、

「んじゅぢゅぱちゅぢゅぼちゅぶちゅるぢゅぷっ」

 じゅぽじゅぽと激しく前後するカトレアの顔、振り乱されるふわふわとした金髪、ペニスに襲いかかる肉壺の極大快楽。

「あっあっぁ」

 完全に搾り取るための性器と化したカトレアの口は、唇と舌だけでなく、上顎と両頬も用いて全方位からトウヤのペニスを包み込み、喉奥に至っては亀頭を締め上げながら我慢汁を吸い込んでいく。

 カトレアの前後運動により快楽の最大ポイントが亀頭、竿、亀頭と断続的に移り変わり、さらにはカトレアの手のひらが玉を揉みしだいてほぐしていく。

(トウヤっいつでもいいわっ出して、アタクシの中にっ全部っトウヤのミルクぅ!)

 カトレアはビクビクと浅い絶頂を繰り返しながら、愛のテレパシーと視線をトウヤへ送り、ペニスをどこまでも愛していく。

「でるっでるっかとれぁっ」

 カトレアは痛みをともなうギリギリまで玉を押し掴み、トウヤから名前を呼ばれた喜びから潮を吹き、ペニスを喉の奥底まで導いて強引に吸い上げた瞬間、

 ぶびゅうううううううううううう!!! びゅうううううう!! びゅるるるるるっ!!

「あっぐっあぁ」

 脈打つペニスがマグマのような精液を吹き出し、カトレアの喉奥を叩いて食道へと導かれていく。

「おぶぅっ!? んむっちゅるちゅううううっ!!」

 カトレアの悲鳴にも似た嬌声、トウヤの絶頂体験がテレパシーで伝わり、カトレアはピクピクと痙攣しながらも愛するトウヤの射精を吸い込み続ける。

(美味しい……トウヤの……みるくぅ……!)

 ガクガクと痙攣するトウヤの膝、ごきゅごきゅと喉を鳴らすカトレア。射精中の亀頭がカトレアの喉奥によって一定間隔で圧迫され、射精が生理現象を超えて強制される。

 あまりの気持ちよさと心地よさにトウヤの意識が霞む。しかし、そんな中確かに脳裏をよぎったのは、

(こんなの、もう、戻れない)

 トウヤの無意識の思考だったのか、カトレアのテレパシーだったのか、またはその両方だったのかもしれない。

 トウヤはびゅくびゅくと射精し続けている最中、いつのまにかカトレアの頭を掴んで自分の腰へと押し付けている。

「じゅるるるるるる……んくっ……ちゅうううううう……」

 びゅるるる……ごぽっ……。

 カトレアがペニスを咥えたまま一呼吸すると口端から泡立った精液が漏れる。すぐさま吸引を再開すると、今度は目線を上にしてトウヤの表情を見た。

(ああトウヤ……そんなに気持ちよさそうな顔をして……)

 カトレアの体を満たすトウヤの精液、満足感と独占欲。

 びゅくっ……びゅくっ……。

 数十秒、いや数分もしれなかった長い射精が勢いをなくしてくると、カトレアは裏筋を重点的に舐めくすぐって出し残しも逃さない。

「カトレア……はぁ……はぁ……」

 トウヤの視界に映るのは、自身のペニスを吸い上げながら恍惚の表情を浮かべるカトレア。

 トウヤに見せつけるように徐々にペニスを口淫から離していき、最後にオーバーに唇をすぼめながらチュポンと音を立てて亀頭を外気に晒した。

「はぁあぁん………ふふ……」

 カトレアはトウヤを見上げながら微笑み、自身の唇に残った精液を舐め取る。

「どう……? 満足できたかしら?」

 カトレアは小首をかしげる。今までの淫蕩さとはあまりにギャップのある可愛らしい仕草に、トウヤは見惚れて言葉を返せなかった。

 カトレアは返答がないことを気にせず、

「アタクシはまだ、満足してないわ」

「!」

 カトレアが外衣をはだけ、その素肌をさらしていく。

 グラマラスとまではいかない、美しく可愛らしいという形容がふさわしいカトレアの肉体は、輝く雪原のようにシミ一つなく、乳房は大きすぎずしかしはっきりとわかる球形、腰はくびれ、鼠径部を下にたどるとダラダラと洪水を起こしている女陰。

 カトレアは仰向けになって足を広げ、右手を差し向けてクチュリと人差し指をクレバスへ差し込んでいく。

「トウヤの素敵なものが、アタクシのここを突き抜けてどぴゅどぴゅ熱いものを出してくれると想うと……アタクシ、想像するだけで、あぁんっ」

 ぷしゅっ、とカトレアのそこから透明の液体が弾け飛ぶと、膝立ちで呆然としていたトウヤの半勃ちペニスに降り掛かった。

「トウヤのおちんちんをしゃぶってるだけで、アタクシ、もう、限界なの。トウヤ、おねがい、アナタのを……あぁん」

「はぁはぁっカトレアっ」

 トウヤの視線はカトレアの女陰へ注がれている。カトレアが指を引き抜くと、少し引くついたあとピッチリと門戸を閉じている。隆起したクリトリスも含めてきれいなピンク色、形も一筋に整っており、もしそこに挿入できれば、濡れそぼったギチギチの肉の圧力でペニスを歓迎してくれるに違いない。

 トウヤはもう勃起している。自分がだらだらとよだれを垂らしているのにも気づかず、カトレアの両の太ももをがっしりと掴んで広げ、ペニスをヴァギナへとあてがう。

「好き、大好きよ、トウヤ。いっぱいアタクシを」

 トウヤの視線がカトレアの顔へ注がれる。彼女の紅潮した頬、潤いと期待に満ちた碧い瞳、慈愛と包容力を感じるほのかな微笑み。

「アタクシを、はらませて……」

 ……ずぷんっ!

「くっあっ」

「んあああぁっはぁああっ」

 トウヤが腰を深く沈めると同時に、カトレアの体が弓なりになって腰がベッドから浮き上がる。

「っぐっもう出ちゃっ」

 とろけるようなカトレアの膣。ぎゅうぎゅうと締め付けてきながら決して痛みはなく、むしろ多大な湿度と柔らかさを伴った膣圧は、一度射精したばかりのペニスでさえすぐに限界を迎えそうだった。

 カトレアの方は、

「いくっいっあああああっ!」

 ビクビクップシャアアアア!!

 カトレアの突き出た舌から雫が飛び、完全に決壊した潮がトウヤの腰へ降りかかる。トウヤも予想していなかったカトレアの絶頂が、ペニスへ波打つ膣圧として襲いかかる。

(ぼ、ぼくもっもうっ)

 トウヤの視界に映るカトレアの絶頂の姿、勃起した乳首が乳房とともに揺れ、だらしなく開いた口から泡をもった唾液が飛び散っている。

「あっあああっトウヤっとうやっっぁああっ」

 トウヤを散々誘惑してきたカトレアとは違う、トウヤから与えられる快楽に翻弄されるカトレア。

 彼女の痴態はトウヤの暗い欲望を呼び起こす。

(もっと……もっとカトレアを、見たい)

 あえぎ溺れ壊れる姿、トウヤだけが見ることができる。

「トウヤっとうやぁっ」

 懇願するような彼女のイキ姿を目に焼き付けながら、トウヤは丹田に力を込めて射精を押し止め、ピストン運動を開始する。

 バチュンバチュンバチュンバチュン!!

「らめっひいぃああぁあああっ!」

 トウヤの荒々しく若々しい出入に、カトレアは瞳と唇を快楽に歪ませ、ベッドシーツを掴んで皺を作り、乳房を揺らしながらビクビクと飛沫を上げ続ける。

(カトレア、こっちを突いた方が、反応がっ)

 トウヤは勢いだけでなく、カトレアの奥底を突くたびに彼女の反応を推し量り、Gスポットとポルチオを的確に押し当て、強弱も織り交ぜてカトレアを快楽の沼に沈めていく。

「んああぁっトウヤっすきっトウヤぁああっ」

 トウヤが腰を打ち付けるたびにカトレアは乱れ踊り、膣はぐちゅぐちゅとペニスに吸いついて揉みしだく。

 カトレアがイキ狂う様、絶えず送られてくるペニスへの愛撫と愛のテレパシー、その全てをおかずにしてトウヤは、カトレアの奥の奥底に突き入れて、

(トウヤっアタクシっ幸せでっおかしくなるぅううっ)

「すきっすきすきっとうやっとうやぁああああああああっ!!」

 ビクビクビクビクビクビク!! プシャアアアアア!!

 ビュルルルルルル!! ビュルルルッビュウウウウウウウウウウウウ!!

「あっがっ」

 トウヤとカトレアの意識が飛ぶ。気持ちいい、気持ちいい。

 カトレアは舌先と体をピンと伸ばした瞬間、痙攣しながら失禁し、瞳は揺れて虚空を見つめる。

 トウヤはがっしりと腰を密着させながらも目はうつろ、弾ける視界と意識の中で、ただただ射精の快楽と多幸感に包まれている。

 テレパシーで繋がった思考と快楽神経が乱反射し、隙間のないはずの二人の接合部からごぽりと愛の混合液が溢れても、トウヤとカトレアの絶頂は収まらない。

 ビクビクビクビク……チョロロロロ………

 ビュルルル……ビュルルビュルル……ビュプ……

(かと……れあ……)

 そのまま意識を手放そうとしたトウヤを呼び起こしたのは、かすれるようなカトレアの声。

「き……す……きす……きすっしてぇ……とうやぁ……」

 トウヤの眼がぐりんとカトレアを見下ろすと、汗と涙とよだれまみれのカトレアの顔が、唇を突き出してトウヤを求めている。

 まだ絶頂が冷めやらぬ中、トウヤはゆっくりとカトレアに全体重をあずけていき、彼女の柔らかい求愛に応えていく。

「んちゅうう……ちゅるる……ちゅううとうやぁ……ちゅぷるちゅぱ」

 ビクビク……ビュルル……

 二人の長い絶頂が終わりに差し掛かりながら、トウヤとカトレアは互いの体のあらゆる箇所を絡みつかせて、愛する人の唇と舌の形を確かめあっていく。

(ねえトウヤ……ずっとこのまま……)

 小康状態だったトウヤの快楽神経が一瞬ひりついたのは、射精の勢いを失いつつあるペニスを、カトレアの膣が抱きしめるようにホールドしてきたからだった。

(もう出ない……て、思ってたのに……)

 まるで一生分出したかのようなカトレアへの中出しの後にもかかわらず、カトレアの欲情がトウヤの活力を底上げしてくる。

「かとれあっ……んんっ、もういっかい……したい……んんっ」

「んちゅぷっ……もちろんよ、んちゅ、トウヤ、アタクシをもっと、楽しませて、んちゅうううう、愛して、ちゅぷはぁんちゅうう」

 互いの視線と舌を絡ませ唾を飛ばしながら、絶頂を終えた二人の性器が再び揺り動きはじめる。

 ぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっ……

「すきっトウヤっアタクシを満たしてっ、んちゅるんっちゅぱ」

「カトレアっんんっ好きだっカトレアっんむっ」

 正常位のまま全身が密着し、カトレアの腕はトウヤの首に、足が腰へと回る。

 水音を立てるペニスとヴァギナの接合部、あふれる精液と愛液、乱れ飛ぶ愛の言葉と汗と唾液。

(トウヤ……アタクシ達、ずっとこのまま……)

「んんじゅるっちゅぱっとうやっまたイクぅんっんちゅぱ」

 トウヤの脳がカトレアで満たされていく。今まで歩んできた道のり、これからの展望全てが消え去って、今心体を支配するのはカトレア。トウヤが愛しているのはカトレア。

(カトレア……君と……ずっと……)

 ビュルルルルルル……ビクビク………。

 絶頂の沸点が壊れ始めている。それでもトウヤは、

「カト……レア……その、重く、ない?」

「んちゅぷそうね……れろちゅぱ」

 既に射精する以外の力が抜け始めているトウヤ。腰だけはカクカクと動きつつも、愛する少女にかかる負担だけは、愛するがゆえに気がかりだった。

 カトレアはむしろその重さすら愛おしく、トウヤの優しさを彼の唇と舌を舐め回して味わいつつ、

「アタクシが、んちゅ、上になるわ」

「わっ」

 一瞬の浮遊感、トウヤの視界が反転し、トウヤが下、カトレアが上の騎乗位の体勢。

(カトレアのエスパー、すごいな……)

 カトレアの重量は、毛布のように軽く暖かい。毛布と違うのは、

「んちゅるちゅぱっトウヤっ、また一緒にイキましょう……? ちゅううぅ……」

 ぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅ……

 浅く尻が上下に動き、ときにポルチオにこすりつけては尿道から飛沫をあげる。

「好きっトウヤっすきっとうやっとうやっらいすき、ちゅうぅぅぅ……」

 愛らしい少女が手を握るかのような絶頂の膣圧、トウヤはカトレアの上と下の口の吸愛に応えながら、

 ビュルルルルッ……ビュルルル……ブビュウウウウ……

(トウヤは、もうアタクシの、もの)

 度重なる射精で、思考と体力が奪われていく。

 カトレアの振り乱れる腰と金髪に、危険な引力と執着を感じつつも、トウヤはそれを愛おしいと想いながら受け入れてしまう。

(ずっと交じりあいましょう、アタクシとトウヤだけの、楽園……)

 ぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅ……

 ビクビク……ビュルルルル……ビュルルルル……

(そっか……ぼくは……)

「すきっトウヤっんちゅぱっちゅるちゅぱっ」

 ビュルルル……ビュルル…… 

(……帰って、きたんだ……)

 ぱちゅぱちゅぱちゅ……ぱちゅん。

 ビクビクビクビク……プシャアアア………

 ビュルルルルル……ビュウウウウゥゥ……

 

(おかえり、アタクシの、トウヤ)

 

 

 

「……あれ?」

「どうしたの? トウヤくん」

 観衆で埋め尽くされたパシオ島、中央スタジアム。きょとんとした表情のフウロに対し、トウヤは「あっいえ、大丈夫、です」と多少歯切れが悪かったが、

「頑張りましょうね! トウヤくんのグラエナはすぐにアタシが回復させますから、ガンガン攻めちゃってね!」

「は、はいっ」

(集中、しないと)

 トウヤの心と体に刻まれた、忘れることができない体験。その当事者のもう一人は、

「ふふ、今日もエレガントに、眠気も吹き飛ぶような勝利を収めましょう。フウロさん」

「はいっカトレアさん!」

 フウロのスワンナ、カトレアのヤミラミ、そしてトウヤのグラエナ。

 回復、バッファー、アタッカーと整ったこのチームでトウヤたちは連戦連勝、稀代の栄光は目の前まで来ている。

「トウヤ、もう少しね」

「……うん」

 トウヤの視線が、カトレアの頬笑む口、鼻、流し目を送る碧眼へ移る。

 イッシュを代表するポケモントレーナー達の連勝街道、しかし、トウヤの栄光の先にあるのは、

(アタクシとトウヤが、もしまた行方不明になったら、トウヤを探す誰かが、あの楽園にきっと、また辿り着いてしまう。だったら)

「もう少しで、アタクシとトウヤの……ふふ……」

 トウヤが外界と別れを告げ、カトレアだけの世界に永住させるためにはどうしたらいいか。

『バトル開始ぃ!!!』

 トウヤの交友関係全てに、トウヤ自身によって宣言させるのだ。ポケモントレーナーとして全ての栄冠を掴み、そして、カトレアの作る楽園に、永遠に。

(トウヤ、勝てたら今夜もたくさん、愛し合いましょうね)

「!?」

 カトレアは自身の微笑みの口元に人差し指を立て、トウヤへウインク。

「さあ、勝利を掴みましょう、エレガントに」

 イッシュ四天王、金髪碧眼エスパー美少女のカトレアは今日も、勝利を確信した余裕の微笑み。

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