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唐突だが学校にはカースト制度なるものがある。七不思議並みに何故か当たり前のようにあって学校の日常に存在してる。学校とは勉強する場の筈なのに何でこのような誰それさんが偉いかそうでないかな序列制度があるんだろう。不思議。
序列というものは理不尽に思えるような様々な要因によって決まったりする。まぁ、純粋な評価や人気で決まるならまだいい。最悪なのはその場の空気…、つまりなんとなくで序列が決まる事が一番最悪だった。
こういった訳の分からない話は別に誰かが開口して決まる訳ではない。大抵の場合は空気や雰囲気だけで『それ』が決まるのだ。
誰が弱者で誰が強者か。
誰が馬鹿で誰が偉いのか。
誰が脇役で誰が主人公か。
それが空気だけで決まったり察してしまう事が多いからカーストとは恐ろしいものだ。
当然凄い奴らには人が集まり、そうでない奴らは常に一人である。中には空気を読めないマイペースな人もいるがそれは一部で少数だったりする。
全てとは言えないが学校には明確な上下関係が存在していて下の奴らは不憫な学園生活を送っている。何故このような序列が生まれるのか、正確な事は誰にも分からない。
分かるのは逆らえないという事だけだった。言うまでもなく『これ』に逆らおうとすると酷い目に遭わされるから基本は誰も逆らえない。
ちなみに俺が通うSAO帰還者用の学校にもスクールカーストはあるのか? 当然ありましたよ…、それも以前通っていた所とは比較にならないほどの特殊なスクールカーストがね…。
具体的に何がどう特殊かと言うと見た目、地位、性格に関係なく『あの』ゲームを命がけで攻略してた奴らは無条件で偉い事になっててそれ以外は皆カスなのだ。はじまりの街に引き籠った人達がここで睨まれた事なんて一度や二度ではない。まだいじめにこそ発展していないが小さな嫌がらせは日に日に起こっている。最近はあれから長い時間が経っているせいか酷い嫌がらせが露骨になっているが…。
攻略組が言うには自業自得らしい。確かSAOの初期の頃はとある出来事がキッカケで攻略組が結果的に恨まれるような事があったがだからってそれでやり返すのもどうかと思う。
命がけで戦った奴らからすれば命を懸けていない人達なんてここでは虫の様に見下される。勿論全ての攻略組が酷い人達ばかりじゃないのは知ってる。キリト達のような人達もいるが全員が彼らのようにはなれないだろう。
実に残念な話なのだがここにいる皆は同じ囚われていた被害者なのだが決して同じ釜の飯を食う仲間ではない。
ここで信じられるのはあの世界…、SAOで共に戦って共に過ごした『仲間』だけなんだ。
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ーー
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ガタン ゴト。
「あ゛ー…、あち゛ぃ゛ぃ゛…」
無数にある蝉の音がまだ五月蠅く聞こえるこの日は学校の自販機の前で暑くて眩しい日差しを背にしながら俺はコーラを買っていた。今は9月上旬。
夏休みは終わりまた学校に通う日々に戻ったのだが正直もう家に帰りたいと思った。
南から来る風が馬鹿みたいに熱くて汗がダラダラと滝のように出てくる。汗が服にしみついてて気持ち悪い。もういっそ脱ぎたいと思った。
財布から小銭を取り出してそれを自販機に入れると俺の後ろにいるクラスメイト二人も死にそうな顔をしながら棒立ちしていた。片方は世紀末にでもいそうなモヒカン頭の青少年でもう一人は顔中にピアスを付けまくっている金髪ヤンキー。どっちも見た目だけは明らかにヤバイ奴らにしか見えないがこう見えても根はいい人達である。
「あ゛ー…、アイス食いてぇ」
「クッソ暑っつっ、ファミレスのドリンクサーバー飲み干してぇ」
本当に熱い。上を見上げると雲が一つもない大空が広がっていた。実に見事な晴天であるが光熱が直で降り注ぐから今にも熱中症で倒れそう。一体何故こんなにも暑いんだろうか。あれか、温暖化って奴だろうか。なんとかしてくれ日本政府役目でしょ。
「お前ら少しは持てよ、一人じゃ抱えきれねぇって…」
自販機のボタンをまた押して下からラムネを取り出す。俺の手元には抱えきれない程の缶が無数にある。これら全部自分達のじゃない。
実は今、クラスのお使い(パシリ)で冷たい飲み物を買いに来た。なお俺らをパシらせた連中は金を1円も出さずに俺達の金で買っている。ただのいじめじゃねーかよふざけんなあいつら。
「いや、パシられたのは僕らの方で○○は関係ないじゃん」
「つか何でついて来たん?」
疑問に思う金髪君。
まぁうん、そう。実際パシリに遭っているのはこの二人の方であって本来俺は関係ない。ただ『お使い』を頼んだ奴らは10人もいてどう見ても人手が足りないと思ったから手伝いに来たのだ。それに自分達は出さずに人に金を出させるなんていくら何でも度がすぎている。こんなの実質カツアゲみたいなもんだろーが。
あと、二人に付いて来た理由は別に正義感からではなく単に不快だったからにすぎなかったりする。
「まぁあれだ、暇だったし…」
などと言ってみると二人は俺を見てニヤニヤしだす。
「…○○っていい奴よなぁ」
「本当にな、攻略組なのに」
「攻略組って言っても俺はリタイヤしたから立場なんてお前らとあんまり変わんねーよ」
この学校は一部の人達を除いてSAOでの命がけを美化する奴らが多い。迷惑な事にまるで戦争から帰ってきたような気分で周辺に対してでかい態度をとっている。あげくに縮こまっていた人達を生きている価値はないと見下してこの二人のようにこき使うから気分が悪い。こんなにも攻略組で意識の差があるとは思わなかったから一緒にされないように普段から連中と距離をとっている。
こういう事はよくないのは分かっているが現状をどうにかする手がないのでどうしようもない。マジでどうすりゃいいんだか。
「…いっそこのコーラを無茶苦茶振ってリベンジでもするか?」
「それやったら洒落にならんからやめろって」
「だな、平和が一番だよ」
平和とか言ってる世紀末モヒカンがいる。平和はいいがお前が言っても説得力が全く感じないのは見た目のせいだろうか。
「…平和、か」
この学校が平和かそうでないかとどっちかと言われたら…、まぁ、平和だと思う。エグイ所と比べたら実際ギリギリのところで秩序を保っている感じなんだが。
それというのもこの二人のように受け入れている(諦めている)人が多いからか、最悪な展開だけはいまのところは起こっていない。今のところはな。
「…ま、俺も平和が一番だけどな」
二人に同意しながらボタンを押す。桃ジュースを取り出して二人は俺から缶をいくつも受け取ろうとする。すると金髪君の手が止まり、何故か缶を受け取らず東の方に視線を向けていた。何か気になるようなものでもあるのだろうか。
「どうした?」
「あ、いや…、アスナさん綺麗だなーって」
「へ?」
金髪君の視線を追うとその先に結城さんがいた…、桐ケ谷と一緒に。談笑しながら腕を組んで二人仲良く一緒に校内を歩いてる。非常に珍しい光景だった。
あの男女は誰もが認めるラブラブカップルなのは間違いないが校内であんな風にベタベタするのは今まであまり見かけなかった。ないとは言い切れないが基本的に周りの目を気にしたプラトニックな付き合いをしていたからである。
「アスナさんの胸触りてぇ」
などと羨まし気に金髪君が呟く。
お互いの肩がくっついてる状態で結城さんのおっぱいが腕に当たっているというのに桐ケ谷の顔からは照れも嬉しさも無く、まるでそれが当たり前のような涼しい顔をしていた。
俺は違うがその様子を見て普通の男なら羨ましがるか桐ケ谷に対して呪詛を吐くかするだろう。現に俺の隣にいる二人はそうだし。
こう言っちゃなんだが桐ケ谷は学校中の殆どの人達からは嫌われている。別に周りに結城さんを含む女の子がいてハーレム築いてるたらしだからではないが…、いや、それも理由の一つになるのか。英雄色を好んでもハーレムって賛同を得にくいからな。
俺から見た桐ケ谷という男は基本的に上から目線で人と接している。まるで人を小馬鹿にするような接し方は喧嘩を売っているのかと思うぐらいに。
ただ結城さんから聞いたがこれは別に桐ケ谷が相手を見下したり喧嘩を売ったりしてるとかではなくこれがあいつのデフォルトらしい。あのインテリぶったイラっと来る論理的な語り口調が素だとは思わなかった。これに関しては本人に悪気があったり相手をイライラさせるつもりなど全く無い。本人も直そうとしているらしいがこれが中々治らないそうだ。…俺が言える事ではないが結城さん達以外の知り合いが少ないのもなんとなく頷けるよ。
『黒の剣士』。彼はそう呼ばれている。
桐ケ谷は強い。その強さがあって事件を解決し、英雄として称えられるのも納得は出来る。チーターなんて言われる事も多いが俺から見てもキリトは…、紛れもなく天才だった。天才故のあの強さ…、あくまでゲーム限定の話だがな。あとパソコン関連の話とかには結構な知識があるらしい。…改めて桐ケ谷はゲーマーとしての必要な才能は十分身に付いてるんだよな。ただ残念なのは自分を天才や特別な人間と思わずあくまで他と変わらない普通の人と思い込んでるところだった。
これが謙遜ではなく本気で思っているから嫌われる理由の一つだったりする。別にそう考えるのが悪い訳じゃない。普通にすればそれで問題は無かったがあいつの『俺にも出来たんだからお前らにだって出来る』感が正直俺でも駄目だった。
やってないし聞いただけなのだがALOだと得意の二刀流を封印しているらしい。理由は分からないが彼は何故か二刀流をやりたがらない。まぁ、それすら強者の余裕として見られているから周りからはムカつかれるが。
あとは…、価値観の違いに関してか。
「…戦う、か」
遠くにいる桐ケ谷達を眺めながらぼそりと呟く。
戦えない人間なんかいないと彼は言った。戦うか、戦わないか、その選択があるだけとも。
俺は昔…、その考え方は傲慢だと思った。…いや、今もか。
あの時は極限状態の中で戦わないと生き残れないのは分かっている。戦う以外の道が無いのだって分かっている。生き延びて、そして現実に帰る…、その為には戦うしかない…、それは分かっている。
だけど…。
意思があっても、覚悟があっても、勇気があっても、夢や、思いが、力があっても戦えない人間は確かに存在する。それは…、『壊れた』人間なんだ。
壊れた人間は純粋な弱者なんだ。正気を失い、信頼を踏みにじられ、他者を信用出来ず、精神を病んで、心が壊れて…。PTSDになるまで戦おうとした人たちだっていた。もう戦えないのにそれは「戦わない」だけで決めつけないで欲しかった。
桐ケ谷は天才であり強者であるが故に弱者の気持ちが分からない気がする。大多数の人達が彼を苦手や嫌っている理由はこれだったりするのだ。
いい奴ではあるし俺が知らないだけで彼にもいいところがいっぱいあるのかも知れない…、そうでなければ結城さんが惚れて彼の傍に居続ける理由なんてないしな。
「久しぶりに見たけどやっぱ綺麗だよなぁ…」
「あぁ、俺もあんな彼女欲しい…」
恋人とかは今は考えてないが結城さんが綺麗なのは同意だ。
ここからでは聞こえないが結城さんは彼氏である桐ケ谷と楽しそうに笑っていた。その様子を見て俺は思わず頬をひくつかせる。別にこれは嫉妬ではない。ただ呆れているだけだ。だって信じられるか? 今はあんな風に彼氏とイチャイチャしている結城さんだが昨日は夜遅くまで俺とセックスしていたんだぜ? いや、一昨日もか。ていうか毎日か。
俺と結城さんがセックスする期間にとうとう隙間が無くなった。最初は週に3~4回ぐらいのペースだったのに丸々一週間もやるようになった。マジで底なしの性欲だよあの人は…。そしてそれに付いていける俺っていったい何なんだ…。
俺といる時の結城さんと彼氏と一緒にいる時の彼女は顔は一緒なのに何故かその存在が結びつかなかった。まるでリアルに二重人格者みたいで戸惑う。
ふと、その結城さんだがまるで熱さを感じない涼しげな表情をして歩いてる。…こちらへ向かって。
「うおっ、やっべこっち来た!」
「め、目を合わせるなっ、知らんぷりしろっ」
クラスメイト二人が缶を抱えたままその場から動かず桐ケ谷達に対して背を向けた格好で停止する。二人がビビるのも無理もない。桐ケ谷と結城さんはこの学校内だとカースト序列を通り越して神の様なポジションにいやがるからな。本人達は知らないだろうけど。
特に桐ケ谷は存在自体が怖いから皆は彼を避ける。逆に結城さんは高根の花すぎてお近づきになりづらいところがあった。結果この二人が一緒に歩いてるだけで道が勝手に空くし誰も近づきたがらないのだ。なお俺は耐性がもう付いてるので平気だがここでは俺と結城さんは喋った事も無い赤の他人という事になっているので俺は二人に合わせて同じよう背を向いた。
近づく音が聞こえる。さっきまで喋っていたのに今は無言だ。一体何の用があってこっちに来たのだろうか?
「何飲む?」
「オレンジがいいかな」
ああそっちか。
俺達の直ぐ後ろに結城さん達がいる。どうやら俺らにではなく自販機に用があって来たようだ。クラスメイト二人は俺の正面にいるのだが背を向いても緊張している様子が分かる。結城さんが近くにいるからな。
「…っ!?」
それは突然だった。
いきなりお尻が触られる感覚があった。まるで形を確かめているような優しくも艶めかしくいやらしい手つきでお尻を撫で回す。十中八九結城さんだろうが何やってんだこの人。
時には撫でるだけじゃなく、手に力を込めて尻肉を揉む。何やってんだこの人。
ガタン ゴト。
自販機から缶が落ちた音が聞こえる。その間は結城さんは相変わらず俺の尻を揉みまくっているが。本当何やってんだこの人。
多分だけど桐ケ谷はこちらの様子を見ていないし何も知らない…、と思う。知ってて結城さんに何か命令とかしていたらそれはそれでドン引きなんだがな。
小銭がジャラジャラした音が聞こえる。多分桐ケ谷がジュースか何かをもう一つ買うのだろう。それをチャンスと思ったのか結城さんの手はさらに激しさを増す。
ずっと尻を撫でていた手が今度は指を立てて俺のアナルにグリグリと食い込ませる。これを野外でする結城さんの大胆さよ。すると俺のちんぽが不本意ながらもムクムクと勃起しだす。
…何で俺は野外で結城さんに尻をここまで触られているのだろう。しかも彼氏が直ぐ近くにいるのに。これじゃまるで痴漢電車じゃないか。
俺も結城さんも一切声を出してない。だが触れる程に近くにいるせいか、結城さんの低音量な荒い息が聞こえる。セックスしている時に物欲しそうにしている時の聞き慣れた息遣いだ。
荒くなる息遣いと共にアナルに食い込んでいる指にさらに力が入る。ズボンに穴を開ける勢いでグリグリを続ける。正直勃起していたちんぽが今にも精液を飛び出しそう。
ガタン ゴト。
自販機から缶が落ちたと同時に結城さんの痴漢が止まっていた。
「これでいいか?」
「うん、ありがと♪」
後ろに向いてるからそのようすを窺えないが結城さんがえらく上機嫌だった。それは桐ケ谷と話しているからか、それとも俺に痴漢したからなのか…、果たしてどっちなんだろうか。
特に挨拶もなく二人はこの場を去った。
「ぶはぁ、ビビったぁ」
「あぁ、アスナさんの残り香がするぜ…」
二人が去った事により自由になったモヒカン君と金髪君。どうでもいいけどこの金髪君地味に変態だな。結城さんがいたと思われる場所で金髪君が全力で深呼吸している。
はぁ、やれやれだよ。
「飲み物はとっくに買ったしそろそろ教室に戻ろうぜ」
いい加減手が痺れて来たからな。俺の言葉に素直について来るクラスメイト二人。
「戻るのはいいがお前何で立ってるんだよ…」
モヒカン君が勃起している我が相棒を指摘する。
「気にするな、結城さんが近くにいたから興奮しただけだ」
疼いてる尻に意識を外しつつ自販機の傍を離れて歩き出す。冷たい缶を両手に抱えながら今日の結城さんの行動について考える。
今日の結城さんは本当に何だったんだ?
また欲求不満か?
とりあえず結城さんの尻攻めは強敵でしたね。
カーストうんぬんはオリ設定なのだ。