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あなたにとってゲームとは何か。娯楽、生きがい、はたまた人生の逃避先か。俺の場合は暇つぶしだな。…こう言うとゲームそのものを馬鹿にしているみたいで周りの人たちに何度か睨まれて誤解されたことはあった。だが誓って俺はゲームを馬鹿にしたことなんて一度もない。俺は楽しんだし面白いとも思った。普通にプレイしたり、自分のスコアを最新したり、時にはストーリーに感情移入したり。
平凡なゲーマーながらも俺はゲームが好きだ。……好きだった。好きだったんだ。
…あの日までは。
ソードアートオンライン…、通称SAOと呼ばれるゲームがある。仮想空間をフルダイブで遊ぶ世界初のVRMMORPG。詳細は省くが俺を含む約1万人ものプレイヤーたちは訳の分からないスーパーマッドで滅茶苦茶クレイジーな開発者によってその仮想空間に無理やり閉じ込められたのだ。クリアしないと出られない上に死亡した場合は…、まぁ、現実の体もそのまま死ぬことになるそうだ。VR系のフィクション物語でよくある話、展開、まさか俺自身が現実に体験する日がくるとは夢にも思わなかった。俺の知ってる楽しいゲームと違え。
そのゲームなんだがなんやかんやあってクリアされた。ちなみに詳しい話は知らない。
俺は途中で心を折られて再起不能になっていたからだ。人伝で知ってることといえばなんか噂のキリト達がなんやかんや上手く解決したらしい。
そして何があったのか詳しいことはほぼ分からないまま全てが終わって俺は病院のベッドで目覚めた。リハビリを終えて元の生活に復帰したのだがあの日以来俺はゲームと名のつく物から距離を置くようになった。
勿論全てではないが…、やはりあの事件が俺の中で大きなトラウマとして強く残ったようだった。悲しい。
そのSAO事件に巻き込まれた人間…、主に若い学生中心なんだがそれらを一か所にまとめて同じ学校に通わせるという政府の働きがあった。
現実での2年間ものブランクと命がけのサバイバルを強いられたこともあって正気度がやばいことになってる子たちも多く、卒業までにカウンセリングも兼ねて全力で俺たちの学生生活をサポートをしてくれるそうだ。…同じ学校に通うのは別にいいと思うが俺は政府が単に一人一人の面倒を見るのがいやなだけだから一か所にまとめたのでは? と邪推したりしてる。
まぁ、ないと思うけどね。
前置きが長くなったが今俺はその件の学校の屋上にいる。天気は小雨。時刻11時12分絶賛授業サボり中である。
…誤解のないように言い訳させてもらうが俺は別に好きでサボっている訳ではない。
ただ、今俺のズボンの股間部分が大変恥ずかしいぐらいにもっこりしているから授業に出づらいのだ。ちなみに朝からである。
目が覚めたらいつものように勃起していた俺の自慢(?)の相棒。これもいつものようにスッキリしようとオナニーした。…してみたが何度シコっても精液が出なかった。時間ギリギリまで頑張ってみたが結局一滴も出なかった。ちくしょう。
俺は仕方なくスッキリしないまま朝飯も食わずに家を出た。駅や電車の中は鞄で勃起した股間を隠せるからまだいいが席に着くと分かりやすいぐらいにテントを張っていたから教室を出るしかなかった。あのままじゃクラスのいい笑い者だろうしさすがに嫌すぎる。
ついでにさっきまで俺は屋上でオナニーをしていたがやはり駄目だったよ。正直ちんぽが痛い。
こうなった原因には心当たりはある。昨日の結城さんとのセックスだ。
昨日の今日だし体が興奮冷めやらぬのかもしれない。今日はまだ一度も彼女と会ってないが会えば大変なことになるかもしれない。俺が結城さんを襲わないとも限らないしそうならない為にも一発抜かないといけない。レイパーとか俺には無理だわ。
「…はぁ」
俺は仕方なくズボンのチャックを下ろしてちんぽを再び露出しオナニーを再開する。スマホからオカズを見ていたがこれだけでも普通に興奮する。ていうか冷静に考えたら昨日に続いての野外プレイである。普通に考えたら男子トイレの個室で済ませても良かったのでは? 真っ先に屋上を選択するのってどうよ。
もう何度目かのオナニーを再開したが正直ちんぽがもう痛い。朝から必死にシコっていたからいい加減根本の皮がむくんじゃないかと思う。ローションとか買った方がいいのだろうか。後で帰りに買おう。でもどこで売ってるのだろうか。
……駄目だ。いくらやっても出ねえ。股間が高ぶるのにイケないって相当辛い。
オカズでは駄目なのか。イン●ックスは俺のお気に入りな筈なんだがこれでイケないとはな。この分だと家にある俺の秘蔵コレクションでも駄目なのかもしれない。
一度でも体がセックスを覚えてしまってからまともに性処理が出来ずにいる。まだ一日目なのにな。俺の体どうなっているし。
なんとなくだがセックスすれば収まるんじゃないかと本気で思っている。だが相手がいないんじゃどうしようもない。
「………ふっ」
一瞬結城さんの顔を思い浮かんだが頭を横に振る。
あの時は流されてヤってしまったが冷静に考えて彼女にも何らかの事情はあるはずだ。赤の他人に対して簡単に性行為させるなんて普通じゃ考えられない。
…まぁ、尻軽かとんでもないアバズレだったなら話は変わるがな。でもそれはないと思った。
理由は昨日の最後。行為の後…、彼女は俺から逃げるように電話ボックスを出たからだ。あの様子を見る限り俺とセックスしたことは不測の事態であることは一目瞭然なのだ。多分な。
だから今から土下座でもして一発ヤらせてくれと必死に頼んでもヤらせてくれない可能性は高い。まぁ、実際土下座をしてまで発散したいとは思わんが。…本当に彼女とセックス出来たのは奇跡なんだろうな。一体結城さんの身に何があったし。
ふと、昨日のことを考えると彼女の顔が浮かぶ。…昨日の結城さんマジでエロかったなぁ。今でも思い出す彼女との行為の一部始終。彼女に触られたり、挿入したり、キスしたり。
中でも一番思い出深いのはやはり彼女の膣内に生中出ししたことだろうか。あれは本当に気持ちよかった。理由は分からないがいつものように外に出すと違い中に射精すると快感がいつもより高まっているのをあの時感じた。その度数、約3倍。
正直今からでも入れたい。入れたいが無理だろうな。…結城さん何であんなことしたんだろう。本当に不思議だ。
「あ゛、イグっ!」
気を抜いたところで突然果ててしまった。精液が弧を描くように宙を飛ぶ。オナニーする手をずっと止めていなかったとはいえ結城さんを思い浮かんだら出るのかよ。
昨日ぶりの射精、ようやく一発抜いた。だがまだ勃起が収まらない。
「はぁ、はぁ、…はぁ」
俺の体。結城さんが相手じゃないとまともにオナニーすら出来なくなっているのだろうか。昨日のが激しすぎただけにアレ並みじゃないと満足出来なくなったのかな。だとしたら嫌すぎる。
ただでさえ彼女には運命レベルで結ばれてる彼氏がいるのに結城さんじゃないと満足出来ないとか下手な生殺しよりも最悪である。前々から俺は異性として彼女のことは気にはなっていた…、秘密だが。でも敵わないと思ったから身を引いて諦めたのにまさかここに来て蒸し返すれるとは…。
キーン コーン カーン コーン。
昼休みを告げるチャイムが鳴った。
もう昼飯か、そういえば頭がオナニーのことばかりで朝飯を抜いてたんだよなぁ。めっちゃお腹すいた。勃起も(本当は全然だが)多少収まったしとりあえず食堂行くか。
お肉食べたい
ーーー
ーー
ー
「もう一度確認するけど、昨日のことは本当に誰にも話してないよね?」
何故こんなことになっているのでしょうか。空腹を満たす為にルンルン気分でこれからごはんを食べに行くところだったのに結城さんに捕まったのだ。
今の俺はまるで昭和の鬼刑事に尋問される犯罪者のよう。なおカツ丼は出ない模様。
現在、俺たちは誰も使ってない空き教室にいる。この学校はSAOサバイバーと教員数十人と用務員のおじさん一人しかいない為空き教室がそれなりに沢山ある。その内の一つに連れ込まれて今俺は彼女に睨まれながら尋問されている。
「しゃ、喋ってないから安心して。そもそも初めから誰にも言うつもりはないし…」
「本当に? 信用出来ないわねぇ」
「…そんなこと言われてもなぁ」
俺は申し訳なさそうな顔をしながら苦笑いでぼやいた。
昨日のことは本当に誰にも喋るつもりはない。ゲスなクズ男だったらそれを弱みにして彼女を好き放題しまくってぐへへな展開てんこ盛りでヤりまくったかもしれないが俺はそっちの趣味はないので普通に秘密にする。
というか今日の結城さんからは昨日のサキュバスっぷりがまったく感じない。本当昨日の誘惑は何だったのだろうか。おかげさまで俺の体が大変なことになっているんだよなぁ。まぁ、言わないけど。
「その、本当に秘密にするから心配しないで。…彼氏いるの知ってたし困るの分かりきってたから」
「…ふーん」
ジト目で睨みながら俺の顔を下から覗き込む。その仕草が可愛い。本当なにやっても可愛いなこの人。
「ところでこれなに?」
視線を下ろして俺の股間に人差し指を向けながら見る。俺は思わず顔を逸らして冷や汗をかく。いや、ナニ…、じゃなくてなにと言われましても…。
君とのセックスが忘れられなくてちんぽが中々収まらないんです!
…なんて素直に言ってもいいのだろうか。多分言ったら殴られるんじゃないかな。そういえば彼女の二つ名は閃光だけどパンチもその名の通りだろうか。あえて受けたいと思わないが俺がMならその願望が浮かんだのだろうか。
「…黙ってないでなんか言いなさいよ」
結城さんが困った顔をしながら言う。…こうやって人と会話中に考え事して黙るのは完全に悪い癖だよなぁ。改めないと。
「あー、ごめん。まぁ、これはただの生理現象っつーか欲求不満っていうか」
「ふーん。…欲求不満、ね」
俺の股間を見下ろしながらまるで興味無さげに言う。どうでもいいけど冷たい目で睨まれながら股間を見下ろされるのってなんか興奮する。俺はMじゃないと先ほど言ったがもしかしたら本当にMなのかも知れない。本当にMだったらどうしよう。今日が俺の誕生日? ハッピーバースデーって奴かな?
「…今日、さ」
「ん?」
誰もいない静かな空き教室で結城さんが小さな声でぼそりと呟く。気のせいかその声色は若干迷っているような感じがした。
「キリト君とデートの約束とか、…その、ないんだよね」
気のせいではなく本当に迷っているようだった。頬も若干赤みがかっているし。
「ほらっ、この天気だとさすがに出歩く気分じゃないっていうか…」
迷いながらも、まるで何かを誤魔化すかのように取り繕う。
その先、彼女が何を言おうとしているのかなんとなく予想がついてしまう。一つじゃない、様々な予想がだ。
だが何を予想しようが結局全部同じである。何故ならこれから彼女が何を言おうがそれは彼氏である桐ケ谷に対する明確な裏切り行為だからである。…いや、昨日のセックスも十分それに当てはまるが改めてそれを声に出して宣言するのとではまるで全然違う。いいのかそれで。
「…今日、帰りにホテル行かない? いやじゃなければだけど」
彼女…、結城さんは一体何を考えてるんだ?
俺は結城さんの事が分からないよ…。