今日も今日とて、朝が来る。
犬耳少女の疾風丸(はやてまる)は、キッチンで朝食の準備に勤しむ。
淡いピンク色のエプロンが、愛らしい子犬に良く似合う。
そのエプロン越しに見て取れるボディラインは、至って正常。
先日の下腹部の膨らみは、すっかり元に戻っていた。
良く食べ、良く動く疾風丸は健康優良児。
「管理人」に盛られた贅沢な肉も、全て燃焼してしまった様である。
「…あとは火が通るのを待つだけわぅねー。あるじどのを起こしてくるわぅん!」
エプロンを脱いで椅子に引っ掛けると、疾風丸の言う「あるじどの」である澤村鰆(さわら)を起こす為、部屋まで駆けて行く。
ドタドタドタドタ…
「わうっ!しまったわうぅ…そーっと、そーっとわう…」
スススス…
「失礼しますわうぅ…」
カララ…
先日、「ドタドタ」と走り、「タァーン!」と襖を開けた疾風丸は、鰆に怒られた。
いや、怒られたのだろうか…?
「ハヤテ、俺の部屋の周りで大きな音を立てるとその…面倒な事になるから、静かに…ね?」
「…ふぃ?」
とにもかくにも、「あるじどの」の命を守る疾風丸であった。
すぅ……すかー……すぅ……
寝息を立て、グッスリと眠っている鰆の寝床に静かに近付く。
「あるじどの、ごはん………ふぃ?」
小声で鰆を起こそうとした時…疾風丸の視線に、ふと「何か」が映る。
「それ」は青いタオルケットを力強く押し上げ、その存在を誇示しているようだった。
「……?」
好奇心を刺激された疾風丸が、タオルケットを捲る。
その下にある鰆のトランクスも、また同様に押し上げられている。
…少年の頃会いを過ぎれば、大抵の男性が経験する朝の「例のアレ」である。
しかし、それを知らない疾風丸は…珍しくて仕方が無い。
「わふぅ…」
しげしげと眺めていると、「ぱんつの尻尾穴」(だと疾風丸は勘違いしている)のボタンが外れて、半分口を開けている事に気付く。
「おー…閉めた方が、いいわぅか?」
ボタンを閉じようと指をかけたその時…
ビンッ!
鰆の相棒が社会の窓の拘束から解放され、天を仰ぐ。
「わふっ!!」
ビックリして声を上げそうになる。
どうにか堪えた疾風丸は、「しぃー…」と唇に人差し指を当て、鰆を見る。
どうやら鰆は、目を覚ましてはいない様だ。
「…ふぅ」
一心地付いたのか、再び鰆の相棒を見つめる。
「これ…何わぅう?」
先日、この相棒で散々突かれたのだが…疾風丸は意識があやふやだった上に、そもそも鰆の顔しか見ていなかった。
交尾をする夢を見ていても、その辺りはよく分かっていなかった様である。
鰆が寝息を立てる度にゆらゆらと揺れる相棒。
犬の習性がそうさせるのか、どうにも匂いが気になるご様子。
疾風丸は、鼻先を近付けて匂いを嗅いでみる。
すんすん…すんすん…
…疾風丸の好きな「あるじどの」の匂い…だけどいつものと少し違う。
ちょっと生臭いけど、つい嗅いでしまう…妙に習慣性のある匂い。
「わふ…♡」
匂いを嗅ぐのは満足したのか、今度は舌先で相棒を舐めてみる。
ちゅ…ぺろ…ぺろぺろ…
「ふに…わぅん…ヘンな味わぅ…」
「…あふ……ん?」
鰆は、下腹部に妙な温もりを感じて、目が覚める。
眼鏡を掛けてはいないので、視界はややボヤけている。
目を凝らすと…そこには、自分の相棒をチロチロと嘗め回す疾風丸が映っている。
「は、ハヤテ!?」
「あるじどの、おはようございますわぅ!」
「えと…何をしてるのかな?」
眼鏡を手繰り寄せ、掛ける。
視界がクリアになり、自分の相棒の鈴口を舐める疾風丸もまた…鮮明になる。
「えーっとぉ、あるじどののそーせーじみたいのををぺろぺろしてましたわぅ♪」
「……楽しい?」
シチュエーション的には美味しいはずなのだが、鰆の脳はまだアイドリング状態である。
完全に覚醒していないせいか、性欲より先に疑問が沸いた。
「はいわぅ!」
「そっかぁー…」
寝ぼけ顔の鰆に、疾風丸はにこやかに元気よく答える。
こんな明るい笑顔の純粋な犬耳少女が…自分の眠っている間に相棒を嘗め回していた。
ようやく鰆の脳が働きだし、今置かれてる状況の美味しさが飲み込めて来る。
「朝から元気が湧いてくるな!」
…あまり人様に誇れない方向の元気ではあるが。
「んー…ハヤテばかりズルいなぁ」
「ふぃ?」
「そうだな…じゃあハヤテはそれを好きにしていいから、俺にはハヤテの可愛いお尻、見せてよ」
「わふ?はいです!これでいいわぅ?」
疾風丸は鰆の上に四つん這いになって覆い被さる。
「ふむ…眼福!」
鰆の視界はフリフリと揺れる尻尾と、小ぶりなヒップを包むホットパンツで独占される。
こちらからは見えないが、疾風丸はまだ相棒を眺めたり匂いを嗅いでいる様だ。
ホットパンツは、疾風丸の手によってカスタマイズされていた。
尾てい骨下部を大きく開いて尻尾穴を作り、穴の上部にはスナップボタンを先端に縫い付けた細い帯が付けてある。
プチッ
ボタンを外して尻尾穴を開き、するりとホットパンツを降ろす。
すると…白地にピンクの星がプリントされている女児ショーツが顔を出す。
この女児ショーツも背面を大きくカットして、尻尾が通る工夫が凝らされていた。
疾風丸のお尻を包みこむ、ふわふわの愛らしい女児ショーツ…それは確かに、ただの布である。
(だが何という布であろうか!)
中央の窪みに顔を埋め頬擦りし、コットン100%の肌触りを堪能する鰆。
相棒はますます元気になり、更に疾風丸の興味を引く。
「あるじどの!おっきくなったわうぅ!」
「ふふふ…お口の中に入れてごらん?…噛んじゃダメだよ?」
(まぁ、ヤっちゃう事考えたらフェラぐらいなら…いいよな?無知シチュ…になるのかコレ?)
「わかったわぅ!あーん…」
しゅううぅぅぅ!!
「わふ!?お鍋かけっぱなしだったわぅ!!」
ヒョイと立ち上がり、慌ててホットパンツを履き直すと、疾風丸は慌ててキッチンへ向かう。
「あるじどのー!ご飯わぅよー!早く来るわう!」
「………」
一人取り残され、臨戦態勢の相棒を寂しそうに見つめる鰆だった。
疾風丸と二人で朝食をとる。
楽しく癒される一時である。
…相棒だけはいまだ不満を訴える様にズボンの下で主張してはいるが。
洗い物をする疾風丸の鼻歌を聞きながら、新聞を広げる。
どの記事を見ていても…相変わらず世の中ロクでもない事ばかりである。
(それに比べて、俺は何と幸せなんだろう…)
「無職になった」という不安要素があるにはあるのだが…
(ま、それはあの狐が何とかしてくれるだろう…多分)
鼻歌に合わせて揺れる尻尾を見ていたら、どうでもよくなった。
いつもの様に疾風丸と風呂に入り、昼食を済ませ、またゴロゴロする。
TVの前に陣取って胡坐をかくと、その隙間にスポっと疾風丸が収まる。
時代劇の再放送を見る時は、大体この構図となる。
「疾風丸は時代劇が好きだなぁ」
何気なく言った一言だった。
「はいわぅ!…何か、以前も見てた気が…ふぃ?」
「…ん?」
「んー…何でもないわうぅ」
時代劇を見終わると丁度十六時、疾風丸の目蓋が重くなってくる頃合いだ。
「ハヤテ…そろそろお眠?」
「わふ…はいわぅ……おやすみです、あるじどのぉ…」
ヒョイと疾風丸を持ち上げて、仏間へ連れて行く。
布団で眠りに落ちる疾風丸を眺めながら、鰆もいつしかウトウトし始める…。
仏間の柱時計が十九時を指す頃、鰆は目を覚ます。
隣で寝ていたはずの疾風丸は…寝相が悪かったのか遠ざかる様に転がっていた。
疾風丸を布団の真ん中へ戻してやると、静かに仏間から退出する。
鰆は、リビングで軽く夕飯を取る事にした。
夕食を「軽く」取る様になったのは、つい最近の事である。
猫耳少女の息吹(いぶき)が鰆の部屋で何かを食べていると、つい付き合いで一緒に摘んでしまうからだ。
「この前なんか、夜中にいきなり「ピザ食べたい!」って大騒ぎしたもんなぁ…」
クスリ思い出し笑いをしながら、自室へ向かう。
(今日は何をしているやら…)
カララ…
「んナ?…うーす」
「なんだ、今夜も裸なのか?」
息吹は、鰆の布団で寝転がりながらマンガを読んでいた。
白い肌に腰まで伸びた黒髪のストレート、形のよいヒップから伸びた三毛斑の尻尾が、退屈そうに揺れている。
「アタシら基本裸ナー」
「それはそれは素晴らしい文化だな」
息吹の傍に腰掛けて、ひくひくと動く三毛斑の猫耳を眺める。
(やっぱネコミミは動いてナンボだよなぁ…愛らしい)
「ねーねー、何でエロ同人のネコミミってみんな貧乳ナー?」
ぼんやりと猫耳を愛でていたら、突如想定外の問いが飛んで来た。
「は!?…いや、俺に聞かれても困るんだけど」
「ネコミミ好きはアンタみたいなロリコン野郎ばかりで…ちっパイでないと抜けないから?」
その上、唐突に罵倒された鰆であった。
「イブ…お前なぁ…」
「ナー?」
「俺はな、大きいのも…小さいのも…好きだよ。それぞれにそれぞれの良さがあるのがいいんじゃないか」
「あぁ、節操ナシって事かナ♡」
(端的に言えばそうではあるんだが…言い方!)
残念ながら反論は…思い浮かばなかった。
「ったく…少しは片付けろよ、俺の部屋なんだぞ、ここ」
本棚の周りには、中途半端にまとめて平積みしてあるマンガが散らばっていた。
「うわ…巻数の順番もグチャグチャじゃねーか。三巻どこだ?」
鰆は四つん這いになり、息吹の散らかしたマンガの単行本を片付け始める。
鰆一人で暮らしていた頃も、そう整頓されていた訳ではない。
だが…自分以外の誰かが散らかすと気になるのだろうか?
「……」
マンガを読んでいた息吹が、片付けを始めた鰆の後ろ姿をじっと眺めていた。
(アタシ…お尻いじられるの……好き…みたいなんだけど、鰆はどうなんだろう?)
自分とは異なり、尻尾の生えていないトランクスを凝視する。
(鰆はアタシだけ変態みたいな言い方するけどナー…そんな、事ないよね?)
黙々と片付けている為か、息吹が凝視している事にはまだ気付かない。
(大体鰆だってさぁ、本当は好きなのを隠してるだけなんじゃないかナー?)
いつも鰆に奉仕させてばかりの息吹は、鰆の後ろを舐めるとどんな反応をするかは見た事が無い。
(んふ…ちょっと面白いかもナ♡)
息吹が微笑む…かなり邪悪な笑い方だが。
(静かに…コッソリ……そーっと、そーっと)
消音歩行は猫の十八番。
…猫耳の息吹に肉球は付いていないのだが、そこは雰囲気である
鰆の背後に回り、一気にトランクスに手をかけて…引き降ろす。
「お、おぃ!イブ!な…何すんだよ!!」
「これからちょっと実験ナー♡…動かないでね?」
トランクスを剥かれ、丸出しになった尻を掴むと…息吹は躊躇なく菊門に唇を付け、舐め始める。
ちゅぷ…ちゅ…ちむ……
エアコンの稼働音しかしない部屋の中に、鰆の背徳心を煽る音が響く。
「バカ!イブ…ぅあ……汚いか…ん……汚いから止め……」
「ホントに汚いナー…なんかくすんでるし…もじゃもじゃだしー…汚ーい♡」
鰆の尻を少し持ち上げ、電灯の明かりの元に息吹の涎にまみれた菊門を晒す。
「汚いんなら止め…コラ!イブ!!」
「かわいそーなイブちゃんは…変態の鰆に…強制的にお尻を舐めさせられるのでした…くすん♡」
ちゅっ♡
鰆の菊門に軽くキスをし、穴の縁に舌先を沿わせる。
ザラザラした紅い舌の腹が、鰆の菊門を何度も往復した。
「…舐めさせてないって!どうしたんだよ…うっ!……一体!?」
突然の息吹の行為に戸惑うが…(見た目は)可憐な猫耳美少女が、自分の不浄な部位を舐めていると思うと…相棒が猛り、収まらない。
「んー…鰆ってばさぁ、いつもいつもアタシがお尻で感じてると変態扱いするじゃない?」
「別に変態扱いは…」
(あれ?したかな…したかも…)
「だからさ、鰆も同じ事をされてみれば分かるんじゃないかナ?…と思ってやってみたんだけど…こりゃ凄いナー♡」
鰆の股座に手を入れて、相棒が滴らせる先走りを指で絡めとり、糸を引かせて遊ぶ息吹。
「い、いや、その気持ちいいんじゃなくてな…その…」
よもや「猫耳美少女に自分の汚い部分を舐められながら、しげしげと観察される」事に相棒が大興奮してるとは言えず…口ごもる。
「こんだけガッチガチになるんだもん、やっぱお尻気持ちいいんだよナ♡アタシがヘンじゃないって証明されたナー♡」
息吹は勝手に「ウンウン」と頷きながら納得し、唐突に立ち上がる。
「あ、あのぉ…イブ…さん?どちらへ?」
「口の中洗って来るナー。アタシは嫌だって言ったのに鰆が無理矢理ぃ…」
「いや、そういう芝居はいいから!というか、俺の相棒がずっと臨戦態勢で辛いんだけど!?」
「んー…アタシとしちゃ検証は終わったから…もうどうでもいいナー♡一人でシコシコしといてナ♡」
殺生極まりない事を言い放ち、息吹は部屋を後にする。
一人残され、暴発寸前の相棒の先走りをティッシュで拭く鰆の背中は…寂しげであった。
「はぁ…」
刺す様な日差しが無い分ましと言えばましだが、それでも深夜ですらまだまだ暑い。
鰆は庭石に掛けて空を仰ぐ。
星や月を遮る雲はなく、明日もまた…晴れそうだ。
「そりゃ…さ、ケモミミ少女二人家にいるだけで幸せではあるんだよ?でもさぁ…」
視線を下にやると、鰆と同じく空を仰ぎっぱなしの相棒が目に映り、またまた溜息をつく。
なまじ二人と致してしまっている為に、中途半端な状態で二回も放り出されると…辛いものがある。
「おぉ、珍しいトコにおるなぁ」
鰆の真上から、いつもの心労の原因となる声が響いた。
ぽてっ
鰆の頭の上に着地した管理人(管理「人」とは言うが、狐100%である)は、そのまま隣の庭石へ飛び移った。
「何や、今夜は一人かいな?」
「そんな夜もあるよ…っと」
ボチャッ
庭の古池に小石を投げ込み、そうボヤく鰆であった。
チラリと目だけ向けると、視界の端でふわりふわりと狐のもふもふした尻尾が揺れている。
そんな尻尾を見ながら、鰆が口を開いた。
「ねぇ、きつね…じゃなくて管理人。なんで俺、急にこんなに恵まれたんだ?」
「そりゃまぁ、ワシのミスで…」
「ホントにそれだけか?確かに今までの俺の人生、幸せではなかったけど…不幸でもなかった」
「まー結論だけで言うとプラマイゼロやしなぁ。あぁ、そういやお前さんの事調べてみたんやったわ」
鰆は嫌な事を思い出して、あからさまに不機嫌な表情になる。
(そういえばこの狐には…俺の趣味や性癖全部筒抜けなんだよなぁ)
「で、調べた結果何が分かったんだ?」
「そう警戒せんでええって。別に妙な事ぁしとらんから」
「ホントかねぇ…?」
「いやな…ワシの管轄してた部署を未処理で通るって結構マズいから慌てて調べたんよ」
「はぁ…」
「そしたら…そんな酷い状態の割には、お前さん案外普通に育って凄いモンやなって感心したわ」
「ひ、酷い状態?」
「まー…普通なら、途中で首括る人生やな♡」
ぎゅうう…
「コラ!尻尾引っ張るなや!!抜けてまうがな!」
「…俺としては、可能なら動物愛護団体から苦情が来る様な目に合わせたいんだけど?」
「何カリカリしとるんや…ははーん、そんなに「お預け」二連発が効いたんか?」
ピクッ!
以前、目の前にいる狐の様な管理人の言ったセリフが、鰆の頭を過ぎった。
『お前さんはエロゲーで言ったら「主人公」、んでワシは「プレイヤー」なんやで?』
「まさか…管理人?」
「な、何や?」
「…その「お預け」に関して聞きたいんだが…もしかしてお前の仕業か?」
ジロリと管理人を睨み付ける。
「いやー…ホラ!な?いつもある幸せを再認識しよ思たらな、その…やっぱさぁ…?」
管理人の目が泳ぎ始める。
狐の首根っこを捕まえて鰆の膝の上に置くと、頬をがっしと掴んで顔をこちらを向けさせた。
「…こゃーん?」
「可愛く鳴いても誤魔化されんわ!」
「せやからぁ…ちょいとしたお茶目やて…おぅ♡こ、コレは……!」
腹部辺りから急に艶かしい嬌声が上がり、驚く鰆。
「な、何だよ?誤魔化そうったってそうは…」
「堪忍なぁ鰆…そりゃ怒るわなぁ。こないにチンポがイライラしてりゃなぁ…ニヒヒヒヒ♡」
ふに…ふにふに…
鰆の「ご機嫌斜めな相棒」を、ふにふにと楽しげに前脚の先で体重を掛ける。
「誤魔化すなよ!つーか俺の股間を踏み踏みするんじゃねぇ!」
ムキになって前脚を払いのける鰆の耳元へ、管理人はマズルを近付け…そっと呟く。
「鰆のビンビンのチンポ…ワシがスッキリさせたろか?」
「はぁ!?」
「いや…な?ナマのチンポってヤツを触ってたら興奮してきたんよ」
管理人は、前脚同士を添えて挟み込む様に鰆の相棒の硬さを愉しんでいる。
「いい加減に…!」
「まーまー、落ち着きや。な?」
管理人が左耳をピクピクっと動かすと…鰆の尻が急にヒンヤリとしてきた。
「!?」
何事かと目線を下げると、穿いていたハズのバミューダパンツと、その下に履いていたトランクスが……「無い」
急に解放感を感じる相棒に、サラサラの体毛と湿った鼻先が触れる。
「お前さんあんまし体臭せぇへんなぁ…まぁエエわ。それでもこのサイズと硬さは期待大やでェ♡」
「…え?」
実は鰆は成人男性の平均水準…もしくはやや下回るサイズの相棒ではあるのだが…狐の視線からすれば大きいらしい。
管理人が嬉しそうに頬擦りする度に体毛が相棒の雁首を撫で、思わず仰け反りそうになる。
「や、止めろって!俺は獣姦するつもりも、野郎とするつもりもない!」
「しっつれーなやっちゃなぁ…」
管理人は鰆の膝上で器用にターンし、眼前に尻を突き付ける。
「…ワシ、雌やで?」
「まままマジか!?…いや違うそうじゃない!大体それでも獣姦じゃないか!!」
「ホンマ注文の多いやっちゃなぁ…こないにビンビンにしとるクセに♡」
ふに…ふにふに♡
魅惑の肉球で相棒を摩りながら、嬉しそうに笑う…いや、ニヤける。
「ハァ…しゃーないなぁ。ほな、ちょいと難易度下げたるか。」
名残惜しそうに鰆の相棒から前脚を離すと、膝上から一気に空中へと舞う。
例の光の輪を潜り抜け、クルリと宙返りして…輪の中の光を纏う。
ポカンと見守る鰆の眼前には、着地ポーズを華麗に決める人影があった。
「お前…そ、ソレ……」
「どや、愛らしかろーて♡」
管理人は「二足歩行」で鰆の元に歩いて来る。
その風貌は…ホラー映画でお馴染みの「狼男」と言えばよいだろうか?
異なるのは「狐女」である事と、体長約100cm程である事だ。
(性格はともかく)容姿は愛らしい狐なので、異形の厳つさは感じられない。
「今持っとる手持ちの義体やと…コレが一番人間っぽいと思うで?」
管理人が鰆の膝に腰掛け直すと、またもや相棒にちょっかいを出し始める。
先程よりは幾分か人の手に近づいた前脚、もとい両手。
それを器用に操り、鰆の相棒を握りしめたり擦ったり…飽きる様子は無さそうだ。
「このカッコなら問題ないやろ?鰆のチンポも「挿れたい挿れたいー♡」言うとるで?」
「言ってない!だからぁ…そういう問題じゃなくてだな…」
口で何と言おうと、触れられる度に硬くなる相棒を恨めしく思う鰆であった。
「それに、や。…ワシの事、いけ好かんのやろ?」
管理人が耳元で囁く。
言葉を発する度に、頬にサラサラの体毛が触れてゾクゾクする。
「…ええんやで。ワシの事強引に好き放題に犯しても♡その太いチンコでワシのマンコの中ゴリゴリ突いても…」
「何でそうなるんだよ…」
鰆には、女性を乱暴に犯す趣味は無い。
「せやけどなぁ…いっつも尻に敷かれたりとかイチャラブばかりとか…プレイが偏るとすぐに倦怠期来てまうで?」
(…やっぱり筒抜けになってんじゃねーか!)
「あぁ、でも乱暴に犯すなんて出来んかもなぁ♡いつもヘタレで、つい最近まで童貞だった鰆ちゃんに♡」
管理人は、鰆の眼前で揶揄う様に…そして誘う様にふさふさの尻尾を揺らす。
「……」
鰆に女性を乱暴に犯す趣味はない。
…が、狐は例外になりそうだ。
朝からずっとお預けを強要されていた相棒と、ここ暫く振り回されっぱなしでやり場の無い怒りが…鰆の頭の中で手を組んだ。
鰆が管理人の人で言う膝裏に当たる部分をグッと握りこみ、身体ごと持ち上げて自由を奪う。
「いい加減にしろよ!俺だって…怒るんだからな!!」
(計画通り…!やな♡)
そのまま管理人を抱き込む様にして、乱暴に相棒をねじ込む。
ぎち…ぐぐぅ…
毛皮から顔を出している肉の渓谷はとても狭く、相棒の先端が入る事すら拒絶されて弾かれる。
先程から発情しっぱなしの管理人は、滴る程濡らしてはいるのだが…やはり体格が全然違う。
鰆はどうにか相棒の先端を押し込み、力任せに押し開けて…奥へ奥へと沈める。
鰆は、最初に疾風丸を犯した時の事を思い出してしまう。
管理人はまだ血こそ出ていないが…相当な苦痛を感じているのではなかろうか?と躊躇う。
「ホラホラ…はァ……もっと奥まで押し込まんと……んぁっ…仕返しにならんで?」
一応まだ悪態はつけるらしい。
しかし…現時点では相棒への締め付け具合は、快楽よりやや苦痛寄りであった。
相手も同じく辛いだけだろう…そう思う鰆は見るに忍びなくなり、慎重に相棒を引き抜こうとする。
「アホ!何で抜くねんな!!」
「ムチャ言うな!裂けちまうぞ!」
「『コレ』ならどう頑張ったって壊れんわい!…んッ……それに壊れても義体や。って、そんな事はどうでもええか」
ゆっくりと体勢を反転させ、鰆にもたれかかる状態になる管理人。
「んっ…コッチの方が…楽に挿いるかも…な♡」
渓谷内の相棒が、ほんの少しだけスムーズに動きだす。
一度円滑に動き出すと、先程の苦痛さは薄れて…相棒への強烈な締付けは鰆の興奮を促すモノへと変わった。
まだ…罪悪感は感じる。
いや、罪悪感があるからこそ興奮するのかもしれないが。
しかし…
「あのなぁ…」
管理人がポツリと呟く。
「…ワシ…もっと滅茶苦茶に……されたいねん!…硬い鰆のチンポでぇ……お願いや…♡」
目を潤ませながら哀願する、狐の獣人。
今迄、理不尽で小憎たらしいだけだった狐が愛らしく見えるから…不思議なものである。
「…知らないからな!」
鰆は管理人と繋がったまま、腰を下ろしていた庭石から草茂る地面に降りた。
そして…後背位で管理人を貫く。
組み伏せられた管理人にピストンする度、ふわふわの尻尾が鰆の腹を撫でる。
「ひィン♡…くふ……あハ♡…エエでぇ…んッ!……んあァ♡」
管理人はは甘い声を上げるのだが…
(本当に大丈夫…なんだろうな?)
と、鰆が心配してしまう程に、相棒は強く強く締め上げられる。
少しでも気を抜いたら…すぐにでも放ってしまいそうだ。
「はぁぁあん♡…んっ……まだ…まだ出すなや?…もっと、やで?もっとゴリゴリしてぇ……ふあァン♡」
…どうやら見抜かれていた様だ。
鰆は奥歯を強く噛み、射精をグッと堪える。
管理人が卑猥な喘ぎ声を出すのでそんな感情は湧かないのだが…
絵面的には、鰆が即お縄になってもおかしくない痴態である。
何せ、もし体毛が生えてなければ…傍目には○学生以下を犯している様にしか見えないからだ。
相棒の周りはじゅぶじゅぶと音を立てる程に滴っている。
しかし、見た目からも分かる体格差は大きく、狭さに阻まれて相棒を押すにも引くにも力が必要である。
管理人の嬌声が激しくなり、先走りと愛液が小さな水溜りを作っていた。
「しゅご…すご……ン…!鰆ぁ…さわらァ!!」
「もう無理…ぐっ……流石にもう……ふぐぅあ……あ…やば…」
「出しとくれ♡マンコの中にいっぱ…鰆のチンポミルク…いっぱい……♡♡♡」
ぶびゅびぶるるる!!びゅるる…びゅぶっ!
相棒以外の空きスペースが殆ど存在無い渓谷内で、勢いよく、たっぷりと精を放ち…膣内に叩きつける。
ほぼ密着した肉の隙間から、じゅぶりと黄白い精液が染み出す様に溢れる。
じゅぶる…にゅぽっ……
いつまでも名残惜しそうに相棒を解放しない管理人の渓谷から、強引に引き抜くと…ペタンと尻餅を付く鰆。
「んはっ!…はぁ……はぁ…はぁ…」
なかなか息が整わない。
「ふにゃあ♡…ふぅ…はぁ……んは…」
管理人も同様らしい。
生温い夜風でも、今の二人にはとても心地よく感じた。
ようやく落ち着いた鰆は、庭石の上に掛け直した。
バミューダパンツもトランクスも行方不明のままなので、下半身は全裸のままである。
「……」
…ぴとっ
そんな鰆の足には、俯いたまましがみ付く管理人が居た。
「えぇい!顔赤らめてくっつくなぁ!」
「せやかて…凄かったんやもん……♡」
今迄口を開けば揶揄うか悪態かと言った態度からは信じられない、神妙な態度で管理人が恥ずかしそうに呟く。
「ワシのマンコおかしなってまうか思たわ♡…鰆のチンポがグリグリええトコ当たって…はぅう…♡」
「いや、あのね…?」
「あぁン♡普段の狐のまんま犯されてたらどうなってたやろ♡もっと強引にハメられたら…ワシほんま死んでまうかも♡」
悶絶しながらとんでも無い事を口走り続ける管理人。
「なぁ、鰆ぁ♡も一回、せーへん?一回やったら二回も同じやん、な?な?」
管理人は足では飽き足らないのか、鰆の首にしがみ付いて腰を背中に擦り付けてくる。
「あーもぅ!!」
『…自室にいないと思っていたら…やはりここでしたか』
いつもの光の輪が空中に現れる。
今回は、鴉天狗面を被った人影だけが顔を出した。
「え?」
鴉天狗面の人影が何語を話しているか、鰆には聞き取れなかった。
…そもそも人の世の言語ではないかもしれない。
しかし、鰆の頭にはしっかりと会話の「内容」が浮かぶ。
『何をしているんです…また盛ってたんですか、管理人?』
「う、五月蝿いわい!ワシはコレからずっと鰆とハメハメするんや♡邪魔せんと帰れ!」
シッシッというジェスチャーを行うと、また鰆の背中に抱き付く管理人。
『仕方ないですね…【緊急措置】発動』
鰆がいつも見かけるものよりも随分小振りの光の輪が空中に現れて、狐天狗面の左手に何かが収まった。
それは木槌の様に見えた。
槌の口には「二光専用」の焼印が入っている。
『二光さ…いえ、管理人…失礼』
カキィィィイン!
素早い動きで管理人の後頭部を捕らえた木槌が、澄んだ音を響かせた。
「フギャーー!!」
先程まで小さな狐獣人の姿であった管理人だが…
ぼぅん
マンガの様な煙をあげて元の狐の姿に戻ると、その場でバタリと倒れこんだ。
「ちょ、ちょっと!何したんですか!?」
いくら小憎たらしい相手でも、目の前で知り合いの頭をブン殴られると…流石に慌ててしまう。
『記憶を飛ばしました、貴方と盛っていた記憶を』
話を聞くと、こういう事らしい。
管理人…「二光(にこう)」は、鰆達の言うところの「淫乱」というヤツである。
お気に入りの雄を見つけると、盛り出して延々と交尾をするらしい。
「どこにも好きモノ位いるのでは?」と鰆は聞いてみるが…そうなると二光の「仕事」が滞って仕方が無いという。
一つは、純粋に「仕事」をしなくなる。
もう一つは…相手の寿命を削る程「頑張る」らしい。
その相手の人生、更に…その相手に関係する人間全ての人生の「微調整」を行わなければならくなる…との事。
流石に「寿命に関る」レベルの好きモノとなると…鰆は何も言えなくなる。
『ですから管理人には「貴方は交尾未経験です」という事にしてあります。貴方も、今後はその様に口裏合わせ願います…早死を希望されないのであれば』
「は、はぁ…」
鰆は、先程から気になっている事を聞く事にしてみた。
「…やっぱり、俺も殴られるんですか?」
『管理人の記憶さえ飛ばしてしまえば貴方が何を言っても信じないとは思いますが…ご希望なら「飛ばし」ましょうか?』
「い、いえ、結構です…痛そうだし」
鴉天狗面が狐の管理人「二光」を肩に担ぐと、右指をパチンと鳴らす。
行方不明だった鰆の下着とズボンが…戻ってきた。
「あ!」
今ズボンが戻ったと言う事は…つまり、今の今まで下半身丸裸だったと言う事だ。
相棒をブラブラさせながら話を聞いていた…というマヌケな事態に気付き、鰆は赤面する。
『今の貴方は二匹を囲うので精一杯のご様子…とりあえず今晩の出来事と「二光」の名は忘れて下さい』
「…分かりました」
『管理人がこの様子なので、今後も貴方の苦労は絶えないとは思いますが…それでも「当たり」の人生を引いたのは間違い無いですよ?』
「…へ?」
『それでは…』
いつもの光の輪に一人と一匹…いや二人は消える。
まだまだ暑い風が、鰆の頬を撫でた。
「…とりあえず、三本目のフラグが立つのは回避されたっぽいな」
(助かった様な、ちょっとだけ勿体無い様な…)
喉元過ぎれば何とやら、な鰆であった。
「そのご」は…構想自体はあるのですが。
何せ12年間エタってた実績があります故。
そうか、コレで再開出来たら12年越しのエタりから復帰になるのか…。