BF世界のヤツが自作ガンプラと転生して、コズミック・イラで生きていく話 作:sakitaro
なんとかアルカナを無事に砂地に激突させずに着地させられたアスランだったが、砂地に足をつけた瞬間、モビルスーツが砂に足を取られ、バランスを崩してしまう。
「うっ、!砂に足を……っ、くそ!」
アスランはキーボードを引っ張り出し、必死にOSを組み換え、なんとか立ち上がる。そのまま膝立ちの姿勢になり、ラクスを降ろしたのち、自分も降りる。ラクスと二人、アルカナの方へと駆け出していく。
「ユウヒっ!!」
ラクスがアルカナに触れると、生体認証されていないはずのラクスに反応してハッチが開く。コックピットが下を向いていたため、ユウヒが飛び出して来た。
「コマムラ少尉?!くっ!!」
アスランはコーディネイターらしく驚異的な身体能力でユウヒを受け止めるが、その衝撃で砂地に突っ伏すように倒れてしまう。
「アスラン!?大丈夫ですか?!」
「あ、あぁ……なんとかコマムラ少尉を受け止められたよ……ふぅ」
コマムラ少尉の血と汗に塗れたヘルメットを脱がすと、ユウヒの顔は吐き出した血と汗で酷く汚れていたため、ラクスはユウヒに持たされていた飲み水を顔にかけて手で拭っていく。
「ユウヒ……」
その慈しむような手つきに、アスランも思うところが無かった訳ではないが、それでも……ラクスを彼に託したことを後悔しては居なかった。元々敵軍だった自分の決意を聞き入れ、道まで示してくれたのだ。感謝こそすれ、恨む事など無かった。そもそも、その憎しみの感情が肥大化して起きたのが戦争なのだから。
「息が荒いな……」
アークエンジェルの姿は視認できるものの自分達はもう移動することも出来ない。そう思っていると、アークエンジェルからストライクが出てくるのが見えた。
「キラ……」
自分のことを、どう話そうか。やはりまだ迷い、悩んでばかりのアスランはユウヒに目覚めて欲しいと願いながらも、正直に話すことを決めるのだった。
「アスラン!ラクスさん!ユウヒさんは!!」
「息はありますわ。けれどひどい吐血で、息も荒いです。すぐにアークエンジェルの医務室へ運んであげなければなりません!」
「わかりました!アスラン、ユウヒさんをストライクの手の上へ!ラクスさんも、早く!」
キラはストライクの掌を砂地につけ、三人を掌で持ち上げると、落ちたりしないよう、両手でしっかりと覆いながら急いでアークエンジェルへと戻り、三人をモビルスーツデッキに降ろすと、再び降りてイージスとアルカナを回収する準備を進めるのだった。
────“九話「回想」”────
短期間で、二度も医務室へと運ばれたユウヒは何本もの点滴を打たれた。手術などの本格的な治療はできないものの、やはりコーディネイターの血が成せる業なのか、数日もすれば呼吸も落ち着き、山を越えたと言ってもいい状況となった。
しかもその間、奇跡というべきかザフト軍勢力圏内であるにも関わらず、未だ戦闘は起きていなかった。
……結論から言えば、なぜ敵襲が無かったか、それは降りて来たアークエンジェルを偵察していたバルトフェルドが、アークエンジェルの付近にラクスの姿を見かけたからである。
奪取したという報告が上がっているイージスもなぜかアークエンジェルの付近にあったため
『いやはや、これはこれは。中々面倒なことになっているようだ』
と、ある程度理解したからである。
『なに、どうせレジスタンス組織がアークエンジェルへと擦り寄るのは目に見えているだろう?そうなれば自ずと自分達と邂逅を果たすさ。ならば、その時にラクスたちと相見えればいい』
と、判断したからである。
そして、この束の間の平和で、アスランはマリューたちアークエンジェルクルーに自分の諸事情を説明し、正式にアークエンジェルのクルーとなることが決定した。
ユウヒの目指す“戦争を止める”という未来のために、この船に乗り、ユウヒがどんな選択をして、自分が何を為すべきなのかを見定めたいと説明すれば、コーディネイターが乗り合わせることにもはや批判的な意見が出ることも少なかった。が、ただ一人、フレイだけは非常に反対意見を述べていた。
『父を殺された。コーディネイターに』
その事実はアスランとラクスに重くのし掛かった。こうして憎しみの連鎖は広がっていくのだと……目の前で広がるモノの光景を見つめた。そして、アスランも血のバレンタインで母を失った時、ナチュラルを憎んだ。こうして、終わらない戦いが、無限に続いていく。必要なのは、お互いがお互いを許し合い、認め合い、誰もが一人の人間でしか無いということを自覚することしか無い。そう考えた。それは、遠く長い道のりだろう。しかし、それを為さねばならなかった。
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ザフトからの敵襲も無く、ユウヒが医務室に収容されてから三日が経過した頃。
「はぁ、はぁ、くそ、宇宙に比べたら、やっぱり地上は疲れんな……」
「っ!ユウヒ!!いけません!まだ寝ていないと……!」
苦悶の表情を浮かべ、息も絶え絶えな様子のユウヒがブリッジへと入って来た。あの容体からこれだけ早く復帰した事にも驚きを隠せないが、それよりも、ユウヒの身に、明らかな変化があったのだ。碧色だった筈の瞳が、右目だけだがなぜかより青く変色していた。
「……ラクス?無事でよかった。アスランも、よくやってくれたよ」
「コマムラ少尉!そんな体で無茶を!」
「ユウヒでいい。ザフトに階級で呼ぶ習慣なんかねえだろ?ザフトって一応義勇軍なんだろ?」
「……あ、あぁ。」
ユウヒはオペレーター席にもたれかかる。
「アレからどうなったか、聞かせてくれ」
ユウヒの問いに、それぞれ順番に答え始めた。まずはキラの事である。
キラはユウヒがラクスとしばらく行動を共にしていた時だった。
「そういやキラ。なんで自分が女だってこと隠してるんだ?」
「えっ?いや……その。僕、ずっと両親から女性だってバレちゃダメだって言われて来てたんです。特に、月の幼年学校の時は」
「ふーん、妙な両親も居たもんだな」
ユウヒは何も勘付かないように見せかけたが、なんとなく分かってもいた。原作内においてキラは女性では無く、男性である。作中後半になってから彼は数多の理想の上に作り出されたスーパーコーディネイターであることを知る訳だが、ことこの世界において、彼女は女性である。つまり、子を成すことができるスーパーコーディネイターが誕生してしまった事になる。いや、厳密にいえば、男性でも問題なく子を成すことは出来るだろうが、野心家は男性に多い。優秀な遺伝子を持つ女性を孕ませたいと欲をかく男性が多いだろうことから、キラはより多くの人間からその身柄を求められることだろう。
スーパーコーディネイターから生まれて来た子供は例外なく優秀であり、次世代を担う天才になれるだろうことが確約されるのは想像に難くない。そんなキラを守るため、両親は彼女に「男としての仮面」を取り付けた。誰にも明かさない秘密を持ちながら彼は成長した。しかし、体は次第に女性的になっていくのに、自分の趣味はどこか男性的で、服装も男性的。髪は短くショートヘア。それが彼女にとっての“普通”になっていた。そして、自分の性別を隠すことも。だが……
「妙……ですか?」
「あぁ。別に、女の子に生まれたんだから女の子らしく育ててやれよって思ってさ……。まぁ、キラにもキラの都合があるんだろうし、俺はなんも言わねーけど。いつか、ちゃんと友達に打ち明けてやりなよ。そんなんで友達辞めるような子らじゃないんだろ?」
そう言われたキラは、別に隠す理由も無くなってしまう。しかしそんな時、ユウヒは三機のGに囲まれて孤立奮闘していて、しかもアークエンジェルは彼を置いて先に降下すると言う。なんでも、彼のアルカナには大気圏突入能力があるという話を鵜呑みにしたと言うのだ。居ても立っても居られない、そして、なぜか隠し事をしている自分にも嫌気が差した。
『強くなりたい。ユウヒと肩を並べて戦えるようになりたい』
大気圏降下中のアークエンジェル内で、そんな思いを強くしたキラは、彼やアークエンジェルの面々たちに自分の性別を打ち明けた。中には、もう知ってる、というメンバーもいた。ミリアリアやフレイと言った女性陣である。なんだ、隠している意味なんて無いんだと、ある種吹っ切れたキラは今こうして女性用の軍服に袖を通しているという事だった。
次に、アークエンジェルの状況である。ユウヒを単騎でヴェサリウスへと向かわせた後、アークエンジェルはハルバートン提督率いる第八艦隊と合流。何が起きてもおかしく無いため、即座に補給と、物資の受け渡しを行った。さらに、アークエンジェルに乗り合わせていた民間人たちを救命ポッドに乗せ、一番に地球へと降下させた。問題なく地球へと降下するのを見送った直後、周囲に多数の敵影が出現。やはり、ラクスを引き渡そうが、そうでなかろうが、ザフトはこの船を地球に降ろすつもりは無かったようだ。
しかし、第八艦隊の徹底抗戦と、キラ、ムウの奮戦。そしてなにより、ユウヒが三機のGを引きつけてくれていたことが起因し、アークエンジェルは、降下自体は問題なく行うことができた。しかし、その降下予定位置は大きくズレこんでしまい、こうして北アフリカと言うザフト勢力圏内ど真ん中に降りてしまった、と言う訳である。
「オーケー、こんだけ分かれば十分だ。で、ここは北アフリカ、砂漠の虎……アンドリュー・バルトフェルドが牛耳るザフト勢力圏内ど真ん中。アークエンジェルとしちゃあマズいかもしれんが、ラクスの身の安全で考えればベストな降下位置だな」
「どう言うことだよユウヒ」
それに答えたのはアスランだった。
「現状、ザフトは二つの勢力に二分している状態なんだ。一つは俺の父、パトリック・ザラを筆頭とする強硬派。そしてもう一つがラクスの父、シーゲル・クラインを筆頭とする穏健派だ。バルトフェルド隊長はクライン派に属する人なんだ。逆に、クルーゼ隊長は俺の父、ザラ派に属している。ラクスを引き渡す際、クルーゼ隊とバルトフェルド隊では考え方が違うんだ」
「なるほど……もしかすると、砂漠の虎はあのとき、コマムラ少尉を心配しに走ったラクス嬢を見ていたのかもしれませんね。それで、今の今まで戦端が開かれていない……」
「となりゃあ、こちらから仕掛けるわけにもいかんでしょ。どうにか話し合いの場は作るべきだな」
「ええ。アスランくんの話を信じるなら、砂漠の虎は話のわかる人物のようね……。問題は、どうやって砂漠の虎と接触するかだけれど」
それぞれが砂漠の虎との接触方法を考えているが、ユウヒが呟くように答えを出した。
「待ってりゃいいさ。避難民はちゃんと降ろしてるんだろ?提督からの補給も受けてる状態だし、いまはあの時ほど物資の減りも早くないはずだ……。待ってれば動きはある。向こうから話が持ちかけられるか、はたまた別のなにかに起因して砂漠の虎と邂逅する機会に恵まれるか……そんなところだろ」
奇しくも、バルトフェルドとユウヒの考え方は一致していた。違うとすれば、ユウヒは自身のもつ原作知識からの勘。バルトフェルドは、長年この北アフリカを牛耳って来たが故の勘。と言ったところだろう。
「ま、こっちも動けないのは困るが、今は休む時間も必要だしな。ユウヒの言う通り、待ってるのが一番かもな」
「ああ……。んじゃあ俺は医務室に戻るわ……。たぶん怒られちまうんだろうが……結局こうして話さなきゃ意見も固まらなかったろ?てな訳で、悪いアスラン、手ぇ貸してくれ」
「ああ」
「わたくしも行きます」
そうして、ユウヒはアスランに肩を借り、医務室へと戻っていくのだった。ここ最近、ユウヒに頼り切りになっていることを自覚し始めたアークエンジェルクルーは、自分達もしっかりしないと……と気を引き締めるのだった。
活動報告にあげてます。もしあるようであれば、他のキャラのこんなアレコレも見たい!など、気軽にコメント残していってくれると、作者的にも助かります。
全年齢向け版も書いたほうがいいかな?こっちは☆つきオンリー的な感じで()
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分けよう!
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このまま!
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めんどくさくないなら分けて!
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絶対分けるな!