BF世界のヤツが自作ガンプラと転生して、コズミック・イラで生きていく話 作:sakitaro
その日の夜。アークエンジェル内は俄かに騒がしくなる。それもそうだ。アークエンジェルがあまりに動きを見せないため、業を煮やした砂漠の虎が地上用モビルスーツ、バクゥに白旗を掲げさせてアークエンジェルへと接近したのだ。それは良い。俺たち事情を把握している面々についてはこの上なく都合のいい話だからな。だが、やはりやってくれたのは明けの砂漠だ。
『今更白旗なんぞ掲げたって……!!』
そう蛮勇を掲げた明けの砂漠の構成員は、リーダーであるサイーブの静止も聞かずにジープで飛び出し、バズーカで先制攻撃を行ってしまう。その光景をブリッジで見ていた俺も流石に頭を抱えるし、ムウやマリューも呆れてものも言えない状況だった。
「あいつら……!なにやってんだ!白旗出してただろうが!」
「クソッ、仕方がねえか……こうなりゃ出るしかねぇぞ。艦長!デッキにアルカナに白旗つけるように言っといてくれ!俺はラクスに準備させて砂漠の虎と接触する!!」
「ええ!分かったわ!」
俺は宇宙の時ように飛べない事にイライラしながらラクスを探す。どんなバカどもだろうが、全員ぶっ殺されるよりは良い……!
「ラクスッ!!」
「ユウヒ!!」
ラクスも話を聞いたのか、俺を探していたかのように俺の部屋から飛び出して来た。
「ユウヒ、話は聞いてますわ。バルトフェルドさんが出て来たのですわよね?」
「ああ。……きちんと別れを済ませる暇もねえけど、今まで助かった。それに、楽しかったぜ、ラクス」
「ええ。私もですわ、ユウヒ。……いつか、本当にいつか……お会いできる日を待ち望んでいます」
「んなもん、俺もだっての。さぁ、急ぐぞ!」
俺はラクスをお姫様抱っこで抱き上げ、そのままアルカナへ向かって全力で走り出す。俺もラクスもパイロットスーツ、ノーマルスーツも着ちゃいないが、俺たちは戦いに出るわけじゃねえからな。
「コマムラ少尉!準備終わってまさぁ!」
俺の姿を見たマードック曹長が手を振って俺にそう叫ぶ。実際、アルカナからは搭乗用のワイヤーが垂れている。最近はもうアルカナのロックをかけることはしていない。データにだけはロックをかけているが、整備は完全に任せている。マードック曹長の腕は確かだからな。
「マードック曹長、助かる!!ラクス、ちゃんと捕まってろよ!」
「はいっ!」
俺はラクスを抱えたままワイヤーにつかまり、ラクスと共にアルカナへと乗り込む。ラクスのことを考えてカタパルトはつかわない。
「ラクスが乗ってるんだ!カタパルトは使えねえ。ハッチだけ開けててくれ!」
「了解です!アルカナ、発進どうぞ!」
「ユウヒ・コマムラ。アルカナ、出撃をする!」
「ふふっ、ラクス・クライン。アルカナ、出撃致しますわ!」
俺に合わせるようにラクスもそう声を上げる。可愛いなぁなんて和んでる場合じゃないが、ラクスのこういう所に癒されるんだよなぁ……
────“十二話「再会の誓い」”────
俺はラクスをしっかり膝の上に乗せてアルカナを歩かせ、アークエンジェルのハッチから飛び降りた。その瞬間、アルカナのフェイズシフトを起動する。あれから、かなりOSの中身を弄り倒してるからか、フェイズシフトの装甲は宇宙での白から、黒へと変貌していた。まるでバンシィだな。
スラスターを吹かせ、可能な限り衝撃がラクスを襲わないように気をつけて着地する。
キラからすでに砂地との設置面のOS修正については聞いているから、問題なく着地することができる。
『明けの砂漠、攻撃をやめろ!!こちらにはザフトと話し合いの場を設ける用意がある。これ以上攻撃を続ける場合、アークエンジェルとの協力関係は無かった物として扱う!!こちら、アークエンジェル所属、ユウヒ・コマムラ少尉!!砂漠の虎……アンドリュー・バルトフェルド殿と話がしたい!!』
俺はアルカナの白旗を掲げる。明けの砂漠はなにかこちらに抗議があるのか、何やら叫んでいるのが見えるが、そんなことを言ってる場合じゃない。ラクスを無事に引き渡さなければ、宇宙に上がった後が全く読めないんだ。
『こちらアンドリュー・バルトフェルド。遅かったじゃないか、連合のパイロットくん。君の話はよく聞いているよ。ナチュラルともコーディネイターとも違う……妙な力を使うそうじゃないか』
『ふん、アンタのお喋り好きって噂は本当らしいな。御託はいい。どうするんだ、一時停戦か、このまま続けるか……!』
『おや、連合のパイロットくんはせっかちのようだ。良いだろう、一時停戦だ。話を聞こうじゃないか』
そうして、あちらのバクゥからバルトフェルドが降りてくる。ダンディなおっさん。いいねぇ、ああ言う男には憧れるぜ。っと、そんなこと言ってる場合じゃねえや。
俺もアルカナのハッチを開き、ラクスを抱きかかえてワイヤーを伝って降りる。
「いやはや、あの日偵察したのは私だがね、まさか彼女のような要人が乗り合わせているとは、目を疑ったよ」
やれやれ。と、そう言いたげなバルトフェルドだが、俺だってやれやれだ。嫌な役目はいつも俺だ。そろそろ嫌になるぜ。
「……敵に何を言うんだと思うかもしれねえが、俺はアンタを頼りにここまで降りに来たんだ」
「ほう?」
「……ご無沙汰しておりますわ、アンドリュー・バルトフェルド隊長」
「ラクス様、よくご無事で……」
「……彼は」
「言わずとも分かりますとも。共に過ごす内に、そう言うこともありましょう。……ふっ、君も随分色男のようだ」
「この顔が色男に見えるものかよ。だが、俺とラクスの関係はアンタの思う通りだ。……だから、彼女を安全にプラントに連れて行ってやれるのはアンタしか居ない……そして、アンタをプラントに帰る理由を作ってやれるのも、な」
「……まるで、全てを読んでいるかのような物言いをする」
「どうだかな。だが、俺としてはアンタに早々にラクスを連れて帰ってもらわねば困る。最初はクルーゼ隊にでも預けようと思ったが、どうにも破滅思考の男にはラクスの思考はお邪魔のようで、な」
「……まったく、奇妙なパイロットくんだな、君は」
「ユウヒだ。覚えとけ。砂漠の虎を墜とす男の名前をな」
「なかなかの自信だが、私も君のような若い子に負けるほど、優しくないつもりだがね」
そう話をしてから、俺もバルトフェルドも互いに話さなくなる。ひとまず、ここまでで良いだろう。
「……茶番はここまでだ。アンタだって気がついてるはずだ。ザラ派の強行手段は日に日に悪化の一途を辿っている。それに、こちらから奪取したG兵器の技術……あちらに利用されれば碌なことにはならねえ。本来なら宇宙で落としておきたかったが、そうもできなくてな」
宇宙でイザークやディアッカを墜とすとどうなるのか、未来が読めなくなる。俺もそんな事態になるのは避けたい。それに、可能なら、あの可哀想な生体CPUの三人組も助けてやりたい。どれだけ短い命であっても、束の間の自由ぐらい与えられたって良いはずだ。戦いのために生み出されて、戦いの中で死ぬ……そんなのってないだろう。それを成すためにも、三隻同盟のメンバーは欠かすこと無く……むしろ、原作よりも多く人手が必要になる。原作ではアイシャの姿は確認できなかったが、アイシャにも生き残ってほしいからな。
「……それで、私やラクス様にプラントに帰ってもらわねば困ると?」
「ああ。戦いの舞台は再び宇宙になる……アンタとラクスにはそっちで待っていてほしい。いつか、俺もこっちで用事を片付けたらそっちに向かう」
「連合を裏切るとでも言いたげだね」
「……元より腐った連合に身を置き続けるつもりはない。俺が願うのは戦争の早期終結だ。そのためにはラクスや貴方の力が必要になる。だが、今のプラントに身を寄せるつもりもない」
「分かった、良いだろう。まさか、私が連合のパイロットくんと芝居をうつことになろうとはな」
「だが、本気で来い。アンタもプラントに帰って妙な容疑などかけられたくは無いだろう?」
「無論だ」
「……そういうことだ。ラクス、あとはバルトフェルドさんとうまくやってくれ。いつか宇宙で会おう」
「ええ、ユウヒ。今は離れてしまうのだとしても、またいつか……貴方と道が交差するその時を待っていますわ」
「ああ。本当なら別れのキスの一つもしていところなんだがな、お預けだ」
「ふふっ、もう、ユウヒったらこんなところでまで」
「いや、君たちそんなレベルまで深い仲なのかね?!」
いや、わからんかったんかい!!心の中でそう突っ込むが、まぁ、普通そうない事だもんな。知り合って一月と経たない男女が、しかも、敵国のパイロットと歌姫なんて。原作のキラとラクスもわりかし奇跡だったんだなぁと思う。
「気付けよにぶちんが。じゃなきゃ、アンタも待ってる女を泣かせることになるぞ」
「ぐっ……」
「ふふっ、バルトフェルドさんも、ユウヒの前では形無しですわね」
「本当に、奇妙なパイロットだよ。ユウヒ・コマムラ」
「アンタほどじゃないさ。じゃあな、ラクス。また会おう」
「ええ、ユウヒ」
そうして、俺は強がるふりをやめた。やっぱりラクスと離れ離れになるのは寂しい。これまでたくさん彼女に救われて来た。これから、俺を救ってくれる人は居ない……救いたいと願っても、無理だろうしな。
そんなことを考えながら、ワイヤーに捕まってアルカナに乗り込む。そのままハッチを閉じて、アルカナを見上げるラクスとバルトフェルドを一瞥し、二人に砂埃を立てないよう、少し離れてからスラスターを吹かせてアークエンジェルへと帰投した。宇宙じゃなくて助かったぜ。……“何も”浮かんでこないからな。
『ユウヒ……愛してます』
「……俺もだよ、ラクス」
聞こえるはずのない声。ニュータイプの感応。……新たな長い触れ合いで、ラクスまで手に入れてしまったんだろうか。それとも、俺の幻聴か……なんでも良い。今の俺が、一番聞きたかった言葉だ。何度伝えても、何度聞かされても、聞き飽きることなんてない。どれだけ時間が経ったって……どんなに離れていたって、ずっと、一緒だ。
「……」
「寂しくなりますか?」
「……ええ。戦争でなければ、彼とずっと一緒に居られたのに……そう思わずにはいられませんわ。っ……わたくし、思ったより……ずっとずっと……彼を……ぐすっ、うぅっ」
──プラントでの生活。歌姫として望まれ、ぶつけられる羨望。応えねばならないというプレッシャー。どんなに辛くとも、涙を流してこなかった少女は、ただ一人身を許した青年と離れ離れになる……その事実一つで涙を流した。彼女にとって、ユウヒ・コマムラという青年はそれだけ大きな物になっていた。それを、自覚した。いや、自覚はしていたのだろう。それを再確認してしまった今、彼女は溢れ出す涙を止められずに居たのだった。
「まったく、罪な男だよ。……ふっ。君も案外、その鉄の箱の中で泣いているのかね?」
バルトフェルドの問いかけは、誰が答えるでもなく、吹き荒ぶ風の中へと、溶けて消えゆくのだった。
アルカナの強化案
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コズミック・イラ寄り(乗り換え)
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コズミック・イラ寄り(強化改修)
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宇宙世紀寄り(ユニコーン系・乗り換え)
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宇宙世紀寄り(ユニコーン系・強化改修)