BF世界のヤツが自作ガンプラと転生して、コズミック・イラで生きていく話 作:sakitaro
「久しいな、ユウヒ……。いや、今は地球軍所属、ユウヒ・コマムラ中尉だったか」
「挨拶なぞそこそこでいいでしょう、ウズミ代表。いくら貴方が許可をしようと、他のオーブの人間は我々がここに滞在することを良く思って居ないはずです。早急に用を済ませてここを出ていくべき立場になります。しかし、我々も補給がなくては出発もままなりません」
「お前は昔から事を急ぎすぎる。なにをそんなに急ぐ?」
ウズミは額に手を当てながら嘆息してオレにそう言う。まるで嘆くような言い方である。オレだって自分が急ぎすぎている事なんてわかっている。だが、裏への手回し根回しをするには時間が足りないからだ。まだ未来がわかる間ぐらいは急いでも構わないだろう。
「為さねばならぬ事が多いので。機体の整備や、モルゲンレーテとの交渉も、ね」
「……わかった。だがひとまずは礼を言う。カガリを無事に連れ戻してくれた事、誠に感謝する」
「あの子は血は繋がっていなくとも妹のようなものです。助けるのは当たり前です。では、私は急ぐのでここで失礼します。艦の事は私には分かりかねますので。艦長、隊長、バジルール少尉、あとは頼みます」
そう言ってオレはその場を後にした。どうにもあの人の事を見ていると、イライラしてくるのは何故なのかな。昔からそうだった気がするよ。
──二十五話『思い出だけを残して』──
「お、おいユウヒ!……ったく、せっかちだねぇ」
そそくさと部屋を出ていくユウヒ。流石に他国の代表に対しての物言いとしては最悪なモノと言える事だが、ウズミも彼の素性を知っている身。そして、オーブの理念を最も嫌っていたのが、ユウヒだった。ウズミはいつでも思い出す。
『綺麗事と言う鎧に身を包み、防衛と言う武器を手に取る事が本当に正しいとお思いですか。中途半端なんですよ、現在の在り方でこの国を守るためには世界に大きな変革を求めなければなりません。そして、大きな変革には犠牲が伴います。それをする覚悟もなく、裏で手を引き秘密裏に国を脅かすものを消す。それの何が平和だと言えるのです?その答えを出せぬままの国で、私は戦い続けるつもりはありません』
その言葉がいつまでも、いつまでも。そうしてこの国を嫌ったユウヒは連合軍へと所属した。彼を知るものの誰もがユウヒを心配し、カガリは何度となく泣いた。しかし、ウズミはこの国を変えられなかった。結局、何の罪もないヘリオポリスをザフトに落とされ、戦いに身を置くことのなかったはずの学生たちに戦いを強いた。何もかも、あの日ユウヒが言った通りだった。そして、そんなオーブの国民を守り、この地へと守り抜けてきたのは、あの場に居合わせたユウヒの力あってのものだった。……誰が責められると言うのか。
「申し訳ございません、ウズミ代表……」
「よい。私はあの子に大きな借りがある身。そうでなくとも、もしカガリがあの子と一緒でなければ、もっとおてんばで融通の効かぬ子になっていたでしょうからな。……して、彼が言うモルゲンレーテとの交渉とは?」
「オーブが開発している新型機のOS開発の手伝いの代わりに、補給と秘密裏に機体の配備を……だそうです」
「恐ろしい子だ。閉塞され、情報の入って来ぬ艦内でどうやって我が国の情報を手に入れたのか……。よし、その条件を飲もう。して、そちらの要望は?」
「それは──」
「──ほう?」
「ユウヒさん!」
「キラか……ん、やっぱり女の子なんだな、少し──髪が伸びたんじゃないか?」
イライラしているのか、していないのか。落ち着かない心を無理やり落ち着けるように、満身創痍、外観だけはすっきりとしているものの、既に関節部は擦り切れて以前よりも隙間が広がっているようにも見える。まだまだ実力不足を痛感するユウヒは、キラに話しかけられて、話を進めながらもそんなことを考えていた。
「え……あ、そうかもしれないですね」
気持ちばかり伸びたかもしれない髪。ユウヒに指摘されたキラは前髪に軽く触れる。その顔はわずかな変化に気づいてくれる彼氏を持った女の子のようである。その表情は喜ばしげであり、頬を薄桃色に染める。
「ご両親には会えたか?」
「はい、おかげさまで。でも、これから私やアスラン抜きでアラスカまで?──いや、ユウヒさんが強いことは分かってます。けど……」
そうキラが話している途中だと言うのにユウヒはキラの頭を雑に撫でつける。およそうら若い少女への対応ではない。
「それでも、それが軍人の役目だ」
ここから先は地獄である。ユウヒはアスランを裏切らせるために工作を働いた人間と捉えられており、それは概ね正しい。次の戦場ではまた盗み出されたG兵器が投入され、アルカナは既に戦える状況ではない。モルゲンレーテが深く関わったストライクは整備を完璧に行えるようだが、アルカナはサイコフレームのあまりの特異性の高さによって、ほぼ整備不可能であり、下手にユウヒ以外の人間によって整備されようものなら機能不全すら起こしかねない。……出来るとするならば、ユウヒと心から深く繋がったラクスに連なる者たちだけだろう。
「……ユウヒさん」
普段なら聞き分けの良いキラも、アークエンジェルがこのオーブを去れば、自分がユウヒのためなら出来ることなど何もないことを分かっている。故に……いや、体裁は不要なのだろう。ユウヒを想うが故に……離れられない。
「どうした、今日はやけに甘えてくる……」
「甘えちゃいけませんか?」
「……」
これがマリューやナタルなら子供ではないのだからと一蹴できたことだが、キラはまだ子供である。本来ならば運命に急かされるように人格形成を急いでいくが、今回はその責任の全てをユウヒが担っている。彼女が子供らしく……いや、素直に年相応の女の子であれたのはユウヒのおかげだと言って良いのかもしれない。キラが戦えずとも、ユウヒとアスランが戦えた。その余裕は艦内でもあっただろう。キラに対する重圧は本来よりも遥かに少なかっただろうことは想像に難くない。
責任を取らされているような気持ちになったユウヒはひとつのため息をこぼしてからキラの耳元でつぶやいた。
「時間は作る。今は少しやらなければならないことがある」
「……夜、連絡します」
キラの言葉にしぶしぶ頷いたおれはその場を後にして久々の自宅へと向かった。既に姉であるミヤビは帰宅しており、彼の帰りを待っていた。
「おかえり。心配したんだけどな、わたし」
「悪かった。無理をした自覚はある」
「ふふっ、変なの。前までのユウヒを知ってるのに、今の話し方をしてるユウヒの方が自然に聞こえる」
「……ユウヒ・コマムラ少尉の時のオレと、ガンプラで戦ってたオレ。その両方がいまこの中にいる。両方ともオレだ。むしろ、不純物が混ざり込んだようなものだ。……姉さんも、オレも。本来の関係はこうではなかった」
そう。元よりオレと姉は特別仲良くしていたわけではない。姉はオーブモルゲンレーテに勤務する人間であり、元々のオレは連合軍に入るまでは一般企業に勤めるだけの人間だった。ひょんなことからアスハの人間と関わるまでは……このオーブという国を嫌う国民の一人であっただけだが……。
「それで、どう?私たちにとっては現実なのに創作物でもある……こんな世界に来て。何を思ったの?」
「少しはマシな終わりにしたい。それが全てだったんだが、オレは世界の歯車にはなれないらしい。キラは女だったし、オレはラクスと交際してしまった。バルトフェルドと戦うあの日までずっとラクスはアークエンジェルにいた。……随分と歴史を改変してしまったように思う」
「そっか……。でも、元より仕方ないよ。キラが女の子だったんじゃ、どう転んでも普通にはいかないよ。フレイもキラに依存したりしないし、キラも依存先はフレイじゃなかっただろうしね」
「ああ、その通りだ。だからせめて、キラが負ってしまった重荷をオレが背負ってここまで来た。そして、何の因果か、アルカナにガタが来た時点でオレの未来は決まっている。……次の戦いでオレは確実に落とされるだろう」
「……それをわかってて送り出すわたしの気持ちにもなってほしいなって思ったけど……そうだね、ユウヒがキラの代わりだって言うんなら……きっとそのままプラントに行くんだよね」
「そううまく行くかは分からないが……。だから、頼みがある。……今、偶然近くまでロウ・ギュールが来ている。どうにかうまく接触してアルカナのサイコフレームを彼に預けて、ラクスの元まで届けて欲しい」
「……フリーダムの代わり?」
「……平たく言うならそうだ。オレの深層心理を知っているサイコフレームがオーブの手に渡り、それが悪用される事はないにしても、それがどんな暴走を起こすかわかったもんじゃない。ただでさえサイコフレーム自体がミノフスキー粒子が存在する前提でのモノだって言うのに、それが無いこの世界でも問題なくオレの脳波で動く。怖いぐらいにな。だからこそ、宇宙世紀以上に慎重に動かさなきゃならん……任せられるのはラクスの下……いや、現状は穏健派連中と言うべきか。そこだけだ」
「……この世界にフリーダムが現れないのは少し寂しいね」
「まぁ、アレとは別に作られる可能性もあるがな。どうあれ、ここから先は読めない。ここからキラが居ないアークエンジェルで何が起きるのか、アスランが戻らなかったプラントで何が起きるのか……」
「わかった。うまく手配しておくね。……無茶とか無理とかしないでとは言わないけど……ただ、お願いだから死なないで」
「……善処する。これだけしか言えん」
そうしてオレは自宅を出てアークエンジェルへと向かった。そこで、ニコル、イザーク、ディアッカの3人が一般人に扮してオーブに紛れ込み、モルゲンレーテ周辺を嗅ぎ回っているのを見かける。
「民間人がここで何をしている……と聞けば良いのか?コーディネイター」
ハッとしたように振り返った3人組。だが、潜入の際に銃器の類を持ち込むことはできなかったのだろう。半ば観念したような様子だった。
「ッ!あ、あなたは……?」
その中で話を振ってきたのは緑髪の“少女”だった。オレは頭を抱えた。ニコルまで女の子になってら。まぁでも、ニコルとアスランのあの仲の良さなら、ニコル女の方が何かと自然かもなぁなんて頭を抱えながら思う。
「ユウヒ・コマムラ。……あの角の割れる機体に乗っていた者だ」
「貴様が……!貴様がアスランを……!」
今にも掴み掛かろうかという勢いだった銀髪の青年。それに対してオレは迷わず銃を抜き、スライドを引く。サイトは確実に銀髪の青年……イザークの方へと向いており、さすがにイザークも動きを止める。
「誑かしたと思うか?だが約束を反故にし、戦いを仕掛けてきたのはお前たちだ。穏健派であり、プラントの議長だったシーゲル・クラインの娘、ラクス・クラインと許婚の関係だったアスランの目の前でのあの暴挙。ラクスが仮にお前たちの艦へと行けたとして、怒りを露わにした彼女は無事でいられたか?お前たち抗戦派の中でだぞ。仮に無事に決まっていると主張したとて、その保証はどこにある?……こちらの理屈だと思うか?いいや、お互いの理屈だ。オレたちはお互いの理屈を押し付けあっている」
「くっ、分かったようなことを!貴様が事実、アスランを裏切らせたのは事実だろうが!」
「……その火種を生んだのはお前たちだという事実を受け止めてから言え。さぁ、命が惜しければ早々に立ち去るんだな。俺も軍属の身。船に戻ればお前たちのことは報告せねばならん」
「……イザーク、ディアッカ。戻りましょう」
バレては仕方ないと言った表情……いや、どこかすっきりしたような表情とも言えるニコルがイザークとディアッカに戻ることを提案した。
「チッ、分かっている!俺も面倒はごめんだ。戻るぞ!」
「おい、イザーク!……はぁー、くそっ、やりづらいな」
「心配するな。アスランはこのオーブで降ろす。アスランを連れてそのまま……と言うわけにもいかん」
「……どーも。行こうぜニコル」
「わ、わかってます!……あの、わたし、ニコル・アマルフィって言います。……お名前を聞いても、いいですか?」
「ユウヒ・コマムラだ」
「……コマムラさん、アスランのこと、ありがとうございました。アスランはずっと、沢山のことで悩んできたんです。……でも、ザフトを裏切るような決断ができたのは、わたしにとって、複雑ですけど……少し嬉しかったです。もしみんな無事で戦争が終えられたら……平和になった世界でアスランとまた会いたいです」
……そう言われちゃオレだってやりづらいだろうが。
「そんな世界を作るためにオレたちは戦っている。……戦うべき相手を間違えるなよ、ニコル・アマルフィ」
「……はい、コマムラさん。私たちはこの後も戦わなきゃいけないでしょうけど……でも!……ご無事で!」
そう言いながら駆け出して行ったニコルを見送った。……どいつもこいつも戦争にはまるで向いちゃいない。オレ自身ももちろん含めてだ。あぁ、ユニコーンのあの大人たちみたいに、カッコ良くは振る舞えないもんだな。……どうにも皮肉を言いたがる。ニヒルに憧れているわけでも無いんだがな……。なんて、くだらない事を考えてこれから彼らと戦う事を頭の隅へと追いやりながら、アークエンジェルへと戻っていくのだった。……忙しくなる。
次回は☆がつきます。
ユウヒくんの新機体のタイミング
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直近で出せぃ!
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オーブ到着後
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舞い降りる剣
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シャイニングガンダム風で
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