※この作品はR-18です。

BF世界のヤツが自作ガンプラと転生して、コズミック・イラで生きていく話   作:sakitaro

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二十八話

 アークエンジェル艦橋から見えたのは巨大な爆発、爆炎。それと共にイージスの位置情報が途切れ、通信が途絶する。その直前にはほぼ出撃不可能な状況だったはずのアルカナの信号が入っていた。直前の通信の記録では、確かにユウヒの声でカガリ……と、そう叫んでいた。

 爆発に巻き込まれたデュエルと、アルカナの攻撃でほぼ大破したブリッツ、そのまま戦闘行為の続行は不可能であった上、無断で戦闘行為に介入した問題が発生したため、ムウとしてもこの場で戦闘を続けるわけにも行かず……。カガリを連れて一時アークエンジェルに帰投した。ザフトも撤退して行ったようだ。

 

「カガリさん……あなた一体何を考えているの!!」

 

「す、すま……な、い……」

 

 これまでユウヒと言う大きな抑止力が働いていたが、オーブに戻ってからのカガリにはそれはない。無許可で国を飛び出してヘリオポリスまで来て、その次は明けの砂漠。行動力だけはずば抜けて高いカガリが、死地へと向かうユウヒたちに対して何もしない……。そのほうがおかしいと気がつくべきだったのかもしれない。

 

「起きちまったもんは仕方ねぇ……とか、そんな言葉で済ませるつもりはないが、ひとまずザフトは撤退してくれた。……艦長、ユウヒの捜索はするんだろ?」

 

「ッ──。ええ……次のザフトの襲撃までどれほど時間があるかも分かりませんから、あまり多くの時間は取れませんが……」

 

「少しでも時間があるなら上等だ。嬢ちゃんも手伝いな」

 

 そうしてアルカナとストライクによる必死の捜索が行われるも、破砕されたイージスの破片が見つかるのみ。肝心のコックピット周辺は発見できずに終わる。アークエンジェルの安全な航行のためにはこれ以上の捜索は危険と判断され、誰もが歯噛みする思いで捜索を打ち切ることとなった。アルカナは当初の予定通りオーブで預かる手筈となっていた機体なので、この後カガリがオーブへと持ち帰ることになったが……。

 

「……あなた……あなたねえ!!」

 

 このアークエンジェル艦内で意外にも一番怒りに震えていたのはフレイ・アルスターであった。フレイはカガリの胸ぐらに掴み掛かり、壁に叩きつけるほどの怒りを露わにしていた。

 

「ぐぁっ!」

 

「おいっ、やめとけって!」

 

 ムウの静止を振り切り、今にも殴りかかりそうなのをノイマンやムウの男二人がかりで止める。

 

「離してよッ!!貴方がのこのこ出て来なければ、あの人はやられずに済んだのにッ!!あなた、ずっとあの人の戦いを見てきたんじゃないの!?キラやアスランすらついていけなかった人なのに!!アンタが出てきてどうにかなると思ってんの?!」

 

 この艦にはもうキラもアスランも居ない。この艦をアラスカまで無事に送り届ける任務をユウヒとムウ……二人のパイロットで遂行しなければならなかったと言うのに、それが余計な邪魔が入ったことで今や残ったのはムウ一人……。

 そんな状況の中、オーブで降ろしたはずのサイやカズイら民間人たちを乗せた一隻のクルーザーが接近してくる。その運転席にはキサカ一佐とミヤビ・コマムラが乗り合わせていた。

 

「ご、め、ごめん、なさ……うぁ、うぅ、あぁあああああっ!!」

 

「ッ……ふ、ぐ、ぅぅっ……」

 

 

──二十八話『悲しみの星』──

 

 

「か、彼らは……艦長!」

 

「ッ……迎え入れてあげてちょうだい」

 

 そうして、アークエンジェルのメインブリッジ、CICを担当していたクルーたちが短い別れを終えて再会する。

 

「……やっぱ、あの。ほったらかして逃げるなんて出来ませんでした!」

 

 民間人たちの先頭に立ってそう言い放ったのはトール・ケーニヒ。決意に満ちた表情を浮かべる青年たちに、マリューたちは少しばかり破顔するものの、すぐに彼らは異常を感じ取った。常に存在感を放っていたエースパイロットがこの場に居ないのだ。そして、艦載されていたはずのイージスの姿が見当たらない。先程まで艦橋で暴れていたフレイもこの場を去っている。

 

「あの……ユウヒさんとイージスはどうしたんですか……?」

 

 トールの恋人であるミリアリアがおずおずと言った様子でマリューに訊ねるが、マリューもナタルも目線を逸らす。まだアークエンジェルがオーブを出て数時間だというのに現場は最悪と言わざるを得ない状況に陥っていた。

 

「そ、そんな……!」

 

「あのユウヒさんがやられた……?」

 

「な、なんでそんなことになったんですか艦長!」

 

 矢継ぎ早に投げつけられる質問。艦内の誰もがまだユウヒの死を受け入れられない環境下。しばらくの沈黙が艦内を満たすが……大きなため息をついたムウが話し始めた。

 

「……お前らも知っての通り、アルカナはユウヒがずっと最前線張って戦ってくれてた関係でまともに動かせなくなっちまった。一応イージスに乗って出てくれちゃ居たんだが、オレもアイツも慣れねえ初乗りの機体で、オレは一機を、アイツは二機相手取ってたんだが……。当たりどころが悪くてな」

 

 カガリのことを伏せつつ、ほぼ嘘偽りない状況を説明したムウ。その当の本人であるカガリはクルーたちが戻ってきたゴタゴタに紛れるようにムウたちから送り出されるよう、オーブへと帰還した。その表情は悲痛というにはあまりある表情だった。自分の考えなしの行動が、自分の大切な人を奪う形となった事を、深く受け止め過ぎていたようだった。

 

「……そんな、もっと早く私たちが決断できれば……」

 

「いや、俺たちが戦いに出たってユウヒさんにはきっと邪魔にしかならなかったって。……敵も強くなってた、そう思うしかないよ」

 

 元は民間人であろうと、ヘリオポリスからここまで戦い抜いてきた若者たちは悲しげな表情を浮かべはするものの、それだけでは終わらなかった。

 

「難しいと思いますけど……切り替えていきましょう!……ユウヒさんが居なくても、ずっと戦ってきたんです!諦めるわけにはいきませんから」

 

 サイがそう言うや否や、CICの火器管制席へと座り、これからの戦いに備えようとしていた。マリューやナタルは彼らに対して強い子たちだという感情を抱き、自分たちも悲しんでは居られないと、それぞれの役割を果たすため、気を張り直すのだった。

 

「……アルスターの嬢ちゃんよ、俺はまだユウヒが死んだとは思ってないんだ。……きっとどこかにうまく生き延びてくれてるって信じてるぜ。悲しんでくれるってんなら、嬢ちゃんも無事を祈っててやってくれよ」

 

「……フラガ大尉」

 

 艦の状況は問題ない。ムウとユウヒによってザフトのMS部隊は完全に引き付けられていたため、殆ど損害なくすぐにでも航行可能な状況だった。こうして何度も何度もアークエンジェルはユウヒの手によって守られてきた。これからはそうも行かないだろう……。これまであまり深く考えて来なかった。どんな状況でもユウヒが幾度となくひっくり返してきたのだ。だが、彼が必要とされてきたのはその強さだけでは無かったようだった。それが、皮肉にも彼らの成長の助けとなりつつある。

 

「もう、やめる……人に頼るのは、守ってもらうのは……もう……!」

 

 フレイは一人駆け出していく。自分にもできることがある。それを探すために。

 

「おわっ、な、なんだお嬢ちゃん?!」

 

 モビルスーツデッキでストライクの整備に当たっていた整備主任のマードック曹長に半ば体当たりしかねない勢いでしがみついたフレイは思いの丈を叫ぶように伝える。

 

「お願いします……私を整備班に加えてください!もう、私だけ何もしないで守られてるのは嫌なんです。私じゃパイロットにはなれません、戦闘機一つ……動かせません。みんなみたいに艦の手伝いだって、できません……だから、せめて!コマムラ中尉が帰ってきた時、その機体を万全に出来るように……!これから戦うフラガ大尉が、全力で戦えるように……!」

 

「……お前さんも中尉の事が堪えたクチか。中尉はすごい人だ。戦いに必要なものをいつだって考えてた。自分で機体の装甲を作り替えたりもしていたんだ。技術仕官とも遜色ないレベルの人だったんだ。そんな人の機体を触れるようにだなんて、そんじょそこらの努力じゃ済まないぞ、いいんだな?」

 

「……もちろんです、もう、なにも失いたくない……失わせたくないです!」

 

「わかった、最初は雑用みたいなもんだぞ、キツい仕事だ、根を上げなさんなよ」

 

「はいっ!」

 

 誰もが前を向こうとしていた。ユウヒは常に前を向いていた。どんなに苦しくとも、どんなに辛くとも、戦う事をやめはしなかった。誰よりも戦いを嫌いながら……戦いを止めたいと願いながら。その願いを形にするために、戦い続けていたその背中をクルーたちは確かに見ていたんだ。

 

 


 

 

「……行ったみたいね」

 

「はい、エリカさん」

 

「……なんとか一命を取り留めただけの状況なのに、プラントに送り出してしまって大丈夫なの?」

 

 モルゲンレーテ施設内において、ロウ・ギュールより連絡を受けたミヤビはオーブ国内の病院にユウヒを救急搬送。様々なコネを使えるだけ使い、即座に手術を行う手筈を整えた。重症ではあったものの、重要なバイタルエリアはそう大きな損傷を受けてはおらず、一命を取り留めるのは早い段階で分かったそうだ。そこまで判明した時点で、地球連合・プラント双方からも一定の信頼を得ている人格者として知られている偉人、マルキオ導師の助力を得てロウ、導師と共にユウヒはプラントへと向かっていた。

 

「ええ、ユウヒの話ではラクスさんは本来よりも早く砂漠の虎、バルトフェルドさんと合流してるみたいですから……きっとあちらの準備も想定より早く進んでると思います」

 

「じゃあ、私たちが進めるべきは……」

 

「はい。きっと、新しい剣を掲げて帰ってくるユウヒのために、サイコフレームの製造に着手しましょう」

 

「……サイコフレーム、人の想いを力にする媒体か……」

 

 


 

 

 ロウ・ギュールとマルキオ導師の力を借りて未だ意識も戻らぬユウヒはプラント行きのシャトルに乗っていた。傷口は縫合が完了しており、彼が持つコーディネイターの血の成せる業か、呼吸やバイタルは既に安定域に入っている。これには導師も驚くばかりだ。だが、完全に無事……という訳にも行かなかった。ユウヒは利き目である右目を失う事となり、医療用の眼帯と、その付近についた激しい傷跡が痛ましい。

 

「……ニュータイプ。隣人に優しくする力でしたか」

 

 マルキオ導師は元より“SEEDを持つもの”の可能性を、遺伝子操作による優劣とは関係のないヒトと世界が融和しうる認識力の変革であるという教えを説く人物だった。それが果たしてミヤビ・コマムラの語るニュータイプと同一のものであるのか、それは未だユウヒと言葉を交わした事がない導師には分からないことだあったが、確かに導師はユウヒにその可能性を感じていた。

 

「意識を失った今もなお、彼から感じるこの心の暖かさ……。私も今まで感じたことのないこの感覚……認識力の変革ともまた違う……これがニュータイプだというのならば、SEEDよりも、更に……」

 

 導師もまた人を導いてきた者。より多くの人を見てきた彼にすら、ユウヒは特別に見えていた。それが果たして、正しいものなのかはわからずとも、期待を抱くには十分なほどの可能性を秘めているのは、確かであると、言っていいだろう。




 ひとまず詰め込める分だけ詰め込みました。更に詳しいところは時間経過と共に……と言ったところでやっていきたいと思います。
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