※この作品はR-18です。

BF世界のヤツが自作ガンプラと転生して、コズミック・イラで生きていく話   作:sakitaro

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またもや大変長らくお時間頂くことになってしまい、申し訳ございませんでした。ハンターハンターの冨樫先生よりひどい更新頻度になっています……本当にすみません。


三十三話

 ──アスランとキラが一時的にオーブに戻ってからほぼ丸一日が経過した。オレはアークエンジェルの自室内ではなく、グリントの中で過ごしているそんなオレの元に暗号通信が届いたのが現状だ。ほぼ丸々二十四時間グリントの中で過ごしているのはコレが理由だ。

 通信は音声通信のみで、通信からはキラの声が聞こえる。

 

「ユウヒさん、聞こえますか?」

 

「──ん、ああ」

 

 普段の通信に比べてラグがあったり、音声や映像に多少のノイズは見られるものの、声の聞き取りにさしたる問題はなかったから、特別気にもならなかった。唐突な通信に内心少しばかりの驚きを感じた程度だな。

 

『端的に言いますね。アークエンジェルのオーブへの寄港が許可されました』

 

「そうか、よかった」

 

『ですけど、表立って入港を許可するわけにもいかないのは、ユウヒさんが昨日も言っていた通りです』

 

 やっぱりか。だがそうなれば、それとは別の疑問が浮かぶ。当然の疑問である、アレだ。

 

「しかし、表立っての入港ができないとなれば、どうするつもりなんだ?ウズミ代表は」

 

『ユウヒさんの乗る機体……グリントはきっとラクスがユウヒさんに託したんですよね?だとすると、その機体はザフト所属……と言い張ることも出来ませんか?』

 

「……さて、な」

 

 なるほど、確かにあの機体はどうやっても連合やオーブの機体だと言い難い。なんせ連合はようやく量産機の生産に成功したところで試作機も〝例のあれ〟が3機だろうしな。

 

 結論を言うなら、後のオーブがかの戦艦に対して行なう事となる例の百発百外しをやれって事なんだろう。良くも悪くもオーブだなと感じさせる。

 

「ひとまず了解した。では此方も何もトラブルが無ければ、そのままオーブへとアークエンジェルを向かわせる。オレのグリントは『アークエンジェルを単騎で追うザフト軍の機体だ』とだけ伝えればいい。あちらもその意図だろうしな。」

 

『分かりました!みんなを、お願いします』

 

「ああ」

 

 そう言って切れた通信。ひとまずひと段落した。これで漸くアークエンジェルの修理や物資補給の目処が立ったって考えていいかな。

 コレからアークエンジェルはオーブに向かって先行し、オレは後を追う形となる。もはやモビルスーツの枠組みを超えているグリントは最早推進用のエネルギーすら必要としないため、完全に単機による運用が可能だ。武装面はその限りではないが……。

 

「艦長」

 

 オレがそう呼びかけながらブリッジに入ると、報告を待っていたみんなが一斉にこっちを振り向いてくる。若干居心地が悪くなるから辞めてほしい。

 

「あ、ユウヒくん、オーブから連絡は……」

 

 早速そう問いかけてくるマリュー艦長。……まぁ、今のところその報告を待つ以外に何も行動に起こせなかったんだし仕方ないか。

 

「アークエンジェルの入港は認められましたが、正規の手段を取るわけにはいかない……とのこと」

 

 そう伝えると、マリュー艦長は深いため息をついた。まるで自らの行いを後悔するかのようだった。オレはもちろん、その場にいた誰もがそんな顔をしなくていいと考えていた。

 

「そうよね、いくら我々が脱走艦だったとしても、このアークエンジェルは連合のもの。オーブとしてはハイ分かりました、なんて受け入れられないわよね……」

 

「体裁上は、ですがね。そこでオレのグリントが役に立ちます。実際にあの機体はザフトのモビルスーツです。ザフトの最新鋭モビルスーツに追われて損壊したアークエンジェルは航行不能となり、オーブ近海に不時着。簡単に言えばそんな筋書きです」

 

「たぬき芝居と言う訳ね……わかったわ。みんな聞いたわね?模擬戦のつもりでフラガ大尉のストライク、スカイグラスパーでトールくんにも出てもらいます」

 

 オレの言葉を聞いて少し不安そうな顔をした直後に小さく困ったように微笑み、そう号令をかけたマリュー艦長。その時何故か、あの流されてしまった夜を思い出して気まずくなったオレは目を逸らす。だが、館長はともかくほかのクルーから声が上がる。

 

「おいおい正気か!?あんなバケモノみたいな機体と戦うってぇ?!不可能を可能にするにも限度がだなぁ……」

 

「ま、待ってくださいよ艦長!いくらユウヒさんがこっちを落とす気がないって言っても……!」

 

「安心してくれ。NT-Dは使わないし、直撃コースは外す。……オーブ頼みにはなってしまうがな。すまないがまだまだ正念場が続く。無茶をさせてしまうが……頼む」

 

 もう一人の自分と、本当の自分の間を揺れ動き、コロコロと性格や口調が移り変わってきた自覚はあるものの、ようやく本当の自分というものを見つけ出した気がする。ヘリオポリスでアルカナを探すと出ていったあの時の性格に戻りつつある。それと同時に、彼が居てくれたという安心感も同時に失った。

 

「……んー、まぁ、お前さんの言うことも最もだ。俺達はタダで〝はいそーですか〟ってオーブに入港できる身分じゃないからな」

 

「ほ、ホントに落とさないでくださいよ?!中尉さん!!」

 

「ああ。約束する」

 

 とはいえ、アラスカでの戦闘は多少確認されている。芝居を打っている事はすぐに露見するだろうが、オーブという中立を謳う国というのはどうにも体裁は保つ必要があるんだな。だって言うのに後々はあんな機体作るんだからこの世界は本当に……はぁ。いかんな、ヘリオポリス以降ため息が増えてしまった。色々知ってしまった弊害なんだろうな。

 

 

三十三話『百発百外し』

 

 

 その後、オレは極小規模のサイコフィールドを展開し、各勢力のレーダーから反応されない状況を作りながら、グリントでアークエンジェルから出撃し、即座に海底に沈む。作戦決行はグリントの出撃から3時間後でしばらくの猶予がある。

 

「ふぅ」

 

 何度目かもわからないため息をつき、パイロットスーツのバイザーを開ける。グリントの操縦桿を何度も握り直しながら、ゆっくりと沈んでいく海中の景色を眺めていた。モニターには魚が泳ぎ回っていて、まるで水族館かのような雰囲気を感じさせる。呑気なもんだと自分でも思うが、少ない時間ながらこんなにも穏やかな時間を一人で過ごしたのはいつぶりだろうか。

 

「悩んでばかりだな、全く」

 

 これで正しいのかと何度考えても、どうすればこの世界を救えるのかと……どれだけ愚考を繰り返しても、何も出てくるはずも無い。現実に正解は無い。……人はいつまでも間違い続けている。人が人である限り、その正解にたどり着くことなど無いのかもしれない。

 

「やはり本来のキラたちはすごい。確かに完全にこの世界が救われたとは言い難い。戦火の火種は残ってる。だけど未来につなぐ可能性は残していた。」

 

 オレにそんな未来を作ることはできるんだろうか。……キラやアスラン。はたまた別の世界のバナージはやってのけた。オレよりも若いのに。……尊敬に値するよ。

 

「けど、やらなきゃならないんだよな。この世界では、オレがやらなきゃならない」

 

 何の意味もない自問を繰り返しているうちに、アークエンジェルがオーブ近海へと接近する。国防ラインを通過すると同時に、オレはグリントの識別信号を変更する。先ほどまでは連合でもザフトでもなく、アークエンジェル所属……もとい、今後三隻同盟の識別信号となるものから、グリント内部に残されていたザフトの識別信号へ、な。そしてそのままスラスターを噴き上げさせる。

 

「ユウヒ・コマムラ。ガンダムグリント、出撃をする」

 

 自分自身を鼓舞するように、操縦桿を握りしめた。めったに使わない推進剤を減らし、グリントは海面から飛び出す。フェイズシフトが起動し、漆黒の機体が純白の機体へと塗り替えられていく。

 

 


 

 

「艦後方に熱源あり!ザフトの機体の模様、機影は一機です!」

 

「来たのね……総員第一戦闘配備!敵機は一機よ、だけど油断しないで!」

 

 相手はユウヒだということは艦の誰もが理解しているが、それゆえに緊張が走る。今まで圧倒的なまでの強さでアークエンジェルを牽引してきた最強とも思えるMSとパイロットが襲い来るのだ、油断などするはずもない。

 

「ムウ・ラ・フラガ、ストライク、出るぞ!」

 

「トール・ケーニヒ、スカイグラスパー、出ます!」

 

 アークエンジェルから飛び出した2人が目撃したのは、今までの戦いでは到底見受けられないMSの姿だった。スラスターから火を噴くこともなく、ただ緑色に輝き、その場に浮遊するMS。そしてその周囲には3枚の大型の盾が浮遊していた。

 

「おいおい、アラスカでも見たが盾が浮くってのはどういう理屈だ?」

 

「ユウヒさんってだんだん非常識になっていくと言うか、変ですよね」

 

「あんまりそれを本人に言うなよ、トール」

 

「分かってますよ……仕掛けます!」

 

 トールの乗る機体は、背面にはエールストライカー、機体下部にはランチャーストライカーのアグニを装備した簡易的な高機動、高火力な装備となったスカイグラスパー。継戦能力は低いものの、戦闘機としては抜群の性能と言えるのだが、グリント相手にはコレでは当たり前のように足りない。

 トールは先制攻撃にアグニで狙いすました一撃を放つ。

 

「それでいい、トール」

 

 そう一人呟いたユウヒが真っ直ぐと機体の腕を伸ばす。本来の戦闘ではどこまでも見られない挙動に、トールもムウも訝しむが、アグニの高出力ビームによる直撃コースに、フワフワと漂っていたシールドのうちの1枚が割り込んで防ぐ。

 

「インチキだなありゃあ……」

 

 ムウもビームライフルを放ちながら接近、遠距離からでは効果が薄いと思ったのか、近接戦に持ち込むようだ。

 

 だが、グリントも動く。重力に身を任せるようにその機体を傾ければ、ゆっくりと動き出し始めるグリント。しかし、そのゆったりとした動きからは想像もつかない速度でストライクの背後へと回り込んだ。

 

「なんだ?!どういう理屈だ!」

 

「……この機体に理屈なんて通用しない。そういうものなんだよ。」

 

 背後に回り込んだグリントがストライクに蹴りを放つ。ムウのストライクもなんとか急制動して盾で防ぐが、不可思議な推力で押し込まれ、海面に叩きつけられる直前まで吹き飛ばされていた。

 

「こ、こんのぉ!!!」

 

 スカイグラスパーのビーム砲とアグニの2門のビームでグリントに攻撃を仕掛けるも、氷上を滑るスケーターのように、軽やかにそのビームの雨を回避するグリント。もはやその機体だけ作品違いである。

 

「……」

 

 踊るように回避したグリントが再び手をかざせば、3枚のシールドのうち2枚がスカイグラスパーへと向かう。そのシールドの先端に装備されたビームカノンがスカイグラスパーに向けられ、照射される。

 

「うぉぉ?!」

 

 真っ直ぐに狙いをつけたビームをなんとか回避したトールだったが、明らかな手加減を感じさせるその動きにムウもやれやれと言わんばかりだ。最初から下に振り切れているやる気が、さらに削がれていくようだった。

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