ど、どうしてこんなことに……っ。
ちさとに馬乗りにされた私は、満足に抵抗も出来ないまま後ろに回され羽交い締めにされていた。
ちさとはと言えば私を動けなくしたところで、今度は男に指示を出し始める。
「おじさんはそっちから押さえてて」
「わ、わかった……」
「あ、あの……何を……」
「何って……決まってるじゃん」
ちさとは妖艶な笑みを浮かべると、私の胸元に手を伸ばしてきた。
「ちょ、ちょっと待ってください! 本当に何をする気ですか!?」
「まあまあ、大人しくしてなって」
ちさとは手際よく制服とブラウスのボタンを外していき、あっという間に下着姿にされてしまった。
先日彼女に言われて共に買いに行ったそれが露わになり、恥ずかしさに頬が熱くなる。
と同時に後ろにいるちさとは耳元で得意げに話し出す。
「うぅ……っ」
「ねぇ旦那さん聞いてくださいよ。たきなってこの間までトランクス履いてたんですよ」
「ちょっ…ちさと!?」
なんで今その話をするんですか!? しかも男の目の前で。
羞恥心でいっぱいになる中、ちさとの話はまだ続く。
「それでぇ、この下着ねぇー私がセレクトしたんだー」
「……へ、へぇ……」
「どお? 可愛いでしょー。たきなは素材が良いから何でも似合うんだよぉ」
まるで自分のことのように自慢気に話すちさと。
もう勘弁して欲しい。このままだと私の精神が持たない。
だけど、ちさとの攻勢はこれだけでは終わらなかった。
彼女はブラジャーの中に手を突っ込むと、直接胸に触ってきたのだ。
突然の行動に驚きの声を上げてしまう。
しかし、それすらも無視し、ちさとは楽しげに揉み始めた。
「やっ……ぁん……」
「ふふん♪ どう? 気持ちいい?」
そう言いながら指先で乳首を摘まれると、甘い刺激が身体に走る。
ちさとに触れられているというだけで心臓がバクバクと高鳴っているのに、更に愛撫されてしまえば我慢なんて出来るはずもない。
「だ、だめです……」
「駄目じゃないでしょ。ほらぁ……」
そう言って彼女は爪を立てると、先端を引っ掻くように弄ってくる。
「ひゃあんっ!」
「ほら、気持ち良いでしょ?」
「きもち、よくなんか……」
「嘘つきぃ。じゃあこれは?」
ちさとは片手を抜くと、スカートを捲り上げショーツ越しに秘所を擦り付けてくる。既に湿っていたそこを布が滑る度に、ビクビクと体が震える。
「ちさと、やめてくださ……い」
「え~? どうして?」
「だって、こんなのおかしいですよ……」
「でもおじさんもこういうの好きだよね」
「……ッ!!」
ちさとの言葉にドキリとする。
確かに男は私の痴態をじっと見つめていた。そしてその視線には明らかに興奮の色が見え隠れしている。
それに気付くと、途端に恐怖感が増してきた。
そんな私の不安を感じ取ったのか、ちさとは優しく囁いてくれる。
「大丈夫だよたきな。おじさんも私も、たきなの味方だからね」
「……ちさと」
「うん。怖がらないで、私に委ねてみて」
ちさとはそう言うと、再び手を動かし始めた。今度は直に触れられ、より強い快感が襲ってくる。
「あっ!……ちさとっ……!」
「ほら、もっと声出しても良いんだよ?」
「そ、それは嫌です……!」
「強情なんだからぁ」
ちさとは呆れたような口調で言う。
すると次の瞬間、首筋にちくりとした痛みを感じた。驚いて振り返るとそこにはちさとの顔がある。
どうやら彼女の唇に噛み付かれたようだ。
「ちさと……っ!?」
「ふぅ……っ」
「ひゃんっ!」
生暖かい吐息を吹きかけられ、思わず変な声が出てしまった。
そんな私を見て満足そうな笑みを浮かべると、今度は舌を使って舐め始める。
「ちゅぱ……れろぉ……」
「あ……あああ……」
今まで感じたことのない感覚に、背筋がゾワリと粟立つ。
「ふふっ……たきなの首って美味しい……」
うっとりした表情で呟くちさとに対し、私は抗議する。
「ば、馬鹿なこと言わないでください……っ! 汚いですから……っ」
「全然平気だよー。ていうかむしろ綺麗だし」
「意味わかりません……!」
「まあまあ、細かいことは気にしないの」
そう言ってちさとは再び首元に顔を埋めた。
それと同時に胸への愛撫が再開される。
「やっ……んぅ……!」
「たきなって感度良いんだねぇ」
「ちさと……もう、許して……」
「駄目。まだ足りないよぉ」
そう言うと彼女は両手で乳首を摘み上げた。
「ひゃあぁっ!」
「うわー凄い敏感……。たきなってもしかして1人でシたことある?」
「そ、そんなことありません……っ」
「本当かなぁ?」
ちさとは意地悪げに笑いながら、耳の裏をぺろりと舐める。
「ひっ……ああんっ」
「ふふっ、可愛いなぁ」
「うう……」
恥ずかしくて涙目になる私を見下ろしながら、ちさとはさらに追い打ちをかけてくる。
「ねぇ、キスしちゃおっか」
「な、何言って……」
「いいじゃん別に。減るもんじゃないしぃ。それとも何か他にしたいことがあるの?」
「べ、べつにそういうわけでは……」
「じゃあいいよね? はい、チュー」
ちさとは強引に顔を近付けてくる。
「だ、駄目です……」
「駄目じゃない。ほら口開けて」
「むぐっ……」
そのまま無理矢理口を塞がれてしまう。
ファーストキスを奪われてしまい、ショックで固まっていると、ちさとは舌を差し入れてきた。
「んっ……」
「ふぁ……」
お互いの唾液が混じり合い、淫靡な音が響く。頭がボーっとしてくる中、私は必死に抵抗を続けた。だがそれも虚しく、ちさとのテクニックによって段々と力が抜けていく。
そしてついに身体を支えることが出来なくなり、ベッドへと倒れ込んだ。
「あらら、力尽きちゃったか」
ちさとは私の拘束を解くと、服を脱ぎ始めた。下着姿になったところでこちらを振り返る。
「じゃあ続きを始めようね」
「つ、づき……?」
「うん。おじさんも待ちきれないみたいだからさ」
ちさとの視線の先に目をやると、そこには股間を膨らませた男の姿が。
「きゃあっ!?」
慌てて起き上がり距離を取ると、ちさとが不満そうに頬を膨らませる。
「ちょっとぉ、そんな反応することないでしょ~」
「だって、あんなの見せられたら誰だって驚きますよ……!」
「大丈夫だよ。すぐに慣れるから」
「そ、そんなこと言われても……っ」
ちさとは私の肩を掴むと、再びベッドに押し倒した。そして再び唇を重ねてくる。
「んんっ……!」
「ちゅぱ……ふぅ……っ」
先程よりも激しいディープキス。
呼吸することもままならず、酸素を求めて大きく息を吸うと、ちさとから漂う甘い香りが鼻腔を刺激した。
ちさとの匂い……。
その途端、全身に熱を帯び始める。
するとちさとはようやく唇を解放してくれた。お互いに荒くなった息を整える。
「ふぅ……これで少しは落ち着いた?」
「はぁ……はぁ……」
「じゃあ次は本番だよ」
ちさとはそう言うと、スカートの中に手を入れてきた。ショーツ越しに秘部を触られる感触に、思わず身を捩らせる。
「ひゃっ!」
「うわーめっちゃ濡れてるじゃん」
「ちさと……お願いですからこれ以上は……っ」
「だーめ。ここまで来たら最後までしないともったいないよ」
ちさとは楽しげに笑いながら、指先で割れ目を刺激する。
「んぅ……っ」
「気持ち良いでしょ?」
「……っ!」
私は首を横に振って否定する。しかし、それが嘘であることはすぐにバレてしまったようだ。
ちさとの責めはさらに激しくなる。
「素直になりなってぇ」
「うぅ……」
しばらくすると、彼女は満足したのか手を離してくれた。ホッとしたのも束の間、今度は直接クリトリスに触れられた。
「あぁっ!」
強烈な刺激に腰が大きく跳ね上がる。
「ここが良いんだぁ?」
ちさとはそう言いながら執拗にそこばかりを攻め立ててきた。
「ひゃう! やっ、だめ……っ!」
「こんなにビクビクさせてるくせによく言うよぉ」
「あぁんっ、こ…こんなの……!」
あまりの快感に耐えきれず絶頂を迎えそうになった瞬間、ピタリとその動きを止めた。あと一歩というところでお預けを食らい、身体の奥底で燻るような感覚に襲われる。
「えへへ、どうして欲しい?」
「ど、どうしてって……」
「ちゃんと言ってくれればしてあげるよ?」
「…………」
羞恥心を押し殺し、消え入りそうな声で呟いた。
「イかせてください……」
「聞こえないなぁ?」
「イかせてくださぃ……」
「ふふっ、よく出来ました♪」
ちさとは再び陰核に触れると、一気に擦り上げた。
「ああぁっ!!」
強い快楽に襲われ、背中を大きく仰け反らせ達してしまう。視界がチカチカとし、意識が飛びそうになる。
「あははっ、イッちゃったねぇ。可愛いよぉ」
ちさとの言葉通り、下半身からは大量の愛液が流れ出ていた。それを見て興奮したのだろうか、目の前にいる彼のモノがさらに大きくなるのを感じる。
「じゃあそろそろお待ちかねのアレをしてあげようかな」
「ま、待ってください……まだ私、心の整理が……」
「大丈夫だって。すぐに慣れるからさ」
ちさとは私の両足を持ち上げると、そのまま左右に開いた。そしてM字開脚の状態で固定される。恥ずかしい部分が丸見えとなり、顔が熱くなるのを感じた。
「やめて……見ないで下さい……っ」
「何言ってるの? これからもっと凄いことするのに」
ゆっくりと身体をどかして道をゆずるちさと。そして入れ替わるように男が前へと進み出た。
いよいよこの時が来たのだと思った途端、恐怖で身体を震わせる。
「ひっ……!」
「そんなに怯えなくても大丈夫だよぉ。最初は痛いかもだけど、すぐに気持ち良くなるから」
「無理……そんな大きいの入らないです……」
男のそれは今まで見たことがないほどの大きさだった。ちさとの細い指でさえあぁだったというのに、あれが今から自分の中に入ると思うと気が遠くなりそうだ。
「心配しなくていいからね。おじさんに任せてくれればいいから」
男は私の両膝を抱えると、大きく股を開かせた。そして先端を入り口に押し当てる。
「やだ、やめてください。む、むむむ無理です。お願いします。ホントに、今日のこと黙っているので許してくださいっ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ―――」
必死に懇願するも聞き入れてもらえず、次の瞬間には一気に貫かれてしまった。
「ひぎっ!?」
あまりの質量に息ができない。苦しい。
まるで内臓が全て押し潰されたかのような圧迫感と肉が裂ける痛みに悲鳴を上げる。
銃弾がかすったときの痛みなんて比にならない。
「あ゛っ……! ぐぅっ……うぅ……」
「おじさーん、たきなは初めてだからちょっと待ってあげててね」
ちさとはそう言うと、いつもの調子で私の顔にすり寄ってくる。まるでこれが当たり前の行為であるかのように。
「ほら、落ち着いて深呼吸してみて。ひっひっふーって」
「そ…それはラマーズ法ですよ……」
「細かいことは気にしないの。それよりどう? 少しは落ち着いた?」
私は小さく首肯する。先程まで感じていた激痛は多少和らぎ、なんとか喋れるくらいの余裕ができた。
「じゃあ動いてみよっか」
「えっ?」
ちさとの言葉に耳を疑う。まさかこの状態で動けと言うのか。冗談じゃない。こんな状態のまま動かされたら壊れてしまう。
「や、やめ……」
しかし無情にも、彼は腰を動かし始めた。
「あぁっ! うぅ……」
動く度に内蔵がかき回され、激しい吐き気に襲われる。少しでも楽になろうと無意識のうちに酸素を求めて口を開けるも、入ってくるのは空気ではなく苦痛だけだった。
「あははっ、すごいよぉ。こんな小さな穴なのにきゅうって締め付けてくる」
「あっ……あぁっ……」
「どう? 気持ち良い?」
「わ、分かりません……」
「そっかぁ、残念。でもそのうち分かるようになるよ」
「ひっ……!」
再び動き出す男。
「やめて……もう止めてください……」
涙ながらに訴えかけるが、それでも止まることはない。
「だめだよぉ。これはお仕置なんだから」
「い、嫌っ……」
「大丈夫だってば。それにさっき言ったじゃん。『すぐに気持ち良くなる』って」
その言葉通り、次第に痛み以外の感覚が生まれてきた。
なんだろう……これ……急に変な感じに……。
初めは違和感しかなかったはずなのに、いつの間にかくすぐったいような不思議な気分になっていた。
お腹の辺りが温かくなり、じんわりとした快感が広がる。
この感覚がちさとに触れられていた時と同じようなものだと理解するのに時間はかからなかった。
「あっ……はぁっ……」
「あ、おじさん。スマホどこにある?」
「ん……テーブルに置いてるはずだけど?」
「ありがと♪」
急に私から離れたちさとはおそらく彼の私物であるスマートフォンを手に取る。何をしようとしているのか、酩酊している自分の頭では分からない。
「あ、これテレビで見た最新機種じゃん。映画撮れるヤツっ」
目を輝かせながら画面を操作していると、すぐにそれを私の方に向けてくる。
画面に映し出されているのは、私の顔だった。
そこには、快楽に蕩けた表情を浮かべる自分がいた。
「な、何ですか……これ…」
信じられない光景に目を見開く。
こんな顔、私は知らない。
「たきな…すっごい顔してるよ」
「嘘です……」
「ホントだよ。自分じゃ分かんないだろうけど、今凄くエッチで可愛い顔をしてたんだよ?」
ちさとに言われても信じたくない。
だが現実は無慈悲だった。
動画の中の私は、とても自分では考えられないほど淫らな声を上げていたのだ。そしてそれは小さな端末の中の出来事じゃない。
その証拠に、数分まで痛みしか感じていなかったはずの身体からは、今は快楽だけが生まれていた。貫かれているところが動く度、全身を蝕む甘い痺れに頭がおかしくなりそうだ。
こんなの私じゃない。
私の中の何かが壊れていく。
怖い。誰か助けて――。
そんなことを考えていたとき、ふとちさとと目が合った。
「大丈夫だよたきな。。怖がらないで。悪いことなんて一つも無いんだから」
優しい声と共に握られた手を握り返す。すると不思議と恐怖心が薄れていった。
「うん……ありがとうございます」
ちさとは微笑み、私の頭を撫でてくれる。
それだけで私は安心できた。
「んっ……あぁんっ……」
腰の動きが早まる。
「あぁ……あっ、あぁ……」
もう何も考えられなくなっていた。
「イキそう?」
耳元で囁かれる。私はこくりと首肯した。
「そっか。我慢なんてしなくていいからね」
「はい……」
そして――。
「ああぁっ! イクッ……イッちゃいますぅ……!」
ビクンと跳ね上がると同時に絶頂を迎える。同時に膣内が激しく収縮するのを感じた。
その直後、熱い液体が流れ込んでくる。
これが男の人の……。
「ふあぁっ……」
全て出し切ったところで引き抜かれると、ゴポッという音を立てて白濁液が溢れ出した。
「あーあ、せっかく出してあげたのに勿体無い」
ちさとはそう言うと、指先で掬い取り、舐め取った。
「んっ……美味しい」
「はぁ……」
脱力感に襲われ、その場に倒れ込む。まだ身体中が熱くて、心臓の鼓動も速い。
今までのどの任務でもこんな疲労感はなかった。
ぼんやりと目の前に映る影を見つめていると、その影に動きがあった。
それはすごい勢いで後ろに倒れ込んだ。
「ちょ……おじさん!?」
慌てて彼に駆け寄るちさと。
少しだけ身体を起こして様子を伺うと、肩で息をしながら大の字に横たわっていた。
相当疲弊しているようだ。
「あー、さっきまで私ともしてたから流石に疲れるよね」
「ご…ごめん…ちさとちゃん。俺は、少し…休んでるから……2人は先に身体洗ってきて……」
途切れ途切れになりながらも必死に伝えようとしているのが伝わってくる。
「あはは、わかった。先にお風呂入ってくるね」
今にも息絶えそうになっている彼に笑顔で応えるちさと。
この様子を見ると2人はいつもこんな感じなのだろうか……。
これを毎回……。
「じゃあたきな、先に一緒入ろっか」
「え? あ……はい」
考えがまとまらないうちに、ちさとから促されて部屋を出た私たちはお風呂のお湯に浸かる。
「あ~気持ち良いねぇ。やっぱりお風呂って最高」
「そうですね」
2人でゆったりと浸かっていると、さっきまでのことが嘘のように思えた。
お互い生まれたままの姿で、背中を合わせながら。狭い湯船に収まるように膝を抱えている。
「んーやっぱりした後のお風呂って格別なんだよねぇー。たきなもそうでしょ?」
「……」
「たきな?」
温かいお湯に身を委ねていると、まとまっていなかった考えが徐々に定まっていく。
ちさとが隠していたこと。
なんでこんなことをしているのか。
彼に対しての執着はなんなのか。
「…ちさと」
「?」
だから、ちゃんと聞かないといけない・
「ちさとは…その、あの人と恋人同士なんですか?」
「……」
沈黙が流れる。
その静寂を破ったのはちさとだった。
「んーちょっと違うかな」
背中越しから聞こえたのは否定の言葉だった。
露骨な否定でもないどっち付かずの言葉に首をかしげてしまう。
「?」
「私達さ、リコリスじゃん?」
「えぇ、そうですね」
「いつもリコリコで働いてたりしてるとさ、普通に暮らしてる人たちよく関わるでしょ。そうするとさ、あーやっぱり私は普通じゃないんだな~って思っちゃうときがあるんだよね。恋人とか、結婚とか、家族を作ることってきっと一生できないんだろうなって」
「それで、こんなことしてたんですか?」
ちさとの言う通り。私達、リコリスには戸籍がない。
元々孤児だった私たちはDAに拾われて、人を殺す術を叩き込まれてきた。
だから自分がいつ産まれた日付すら、わからない。
でもそれは、私達にとっては普通だし。それ以外に選択肢なんてあるわけない。
と、ちさとと出会う前の私ならそう思っていたのかもしれない。
だからこそ、彼女の言に真剣に耳を傾けてしまった。
「別に誰とでもするってわけじゃないよ? でも、普通じゃないなら……これくらいしてもいいのかなって思ったりしてさ」
「……」
「おじさんもさ、今まで女の子とちゃんと話したり触れあったりすることができなかったみたいだし、私も気持ちよくておじさんにも自信をつけてあげられるし。一石二鳥だなーって」
「……」
「でもごめんね。私が言うのも何だけど、たきなまで巻き込んじゃって。今度から気をつけるから」
ちさとは申し訳なさそうに謝った。
その姿は、いつものように自由奔放に振る舞うちさとそのものだった。
いつか話していた、したいことを優先の生き方に乗っ取っているだけに過ぎないんだ。
それを聞けて、安心というか少しだけ腑に落ちた気がした。
「はぁ……仕方ないですね」
「ほんと? よかったぁ」
「調子いいんですから全く……」
「とりあえず、このことは秘密だよ」
「はい。流石にリコリコの皆さんにはとても話せそうにありませんし」
ちさとはやったーと両手を挙げて狭い浴槽ではしゃぎ出す。そのせいで湯船が揺れてお湯が零れていく。
とはいえ、釘は刺しておかないと。
「でも、今までみたいに仕事を抜け出してこういうことするのは禁止です。だから会う回数も減らすよう努めてください」
「えー? なんでぇー?」
「ミズキさんやクルミにも怪しまれているんですよ? バレたらこの間の騒ぎじゃ済まされませんよ?」
「むむむ……」
露骨に怪訝な顔をするちさとだけど、先日の下着騒動を引き合いに出すとすぐに状況を理解した。ちさとの自業自得とはいえSNSにまであがったのだから相当堪えているはずだ。
ミズキさんが今日のことを知ればそれ以上になるのは明白なのだから。
「もーわかったよー。ったくーたきなは相変わらずお堅いな-。おじさんとしてるときはあーんなに気持ちよさそうにしてたのにー」
「……別にそこまで感じてないですよ」
「またまた~そんなこと言っちゃってーほらこれ見てよ-」
いきなり抱きついてきたかと思うと、私にあるものを見せてきた。
それはさっき私の顔を映すために使っていたあの人の携帯だ。
ちさと、もしかして勝手にもってきたのだろうか。
いくら最新機種とは言え湯船に落としたら流石に故障するのに不用心すぎると呆れながら画面を見るとそこに映し出されていたモノに私は度肝を抜かれた。
「!?」
画面には蕩けた顔をした私の顔が映し出されていたからだ。
「こーんな顔してたのに感じてないなんて説得力無いぞ~」
「ちょっと! いつの間に撮っていたんですか!?」
「それだけじゃないよ~」
とちさとは濡れた指のままそれを操作すると――
『ああぁっ! イクッ……イッちゃいますぅ……!』
と私が達してしまう瞬間の動画が克明に撮影されていた。最新機種だったためか異様に解像度や音声がハッキリとしている。
つまり…最初に携帯を手に取ったときからすでに……!?
「まさかあの時動画撮影してたんですか!? は……はやく消してください!」
「えーもったいないじゃーん。たきなの初めての瞬間なんだよ~?」
「だったら余計にマズいです! 渡してください!」
「えっ……うわぁ!?」
ちさとの手から無理やり奪い取ろうと身をよじり、狭い浴槽の中でもみ合いになる。
あんな写真と動画、絶対に残すわけにはいかない。ちさとは無神経すぎる!
「ちょっ…ちょっとたきな落ち着いて……」
彼女の手を掴もうとすると、奪われまいと携帯を高く掲げて届かないようにしてくる。
――が、不意にチャポンという音が風呂場に響き渡った。
音の出所はちさとの胸元。見ると、彼女が手に持っていたはずの携帯が水の中に落ちてしまっていた。
「……」
「……」
「……」
「……」
「「あーーーーーー!!」