「ここが、フランス、パリか」
そう言いながら、俺はゆっくりとその光景を見る。
現在は1930年ぐらい。
その事もあってか、花の都と呼ばれるパリは美しい街並みを見せていた。
俺達はそんなパリの街を歩く。
ちなみにこの時代には、まだ飛行機は無い。
そして車もだ。
なので、移動手段は主に徒歩となる。
しかしそれでも街の風景を楽しむ事は出来た。
だが、俺がこの街に来た目的は、このフランスでの観光ではない。
「果たして、医療関係はどれぐらい発展しているのか」
現代に比べたら、医療関係の知識は遥かに劣っているだろう。
だが、医療関係の知識を仕入れるには良い機会でもある。
この時代では、医者や薬剤師などの職業は、基本的に貴族しかなれないらしい。
だから、この時代の医者などの知識は貴重だったりする。
「とりあえず、色々と回ってみるか」
そうしながら、俺はパリの町中を歩き回る。
「そう言えば、ジャンヌはフランスは詳しいのか?」
「私がいた時代に比べたら、発展していて、ほとんど知らないわよ」
そう言いながら、ジャンヌに話を聞いてみる。
しかし、帰ってきた答えは、あまり参考にならないものだった。
「ただ、この時代でも有名な病院とかはあるから、そこを見て回れば良いと思うけどね」
「有名って言うと、やっぱり国立病院みたいな所があるのか?」
「うん、確かパリにある筈だよ」
そうした声と共に、俺はフランスを歩き回っていた。
そうして、見ていく中で分かった事がある。
それはこの時代のフランスの医学レベルの低さだ。
正直、かなり期待外れと言っても良い。
確かに、薬らしき物は売っているし、簡単な治療行為も行っている様に見える。
ただ、現代の医療技術と比べたら、まだまだ遅れている様に見えたのだ。
これは本当に残念な結果と言えるかもしれない。
そんな事を考えながら、ふと思った事をジャンヌに聞いてみた。
「そう言えば、ロンドンに比べたら魔術はない。
だが、王族に関する者を調べたら、以外な手掛かりはあるんじゃないの?」
「王族?」
「例えば、マリーアントワネットとか、そういう奴らよ」
「えぇ、けど、それって、また泥棒みたいな事をしないといけないという事だよね」
「そこは怪盗と言いなさい」
俺は苦笑を浮かべながら答える。
すると、ジャンヌはため息交じりでこう言ってきた。
「いや、もうあの件は懲りたよ。
あんな面倒くさい事はやりたくない」
まぁ、あれだけ色々やっていればそうなるか。
そう思いつつ、俺は苦笑いをするしかなかった。
「良いから、あんた、救いたい奴がいるんでしょ」
「うぅ、まぁ、今更だよな」
ジャンヌの言葉を聞いて、俺は落ち込んでしまう。
だが、何時までもそうしている訳にはいかない。
俺は気持ちを切り替えて、再び調査を始める事にした。
だが、この時は気づかなかった。
この、フランスで過ごす期間が、想像以上に長くなる事件に巻き込まれる事に。