小さなタブレットの中で、大きく発展した世界。
それは、俺の想像以上だった。
しかし、それらを支えるには、現在の資金では難しい。
日本での生活も慣れている事もあったが、このままではイングヴィルドの眠り病を治す為には、それを支える技術があまりにも少ない。
日本のみならず、海外にある金属など、必要な材料がとにかく多い。
「それで、何か手があるのかどうか」
「方法だったらありますよ」
そう悩んでいると、久し振りに律からの連絡があった。
ここしばらくは、Aiの管理をしていたはずの彼女からの連絡に俺は驚いた。
「久し振りだな」
「えぇ、それで治療の目処は」
「相変わらず、分からない事ばかりだよ。
どうしたもんか」
「でしたら、一つ提案があります」
「提案?」
「えぇ、材料に関して、一つ心当たりがあります」
「心当たりって、言っておくが、レアメタルとか、簡単に手に入らないぞ」
「いいえ、それがあるんです。
しかも、実質、無料で」
「無料?
それって、一体どこなんだ?
言っておくが、冥界とか、そこら辺も難しいと思うけど」
「いいえ、私達が取るべき材料の数々。
それらは、そう宇宙にあるのです」
「……宇宙だって」
俺はその一言に驚きを隠せなかった。
だが、同時に宇宙であれば、材料になる物もあるだろうと考えていた。
宇宙に行けば手に入るなんて話もあるが、それは本当に一握りであり、地球でも入手が難しい程である。
だからといって、可能性がない訳じゃない。
それに何より、そんな場所にまで行ける手段は俺にはない。
それこそ、宇宙船やロケットなどを作れるなら別だろうが、生憎とそういった物はない。
「なければ、盗めば良いんですよ」
「この子、俺が見ない間にすっかりと悪い子になっている!」
律のその発言に思わず、頭を抱えてしまう。
しかし、彼女は至極真面目であった。
「何よりも、今回、盗むのはロケットではありません」
「ロケットじゃないとしたら、何なんだ?」
「こちらにあるのを盗みます」
そう言って、表示されたのは、オカルトなどでよく見られるUFOの不時着記事だった。
未だに本当にあるのかどうか、よく分からない物だ。
「このUFOはこれまで調べた結果、実在している事が判明しました。
ですが、未知の技術の為、今も研究対象になっている程度です」
「だったら、盗んだ所で」
「いえ、そこは物に意志を宿す能力を持つあなたの出番です」
「あぁ、そういう事か」
その言葉と共に理解すると同時に冷や汗をかく。
「どうかしましたか?」
「いや、これまでファンタジーとかそういうのをやってきたけど、まさか、宇宙まで行く事になるとは思わなかったから」
俺はそう言いながら、これまでにない計画に冷や汗は止まなかった。