2000年。
それは、様々な時代を乗り越え、これから新たな事が始まるだろう年でもあった。
現代では当たり前のように使われる電子機器の数々がこの時代から大きな発展が見え始めている。
それと同時に、俺がかつて生まれ、生きていた年に大きく近づいている事も分かった。
「それにしても、ここまで、分かった事も多くある」
既に70年以上、眠り病に関する調査を行い、分かった事としては多くある。
現在、冥界の方でも眠り病に関する謎は未だに多い。
だからこそ、レヴィアタンの血を受け継いでいる彼女が、その病にかかっている事にも納得していた。
「だけど、たぶん、あと少し、もう少しだから」
俺はそう呟きながら、目の前にある報告書を見つめる。
そこには彼女の血から採取した血液と細胞の分析結果が出ていた。
これまで、いくつかのサンプルの解析や検査も行ってきたが、その結果が出るまでには時間が掛かった。
そして、ようやく結果が出たのだ。
俺はそれを見ながら、今後に行うべき事を考える。
未だに完全な治療の目処は立っていない。
それでも、僅かでも治療できる方法として、俺が行うべきなのは。
「イングヴィルドに呼びかけ続ける事か」
これまで医療に関する知識など、ほとんど知らない状態で研究を続けて来たため、本当に上手く行くのか分からない状況だ。
ただ、少し前から、彼女自身の意識に呼びかける方法が分かり始めた。
だからこそ、俺がこれから行うべきなのは、これまで通り、医療で行える事を続ける事。
同時に、その意識を呼びかけ続ける事で、完全ではないとはいえ、病気の進行を抑える事が出来るかもしれない。
そのためには、やはり、イングヴィルドへの呼びかけが必要になってくるわけだが。
「あとは、もう少しだからな」
その、もう少し。
それが1年、10年とかかるかもしれない。
それでも、諦めるつもりはない。
彼女が再び眼を開いてくれるまで、俺は諦めない。
そう思いながら、俺は彼女の手を置く。
手から僅かに感ずる、彼女の確かに生きている証。
鼓動を感じながら、俺は彼女に語り掛けるように言葉を発する。
「絶対に助けてやるから」
ゆっくりと、手の感触と共に彼女の穏やかな吐息。
それは確かに彼女が生きている事を意味している。
眠っているだけ。
生きている。
それだけでも、俺が諦めずに、この眠り病に戦い続ける事ができる。
この時代になって、Ai達による最先端科学、そして古の知識も確かに身に付けた。
「だから、待っていてくれよ