これまで、様々な場所で旅をしてきた。
イングヴィルドの眠り病を治療する為に、最初は世界中のあらゆる場所を巡って、様々な医療に関する知識を学んでいた。
そこから、これまでは知らなかった裏の世界に関する事を知り、本来ならば存在しないだろう悪魔、堕天使、天使など様々な存在と実際に会う機会も増えた。
だからこそ、俺は並大抵の事ならば、動じない自身は確かにあった。
だが、目の前にあるのは、そんな俺を驚かせるには十分過ぎる程の物だった。
「こんなの、本当に作ったのかよ」
そう言いながら、目の前にある機械を見る。
その機械の特徴は、目の前に大きく広がる円だ。
人が1人は潜るのには、それ程は苦戦しないだろう大きさで広がっている。
問題は、その円の先に広がっている光景だ。
そこは、信じられない光景だった。
かつては巨大な都市だったようだが、草木の生い茂る廃墟、中央部分の地盤が崩落し、大きく陥没することとなる。
それらの光景は、到底、信じられない光景だった。
「なぁ、律。
目の前にあるこれは一体何なんだ?」
俺は思わず、この装置を作った張本人である律に尋ねた。
『いやぁ、少し張り切って、思わず作ってしまったタイムゲートです』
「とうとう、タイムマシンを作っちゃったよ。
それで、もしかしてだけど、この目の前にある光景って」
『えぇ、今からそう遠くない未来の世界ですね』
「未来って、しかも遠くないの」
俺は律からの次々と出てくる言葉に驚きを隠せずに、穴の向こうに見える光景を見る。
明らかにかなり長い年月が経っているにも関わらず、この光景が生み出されるのは、そう遠くない。
その一言を聞いて、俺はかなり焦りを隠せなくなった。
「律、この未来がどうしてなったか、原因は分かるか?」
『それはさすがに未来で直接見ないと分かりません。
向こうの世界は、私達にとっては未知な部分もありますので』
「これまでは多くの未知と戦ってきたつもりだけど、まさか、未来の世界を探索する事になるとはな」
そう冷や汗を掻きながら言う。
『では、どうしますか?
幸い、タイムゲートを閉じれば、それで良いだけの話ですが』
「それじゃ、結局はこの未来になってしまうんだろ」
『そうですね、未来は不安定な所があるので、これが確実とは言えませんが、99,9%の可能性でこの世界になってしまいますね』
「結局は探るしかないという訳か」
そう俺は諦めるようにタイムゲートの先の世界を見る。
「何人まで行けるんだ?」
『1人だけです。
それ以上は、行き来も不可能になります』
「だったら、行くしかないよな」
幸い、道具がカウントされていない事も含めれば、カレラ達が一緒でも大丈夫だろ。
『でも、気をつけてください。
未来に行っている間の時間は、現在でも同じく進みます』
「そこは未来に行っている間は進まないとかはないのか」
そう、思わず残念に思ってしまうが、これはチャンスかもしれない。
過去にも、現在にも治す方法が見つからないならば、未来を探すのも一つの手かもしれない。
「滅亡の未来を変えるついでに、眠り病の治療方法を探るか」