グレイフィアさんからの情報を元に、俺達が次に行動すべき出来事は分かった。
それは、平行世界に存在するだろうULと呼ばれる存在との接触。
そこから、どのように説得するかである。
「……さて」
と、俺は言う。
「とりあえず、話し合いで済めばいいんだけどな」
そう言いながら、俺は現在作り出している平行世界を移動する為の装置をチェックしていた。
未来へ行く為の装置は既に作っている事もあって、それの応用として、過去へ行く装置を作っているのだ。
ただし、過去の時間軸に干渉するというのは危険が伴うので、慎重に行わなければいけないのだが──。
「ふむ……何だかんだ言っても、やはり平行世界移動技術の方が優れているのか、こちらの世界の技術力ではどうしても限界があるからな」
『それでも、今はその方法しか、未来を救う方法はないですから』
そう律は言いながら、システムのチェックを行っている。
「よし、大丈夫だ」
『後は、どうやって、あの世界に行くかです。
一応、未来で侵略してきたULに対抗できる力を持っているとはいえ』
「未知数があるか」
『はい。
確実に危険な旅になります』
そう心配そうに、律は言った。
けど
「まぁ、旅は何時だって、そうだからな」
この90年近い旅に出ている間に色々と経験した。
正直、今回の事もその延長線にあるものでしかない気もしている。
「だけど、あいつが目覚めた世界を、あんな未来にするつもりはないからな」
『でも、本当に良いんですね?』
不安そうな声で問うてくる律に対して、俺は苦笑しつつ答える。
「何度も言わせるなよ。
それに、俺は死ぬ気なんて、毛頭ない」
『はい!』
嬉しそうに返事をする律の声を聞きつつ、俺は平行世界へと渡る準備を始めるのだった。
同時に俺は全ての準備を終えた。
これから向かうのは、正真正銘、人類がこれまで行った事のない未開の地。
その地で、俺が生き残れる可能性がどれぐらいあるのか、分からない。けれど、やらなければ、いけない事がある以上、行くしかなかった。
「さて、そろそろ出発の時間だな」
『はい! あちらの世界に着いてからの事は、任せて下さい』
「ああ、頼んだぞ」
そして、俺は装置を使う。
目の前には、平行世界の入り口となるゲートが開くと同時に、その中に飛び込んだ。
ゲートの中には光のトンネルのようなものだ。
ゆっくりと進む中で、感じるのは、この世界ではない別の世界の空気。
それは、世界中を駆け巡る前のようで、懐かしく感じられるものだった。
「…………」
そして、ゲートを抜けた先に見えながらも、振り替える。
「今度こそ、目覚めて、会おうな」
その言葉を最後にゲートは完全に閉じられる。