ゴールデンウィークを間近に控えた四月下旬。俺が住むツツジ台をピンク色に彩っていた桜は全て散ってしまった。少し寂しいと感じるが、春は毎年やってくる。来年こそは彼女とゆっくり桜を楽しめるような関係に落ち着いていたい。
そんな風に思う俺の耳に、ギシッ、ギシッ、と軋むベッドの音が届いた。
俺は二階の窓から見える庭の葉桜から、部屋の中に視線を戻す。
高校生の子供が一人で使うには広すぎる部屋。収納場所も多彩で、ゲーム機や雑多なものが置かれてなお、空間を持て余している。俺にはここまでの部屋は必要ないと思っているのだが、母さんが家ごと用意してしまったため、仕方なくこの部屋を使っている。
そして、今俺が仰向けになっているこの巨大なベッドも、母さんが発注したものだ。
母さんには本当に困ったものだ。少し前に俺が住んでいたマンションの部屋も、俺に許可なく引き払ってしまった。突然退去するように大家に言われ、困惑していたところに海外にいる母さんから電話が掛かってきて、この家で暮らすよう言われたのだ。
非常識な人だ。今度会ったら絶対に文句を言ってやろう。母さんは海外を飛び回って仕事をしているから、次に会えるのがいつになるかはわからないけど。そのときは心を鬼にして――。
「く、ぅ……」
別のことを考えて紛らわせていた気が一瞬緩み、俺は股間に感じる刺激に呻いた。
「っ、んんっ、あっ、あんっ……!」
意識して聞くまいとしていた喘ぎ声が、俺の鼓膜を心地よく震わせた。せっかく抑え込もうとしていた性欲が抑圧されていたことで一気に増幅し、股間に集まる熱をさらに高めてしまう結果となった。
「んっ、はぁっ……我慢、しないでいいよ? っ……君のお母様からも子作りの許可も貰ってるんだからぁっ……!」
耳心地のいい声に惹かれ、俺は意図的に視界から外していた彼女を見てしまった。
俺の下半身に跨って腰を振り続ける恋人、新条アカネを。
その魅力的な裸身と、彼女の首に嵌められた装飾品を。
「鎖、引っ張っていいよ」
アカネは当然のように俺の肉棒を生で膣穴に咥え込み、ズプンッ、ズプンッと奥まで迎え入れながら俺の左手に鎖を握らせる。それはアカネの首に嵌められた赤い首輪と繋がった分厚い銀色の手綱だ。
これを握って引っ張って、男としての優越感を楽しむ。
そして、気持ち良くアカネに膣内射精する。
それが、アカネから俺に課せられた本日の試練。
「気持ちよくなって、たっぷり中出ししようね。君の玉々で作られた優秀な遺伝子を、私のお腹の奥にびちゃびちゃ撒いちゃうの。何度も、何度も。君の精子が私の卵子と結びついて受精するまで。君と私の可愛い赤ちゃんを作るまで」
アカネが実に楽しそうに俺へと笑い掛ける。その様子を見ていると、本当にこれでいいのかと疑問を抱いてしまう。アカネも母さんも、変じゃないか? 確かにアカネは俺の恋人だけど、まだ学生の立場で子供を作ることを推奨するなんて。どういった経緯か、俺とアカネの仲を知った母さんが電話越しに『孫の顔が早く見てみたいから、今日からアカネちゃんと同棲しなさい』と言われたときには、ただの笑えない冗談だと思ったのに。
全部本当のことだった。母さんは家を準備し、そこに俺とアカネを住まわせた。
「あんっ、あっ、はぁっ、ん、いいよ、それっ、最高っ……! 君のものになったんだなぁ、って感じがする……。君に支配されるなんて本当に幸せっ……」
俺が鎖を引っ張ると、アカネが瞳にハートを浮かばせた。太ももを大胆に左右に開いて、膣穴がチンポを出し入れする様を俺に見せつけながら跳ねる。跳ねる。跳ねる。ズプッ、ヌプッと湿った音を立てて、肉棒は忙しなく食い荒らされた。
「頂戴、君の子種……!」
アカネのような超絶美少女に求められて、拒める気がしなかった。
体が湧き立つ。春になったばかりの頃、アカネと初めて繋がって中出ししてしまったときのように理性が薄らいでいく。あとで後悔するとはわかっていても、一度こうなってしまってはもう後戻りできない。
俺は鎖を引っ張りながら、目の前で元気よく揺れるアカネの乳房を右手で掴んだ。もう何度も楽しませてもらってきた白くてふんわりとした胸。徹底的にしゃぶり尽くしたことも、チンポを挟んでもらったこともある。アカネに勧められるまま、足置き場にしてしまったこともある。
「っ、ぁっ、ぁっ、もっと、強く……! 君に屈服したい……! 所有されたい……! あぁっ、好きなだけ、私の体を滅茶苦茶にしてぇっ……!」
愛撫などとはまるで違う、欲望に濡れた手で行う掌握。アカネとこの胸は俺の物だという独占欲を剥き出しにして、俺は下腹の奥からせり上がってくる快楽に身震いした。じわじわと浸食してくるその気配に伴って肉棒が厚みを増す。ただでさえ大人顔負けのそれが、誰にも手に負えない怪物へと変化する。
「す、すごぉっ、ん、はぁっ、あぁっ……!?」
初めてではないのに、まるで初めて俺を受け入れたかのように、アカネは今日も驚愕に目を見開いていた。纏わりつく膣壁を押し退け、エラで壁を擦り、子宮口に鈍い一撃を放つこのチンポは、何度だってアカネに新鮮な興奮を与えてくれるようだ。
「あぁんっ、あんっ、あっ、はぁっ、んんっ、んぉおっ……!」
最近では、初めて繋がったときよりもアカネの反応が激しくなった。どうやら度重なる性行為を経て俺は成長を遂げているようで、こうやって、アカネがどこをどう攻められると気持ちよくなれるのかが手に取るようにわかる。
たとえば、お腹側の方向に亀頭が食い込むように俺が自分から腰を上げる。
すると、
「ん、ひぃっ!?」
アカネの余裕がそがれた。
「ああぁっ!?」
突き出した胸の頂で桜色に染まる乳首をぎゅっと摘まむと、アカネの全身がブルブルと震えた。目を見開いてしまうほどの快楽で海老反りになって、無防備になった女体の内側へと猛攻を叩き込む。
「んっ、ぉっ、おぉっ、あ、あ……!?」
アカネの意識が遠退いていくのがわかった。膣奥を亀頭で殴られるごとに幸福を表情に咲かせ、膣肉で肉棒をぎゅっと抱きしめる。逞しい肉棒から精子を搾取しようと体が反射的に動作しているようで、俺はアカネの求めに応じて子種を吐いた。
「ぉ、おくでぇ、でてるぅぅうっ……!」
アカネの大切な場所に、俺の欲望が熱を広げている。凄まじい解放感と快楽が全身を駆け抜け、俺も震えが抑えられなかった。常人を遥かに超越した射精量を誇っているらしい俺からしても、出し過ぎだと思わざるを得ない大量射精。
胎に俺の子種を敷き詰められて、腹をぽっこりと膨らませるアカネ。
「あ、はは、そろそろ、私一人じゃ、相手しきれないかも……」
俺の成長を悦びながら、アカネはそう呟いていた。
いったい何をするつもりなのか。いや、もしかして。
なんとなく察していた俺の推測は、果たして合っていたようだ。
俺がそれを知ることになったのは、ゴールデンウィーク前日の登校日だった。
「ねえ? 六花。一緒に帰らない?」
放課後。いつも通り、まだ教室内にも関わらず俺の腕に抱きついたアカネが、帰宅しようとしていたクラスメートの少女、宝多六花さんに言った。アカネの弾力のある巨乳を腕に受けていた俺は突然の誘いに動揺し、硬直する。
それは、誘われた宝多さんの方も同じようだった。
「え……?」
と呟く宝多さんの声は教室によく響いた。
俺とアカネの仲睦まじい関係を見て女子たちが今日も楽しげに賑わい、男子たちの嫉妬の眼差しが俺を射抜かんとしていたが、それが全て緩和された。彼氏である俺に身を摺り寄せ、これからイチャイチャしながら帰ろうとしていた少女が、平然と友達を帰宅に誘うなどという考えに至る者はいなかったのだろう。
「え……?」
改めて宝多さんの呟きが響いたときには、アカネはもう行動に出ていた。
「決まり。ほら、行くよ、六花」
「ぁ、ちょ、ちょっと……」
俺に抱きつき、宝多さんの手を引っ張ったアカネが教室から廊下へと出る。教室にいる同級生たちの反応を置き去りにして。その辺はあまり気にしていないのだろうか。いや、アカネのことだからそれすらも楽しんでいるのかも。
同級生たちのことが気になった俺が教室を一瞥すると、啞然とした同級生たちの中で皆とは違う感情を抱く人物と目が合った。赤い髪の中学生のような幼い雰囲気をした男子生徒。
俺たちが廊下にいなくなって、ざわざわと再び賑やかになる教室。
ゴールデンウィーク明けに教室に入るのが今から億劫になってきた。
「ね、ねえ、アカネ。なんで、私まで。二人で帰るんじゃないの?」
「たまにはいいでしょ、三人でも」
大した説明もないまま、宝多さんと俺を牽引していくアカネ。しばらく事情説明を求め続けた宝多さんだったが、こうなったアカネを引き留めることはできないと思ったのか、やがて諦めたようにアカネに身を委ねることになった。
教室前の廊下から昇降口に至るまでの途中。俺は宝多さんと目が合った。
しかし、特に会話を交わすことはない。俺はアカネの恋人ではあるが、アカネの親友である宝多さんと話したことは一回だけだ。しかも、その一回というのは、アカネが恋人である俺を宝多さんに紹介したときだけだ。
ほぼ初対面。だが、俺は宝多さんのことをよく知っている。
宝多六花。肩まで届く艶のある黒髪と、涼しげな面立ちの美少女。身長は155センチで、体重は秘密。誕生日は2002年12月5日。血液型はO型。などの、アカネから何故か聞かされた個人情報。それと、宝多さん自身は知らないことも。
校内で学校生活を送る宝多さんの隠し撮り写真が、男子たちの間で出回っていることを俺は知っている。アカネと並んで、思春期真っ盛りの男子たちの精液をティッシュに無駄撃ちさせるオナネタになっていることも。宝多さんの写真に精液をぶちまけた者もいるという噂も聞いたことがある。
それくらい宝多さんは可愛くて、特に太ももがエロい。太ももの擬人化という、あんまりな呼び名で男子たちに密かに呼ばれている。なお、一部の男子たちの投票で決められた『孕ませたい一年女子ランキング』でも首位のアカネに次いで上位に君臨している。
俺も宝多さんで自慰をしたことが何度もあるせいで、近くにいるだけで気まずかった。
宝多さんの太ももをさり気なく視姦しながら、俺はただ黙してアカネに引っ張られた。
「昨日ね、彼といっぱいセックスしたんだぁ。凄いんだよ、彼」
「へ、へぇー……」
俺の自慢を聞かされて、宝多さんは反応に困っている。俺としてもどう反応すればいいのかわからず、ちょっとだけ心の距離を置く。
いったい、アカネは何を考えているのだろう。宝多さんを誘っただけじゃなくて、こんなことを話し出すなんて。止めるべきか、それとなく話題を変えてみようか。なんてことを考えながらムチムチの太ももさん――いや、宝多さんを見たときだった。
「ぅ、ぁ……?」
ドクンッ、と心臓が大きく鼓動した。
それは思わず俺が足を止めてしまうほどで、今もバクバクと胸が高鳴っている。ドクン、ドクンと音が聞えてくるのではないかと思える大きさ。なんだ、これは。動揺する俺の顔を、「どうしたの?」と言いながらアカネが覗き込む。
その顔は、俺を心配するものではなく、微笑んでいるように見えた。
そんなとき、何かが地面に落ちる音がした。
「なに、急に……」
横を見れば、通学鞄を地面に落として膝を突く宝多さんがいた。片手は自身の胸の中心に置かれている。それは俺と同じく、突然の胸の鼓動に驚いているように見えて、俺はアカネへと目線を向けた。
何か体に害のあるガスでも吸ったのだろうか。それなら、アカネも同じような反応を見せるはずと思ったのだが、アカネの様子に変わったところはない。俺たちの異変を前にしても、変わらず笑顔で。
「ア、カネ……?」
そうだ。どうして、さっきから笑っているんだ。
アカネが何かしたのか? あり得ない。そんなことをしてアカネに得はない。
それに、アカネが俺たちに何かをする素振りなんてなかった。
だとしたら、これは偶然……?
「私、今は何もしてないよ。こうなったのは必然かな?」
「どういう、こと……? あっ……」
へたり込んでいた宝多さんの腕を引いて、アカネが無理矢理立たせた。驚く宝多さんの背後に回って腰に抱きつき、肩から顔を出す。そうして、宝多さんの頬に自身の頬を当てて頬擦りしたアカネは、俺を見てゆっくりと口を開いた。
「君には前に言ったけど、君と六花はすごく相性がいいんだよ。一度繋がれば、全然離れようとしない磁石みたいに。嵌め合って抜けない凹凸みたいに。お互いのことを知っちゃうとね、もう離れようとしなくなっちゃうの。どういう意味か理解できる?」
立ち尽くす俺の前に、アカネが宝多さんの背を押して運んでくる。
「ねえ、どうしたの、アカネ、やめて……」
アカネの説明はたとえ話ばかりで、宝多さんには上手く伝わっていない。ただ自分の胸の高鳴りと、アカネの様子が変わったことが何かしら関係していることだけはわかっている様子だった。
そんな中、俺はアカネの言葉を正確に理解していた。
俺は前にアカネから言われた。
アカネと宝多さんにとって、俺は最高のツガイなのだと。
ツガイ。番い。雄と雌。夫婦。交尾相手。
その言葉の意味が浸透する。俺の脳と、股間に。
俺の制服のズボンが膨らみ始める。布地の圧迫にも負けまいと、メリメリと中で変貌を遂げる。それは外からはっきりと見て取れる変化であり、当然、目の前にいたアカネと宝多さんにもバレてしまう。
それを見て、アカネが動いた。
「触ってみよ……? 六花……」
「ぁ……」
アカネの右手が、宝多さんの右手の甲を包み込み、優しく握って前へと誘導する。
その先には俺の股間。黒い生地が描くこんもりとした山に、布越しでも感じ取れる滑らかで温かい手が触れた。抵抗をする様子もなく、五本の指を下に向けた手の平が完全に俺の股間を包み込んで、握った。
「六花、わかる……? これが、こんなに大きくなっちゃった意味を……」
「ぁ、あ……」
「わかるよね……。そうなるように、作ったんだから……。六花も、君も……」
アカネが手を動かして、宝多さんに俺の肉棒を揉ませている。竿の中腹を、先端を、玉が重く圧し掛かる股の付け根を。いろいろな角度から、様々な力加減で、肉棒の存在を触診で確認させる。
「二人は――ううん、私を含めて三人か……。私たちはね、結ばれる運命なんだよ……。愛し合って、交わって、愛の結晶を作るの……。何人でも、何十人でも……。しかも、終わりはない。この世界で私たちは永遠に愛し合うの……。最高に相性のいい、傍にいるだけで幸せになれるパートナーと一緒に……」
ビキッ、と肉竿に力が入る。それは宝多さんにも即座に伝わる。
「パートナー……。あなたが、私、の……?」
宝多さんが俺の顔を見上げる。右手で、俺の肉棒を揉みながら。
もう、アカネは宝多さんの手に触れていない。だというのに、宝多さんは頬を真っ赤にし、潤んだ瞳で上目遣いに俺を見ながら俺の股間を撫で続ける。手の平全体でゆっくり、たっぷりと時間を掛けて隅々まで。
そうしていたかと思えば、宝多さんは人差し指で股間の輪郭を辿った。どういう形をしているのか、正確に確認するために。俺と視線を重ねたまま、ここが外であることもお構いなく、弄り回す。そして、チャックの先端を指先で摘まんで――。
「二人共、これ以上は人目についちゃうよ?」
「あ……」
「ご、ごめん……」
ニヤニヤと笑うアカネに言われて、俺たちは慌てて距離を取った。ちょうど通りすぎようとしていた女性が、向き合っている俺と宝多さんたちに怪訝そうな視線を送ってくる。だが、その反応を見る限りでは、どうやら俺たちがしていたことまではバレていなかったようだ。
だが、これ以上の行為をここでするわけにはいかない。
生殺しだった。中途半端に興奮を抱かされて、股間はこんもりと膨れたままだ。
このままお開きになってしまうのだろうか。
「ねえ……」
不安を抱く俺に、宝多さんが話し掛けてきた。
「学校の近くに家があるって、アカネから聞いたけど……」
「え……。あ、うん……。そうだけど……」
「親も、家にはあんまりいないんだよね……?」
「あんまりって言うか、毎日……」
「代わりに私がいるけどね?」
耳元でそう告げるアカネを背に、宝多さんが何か逡巡するように視線を揺らした。その顔は赤いままだ。何かの拍子に涙を流してしまうのではと思えるほどに瞳は潤い続け、その瞳がややあって再び俺を捕らえた。
「これから……」
俺だけを映す宝多さんの瞳。
「行ってもいい……? 君の、家に……」
そこに、まだ理性と肉欲の狭間で揺れる不安定な意志を感じた。
素直になりきれない宝多さんを前にして、俺はごくりと生唾を呑み、頷いた。彼女の気持ちが変わってしまう前に。宝多さんを惑わす欲望の熱が冷めきってしまう前に。彼女を家に招き入れて、その身を隅々まで味わい尽くしたい。
一瞬、さっき教室で見た響の表情が脳裏を過ぎる。もしかすると、彼は宝多さんのことが好きなのかもしれない。だから、女性関係に節操がないという不名誉な評価を受けている俺と、宝多さんが一緒に帰ることに不安を覚えたのではないか。
宝多さんを奪うことへの罪悪感が胸を衝く。
「駄目……?」
けれどもそれは、宝多さんの懇願する声の前では全くの無力で、俺は宝多さんの手を握った。
「行こう……。俺の家に……」
恋人とこれから恋人になれるかもしれない美少女二人を両手に侍らせ、家に向かう。道中、いつの間にか宝多さんの体が俺へと擦り寄っていたことも、温もりを確かめるように何度も握り直された手の感触も、頬に触れる乱れた吐息も、何もかもが股間に悪かった。
次は六花完堕ち編。