和風エロゲー世界の失踪予定モブ退魔忍者に転生いたしましたが、全力で生き延び「んほぉぉぉぉぉぉ♡お゛っ♡お゛っ♡お゛っ♡」 作:第三世界(うたかたとわ)
「さて、行きますか!」
学園都市ヤオヨロズ内にあるさびれた神社。
その一角に出現する謎の魔法陣。
午前零時のみに入ることができる、苗床の庭への道。
「ふふふ! ゲームと一緒だわ!」
誰もいない真っ暗な神社の中に、私は忍び装束姿でたたずんでいた。
理由は隠しダンジョン苗床の庭にある特定アイテムの回収。
私は退魔のシノブ伝における、有名な攻略法をこの世界で試みようとしていた。
苗床の庭の一階にある宝箱から手に入れることができるのは、いにしえの忍者刀という武器。
いにしえの忍者刀はゲーム攻略の終盤に手に入る武器で、強力な攻撃力を誇る武器である。
それをゲーム開始直後に入手すると、攻略速度が段違いに早くなるのだ。
「やはり、知識チートは偉大ね!」
いにしえの忍者刀をまず最初に手に入れてから、適正レベルのダンジョンに潜り、モンスターを瞬殺しながらレベルを上げていくというのが退魔のシノブ伝における有名な攻略法である。
敵を一撃で倒せるかどうかが、デバフが強力な退魔のシノブ伝では戦闘において重要な要素の一つとなるためだ。
ダンジョンのモンスターにわざと負けて、巣にお持ち帰りされるバッドエンドを見ることが目的なら話は別であるが、戦闘に楽に勝てるというのは精神衛生上ありがたい。
それと、苗床の庭の最奥部で入手できる召喚獣が、特定のボスを倒すために必須だったりもする。
それはおいおい、強くなってから攻略に挑むことにしよう。
とにかく、退魔のシノブ伝では、苗床の庭はゲーム攻略に欠かせないダンジョンなのだ。
そんな苗床の庭であるが、一階に存在するモンスターはクトゥルーオークと呼ばれる種類のモンスターのみである。
素早さが低いのが特徴のクトゥルーオークは、レベル1の状態で遭遇しても100%逃げることに成功するモンスター。
宝箱の回収に成功するまで何度もゲームオーバーを繰り返す必要がないことも、この攻略方法がゲーム内で人気になる理由でもあった。
ゲームのキャラを操作するのではなく、実際にダンジョンに潜る私にとって成功率が100%の攻略法であるというのも大きい。
何度も失敗を重ねて、苦しい思いをするのは嫌だからだ。
苗床の庭のダンジョン内でクトゥルーオークに捕獲されるバッドエンドは、ゲームをプレイしているときには何度もお世話になった素晴らしいエロシーンであったが、あれを私が味わう気にはならない。
だから知識チートを使って、私はこの世界を攻略する。
「よし! ここが入り口ね!」
午前零時になり、ひっそりとした神社の敷地にピンク色の魔法陣が出現する。
ゲームと同じ光景。
しかし、現実として起きている光景の前に、私は立っていた。
「たしか、魔法陣を踏めばゲームでは転移したはず……」
私はゲームの通りに出現したダンジョンに繋がる魔法陣にワクワクしながら、異世界攻略の第一歩を踏み出す。
そして、私が魔法陣を両足で踏むと転移が起き、視界が変わった。
「うわぁ……実際に見ると……すごく肉肉しいわね……」
無事にダンジョン内への転移を果たした私の周りには、ピンク色の隆起した謎の肉と呼べばいい物体で作られた通路と壁が広がっていた。
ゲーム内で見た景色と同じ構造のダンジョン。
異形の迷宮。それが、苗床の庭。
「さてと、こっちの道だったわね……」
心臓が跳ねるようなリズムでいたる部分の壁肉が膨らみ、脈動している。
ゲームで見るよりさらに恐ろしい、実際に現実として目撃する苗床の庭の景色は、私の正気を奪いそうになるくらいに狂おしかった。
道は覚えている。さっさと宝箱を回収して寮に帰ろう。
私は目の前に広がるおそまじい景色に鳥肌を立たせながら、宝箱の回収を急ぐことにする。
幸いにも、一階にトラップはない。
何度もゲームをプレイした私の頭には、マップの構造も記憶されている。
私は早足で宝箱への最短ルートを進む。
「む! モンスターね!」
そして宝箱への道中、ついに私はモンスターに遭遇する。
クトゥルーオークの集団。
豚のような顔にひげのような触手を生やした、異形のオーク。
あの触手を使って、ゲームでは主人公のシノブやセツナにおぞましいほどの快感を与えていた。
数多くの人間が抜いた、私もお世話になった、快楽生命体エンドである。
「さて、逃げますか……」
レベル1の現時点では絶対に戦闘で勝つことはできないが、簡単に逃げることができるクトゥルーオークたちと、私はダンジョン内でにらみ合う。
「あれ? そういえば……逃げるのって、どうすればいいの?」
しかし、ここで私は、認識の甘さを痛感させられることになる。
ゲーム内では逃げるコマンドを選択すれば、簡単にモンスターから逃げることができた。
だから、私はこの世界でも、走れば簡単にモンスターから逃げられると思いこんでいたのだ。
しかし、私がクトゥルーオークに遭遇したのはダンジョン内の狭い一本道の通路。
しかも、挟み撃ちまでされている。
ゲームでの戦闘と実際に遭遇する戦闘行為の違いに、私の頭は困惑した。
これは、どうやって逃げればいいのだろうか。
クトゥルーオークたちのすき間を通って逃げればいいのかもしれないけれど、戦闘経験のない私にそんなことは厳しい。
シグレの体を、まだ私はうまく使いこなせていなかった。
「うう……」
そして、死角からの攻撃に戦闘の素人が対応できるわけもなく、私はあっという間にクトゥルーオークたちに殴り倒されてしまう。
「まずい……なぁ……これはぁ……あぁ……」
私の意識が徐々に遠くなっていくが、力の抜けた体では何もできなかった。
「……ぅぅ……ぅ……」
私の目の前が、真っ暗になる。
「……ぁ……ぁぁ……ぁ」
……
……
……
「……あっ♡」
私は苗床の庭で、クトゥルーオークに捕獲された。