和風エロゲー世界の失踪予定モブ退魔忍者に転生いたしましたが、全力で生き延び「んほぉぉぉぉぉぉ♡お゛っ♡お゛っ♡お゛っ♡」 作:第三世界(うたかたとわ)
「ウルハお姉さま!!」
ひっそりとした暗闇が広がる深夜。
ツクモ学園の一角で、私はウルハお姉さまと合流する。
「久しぶりね! シグレ!」
背中まで伸びた金色の髪に、水色の瞳を輝かせた美女。
忍び装束の下に膨らむのは、はちきれんばかりの巨乳。
私が退魔忍者の里でお世話になっていたあの頃と変わらない姿で、ウルハお姉さまが闇にたたずんでいた。
「積もる話はあと。まずは学園の敷地内を探索するわよ……」
「はい! ウルハお姉さま!」
そして、私とウルハお姉さまは学園の敷地内を探索し始める。
下忍である私は、上忍であるウルハお姉さまの指示に従いながら、夜のとばりを忍び歩いた。
「……」
「どうしたの? シグレ?」
「いえ……なんでもありません」
(この学園には、いったい何人の敵がいるのかしら?)
そんなことを考えながら、私はウルハお姉さまとともに夜道を進む。
私たちが今日探索する予定なのが、学園内に設立された自然公園。
学園都市ヤオヨロズでエリートを育成するツクモ学園の敷地は広大であり、一般校舎、特別校舎、自然公園、福利厚生施設郡、一般学生寮、特別生徒用学生寮、図書館、訓練場、研究棟区画とまるでテーマパークのような規模がある。
ツクモ学園の敷地は広すぎて一日では探索しきれないため、今日はまず、ひと目につきにくい自然公園を探索するのだ。
(さすが、ウルハお姉さまね……)
私はゲームの知識で自然公園内に魔族の秘密研究施設への入り口が存在することを知っているが、ウルハお姉さまは知らないはず。
それなのに、すでに怪しい場所にある程度見当をつけていることから、ウルハお姉さまは優秀な退魔忍者であることがうかがえる。
「シグレはツクモ学園に潜入して四日目だけど、何か魔族についての情報は手に入れたかしら?」
「いえ、何も……」
「そう……学園は思いの外危険な場所。どこに魔族の目があるかわからない。何か発見したら、まず最初に私に知らせなさい……」
「はい、お姉さま!」
本当は何回か死に戻りしたり、ゲームの知識で未来のことを知っているが、そんなこと言っても信じてもらえないだろうから私は黙っておく。
それに、リラクゼーションマッサージセンターの一件で、どこに魔族の根が張っているかわからないということを、私は痛いほど思い知らされた。
だから私の身の安全を確保するためにも、経験豊富なウルハお姉さまに逐一相談するのがいいのかもしれない。
「うーん、特に怪しい場所はないわね……」
「そうですね……」
自然公園の中を歩き回りながら、私たちは会話を交わす。
今のところ魔族の気配はなく、ただ木々に囲まれた静かな空間が広がっているだけだ。
それもそのはず。
私たちが今日探索したのは、魔族の研究所の入り口がある場所とは違う場所。
しかし、広い公園を端から端まできちんと探索するには、この探索方法が普通である。
私はゲームで知らない知識もあることを念頭に、ウルハお姉さまと一緒に公園の探索を続けていく。
ゲーム以外の知識が、私の異世界攻略を助ける場合もあるのだ。
「シグレ、今日のところは、そろそろ戻りましょうか?」
「そうですね。わかりました」
そして、私たちが自然公園を出ていこうとした、そのときだった。
「っ!? 痛い!?」
「シグレ、どうしたの!?」
「わからないけど……何かが足に刺さって……!」
私の右足にチクリとした痛みが走り、そのあとすぐ、体が熱くなっていく。
何か針のようなものが、私の足に刺さっていた。
不覚である。
「これは、罠ね! しかも、毒が塗ってある……」
すぐさま、ウルハお姉さまが私の状態を確認してくれる。
どうやら、マヌケなことに、私は公園内に仕掛けられた罠にかかってしまったようだ。
私は簡単な罠にかかってしまったことを恥ずかしく思いながら、ウルハお姉さまに謝罪する。
「ごめんなさい……ウルハお姉さま……」
「謝らないで。あなたをサポートするのも上忍である私の仕事。それにシグレは、私のかわいい弟子みたいな存在だもの」
しかし、罠に引っかかってしまった私を責めるどころか、ウルハお姉さまは慰めてくれる。
すごく、やさしかった。
ツクモ学園内自然公園は魔族の秘密研究所がある場所。
森に罠が仕掛けられていて当然。
研究所の入り口とは違う場所にだって、入り口の場所を誤認させるために罠が仕掛けられている場合がある。
それに、今私が踏み入れているのは立入禁止区域。
何が起きてもおかしくない。
私はその危険性を失念していた。
「ぐぅぅ……体が……熱いぃぃ……」
自然公園の探索に夢中になってしまい、足元が疎かになっていた私は自分の実力不足をさらに痛感する。
「これは……一旦シグレの部屋に戻りましょう。解毒が必要だわ……」
「はい……お姉さま……」
「でも、これは魔族がよく使用する毒。何かしらの手がかりが、やはりツクモ学園にあるという証拠ね……」
薬学に詳しいウルハお姉さまに肩を借りながら、私は自分の部屋へと撤退する。
やはり、ゲームの知識だけではわからないことが、ツクモ学園には数多く存在するようだ。
「ぐぅぅ……うぅぅ……」
「シグレ、もう少しだから、頑張って!」
そうして、私は次第に熱くなっていく体を引きずりながら、寮の自室へとたどり着いた。