和風エロゲー世界の失踪予定モブ退魔忍者に転生いたしましたが、全力で生き延び「んほぉぉぉぉぉぉ♡お゛っ♡お゛っ♡お゛っ♡」 作:第三世界(うたかたとわ)
「――はっ!?」
そして、私はまた死に戻りをする。
日付は六月。私が特別サロンに出席する前。
「シグレ、たまには同年代の人とも交流をしてきたら?」
「ウルハお姉さま、私は今は魔族の調査に専念したいと思います!」
「そう……」
私は死に戻りする原因となった特別サロンへの出席をやめて、危険を回避する。
ボッチでも別にいい。
だって、私には、やさしいウルハお姉さまが近くにいるもの。
「あいかわらず、魔族の影がつかめないわね……」
「ウルハお姉さま、でも、調査は少しずつ進んでいます!」
「そうね……シグレ、あきらめずに頑張りましょう……」
いまだにツクモ学園にて暗躍する魔族の影はつかめないけれど、ウルハお姉さまと深夜におこなう捜査は順調に進んでいた。
このままのペースで調査が進めば、何もない場所はあらかた調べ終わり、いずれ魔族が暗躍する明確な証拠を手に入れることができるだろう。
きっとそれは九月になり、ゲームの主人公であるシノブとセツナが学園に転入してきてから。
まるで、ゲームの物語を開始するために、都合のいい調査速度である。
ウルハお姉さまとの調査がいつも何も存在しない場所だけを重点的に調べるのは、シノブとセツナが学園に来てから、彼女たちと怪しい場所を一緒に調査して魔族と戦うため。
ゲームの知識を持っている私には、ウルハお姉さまとの実の結ばない調査が、この世界を物語通りに進ませるための事前準備のように感じていた。
だから、魔族の研究所や秘密施設の場所を知っているけれど、私はウルハお姉さまにはそのことを伝えずにいる。
せっかくなら、シノブとセツナを入れた四人パーティで魔族と戦いたい。
私だけではなく全員の生存確率を上げて、魔族を確実に撃破する。
その一心であった。
「ふぅ! とうとう、夏休みよ!」
そして、私はついにやり遂げる。
七月の期末試験を終えて、ツクモ学園は夏季休暇に入った。
「シグレ、魔族の調査は一旦休止して、退魔忍者の里に里帰りしましょうか……」
「はい! ウルハお姉さま!」
梅雨が明けて、夏の日差しに空が変わった真昼の平日。
私とウルハお姉さまは、私服姿でツクモ学園前駅のホームに立っていた。
一度退魔忍者の里に帰って、口頭で詳しく調査結果を伝えるためである。
「ウルハお姉さまの私服姿、すっごい素敵です!」
「ありがとう……シグレの着てる服も素敵よ」
ツクモ学園で見かける臨時講師としての白衣姿ではなく、里帰り用の私服姿のウルハお姉さまはとてもセクシーであった。
今日のウルハお姉さまは、背中まで伸びた金色の髪をなびかせながら黒いサングラスをかけて、エメラルドグリーンのジャケットとハーフパンツを合わせている。
ジャケットの中に見える白いコットン生地のシャツの下には爆乳が膨らんでいて、どこぞのセレブがお忍びで歩いているのかという感じだ。
派手なエメラルドグリーンのジャケットを着こなすウルハお姉さまの足元はレースアップされた白いサンダルで、細い白色ストラップが足首に絡みついているのがうるわしい。
そんな彼女が右手に持つのは空間拡張が内部に施された白いミニバッグ。金色の鎖で作り込まれた持ち手が、ウルハお姉さまのセレブコーディネートをより一層素晴らしく引き立てている。
そして、ハーフパンツをはいたウルハお姉さまの丁寧なケアがされた両足は、今すぐむしゃぶりつきたくなるくらいに白くてスベスベしていた。
ちなみに、この世界では空間拡張技術は一般に普及していて、誰でも利用できるレベルにまで達している。
だから、ダンジョンに潜るときも、大荷物を背中に背負わなくても全員が身軽なままモンスターと戦えるというわけだ。
便利な世の中である。
そして、今日の私のコーディネートは黒いキャップをかぶり、黒いワンピースを着てアクセントに白いスニーカーをはいた、ガーリーであり動きやすいラフな格好である。
それと、右手には、白いトートバッグを持っている。
これも、内部に空間拡張がされたものだ。
私はウルハお姉さまに私服姿を褒めてもらえたことを、こっそりと喜んでいた。
「そろそろ、里につきますね!」
「そうね……」
電車に揺られて二時間。
そして夏の日差しが揺れる森の中を歩いて一時間。
私とウルハお姉さまは、退魔忍者の隠れ里のひとつにたどり着いた。
退魔忍者の里は魔族の襲撃に備えた厳重な隠蔽結界に周りを囲まれていて、退魔忍者しか出入りすることができない仕掛けが施されている。
退魔忍者以外が里に入ろうとすると方向感覚が狂って、いつの間にか森の外に出てしまうように防衛の魔術が利用されていた。
小説の世界で例えると、エルフの隠れ里が近いかもしれない。
魔族が退魔忍者の里を滅ぼすために血眼になって探しているらしいが、いまだに見つかっていないのが、退魔忍者の隠れ里なのだ。
「ウルハお姉さまと一緒に里帰りできて、嬉しいです!」
「うふふ! ありがとう……」
何度も死に戻りを繰り返しながら、ゲームの主人公たちを援軍に呼べる夏季休暇まで生き残ったことを、私は心の底から喜んでいた。
(これで、魔族と戦える!)
何度も死に戻りしたけれど、ようやく異世界転生に進展が見られたことに、私は爽やかな達成感を得る。
ゲームで魔族を撃退したシノブとセツナという存在と、天才退魔忍者と呼ばれるシグレ、そしてゲームには登場しなかった強力な助っ人のウルハお姉さま。
その四人でツクモ学園に乗り込んだら、ダンジョンを攻略してレベルを上げて、あとはゲームの知識を使って魔族を倒すだけ。
そうしたら、あとは異世界転生をのんびり楽しもう。
ようやく知識チートを使って異世界転生を攻略できるという状況に、私は嬉しい気持ちになる。
「たどり着いたわ! ここが、退魔忍者の隠れ里ね!」
そして、ついに私は、ウルハお姉さまと一緒に退魔忍者の里へと里帰りを果たす。