和風エロゲー世界の失踪予定モブ退魔忍者に転生いたしましたが、全力で生き延び「んほぉぉぉぉぉぉ♡お゛っ♡お゛っ♡お゛っ♡」 作:第三世界(うたかたとわ)
「はぁ! 着いたわね!」
ようやくたどり着いた退魔忍者の隠れ里を、私は遠くから眺める。
森を抜けた先にあるのは、緑色の田畑が広がる一本道。
そして、その先にぽつりぽつりと見え始める家々。
シグレが生まれ育った懐かしい故郷を思う感覚と、初めておとずれる知らない街へのワクワクとした感覚が、私の心の中で入り混じり不思議な感じがする。
「ふー! 風がきれいで気持ちいい!」
隠れ里といっても、テクノロジーの進んだ現代では普通の田舎といった見た目である。
田んぼがあって、家があって、商店があって、のどかな道がある。
しかし、限られた人間のみが出入りできる普通の田舎街。
それが、退魔忍者の里。
「そうだ! シノブとセツナに、連絡しよう!」
そして思い立った私は、シノブとセツナにスマホで連絡を入れる。
ゲームで操作していた主人公たちだけど、この世界では実際に存在していて、私が転生したシグレと幼なじみであり、親友だ。
私は早く、二人に会いたくて仕方がなかった。
ウルハお姉さまも知り合いに帰郷の連絡を入れているのか、私と一緒に歩きながらスマホを操作している様子がうかがえる。
「おーい!」
少しすると、退魔忍者の里の入り口をのんびり歩く私とウルハお姉さまに向かって二人が近づいてくる。
黒い髪のミドルヘアーにピンク色の瞳をした、元気で利発そうな女の子がシノブ。彼女の胸はBカップ。
そして、青色のロングヘアーに紫色の瞳をした、落ち着いた雰囲気を持つ女の子がセツナ。彼女の胸はFカップ。
ふたりとも訓練の途中だったのか、忍び装束姿で私に会いに来てくれていた。
「シグレ、おかえり!」
「シグレ、おかえり」
「ただいま! シノブ、セツナ!」
私にとっては初対面なのに、シグレの記憶にある二人との思い出が私の頭の中にたくさん浮かぶ。
私は異世界に転生した身だけど、この世界ではシグレという存在でもあった。
私は懐かしい気持ちになる、初対面のゲーム主人公たちと再会の挨拶をしながら、シグレの親友である二人と抱き合う。
ゲームの中ではシノブとセツナのバッドエンドシーンを何度も見まくって、そのたびに心のチンポを勃起させながらオナニーを繰り返したけれど、ここは現実。二人をあんな目には絶対に合わせない。
私は実際にシノブとセツナに会いながら、心の中でそう誓った。
シノブとセツナと協力して、私はこれから魔族を倒すんだ。
「ウルハお姉さまも、私と一緒に帰ってきたのよ!」
そして私は、シノブとセツナにウルハお姉さまを紹介する。
彼女たちも小さい頃から私と一緒に、ウルハお姉さまに忍術の修行をつけてもらったりしている。
きっと、ふたりとも、懐かしい気持ちになるはずだ。
「シグレ、この人、誰?」
しかし、私がウルハお姉さまを紹介すると、シノブとセツナはきょとんとした、不思議そうな顔になった。
「誰って、ウルハお姉さまよ? ふたりとも、小さい頃からお世話になってたじゃない?」
噛み合わない会話に私が説明を追加すると、シノブとセツナの顔が険しくなっていく。
そして、私たちのあいだに、険悪な空気が流れ始めた。
なんだか、お互いの認識にズレがあるような……。
「ウルハなんて人、この里にいない!」
「――へっ?」
シノブとセツナが忍者刀を構えて臨戦態勢に入った瞬間、私の首筋に痛みが走った。
「シグレ!」
「かひゅぅぅ……」
ウルハお姉さまが私の首筋に注射器を突き刺し、私の体に何か薬剤を注入したのだ。
私の血管を流れて全身に冷たい液体が広がっていく感覚とともに、私の肉体から力が抜け落ちていき、私はその場に倒れ込む。
そして、やさしかったはずのウルハお姉さまが、今まで私が聞いたこともないような冷たい声で話し始めた。
「ありがとう、シグレ。魔族に退魔忍者の里の場所を教えてくれて……」
「ど……どういうことぉ……」
私はろれつの回らなくなった舌で、ウルハお姉さまに質問する。
私は突然の事態に混乱し、泣きそうになる。
もう、わけがわからなかった。
「あなたの頭の中にはマイクロチップが埋め込んであってね、偽物の記憶を認識するように細工がしてあるの。あなたの頭の中に記憶として存在する、退魔忍者のウルハお姉さまなんて存在、本当は実在しないのよ……ごめんなさいね……」
「はへぇ……? なんれぇ……?」
「つまり、あなたはマイクロチップに作られた偽物の記憶を信じて、魔族の幹部であるウルハ・アオギリをわざわざ退魔忍者の里に案内したってわけ。すでにGPS情報を本部に送ってあるから、魔族がここに攻め込むもの時間の問題……」
ドカーン!
「始まったわね……」
私を見下すような笑顔でウルハお姉さまが種明かしをしていると、里のあちこちで戦火があがった。
のどかだった田園風景に炎が広がり、地面が砕けて、いくつもの場所が吹き飛んだ。
「魔族が攻めてきた! 総員、里を守れー!」
大量の破壊兵器を使い里を襲撃する魔族と、退魔忍者たちが戦闘を開始する。
「シグレの肉体は利用価値がありそうだから、今は命を助けてあげるわ。私をこの里まで、案内してくれたご褒美よ」
地面に倒れ伏して、完全に動けなくなった私を見おろしながら、ウルハ・アオギリが冷たく笑う。
「さて、あとはこの二人も利用価値がありそうだし、生かして捕まえようかしら……」
「シノブ、シグレを助けるぞ!」
「シグレ、絶対に助けるから!」
マヌケな私を責めることなく、シノブとセツナは私を助けようとしてくれる。
そうして私の目の前で、シノブとセツナと、ウルハとの戦いが始まる。
「なんれ……なんれよぉ……」
里が、燃えていく。
「くっ! こいつ、強い!」
「でも、負けるわけにはいかない!」
「天才退魔忍者と言われているあなたたちも、まだ下忍になりたて。魔族の幹部に敵うわけがないわ。痛くしないから、降参しなさい?」
「ふざけるな! お前を倒して、シグレを救う!」
「そうよ! シグレは絶対に助ける!」
ウルハとの戦いに苦戦しながらも、シノブとセツナは一歩も引かない。
ゲーム開始前のまだ初期ステータス。
それなのに、実力で明らかに格上だとわかるウルハに対して、シノブとセツナは危険を承知で立ち向かう。
里に魔族を連れてきてしまった、私のことなんか見捨てて逃げてもいいのに。
「ごめんなさい……みんなぁ……」
私の視界が涙で歪み、何も見えなくなっていく。
しかし、謎の薬を注射されたことで体が弛緩しきってしまった無力な私は、どれだけ力を振り絞っても、何もすることができなかった。