和風エロゲー世界の失踪予定モブ退魔忍者に転生いたしましたが、全力で生き延び「んほぉぉぉぉぉぉ♡お゛っ♡お゛っ♡お゛っ♡」 作:第三世界(うたかたとわ)
「うふふ……なかなかやるわね!」
体から力が抜け落ちてしまい、何もできなくなった私の目の前で、シノブとセツナが魔族の幹部であるウルハと戦闘を続けていた。
「てやー!」
シノブは雷遁を使い、雷をその身にまとわせながらウルハに迫る。
「はああ!」
それと同時にセツナは空遁を使い短距離転移を繰り返し、シノブと呼吸を合わせるようにウルハに攻撃を続けていく。
変幻自在の連携攻撃。
ゲームでも、必殺技として敵に大ダメージを与える技。
しかしその攻撃を、ウルハは笑いながら簡単に避けてしまう。
誰が見てもわかる、圧倒的な力量差がそこにはあった。
「シノブ……セツナ……お願い……逃げて……」
「シグレ! あきらめないで! 私たちが絶対に助けるから!」
「そうだ! シグレ! 私たちが絶対にお前を助ける!」
私はシノブとセツナに私を見捨てて逃げるようにお願いをするが、二人はそれを聞いてくれない。
「くぅぅ……動けぇ……私のぉ……体ぁ……ぐあぁ……」
私は力を振り絞って二人の戦いに加勢しようとするが、やはり私の体は動かない。
私の心が無力感に負けていき、悲しい気持ちに塗りつぶされていく。
すでに私の視界は、罪悪感と後悔の涙でグチャグチャに濡れていた。
「あはは! 美しい友情だけれど、そろそろ終わりにしましょうか!」
余裕を感じさせる態度でシノブとセツナの攻撃を回避していたウルハであるが、印を結ぶと忍術を発動する。
途端に、周囲の地面から緑色の植物が生え始めて、ムチのようにしなってシノブとセツナを襲った。
ゲームで見たことのある、木遁の最上位忍術「千幻槍」である。
「きゃぁぁ!」
「うわぁぁ!」
千本もの植物のムチによる波状攻撃を避けきることができずに、シノブとセツナが吹き飛び土埃をあげる。
私を守るために戦ってくれていた二人が傷つく姿に、私は息をのんだ。
「私がぁ……二人を……助けなきゃ……」
「さて、これで捕獲完了かしら?」
地面に倒れ伏したまま、シノブとセツナはピクリとも動かない。
私の後悔が、心の中でさらに強くなっていく。
「動け……私の体ぁ……動けぇ……」
私は親友として、退魔忍者の里で一緒に育ったシノブとセツナを助けるために、動かぬ体に必死で力を入れ続ける。
それでも、私の体は動くことなく、ウルハが地面に倒れ伏したセツナに近づくと、彼女の体を手錠を使い拘束していく。
「うごけええええええ! 私のからだああああああああ!」
「あはは! 残念ね! セツナの体は拘束した。あとはシノブも拘束して、それで終わりよ!」
嗜虐的な顔で勝ち誇りながら、手足を手錠で拘束したセツナの体を持ち上げると、ウルハは私に見せつけてくる。
その光景を見て、私の中でウルハに対する怒りが爆発した。
「ふざけるなああああ! ウルハ! 貴様は私が絶対に殺すううううう!」
私は力が入らない体で、唯一動かせる口を使ってウルハに宣言する。
死に戻りでもなんでもして、私はウルハの計画を絶対に潰すことに決めた。
「あら! かわいい。私を殺したいくらいに恨んでるシグレを、あとで屈服させるのが今から楽しみだわ!」
私を騙していたことと、裏切ったことへの怒りで歯をむき出しにして激怒している私を見おろしながら、ウルハは何かを想像して体を震わせている。
「殺すううううう! 絶対に! 殺すううううう!」
「うふふ! 地面に寝転んで叫んでるだけじゃ、私は殺せないわよ」
そうして、私たちを無力化して完全に優位な立場になったウルハが、戦火で燃える里を背景に笑った。
「いや、シグレ、そんなことないさ……」
しかし、怒りに燃える私に向かって、セツナのやさしい声が響く。
「シグレが叫んで注意を引いてくれたから、スキができた」
ウルハの背後に突然現れるセツナの姿。
「くっ!」
突発の事態に、ウルハの余裕だった顔に焦りが浮かんでいた。
よく見ると、ウルハが拘束していたセツナが人形に変わっている。
「変わり身の術だ!」
そして、セツナが達人の一閃でウルハに対して忍者刀を振るう。
「甘い!」
しかし、すんでのところでウルハも剣撃を交わす。
「私たち、三人の連携プレーを喰らえー!」
それでも、それだけで二人の攻撃は終わりではない。
セツナと同じく変わり身の術を使って身を隠していたシノブが、体勢を崩したウルハに向かって一足で飛びついた。
決着の時。
「ぐぅぅぅ……」
シノブの忍者刀が、ウルハの心臓を一突きにした。
そしてすぐさま、シノブは刀を手放して距離を取る。
残心の心得。
シノブは一片たりとも油断していない。
「ふぅぅ……やるわね……」
胸に刀が突き刺さった状態で、ウルハは口から血を垂らす。
あれは致命傷だ。
戦闘経験の少ない私にも、すぐにわかった。
「あはは……」
そして、命をあきらめたのか、ウルハが自分の胸に突き刺さる忍者刀を両手でつかむと、一気に体内から引き抜いていく。
まるで、自決。
「これは、予想外だわ……あなたたちの力を見誤っていた……」
しかし、ウルハは胸から刀を引き抜いても健全だった。
私たちの勝利の確信を裏切ると、忍者刀を引き抜いたウルハの傷口がすぐにふさがってしまう。
謎の治癒力。
あんな敵、ゲームにはいなかった。
そして、笑いながらウルハは自らの口から垂れ落ちた血を指ですくうと、唇を赤く化粧した。
「特別に見せてあげる……私が古代遺跡から発掘した禁術を……」
妖しく、ウルハがつぶやく。
「大丈夫よぉ……これ……気持ちいいだけだから……痛いほうがマシだって……思うくらいね!」
こうして、私たちとウルハとの戦闘が、最終局面を迎えた。