和風エロゲー世界の失踪予定モブ退魔忍者に転生いたしましたが、全力で生き延び「んほぉぉぉぉぉぉ♡お゛っ♡お゛っ♡お゛っ♡」 作:第三世界(うたかたとわ)
私が寮の自室でこれからの計画を練っていると、鍵のかかっていたドアを無理やり開けて、部屋に黒服を着た男たちが乱入してくる。
「――誰!?」
「ははは! まさかこんなにも早く魔族の存在をつかむとは! さすが退魔忍者一の天才と呼ばれるだけある! だが、貴様はまだ下忍になりたての未熟者。警戒が足りなかったな!」
死に戻りをする前に、私を捕まえた男たちだ。
今回も彼らが、私を捕まえにやってきたらしい。
「捕まえろ!」
「くそっ! 逃げなきゃ!」
しかし、今回は何もヘマはしていないはずだ。
だって、私は何も行動していない。
(忍術の知識はあるのに、体がちぐはぐでうまく動かない変な感じ……これは、だめか……)
どこで私が退魔忍者だとバレたのか混乱しながらも抵抗するが、私はあっという間に、黒服たちに体を拘束されてしまう。
油断していた。
まだ死に戻り初日だし、何も起きないと高をくくっていた。
それに、情報が圧倒的に足りない。
まさかこんなにも早くに、魔族がシグレに襲いかかっていたなんて。
今はまだゲーム開始前。私が知る知識は何ひとつなかった。
「やあ、退魔忍者シグレ。潜入任務、ご苦労さま」
そして、拘束された私に話しかけてくるのは、筋肉ダルマみたいに体の大きいゴリラ男。
筋肉ではち切れんばかりに膨らんだ黒いスーツ姿で、ニヤニヤと笑いながら私に声をかけてくる。
どうやらこいつが、荒事を実行するグループのリーダーでもあるらしい。
「くっ、どういうこと……」
「退魔忍者の中に、魔族のスパイがいるということだ! まさか学園都市にやってきた初日から魔族の存在に勘づくとは。参考までにどんな証拠をつかんだのか、聞いてもいいか? そうすれば、命だけは助けてやるぞ?」
私のことを完全に拘束したためか、ゴリラ男が魔族の内情をペラペラと教えてくれる。
ゴリラ男の話から、退魔忍者の里とシグレと連絡を橋渡しする人材の中に、裏切り者がいるということが理解できた。
もしかしたら、ゲームの世界で八月までシグレが里に定時連絡をしていたというのも、裏切り者がおこなった偽装工作なのかもしれない。
退魔忍者の里と連絡を取る方法を裏切り者に制限されたシグレは学園都市で孤立し、魔族に人体改造をおこなわれながら、ゲームの物語が開始する八月を迎えた。
ゲーム内では語られなかった物語が、この可能性もある。
スマホもパソコンもある世界ではあるが、データを盗み見られることを考え、重要な情報は書いた手紙を召喚獣として呼び出した鷹にくくりつけて飛ばすというアナログなものである。
召喚獣が手紙を運ぶ途中で誰かに捕獲されたらそれが私に伝わるために、その可能性はない。
つまり、情報の受け取り手に裏切り者がいる。
どうやら、ゲームをプレイしているだけでは知ることができなかった物語開始前の真実を攻略しなくては、私が生き残る道はないようだ。
「お前が里に送った報告書の中身はすでに異常なしとすり替えておいた。だから援軍には期待しないほうが良いぞぉ? で、どうやって魔族の存在を知った?」
「お、女の勘よ!」
まさか死に戻っていると説明するわけにもいかず、私はごまかすように悪態をつく。
「ほう。じゃあ、お前の女の部分に、これから、たっぷりと事情を聞くとしようか!」
「くっ、殺せ……」
「ははは! 威勢のいい女は嫌いじゃないぜ! そういう女を俺のテクで泣かせるのが、俺は好きなんだ!」
こうして再び黒服たちに拘束されてしまった私は、入学式を翌日に控えた夜に、別室へと連れて行かれた。