和風エロゲー世界の失踪予定モブ退魔忍者に転生いたしましたが、全力で生き延び「んほぉぉぉぉぉぉ♡お゛っ♡お゛っ♡お゛っ♡」 作:第三世界(うたかたとわ)
「――はっ!?」
気がつくと、私は寮の自室に戻っていた。
日付は四月六日。ツクモ学園の入学式を翌日に控えた日。
「また、死に戻りした……」
魔族に捕まり、人体改造をされた私はそれから記憶がない。
しかし、死に戻りしたという実感だけはある。
「とりあえず、里に報告はできないか……」
定時連絡の受け取り先に裏切り者が潜んでいるため、退魔忍者の里に報告をして援軍を呼ぶことはできなくなった。
しかし、これは私が生き残るために重要な情報を手に入れることができたと、前向きに考えることにしよう。
「これからの行動の方向性が決まったわね……」
私は裏切り者がいるという経験から、これからの行動について考える。
まず、里への定期報告にはすべて『魔族の影なし』と書かなくてはならない。
そうしなければ、報告書を盗み見られて私は魔族に捕獲される。
しかし、退魔忍者の里に魔族の存在を伝えることができないかといえば、そうではない。
手紙を経由することなく、私が直接伝えるという方法がある。
つまり、私が魔族の存在を伝えるためには、何も知らぬふりをしながら八月まで生き残り、長期休暇に直接信頼できる者に情報を伝える必要があるというわけだ。
その方法ならば、報告書を盗み見られることもなく、魔族の存在を里に伝えることで学園に援軍を送ってもらえる可能性もある。
「八月まで耐え忍ぶことが、当面の目標ね……」
それと、できることなら、八月までに裏切り者の正体をつかみ証拠を見つけて、そいつを排除しておきたい。
そうでなくては、長期休暇が終わった九月から、私は再び学園で孤立し続けることになる。
「さてと、報告書を書きますか……」
とりあえず、私は里に異常なしの報告書を書くと、召喚獣を使い手紙を送った。
「あとは、力をつけなくては……」
魔族に二度も捕まり痛感したことがある。私には力がない。
いや、私が転生したシグレの体には武術の心得があるが、今まで魔法も戦いも経験したことがない私がそれを使いこなせないといった感じだ。
それにゲームでも、魔族を正面から倒すためには、ダンジョンに潜ってレベルを上げる必要があった。
まだ成人したてで下忍になったばかりのシグレは、ゲーム開始の状態と同じレベル1の状態だと思う。
「とりあえず、ステータスを確認するか……」
私はスマホを操作すると、自分のステータスを表示する方法を探す。
たしかゲームでは、体の中に埋め込まれたバイオチップ技術で相対的なステータス数値を表示していると説明がされていた。
「あった! これだ!」
しばらくアプリを起動しながらスマホを操作していると、私は自分のステータスを確認する方法を見つける。
シグレ・キリサキ
職業:下忍
レベル1
HP 100
MP 100
力 100
素早さ 100
回避 100
器用さ 100
体力 100
魔力 100
「うーん。やっぱり初期状態か……でも、このステータス、すごいわね……」
私はシグレのステータスを確認しながら、自分の体が持つポテンシャルに驚いていた。
シグレの年齢は十五歳。成人して、下忍になりたての年齢。
一般的な退魔忍者の下忍のステータスは、各能力値が10ずつが基本であるとゲームで説明があった。
それがシグレの場合、いきなり100もの数値がある。
それに、力が高い人物は魔力が低かったり、魔力が高い人物はHPが低かったりとステータスに偏りがあるのが普通だ。
しかし、シグレはすべてのステータスが高い。
これは、天才退魔忍者と呼ばれているだけはある。
しかも、シグレは所持スキルが異常だった。
シグレ・キリサキ
所持スキル
火遁、水遁、雷遁、空遁、風遁、土遁、木遁、金遁、光学迷彩、治癒忍術、召喚術
通常、各退魔忍者が所持している属性スキルは一つ、せいぜい二つ。
ゲームで仲間にできるモブ忍者たちは、全部そうだった。
それが、シグレの場合は八属性に光学迷彩、治癒忍術すら覚えている。
光学迷彩は光を使って周囲の景色に自分を同化させて、自分の姿を隠す術。
火、水、雷、風、土の各遁術は属性魔法。
空遁は短距離転移などの空間魔法。
木遁は植物を操ったり、薬や毒を調合する術。
金遁は金属を自在に変化させる術。
シグレの所持スキルは、それらが勢ぞろいしている。
まさにチートキャラといってもいい。
それは、単独で潜入任務が任されるし、学園都市で経験を積んでより強くなってほしいと里から期待されもする。
ちなみに、ゲーム開始時点の主人公たちの初期ステータスはこうだ。
シノブ・コーサカ
職業:下忍
レベル1
HP 30
MP 50
力 30
素早さ 50
回避 50
器用さ 30
体力 50
魔力 50
所持スキル
雷遁、召喚術
セツナ・リューグーイン
職業:下忍
レベル1
HP 50
MP 30
力 50
素早さ 50
回避 30
器用さ 50
体力 50
魔力 50
所持スキル
空遁、召喚術
シグレと並び三人で天才児たちと呼ばれているシノブとセツナも高ステータス持ちであるが、さらにシグレの初期ステータスは高かった。
これからダンジョンに潜ってレベルを上げていけば、シグレのステータスはどこまで伸びるのだろうか。
いきなり苦境に立たされはしたが、これならば任務の成功は楽になる。
私は魔族を撃破するためにレベルを上げて、忍術を使い自在に戦闘をおこなう自分の姿を想像して、ワクワクとすらしていた。
「これは、これからの目標は、ダンジョンに潜ってレベル上げね!」
たしか、私を捕まえたゴリラ男を撃破するのに、ゲームではレベル30。ラスボス撃破にはレベル50ほどが必要だった。
自分の安全のためにも、任務を成功させるためにも、レベル上げは必須である。
転生初日につまずきはしたが、裏切り者がいるとわかれば後は失敗するはずもない。
八月までは学園で授業を受けながらダンジョンに潜り、レベルを上げる。
そして八月の長期休暇に里に帰って援軍を呼び、私も戦闘に参加して魔族を撃破する。
これで、ゲームはクリア。
あとは、のんびり転生生活をおくればいい。
「さてと、前祝いに購買部に行って、ケーキでも買ってこようかしら!」
私は学生寮内にある購買部で前祝い用のケーキを買うと、甘味を堪能しながら、のんびりと部屋で過ごすのだった。