1.
「本当に大丈夫か? 気持ち悪いとか、吐き気がするとか……」
「平気だよ~。ちょっとふわふわするだけ~」
隣に座り、こちらの肩にもたれ掛かるお空の背中をさすりつつ調子を尋ねると、彼女は気の抜けた声で言葉を返す。
そんなお空の今の様子は、頬は朱に染まって目はとろんと溶け、なんともぼんやりとしている。一言で表すなら『酔っぱらっている』が適切だろう。それもそのはず、現在彼女をこんな風にしているのは、目の前に置かれたコップの中身、お酒が原因だからだ。
今日はひょんなことから少々値の張るお酒を頂き、それを晩酌に二人で呑んでいたのだが、お空はお酒があまり強い方ではない。そのため、普段はジュース等で割ったものを呑んでいるのだが、今日は本人たっての希望で氷のみのロックを試してみた。最初の一杯こそ「美味しい! 大丈夫!」と豪語していたものの、やはりと言うべきかこの有様である。
とはいえ、飲みすぎないようにかなりペースを落とさせていた甲斐もあってか、ほろ酔い程度といった塩梅なのでそこは一安心か。
「○○~、なんだか暑いね~」
「それ、多分お酒のせいだと思うんだが……」
「……そっかぁ。そう、かも、ねぇ……」
パジャマのブラウスの胸元を掴みパタパタと煽いで風を送っていたお空であったが、次第に声が鈍くなり、手の動きも止まってしまう。ああ、これは恐らく。
「お空、眠い?」
「……うん、ちょっと眠い……」
「じゃあ、今日はもう寝ようか」
その言葉にお空はこくこくと頷くだけの返事をすると、こちらに向かって両手を広げた。
「おんぶ~」
「はいはい」
まるで子供のように甘える彼女に愛しさを覚えながら背中を向けて、彼女の体を背負う。背負われたお空は嬉しそうに鼻を鳴らして背中に頬ずりし、自分はお空の暖かく柔らかな感触を後ろに感じながら、寝室へ向かってゆっくりと歩き出した。
「お空、手離すぞー」
「ん~」
お空をおぶったままベッドに腰掛け、そっと手を離し彼女を降ろす。お空はそのまま後ろにパタリと倒れ、「暑い~」とぼやきながらブラウスのボタンを一個ずつ外していく。
「そのまま寝たら風邪ひくぞー」
「だって、暑いんだもん」
忠告はしたもののボタンを外す手が止まることは無く、あっという間に全て外してブラウスの前面を大きく解放させてしまう。更にショートパンツに手を掛けるとそれも脱ぎ去り、ベッドの外へぽいっと放り投げてしまった。仕方ない、お空が寝た後に着直させればいいか。
「じゃ、俺はちょっと食器洗って来るからなー」
床に落ちたショートパンツを拾ってベッドの脇に掛けつつ、声を掛ける。
お空の様子が怪しくなり始めた辺りで酒は片付けていたが、食器自体は台所の流し台と居間のテーブルに置きっぱなしのままだ。洗うのは明日でも構わないが、さっさと片付けてしまうに越したことはない。
「だから、先に寝てて……」
「え~、○○も一緒に寝ないの~?」
上半身は肌蹴たブラウスのみ、下半身は黒いショーツのみの姿となったお空は体を起こすと、眠気の混じった不満そうな瞳でこちらを見ながら抗議の声を上げる。
「すぐ終わらせてくるから、な?」
可愛らしく唸るお空の頭を撫で、彼女を窘める。すると、お空は撫でている右手の手首を左手でぎゅっと掴むと、自ら後ろに倒れ込むのと同時にぐいと引っ張った。
「おわっ!」
お空の突然の行動に体勢を崩してしまい、そのまま彼女に覆いかぶさるように倒れてしまう。
「いきなり、何するん……」
眼前の彼女へこの行為の意図を尋ねようと口を開くが、お空の右手人差し指に唇を抑えられ、制されてしまう。
「私、○○と一緒に寝たいなあ」
蕩けた声でそう囁くお空から香る、アルコールの仄かな匂いが鼻孔をくすぐる。こちらをじっと見つめる甘えた瞳には、先程までの不機嫌な様子は無い。
「一緒に寝てくれるなら、私のこと、好きにしていいよ?」
更にお空はそう続けると、右手を掴んでいた手を甲にそっと添えて持ち上げて自らの左胸にむにゅっと押し付けた。
「○○の大好きなおっぱいも」
豊満な乳房に埋まった無骨な指からは、ブラウス越しだというのに十二分に柔らかさと弾力が伝わってくる。
「お口も」
続けてこちらの唇を抑えていた指を離すと、自らの鮮やかな唇に指を這わせ、なぞる。
「ここも」
そして、その指を下へ滑らせて下腹部で止めると、更に下を指差す。挑発するような一連の所作に、ついゴクリと生唾を飲み込んでしまう。
「好きなように、好きなだけ、して?」
「……お空」
彼女の名前を、ただ一言呟く。それに対しお空は小さく頷くと、小声で「いいよ」と返した。
そして、彼女は柔らかく微笑むとゆっくりと瞳を閉じる。お空がこうして情事の前に目を閉じるのは、口付けをねだるお決まりの合図。
今の彼女が纏う空気は格段に妖艶なのに、根は全く変わっていないことに気を弛緩させつつ、お空の唇に自身の唇を近づけていく。
だが、そこである異変に気付く。目の前で瞳を閉じているお空から、何やら規則正しい呼吸音が聞こえるのだ。
「……お空?」
彼女の名を呼び、五秒程待ってみる。しかし、聞こえて来るのは相変わらず乱れの無い静かな呼吸を繰り返す音のみだった。
「……えーっと……寝てる?」
呼びかけるように訊ね、更に五秒待ってみるがやはり返事は無い。……どうやら、本当に眠ってしまったようだ。まさか、あの流れから寝てしまうとは全く予想していなかった。口からは渇いた笑いが漏れ、全身の力が一気に抜ける。
お空の横に胡坐をかいて座り直した後、はあ、と一つ溜め息をついて、彼女の様子を再び見やる。先程までの大人な雰囲気は完全に消え失せた、あどけない表情ですやすやと眠るお空は大変可愛らしく、愛おしい。しかし、誘った本人が眠ってしまうとは酷ではなかろうか。
いっそ、彼女のお願いどおりこのまま一緒に寝てしまうか、ともう一つ溜め息をついた瞬間、数分前のお空の言葉が頭を駆ける。
『一緒に寝てくれるなら、私のこと、好きにしていいよ?』
だけど、それはあくまで寝てしまう前の話で。
しかし、そう言ったことは事実で。
だけど、好きにと言っても限度はあるだろう。
しかし、以前のことを踏まえればよっぽどのこと以外は大丈夫だろう。
眠るお空を目の前に悶々と一人考え込むが、やがて勝利したのはお空に対する、一人の男としての情欲だった。
まずはお空が本当に寝ているのかの確認のため、彼女の翼の上端に手を添えて弱く撫でさすってみる。お空はこんな風に翼を撫でられると、体を跳ねさせるほどにくすぐったがる。しかし、今は身をよじって翼をはためかせ、手から逃れようとするだけだった。どうやら寝たふりではないらしい。
続いて肌蹴たブラウスの襟元を掴み、そっと開く。それにより、赤く輝く八咫烏様の目と豊かな胸部が露出されるが、やはり反応は無い。
規則正しい寝息に合わせ上下する乳房へ手を延ばし、手の平全体で包むように触れてみる。ほんの少し触れただけでも豊満な乳肉は指を沈ませ、自らの柔らかさを誇示する。
お空の様子を窺いながら指の力を少し強め、むにむにと揉んでみる。更に続けて、乳房の中央に位置する突起を指先で軽く摘まんでみた。
「んっ……」
お空の口から僅かに漏れた声にドキリとして手を止める。しかし、すぐに再び寝息を立て始めたことに安堵の息をつく。
どうやらなかなかに眠りは深いようだと把握したところで、すらりと伸びた脚の根本へと手を向かわせる。
事前にお空が自ら下着姿になっていたので、現在彼女の股間を覆い隠す物は簡単な飾りの施された黒地のショーツのみ。そのショーツの両端に指を掛けて、慎重に脱がしていく。
すると、ショーツの下からまずは薄く生えた恥毛が、次に閉じた陰裂が姿を見せる。徐々に露わになる秘部に情欲を昂らせつつ緩く閉じた脚からショーツをするりと抜き取り、ベッド脇のショートパンツの傍に置いて一息つく。
下準備を終えてお空の足先へ場所を移した後、鼠蹊部の辺りに両手を添えて脚を開かせ、体勢を整える。そして、大きく開いた股座に顔を埋めるように両肘をついて前屈みになり、口と鼻が秘所に触れてしまいそうなほどに距離を詰めていく。
眼前に広がる、お空の美しくも可愛らしい陰唇に興奮が抑えきれず、つい息遣いが荒くなる。その息がかかるせいか花弁がひくひくと震えるのが、なんとも蠱惑的だ。
そんな仕草に誘われるまま、秘裂に指を掛けて左右に大きく広げる。曝け出された穴の奥では、膣肉の壁が寝ていながらも脈動を繰り返し、さながらこの穴を満たすものを求めているかのようだった。
風呂は既に済ましているとはいえ秘部からは雌の匂いが漂い、鼻孔を駆け抜ける。その香りに獣欲をくすぐられ、欲望に身を任せて陰唇へと舌を伸ばしていく。
「あっ、ん……」
舌先が触れた瞬間、お空の口からは寝ていながらも艶の混じった声が溢れ、静かな寝室に溶けていく。
普段ならば陰唇への愛撫は本人から具合を聞きつつ、前戯を続けるか挿入していくかを決めるのだが、当然今はそんなことは出来ない。なのでいつも以上に念入りに、丹念に解さなければ、お空を痛がらせてしまうだろう。
一先ず小陰唇に舌を這わせ、そこから徐々に中央の膣口に舌を寄せて陰唇全体を舐め回し、唾液を塗り込んでいく。
次いで皮を被った陰核を舌先で突いて刺激し、秘芽が大きく膨張すれば、吸い付くような口付けを何度も落とす。
「んっ、ぁっ……」
時折漏れる、お空の小さな甘い声を聞きながら性感を与え続けると、やがて肉びらは鮮やかに色付き、口を開けた膣穴からはとろとろと愛液が湧き始めた。
じゅっ、じゅる、と淫らな水音を響かせながら蜜を自身の唾液と攪拌し、肉穴へ舌を挿し込んで膣の入口を柔らかく解す。
膣口周辺を重点的に攻めながら、秘部全体がべとべとになるくらいに愛撫したところで一旦口を離し、人差し指を一本、膣穴へ挿入していく。
丹念な愛撫に加え、眠っていて力が抜けていることもあってか、解れた膣穴はスムーズに指を咥え込む。それを受けて更にもう一本の人差し指も挿入し、両方が第二関節辺りまで沈んだところで左右に割り開く。ぬちゃあ、と湿った水音と共に開いた肉穴からは蜜がとろりと溢れ、その奥では粘っこい愛液が膣壁同士を繋ぐように糸を引いていた。
これくらい濡れていれば痛がったりはしないだろうと結論付け、体を起こしてズボンを下着ごと脱ぎ去り、待ちきれないと言わんばかりにガチガチになった分身を取り出す。
そして、大股を開くお空の正面に腰を下ろして前傾姿勢に構え、彼女の膝裏に手を添えて腰の位置を微調整する。
ここまでくれば後は腰を進めるだけ、であるがすぐには挿入せず、びしょびしょに濡れてぱくぱくと開閉を繰り返す陰唇に先走り汁を漏らす陰茎を擦り付けて肉茎にも潤滑油をたっぷりと塗り広げる。そうして十分に準備をした後、膣穴に亀頭をあてがい、ゆっくりと押し込んだ。
「ぅ、んっ……」
ぬめる秘洞は一切の抵抗無く異物を呑み込み、同時にお空はなんとも悩ましげな吐息を漏らす。陰茎を半分程沈ませたところで一度お空の方へ視線を送るが、苦しみを訴えるような様子は無いことに胸を撫で下ろし、膣内の感触に神経を集中させる。
指を挿入した時もそうだったが、普段よりも締め付けは幾分控え目だ。しかし、暖かい膣肉に包み込まれ、収縮に合わせ柔らかく絞られるのは非常に心地よい。
肉塊全てでその甘い快楽を味わうべく挿入を再開し、やがて亀頭が最奥に達すれば、一旦腰を止めて改めてお空の顔を見やる。頬こそ多少紅潮してはいるものの、相変わらず可愛らしい寝顔をままだ。そんな彼女の頬に無意識の内に手を伸ばし、さらりと撫でる。
「うにゅ……」
すると、お空はくすぐったそうな声を零し、表情を緩ませる。
彼女のその些細な仕草が、あどけなく眠る恋人相手に自分本位に快楽を貪り、あまつさえ種付けを行おうとしていることを強烈に意識させ、背徳感にぞくりと背筋が震える。
その感覚に流されるように、突き入れた陰茎をじわじわと引き抜き、お空を起こさないように遅々とした速度で抽挿を開始する。
行きは小刻みな突き込みを繰り返して膣道を丹念に捏ね回しながら進め、帰りはカリ首でひだの一つ一つを擦り上げて戻っていく。そんなストロークで抽挿を繰り返していると、お空の体もそれに応えるように膣内の締め付けが強く、絡みつくものへと変わっていく。
寝ていながらも雌の本懐を遂げようと雄に奉仕し、快感を与え、精を絞ろうとするのは本能か天性の素質か。
増幅していく快楽への渇望に駆られてピストン運動の勢いは次第に激しくなり、あっという間に普段と変わらないほどの強さに変わってしまう。
もっと抑えなければ、お空を起こしてしまう。そう頭では分かっていても、制御することなんてとても出来なかった。
溢れる粘液を肉傘で掻き出す程に腰を引いては再び突き入れ、蕩けた蜜壺で男根を扱く。時には腰同士が密着するまで突き入れて腰を揺すり、最奥を亀頭で何度もノックする。眠る恋人の体で得る快楽は加速度的に増え、絶頂の時が目前に迫る。
もう限界だ、脳がそう言うが早いか、急速に込み上げる射精欲を解放すべく最後の突き込みのために腰を思い切り引き上げる。その際も膣肉は肉棒を離すまいと纏わりつき、性感を強烈に刺激してきて思わず射精してしまいそうになる。しかし、それを歯噛みして無理矢理堪え、陰茎を最奥まで押し込んで欲望を解放した。
「……っ!」
全身を駆け巡る快楽に声にならない声を上げながら、お空の子宮を己の子種で満たすべくどくどくと流し込む。膣内で陰茎が脈打つ度に小さく腰を突き上げて放精を繰り返し、白濁で子宮内を蹂躙する。
そうして何度目かの吐精を終えた頃、精嚢の全てを出し切る程に続いた種付けもようやく終わり、射精を終えた陰茎を引く抜こうと体を離す。
その瞬間、背中に何かふわりとしたものが触れ、予想外の感触に体がびくりと跳ねてしまう。
何事かと思い後ろを振り返るが、すぐにそれが何かに気付く。お空の翼が、いつの間にか自分の背中を包むように回されていたのだ。前傾姿勢だったために今まで触れていなかったことと、行為に夢中で気付かなかっただけで、どうやら翼による抱擁をいつからか受けていたようだ。
そして、その『翼による抱擁』とは、お空が向かい合って性交する際によく行う、全身で愛情を表現しようとする大変可愛らしい癖でもある。
しかし、彼女は寝ている。いくら癖とはいえ、性交中の癖を寝ていながらもしてしまうことは無い。……はず。
もしやと思いつつ、眠る彼女、いや、眠っているはずの彼女に向かって声を掛ける。
「お空、……起きてる?」
呼びかけても、目を閉じる彼女は何も言わない。
だが、その言葉から約五秒後。
「……え、えっと、起きてる……」
なんとも気まずそうに、お空はゆっくりと瞼と口を開いた。
「本当に、申し訳ありませんでした」
「だから、もう謝らなくていいってば。私も寝ちゃう前のことぼや~っと覚えてるけど、私から言ったことでしょ? だからほら、顔上げて?」
「いや、でも……」
その後、お空との問答により判明した真実は、大の男が半裸のまま、すぐさまベッドの上で土下座を決め込む程度には衝撃だった。
実は、途中から起きていたと。
しかし、寝たふりをしていたと。
だけど、この件に関しては全く怒っていないと。
確かに言い出したのはお空とはいえ、それも酒に酔っている時の話。寝ている彼女に劣情を催した挙句、勝手に交接に及んだというのにあまりに寛大なお空に対し、自分はなんと醜く矮小なことか。
「何て謝ればいいか……」
ベッドに押し付けた額を更にめり込ませるが、まだまだ頭が高いと頭を踏まれ罵られても文句は言えない。
「本当に、本当に……」
「……○○っ!」
「は、はいっ!」
すると、とうとうお空は怒気の篭った声で名前を呼ぶ。その勢いに体を飛び起こすと、お空はむっとした顔をふっと綻ばせ、両手を伸ばす。
「もういいの。私も気持ち良かったから、ね?」
お空は自分を優しく抱き締めると大きな黒翼でも包み込み、子供をあやすように頭を撫で始めた。
「私ね、痛いとか、苦しいとかで起きたんじゃないんだよ。それは、寝てる私が痛がらないように、ってちゃんとしてくれたんでしょ? 私が起きないうちに、って考えたらすぐにしちゃった方がいいもんね」
「だ、だからって……」
「いいの。確かに寝てる時にしちゃうのはちょっと変態さんだけど、いいの」
言い聞かせるようにそう言うと、慈愛に満ちた優しい笑みを浮かべるお空。ああ、この子は天使なのではなかろうか。
そんなことを思いつつ彼女の器の大きさに茫然としていると、頭を撫でるお空の手が不意に止まる。
「でも」
一言そう呟いた彼女の笑顔は、全てを赦す天使から、悪戯を企む小悪魔の笑顔に変わっていた。
「そのうち、何かあるかもね?」
そして、こちらの鼻先を指で突くとふふっと笑い声を漏らした。
2.
「んぅ……」
太陽が姿を現し始めた早朝、ベッドで眠っていたお空は普段よりもかなり早く起床すると共に小さな鳴き声を上げた。そして、眠気を纏う瞳を擦りつつ大きな欠伸をした後、そっと布団を捲って体を起こし、隣に居る○○に目を向ける。
規則正しい静かな呼吸に、閉じた瞼。その二つと現在の時刻を鑑みれば、それだけで眠っているのだと察しがつく。
とはいえ、本当に寝ているかの確信を得るため、お空は○○の頬を指先で軽くつつく。○○の頬が指に合わせてへこむが何も反応は無い。更にむにっと突いてみるが起きる気配は無く、指で歪んだ表情のまま寝息を立て続けていた。
正に熟睡中といった○○の様子に、このまま○○を抱き枕にして一緒に寝ちゃおうかなあ、などと考えてお空は頬を緩ませる。
しかし、今回の早起きの本当の目的を思い出すと、お空は枕元のリボンを手に取り、頭に結んで気合を入れる。だが、そう簡単に消えない眠気に何か目覚ましでもしてこようと決めると、○○を起こさないようにベッドからそっと抜け出して寝室を跡にした。
数分後、洗顔に加えコップ一杯の牛乳をぐいっと飲んで眠気を飛ばしたお空は、やる気満々といった顔で再び寝室に戻ってきた。
お空はベッドで変わらず眠る○○を見やると、なるべく音を立てないようにパジャマを脱ぎ去り、ショーツのみの姿となる。脱いだ衣服はベッドのヘッドボードへ掛け、半裸のまま○○の足元へ移動すると、足先から布団をゆっくりと捲り上げていく。
やがて、寝間着のズボンに覆われた○○の下半身が露出するが、股座が中から押し上げられて膨らんでいるのを見て、お空は嬉しそうにニヤリと笑う。
男性は毎朝こうなってしまうことも、何もせずに放っておけばいいことも○○に教えて貰い知っていたが、お空は迷うことなく手を伸ばすとズボンの上から撫でる。それにより、ズボンの中に収められた物が跳ね、お空は浮かべた笑みを更に嗜虐的に変えた。
お空は窮屈そうに押し込まれたそれを解放するべく、○○のズボンと中の下着に手を掛けて一息に脱がす。すると、その反動でぶるんと震えながら、とうとう朝勃ちした陰茎が飛び出した。
「わっ……」
ようやく姿を現した○○の男根の姿にお空はつい声を出してしまい、慌てて口を塞いで、「静かに、静かに」と心の中で唱える。そして、○○の足元にしゃがみ、陰茎に自ら顔を寄せていく。
直立する肉棒はついさっきまで衣服の中だったせいか、独特の臭いが普段よりも強い。しかし、お空は嫌がる様子も見せず、むしろ惹かれるようにその香りを静かに吸い込んで、ゆっくりと吐き出す。愛しい人の雄の臭いに体がじわりと熱くなり、心音が大きくなる。
お空は高鳴る鼓動に急かされつつ陰茎に細く白い指を伸ばし、そっと触れる。その瞬間、まるで灼けた鉄の如く熱を持った肉塊はびくんとその身を震わせる。
脈打つ男根に指を絡めて包み込み、手の中で小さく揺れるそれを優しく握り上下にゆっくりと扱く。
遅々とした手淫ながらも何度も繰り返す内に次第に先端からは透明な汁が漏れ始める。それを見てお空は満足げに笑うと、鈴口から溢れる我慢汁を指先で掬いとり、ぺろりと一舐めした。
お空は一度手淫から肉棒を解放すると、陰茎の根本へと顔を寄せていく。そして、口唇を割り開いて舌を伸ばし、その根本へ先端を触れさせた。それにより男根がびくびくと跳ねようが構わず上へと舌を這わせ、裏筋に辿り着けばそこを舌先で重点的に攻めつつ、カリ首もなぞり、奉仕する。その刺激により更に我慢汁が湧き出れば舐め取り、根本に舌を戻してを繰り返す。
そうして陰茎を一通り舐めて唾液塗れにすると、次は口を離して口内に唾液を溜めつつ、○○の足の上に寝転ぶように体勢を変えて自らの豊満な乳房を持ち上げる。そして、男根を左右からぎゅっと挟み込み、唾液を垂らして柔らかな乳肉で捏ね回せば、唾液に塗れた陰茎はすぐさまぶるぶると震え、お空の行為で快楽を得ていることを素直に伝えてきた。
刺激する方法や動きを変える度に肉棒がすぐに反応を返すのが、「もっとして」とねだっているように見え、それがお空の奉仕精神をくすぐり一層熱が入る。
乳房を互い違いに揺らして扱き、谷間から溢れる亀頭の鈴口を舌先でちろちろと舐める。快感に陰茎が跳ねれば、逃げてしまわないように両側からもっと押さえつけて、圧を加える。
程無くして陰茎が一際大きく震えると、お空は待ってましたと言わんばかりに口を大きく開けて、亀頭をぱくりと咥え込んだ。
瞬間、亀頭は大きく膨らみ、鈴口からお空の口内に向けて精液を無遠慮に吐き出した。お空は唇でカリ首を甘噛みするように包み、白濁が漏れないように注意しながら口内に溜めていく。射精が終わるとそのまま口を抜き取り、少しずつそれを飲み下していく。
濃厚な精液は粘りが強く飲み込みにくいが、それでも一滴も残さず嚥下すると、ほうっと小さく息を吐く。
いつもならこの後は○○のなでなでがあるのだが、今日はそれが無いことにお空は少し肩を落とす。さながら、食後のデザートを取り上げられた気分だった。
しかしすぐに不満げな表情を取り払うと、○○にもう一度視線を送る。顔には少し汗が浮かんでいるものの瞳は相変わらず閉じたままで、射精を終えた陰茎も未だに硬くそそり立っていた。
それらを受け、お空は次なる行為のために淀みない動きでショーツを脱ぎ、湿り気を帯びた自らの股に手を伸ばす。
陰唇を指で何度か撫でて自身の状態を確認すると、右手の指先で陰核に触れ、軽く押すように刺激する。ぴくん、とお空は小さく体を跳ねさせるが構わず弄り続ける。
性感帯の中でも特に敏感なクリトリスで得る快感に、声を出さないように閉じた口からは堪えきれず荒い息が僅かに零れ、膣穴からは蜜が湧き始める。
秘芽を撫でさすりながら捏ね回し、ぬめりを増した膣に左手中指を差し込み、入り口付近の浅いところを小さな水音を響かせながら掻き混ぜる。
眠る○○の、自分よりも大きい無骨な指を見ながら、自分を撫でる優しい手つきを思いだしながら、その手に触れられていると想像しながら休むことなく自慰に耽る。
新たな刺激を求め、陰核を弄っていた手を今度は左の乳房へと向かわせる。そして、高まる性感に硬さを増した乳頭を指先で掠めるように何度か撫でた後、ぎゅうと摘む。
「ん、ぁっ、んっ…」
膣内と乳頭を自身の手で弄び、押し殺した矯声を漏らしながら体をぶるりと震わせるお空。
膣穴から滴る蜜が粘り気を帯び始めると、お空は自慰を中断して目の前にある○○の陰茎に視線を移す。時間が経ったせいか少し柔らかくなってしまっていた男根を再び口に咥え込むと、それが自らの中を掻き回す想像をしながらしゃぶり、快楽を与えていく。
口内の肉塊が硬さを取り戻すと、お空は口を離して体を起こし、陰茎の上で膝立ちに構える。更に右手で自らの陰唇を大きく広げ、左手では○○の男根の根本を掴んで固定すると、腰を下ろして二人の性器の距離を詰めていく。
そして、亀頭の先端と膣口が触れ合い、くちゅりと水音がした瞬間、○○はとうとう目を覚ました。
「……ん、あれ、お空、何して……」
「あ、おはよう、○○。えっとね、これはこの間のお返し、だよ」
「……お返し、って、くぅっ!」
寝起き早々困惑した様子の○○にお空は笑顔で挨拶と質問への返答をすると、○○がその言葉の意味を理解する前に腰を下ろす。
潤んだ膣道はずぶずぶと陰茎を呑み込んでいき、お互いの腰が触れ合う。それと同時に亀頭は蜜壺の最奥に達し、お空は大きく息を吐いた。
「はっ、ああぁ、あぁっ……。私のと○○のは、ぴったりだね」
「そ、それはいい、けどっ、こんな、朝からっ……」
紅潮した顔で無邪気に笑うお空とは裏腹に、起き抜けに叩き込まれる多大な快感に○○は呻くように返事をする。そんな○○の反応に、お空はにんまりした。
「ふふっ、いきなりでびっくりした? もっとしてあげるからねっ」
そう宣言するとお空は○○の胸に両手を突いて、腰を上下に振り始める。最初こそ持ち上げては降ろし、持ち上げては降ろしと緩慢な動きだったが、その一工程の間隔は徐々に短くなっていく。
腰の動きはあっという間に激しさを増し、粘膜穴を掻き回す淫らな音が寝室に響き渡る。その音に合わせ上がるお空の声も、次第に大きく、艶やかに変わっていく。
「んっ、はぁっ、○○、あんっ、どう? ふあぁっ、気持ち、いいっ?」
「ああっ、滅茶苦茶、気持ちいいっ……」
○○の言葉にお空は嬉々とした笑顔を浮かべると、腰を大きく落とし、子宮の入り口に亀頭を押し付けてぐりぐりと円を描くように腰を揺すって刺激する。
すると、膣の中で肉棒はびくびくと震え、○○もそれに同調するように身震いした。
「お空っ、それっ、うぁっ……」
「気持ちいい? んっ、これねっ、私も、ふあっ、とっても気持ちいいのっ」
ポルチオでのこりこりとした触感による愛撫を亀頭に、詰まった膣肉の絞るような締め付けを肉茎に受けるが、○○は神経を張り詰めて耐える。自分だけが絶頂してしまわないようにという、男としての矜持だった。しかし、○○が我慢していることをすぐに察したお空は、顔に汗を浮かべる○○の頬を撫でると、慈愛に満ちた笑顔を向けた。
「○○、いつでも出していいよ? 私もっ、あぁっ、イきそうだから、ねっ?」
「……お空っ、悪い、もう……」
「いいよっ! 全部っ、全部出してっ!」
絞り出すような○○の声と大きく膨らんだ亀頭から、お空は○○の射精が目前であることを感じ取ると最後に腰を大きく持ち上げ、叩きつけるように押し込んだ。
膣壁全てで陰茎を扱き、子宮口に亀頭が再びキスするのと同時に、二人の性感はとうとう頂点に達した。
「ぐ、あぁっ……!」
「あっ、ふああぁぁっ!」
絶頂を迎えた肉棒は目の前の子宮へ向けて射精を開始する。同時に膣肉は男根を強烈に締め、膣内射精を促す。自らの体内で陰茎がびくびくと脈動を繰り返し、子宮内へ白濁が流れ込む感覚に、お空は喜悦の声を漏らした。
「はぁっ、この、どくどくって、入ってくる感じ、好き……」
お空の子宮は吐き出される精を受け入れ、更に絞るように腰をゆるゆると小さく動かす。陰茎もそれに応えるべく、二度、三度と放精する。
そんな肉棒を愛でるかのようにお空は自らの下腹部を優しく撫で、やがて射精が終わると、○○に笑い掛けた。
「ん……、これで全部かな? 二回目なのに、いっぱい出したね」
「……二回目って、もしかして……」
「○○が寝てる間に、お口とおっぱいでもしてたから。気付かなかったでしょ?」
まるで悪戯が成功した子供のように笑うお空に○○は苦笑すると、彼女に向かって手を広げた。それを見たお空はすぐに○○に向かって倒れ込むと、○○はお空をしっかりと抱き締める。
お互いの体温を共有するように繋がったまま、お空は○○の心音を聴きながら、○○はお空の揺れる翼を見ながら、静かに余韻に浸り合う。
「今更だけど、お返しって言うのは、前に寝てる間の時のお返し、ってことだったんだな。何かあるかも、とは言ってたけど」
「何かあったね。ちゃんと」
得意顔でそう言うお空の頭を、○○は良く出来ましたと褒めるように撫でる。すると、お空は頬を緩ませて、にこにこと笑う。
○○が寝ている間はしてもらえなかったことが、暖かい手が嬉しかった。
「しかし、これからどうしようか。もう一回寝るか?」
○○の提案にお空は口元に指を当て、「んー」と考え込む。
「私はあんまり眠くないかなぁ」
「なら、軽く風呂にでも入ってから朝の散歩でもしようか」
それならと提示された代替案に、お空は大きく頷いた。
「うんっ! それじゃあ、早くお風呂に行こっ!」
そして、すぐさま体を起こすと、○○の手をぐいぐい引く。
まだまだ早朝だといえる時刻なのに元気いっぱいのお空の声は、○○にとっては一日の始まりを告げる鳥の鳴き声のように心地よい物だった。