別に私は、所属している傭兵団の面々にとりたてて仲間意識を感じている訳ではないが。
「……誰か、いないの!?」
それでも、この瞬間では彼らに助けを求める、その女としての自分の弱さが恨めしい。
――――――
その兵士の顔は、単に戦いに熱狂しているというだけではなく。
――ゲヘァ!!――
剣を交えながらこの男が私を睨む視線、もちろんそれは男が「モノ」として女を見る時の目だ。
「チッ……!!」
その汚れた視線を向けられている私が身に纏っている革鎧、所々鉄鋲で補強されたスタデッド・レザーとされる物は、別に他の女傭兵のように露出度が高い訳ではないが。
――ヘッ、ヘヘェ……!!――
「……」
それでも自分でも忌々しい、このような男の目を惹くほどに大きく膨らんだ、己の胸の大きさは誤魔化せない。
――良い、胸してヤガルゼェ……!!――
「……フン」
そして、私はこのような下卑た男に遠慮する心などは、全く持ちあわせていない。
――オラァ!!――
ブォウア!!
力任せ、単にそれだけの剣である男の切っ先を、剣先を私は簡単に、己れの剣ではね飛ばし、そして。
「ハァ!!」
ズゥウ……
そのまま、私の鋭い剣はその兵士の粗末な革胸甲を貫き。
――ガバォ!!――
「……フン、馬鹿野郎」
そして、私は血潮に濡れた剣を相手の肉から抜き。
「……さて」
一つ振りながら、次の相手を探す。
ザァアア、アァ……!!
少なくとも、私の所属する傭兵団の軍旗がはるか先の方まで、この大雨の中でも敵軍の真っ直中にまで見えるという事は、この戦いでは私の「味方」は押しているのだろう。
「よし、次……!!」
ならば、このまま仕事を続けるまでだ。
「……ムッ!?」
キィ……
薄闇の荒野、昼だというのになおも暗い、雨の帳に覆われたこの戦場から少し離れた小高い丘、そこに何かが光る。
ジュ……
「……ちっ!!」
やはり、この雨ではピストルは使えない。火縄が湿っている以上、あの距離の弓兵を仕留めるには、クロスボウを使うしかないようだ。
――――――
――イャア、ァ……!!――
傭兵団の野営地、闇夜のキャンプの、そのあちこちから聴こえてくる悲鳴、矯声、絶望の声。その輪姦される女が発する音に混じり、獣のような男の声が迸る。
――ウォウオ、ダフ、ゼェ!!――
――ヒィイ……!!――
叫び声、呻き声、喚声、それらが渦巻く、暗黒の夜の平原。
「……ふん、下らない」
もっとも、ケダモノなのは男だけではない、女だって大して変わらない。
――キャハハ、伸びるよコイツのチ○ポゥ!!――
――包茎が許されるの、小僧までだよねェ!!――
捉えた男の身体を嬲る女の傭兵達。別に私は彼女達の行いをどうこう言うつもりはないが。
――ホラァ、早くあたしをイカせなよ、短小野郎!!――
――ウ、ウワァア……!!――
それでも、私にはその性癖はない。
「……ハア」
私の近くにいる、短く髪を切った、褐色の肌をしている年若い少女の傭兵が。
「……下らない」
「……大丈夫かしら、あなた?」
「ええ、姉さん……」
私の妹分である彼女が、この「祭り」の狂乱に対して、ゲッソリとした顔をしつつ深いため息を吐いている。そして。
「……君、酒でも飲もうか」
「……そうね」
そして、彼女の恋人である少年の傭兵も、あまりこの堕地獄には良い感情を抱いていない様子だ。
「じゃあね、姉さん……」
「ン……」
まあ、私の前から去っていくこの二人のように、全ての傭兵が「獣」だとは言わないが、この野獣の行いを冷めた目で見る者の方が、ならず者としては少数派だろう。
――ヤメテ、ナカニ、ダサナイデェ!!――
女にとって、戦いでの敗北は単に生命を奪われるだけに止まらない。それが戦争というものだ。
「ン……?」
フワァ……
「邪魔になってきたかな……?」
私の黒い髪、自分でも戦いの邪魔だとは思うが、それでも切る切っ掛けが掴めない私の長髪。私がこの束ねた黒髪をなびかせると、時々傭兵団の男女から喝采を浴る事がある。それなりに美しい髪と言えるのだろう。その時。
――ヘッ、ハヘッ……!!――
その時、私の近くに、おそらくはその「サッパリ」した顔から、男の一仕事を終えたと思われる男が。
「よお……」
何か、私に向けてその脂ぎった顔にニヤニヤとした、嫌らしい笑みを浮かべながら、中年の傭兵がすり寄ってくる。
「へへっ、この国の軍隊には、良い女が沢山いるなぁ……!!」
「……」
「なあ、おい?」
「……そうね」
まあ、馴れてあるとはいえ、一応私も女だ。その男の欲望に満ちた台詞は心地好いものではない。
「悪いけど、私は忙しいの」
「ふん、そうかい……」
その、顔中に欲望をギラつかせた中年男が、私の鎖帷子に包まれた尻を軽く撫でようとし。
ピシャ、ア!!
「ヘッ、ツレねぇ女だ……」
その手を、私はピシャリと撥ね付けると、彼は一つ舌打ちをしつつ、足早に立ち去っていく。
「全く、男というのは……」
しかし、この世の中では一人の女が、私のような小娘に「毛」が生えたような女が、一人で傭兵をやっていけるほど甘くはない。
――さて、次の女はァ!!――
――さて、次の男ハァ!!――
このような男や女ばかりを抱えている傭兵団でも、所属しているだけで、ある程度の身の安全は守れる。
「ま、所詮は全て」
まあいい、気にしていても仕方がない。
「そう、他人事よ……」
と、私は思っていたが。
――――――
よく晴れた、さわやかな昼下がり。
「……離せ、クソ野郎!!」
その、脂ぎった傭兵のブヨリとした手が私の下半身に、チェインメイルと薄い皮の腰鎧に包まれた、私の股間部をピシャっと、強く叩き。
――ゲヘェイ!!――
「……やめろ、この豚野郎!!」
そのまま、ヤツは私が下半身にのみ身に付けている、鎖帷子の腰鎧を無造作にめくり上げようとする。
――アア、このメスの匂い、タマン、ねえなァ……!!――
多分、男にとってはこの過程も、鎧を脱がすというのは、女を犯す前の素晴らしい前戯となるのだろう。
シャア……
明るい、忌々しい位に明るい太陽の光の下で、私の下腹部を覆う鎖帷子、そして薄い皮の腰当てが。
「クッ……!!」
ザァウ……!!
強く、めくり上げられ。
――イイ、女だぁ!!――
プックゥ……!!
その過程を行うケダモノ、彼の履く粗末な革のズボンの前が、私という雌の獲物の「皮」を剥ぐたびに、大きく膨らんでいく。
「……クソッ!!」
私は、そのおぞましい、雄の一物の膨張に、自分の顔面が強く歪んでいくのを感じていた。
――ヘッヘ……!!――
私達が対峙した傭兵団、それは強かった。
――非力なんダヨ、お嬢ちゃん!!――
――速い!?――
とくに、このブヨブヨと太った男、コイツのその醜く肥え太った体躯に全く似合わぬ機敏さ、それには私の剣が全く通用しなかった。
グォウ……!!
その巨躯からの怪力で振り回される大剣の圧力も凄まじかったが、なりより。
――ヘッ、遅ェヨ!!――
――クゥ……!!――
早い、実に素早い剣の捌き。大剣とは思えぬ、あたかも貴族の使うレイピアのような俊敏さの、力の鉄塊。
――アゥ!?――
私は女にしては力が強い、その上、一般論的な現実問題として女は男に力で劣る以上、いかに素早く剣を繰り出すか、そのチャージで、私はいままで多くの人間を葬りさってきた、が。
――……なめるな、野郎!!――
ある程度の力、そしてなりより猛烈な剣のラッシュ、しかし。
――アラヨッとォ、嬢ちゃん!!――
その私の剣は、この男には全く効かなかった。それほど、コイツは強く、速かった。
ギィイ、ン……!!
――うわぁ!?――
そして、剣を撥ね飛ばされ、私が即座にふともものホルダーから取り出したピストルの弾丸、それは奴の板金鎧を貫けず、そのまま。
グシュ……
「……あうっ!!」
私は、ヤツの剣の腹によって、乾いた地面に叩きつけられた。その結果。
――――――
結果として、ついに、私にもこの時が来た。
「……!!」
私は処女ではない、処女など昔にすでに奪われた。
グゥ!!
男の怪力によって、乾いた地面に強く組伏せられた私の身体。
ムゥ、ア……
乱雑に地面に押し付けられた私の顔面、私の鼻を覆う強い土の匂い、そしてまばらな雑草の草いきれ。
「……ッ!!」
ジャリ……!!
そして、小石が私の頬を切る時の不快な痛み、軽く唇から悲鳴を上げた私に構わず、コイツは、そのまま。
グゥウ!!
「……離せ、ケダモノ!!」
そのまま、私の両手が万力のような、コイツの分厚い肉に覆われた、両の手のひらによって締め付けられると同時に、ヤツはその、歪んだ豚のような下劣な顔を、私の目前に近づけ。
グヌゥア……
「クゥ……!!」
その迫った男の口から吐かれる吐息。まさしく、排泄物の悪臭を思わせる、腐敗しきった息、それが私の鼻を強く刺し、吐き気すら促す。
ブ、ニュウ……
「……!!」
そして、そのままソイツのナメクジのような、気色の悪い紫色の唇が、私の口に吸い付きつつ、ヤツはその手を再び私の下半身へと動かし、そして。
ゴギィ!!
まさしく恐ろしい怪力、私が下半身に纏っていた鎖鎧と皮の腰当て、それが一気に引き剥がされる。
「……やめろ、離せぇ!!」
ベルト、そして止めピンごと「ズベリィ」と、私の下腹部から剥がされる鎧。破損しているとはいえ、チェインメイルの脆くなった部分の鉄輪ごと、人間の身体から引き剥がすなど、まともな人間の力ではない。そして。
――ヘッ、ヘェエ!!――
ザァ……!!
この男にとっては、ついに迎えた「ご開封」の時、チェインメイルと、薄皮の下鎧の奥に着ている、私の最後の一枚。
――ヘェ、ナカナカ良い趣味じゃネーカ、ネーチャン?――
「……クゥ!!」
ファサ……
少しだけ、色気を出して買った下着。基本的に粗末な灰色をした麻の下着であるが、淡いライトブルーをしたワンポイント、花柄のレースが、ちょこんと上に付いている。
「……この、ゲス野郎め!!」
ビギィ、リィ!!
「……!!」
やけに、本当にいやに大きく、私の秘部を包んでいたその新しい下着、自分へのご褒美であった下着が、男の怪力によって引き裂かれる音、悲惨なそれが耳にこだまする、そして。
――イイ、姿ダゼェ!!――
「……見る、なァ!!」
スゥ……
下半身のみが剥き出しの、私の、女として実に情けなく、屈辱的な姿。
――オイオイ、そんなに脚をジタバタさせんなよ、切りとっちまうゾォ?――
「……クソォ!!」
戦いと、この行為によって強く汗ばんでいる私の身体、しかしそこだけ。下半身だけ。
サォア……
スースーとする下半身、時おり太陽の熱を僅かに含んだ、爽やかな風が、足を、脚部を、そして。
スゥ……
陰毛を、そしてその奥の私の陰部を優しく、優しく「嬲」る。
「……ちくしょう!!」
これが、このような時でなければ、上半身のスタデッド・レザーも脱ぎ捨て、水浴びでもしたい位に、爽快な天気。
――へへ、さて……!!――
もちろんこの男は、私を汚しつつ、上の革鎧なども剥いでいくのだろう。
――ではァ……!!――
チュン、チチッ……
何処かからか、のどかな小鳥の声が聴こえてくる、そして。
――まず、はァ!!――
続いて、私の麻紐で束ねた黒髪に、荒れた地面に這い、砂埃だらけの、常日頃からあまり手入れが整っていない、その私の髪。それを。
――女を、躾っテェ!!――
グゥア……!!
「ぐぅ!?」
束ねた私の黒髪をヤツはむんずと、万力のような手で掴み、そして。
グゥ、グィ!!
「あう!?」
そして、思いっきり、苦痛と屈辱にひきつる私の顔ごと、大きく引き上げ。
「や、やめろ、ゴミ野郎!!」
吊るされた髪に顔が引きずられ、ちょうど反転する形で、コイツと目が合っていた顔が正反対、すなわち砂利に覆われた地面を向くようになる。
「は、離せ!!」
――ヘッ、汚ねぇメスがよ、ナマ言うない!!――
ブゥ、ウゥン!!
そして、次の瞬間に、勢いよく、私の視界に迫る地面。
ドゥウ、ン!!
「か、はっ!?」
まさしく暴力、私の顔はまともに地面へと衝突、いや振り回された髪ごと、荒れた地面に叩きつけられ。
「げ、げほぅ!?」
ヌゥ……
土の味、そして地面の砂利によって切れた唇からの血の味、それらが口内に拡がる。
「……この、ゲス野郎!!」
そのまま、私は苦痛と、認めたくはないが、男への恐怖に脅え、すくむ間も無く、すぐに面を上げ。
カァー……!!
憎悪に満ちた視線を、この男を殺さんばかりの怒りを込めて放ったが。
ペッ……
「……!?」
男のボッタリした唇、いや2対の色艶の不気味な「ナメクジ」の隙間から、黄色く粘ついた、痰ツバが。
ヌゥ、プトゥ……
「……くっう!?」
私の顔に、ちょうど左目の真下辺りに「ナメクジ」から投げつけられ、へばり付き、悪臭が鼻孔を刺し、そして。
「くぅ!?」
ピ、チャァ……
そして、続けてバサバサになった、先ほどまでヤツに掴まれていた、髪にもと、ヤツは口から黄色く、ギラギラと照る汚物を投げつける。
「……!!」
このゲスは、本当に女を「モノ」としか見ていない。たんなる、性欲処理の「モノ」として、そして、服従させる為の「モノ」としてしか。
――では、いよ、イヨォ!!――
そして、降り注ぐ太陽の光の中、神の祝福を顕す、らしい、慈悲の光の中で。
――頂く、カァ!!――
ズゥウ……
私の、女の尊厳は。
「……チクショウォ、オ!!」
グニュウ、ア!!
――……甘口判定60点、の肉壷、膣襞ォ!!――
神に、見放された。
――――――
ザァアア……
天候が、いつの間にか急変している。
「……」
情けない事に、私はヤツとの事の最中に気絶していたようだ。
「……ハァ、ア」
ザァアウ、ザァ……!!
打ち付ける雨に濡れる、無造作に束ねられた私の黒髪、なぜか纏ったままである、上半身の鋲革の鎧、そして。
「……クゥ!!」
そして、完全に剥き出しの下半身。
「……クソ野郎、め」
おそらく、別に破瓜された訳ではない私が、襲われている最中に失神したのは、ヤツのあまりに乱暴な凌辱の為である。
ズッ、キォ……
血が滲む左の大腿部、アイツの汚い歯によって噛みつかれて、同じく血の跡がある左の足指、親指。
「……」
そしてもちろん、私の秘部は打ち砕かれ、黒い陰毛すらむしりとられたその部分、下腹部全体には。
ヌ、ラァ……
黄ばんだオスの精液、その薄汚い汚物が拡く、大きく散らばっている。
「……ハア」
上半身の鋲革の鎧は全くの無傷、つまりは私の胸にヤツは手を付けていないという証明ではあるが、だからなんだというのだ。
「……しかし」
しかし、こうして犯した女を置いていくという事は、何か連中にトラブルがあったのかもしれない。
「……」
普通ならそのまま、下した女は陣地で「飼う」か、奴隷として売り払う算段をするはずだが。
「……それに」
上半身の胸部、男というのは一応、それほど興味が無くても、女を犯す時は、その全ての「オンナ」の部分を見たいと思うはずであるが、それでも全く手を付けないということは。
「連中はやはり、何かあったのかもね……」
ザァアア……!!
まあ、何はともかく、この降りしきる雨の中で私に出来る事といえば。
「……焦っても、仕方がない」
そう、私は少し心を落ち着かせる為にも。
――天にまします、偉大なる主よ――
神様、とやらに祈ってみる。
――どうか、妊娠してませんように――
――どうか、子供を授かりませんように――
――どうか、出産しませんように――
このように、大雨の中で何回か、祈ってみる私。
――どうか、生理が止まりませんように――
ズギィ……!!
その、真心からの、真剣な祈りを捧げる私の腹部、それの奥深くが、今頃になってズキリと痛みを発し始めた。
「……クソッ!!」
痛むのは陰部の表や膣内だけではない、尻の孔が呼吸に応じて、錐で刺したかのような鋭い痛みを伝えてくる。
「……ここもやられたら、祈っても無駄かもね」
ピ、リィア……!!
その尻孔の疼痛、それが来るたびにピクリ、ピクリと痙攣する私の二つの臀部の肉、それが意味する所は1つしかないだろう。
――――――
ピィ、ゴゥウ……!!
雷雨の中の、我ながらのその行いの惨めさに、私は実に情けなくなってくる。
「……もうこの際、同じような目にあった女性の服でも、下着でもいい」
何でもいい、とにかく私の下半身を覆う布切れでも、何でもいいから探さなくてはならない。
ビィ、シャ……!!
降りしきる雨に覆われた戦場跡、厚い雨雲からの水流と、流れた血と死体にまみれた、腐敗の沼地と化している荒野。
「……無いものね、意外と」
その穢れた大地に、上半身のみ戦の装束をし、その下半身、実に一糸纏まぬ、はしたない姿をした女の、惨めな姿がゆらりと蠢く。
スッ、ズゥ……
片方の、右足だけ革のブーツを履いている私の足。裸足である左の足の裏、痛みを伝えるその素足が沼に、血に、死体に捕らわれ、私は何度もそのぬかるみによって、転びそうになる。
グゥ、ズゥ……
そして、あらゆる意味で汚れた、私の下腹部から下の、露出された肢体。
スゥ、ズムゥ……
足裏、足の甲、かかと、くるぶし、すね、ふくらはぎ、膝、その裏、ふともも、股関節、そして。
「……」
女性器。
ズギィイ……
「チィ……!!」
実に忌まわしい事に、ふらつく脚を踏み出す度に下腹部が、それの「前後」が下腹の奥と表からの痛みに震え、時には、露出された両の陰部から。
ブ、ブゥリ……!!
露出された陰部、女の孔、その二つの孔から、汚ならしい音を立てて、不気味な色合いをした液体が絞りだされるのが、本当に腹立たしい。
「……チクショウ」
あの男の精液はもちろんの事、その濁った流動体には私自身の身体から発せられた、女の愛液と、そして。
ブ、リィ……!!
おそらくは、私の放つ腸液も混じっているのだろう。
「……」
もしも他人が、今の自分の姿を見たら、どのような感想を、感情を抱くのだろうか。
ザッ、ザァア……!!
「ハア、ハアッ……」
転がる死体の山、血の海、そしてそれらが粘つく、大雨によってぬかるんだ沼と化した大地を。
ズゥ、ズ……
下の性器を「おみ脚」ごと、そこだけを全裸としてさらけ出した、上半身を革鎧で武装している、敗北し、穢された女の傭兵。
サァア……!!
ふと、吹いた生温く、臭い風によって、私のボサボサになった黒の束ねた長髪と。
ヌゥウ……
髪と同じ色をした、カラス色をしたベトベトの、ゴワゴワした一塊の、悪臭を放つ毛玉とな化した私の粘つく陰毛が、ゴゾリと揺れる。
「……誰かの手助けは欲しい、だけど」
この状態では、たとえ味方の傭兵団に会っても、自分の身は危うい。
「……少なくとも、どんな奴であれ、男に会うのはマズイ」
最良なのは、戦死者の弔いに来たシスターの一団に出会う事だろう。
最悪なのは、戦場漁りの男達だ。
「……さん!!」
「……?」
「……姉さん!!」
ん、この声は。
「姉さん、返事をして!!」
「……あんたなの!?」
そうだ、彼女なら、同じ傭兵団の妹分である、彼女なら。
「……手を貸して!!」
どうか、相手が1人でありますように、たとえ、彼女の恋人であるあの誠実そうな、純粋そうな少年でも、いませんように。
ピィ、ピシャア……!!
「……」
「ね、姉さん……!!」
「……よかった、会えたのがあなたで」
一際大きく鳴った雷鳴の中、思わず、同性の、そして仲間と言える存在に出会えた事により。
「……やられちゃった」
僅かに私の気が緩み、我ながら虚しい、泣き笑いのような笑みを、私は彼女に向ける。
「……悪いけど、手を貸して」
「姉さん、なんて酷い……!!」
「大丈夫よ、気にしないで」
「でも……!!」
その、可憐な乙女の顔を歪め、涙を浮かべ、私への同情に満ちた、私の悲惨な姿に身を縮こませる、傭兵には似つかわしくない、この歳若き少女。
「……とりあえず姉さん、何か覆う物を探さないと!!」
「そうね、ありがとう」
「こんなの、酷すぎるよ……」
「いいのよ……」
だが、その時。
ビィ、ア……!!
激しくなった雷鳴の、その光の中で。
「……!!」
確かに、私は見た。
ビィア、ザァア……!!
その、今まで妹分のように思っていた彼女、気の置けない傭兵の少女の。
「姉さん、可哀想……」
その顔に。
「……!!」
僅かに、ほんの一瞬だけ。
グ、ニィ……!!
蔑み、嘲り、強姦された女である、私に向けて見せた。
――……この子!!――
愉悦に満ちた目を、口の端を、その顔を。
「……姉さん」
そして、その歪んだ、性別メスの、ケダモノの顔は。
「……」
「姉さん、早く帰って、身体を洗いましょう……!!」
「……ええ、そうね」
即座に、彼女の顔から打ち消される。
「……」
私は、男によって肉体を辱しめられた以上に。
「許せない、あたしの姉さんに、こんな事を……!!」
唯一、一応は味方とはいえ、油断の出来ない傭兵団の中で、信頼していた妹分の少女から。
――この子は、彼女は――
同じ同性である、この褐色の肌をした可憐な乙女によって。
「姉さん、本当に可哀想……」
――若い、メスのケダモノだったんだ……――
最大限の、心への屈辱を、最後に。
「あたしが仇を取るわ、姉さん……!!」
彼女から、受けた。