朝田詩乃は悪の組織に忠誠を誓う 作:名無しの猫
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。
陽気が心地よい昼の屋上で、詩乃は購買のパンを齧りながらフェンスに背を倒し、ぼんやりと時が過ぎ去るのを待っていた。教室になど戻るつもりはない。
昔の詩乃なら真面目くらいが取り柄で意味もなくノートに目をやり、ペンを走らせていたのだろうが生憎シノンにそんな趣味などなく。その時間があるなら雲の流れを追った方が有意義だとさえ思った。
普段ここを占拠しているであろう不良達を軽く蹴散らして得た場所だ。折角なら思う存分堪能しようとパンを飲み込むと地面に転がり、静かに目を閉じた。
耳を澄ました途端、流れ込んでくるのは喧騒。
怒り、悲しみ、嘆きに満ち溢れた人々の叫び。公害にも等しい騒音に入り混じり悲鳴の叫びを聴くこの時間は詩乃の密かな楽しみであった。
かつては自分もそうだった。忌まわしい過去に締め付けられ縛られて声なき悲鳴を上げる愚かな民衆の一人。嫌な記憶を掘り起こすと同時に、そのまま惨めに息絶えるはずだった自分を拾い上げてくれた組織への忠誠が込み上げて、下腹部が熱くなる。
選ばれた自分と選ばれない愚民達。
その違いに胸がときめいて堪らない優越感に満ちていく一時――だったが、今日はどうにも嫌な気配が漂っている気がした。
盗み聞きにも等しいこの行為自体が趣味がいいとは詩乃自身も思ってはいないが、今回はそれとも違う。
なにか、どこからか、怪人シノンとしての本能を締め付けてくる不気味な感覚。
内側から怖気の如くゾクゾクと駆け上がって、焦らすように消えていく。不快な感触。
目を開けて視界に映るのは、雲の流れ。自然な流れ――に、限りなく近く精密に計算された、人為的な流れ。のように思えて。
ゆったりと身を起こし、何もないはずの山奥を見つめる詩乃。
その遥か彼方で、アリスが王を蘇らせるべく儀式を始めていることなど、今の詩乃は知る由もなかった。
※
玉座の間では世紀王復活に向けた準備が粛々と進められていた。
同時に、シャドームーンを繋ぐ生命線である維持装置が鈍く輝き、王子の寿命が尽きつつあること示しはじめる。
科学者達はその消え入りそうな繋ぎ止めるべく、ゴルゴムの持てる粋を惜しみなく使っていた。
維持装置とエキスタンクを極太の金属パイプで繋ぎ、バルブを回して液体をシャドームーンへと注いでいく。
作業員の1人がタンクのスイッチを入れる。これにより内部に溜め込まれたエキスが沸騰を開始して、仕込まれたタービンが回転して掻き混ぜていく。
次第に粘度を増したエキスは維持装置のすぐ真上に設置された透明な巨大水槽の中へと流されて、ゼリー状のプールを緩やかに作る。
さらにその上、網目状に張られた鉄板の足場。
浩一郎が静かに膝を着き、危うい音を立てる。目隠しをされ、白いワイシャツには無理に血を抜き取られたせいで赤いシミが至る所に広がった無惨な姿で。挙句後ろ手に縛られて外界を知る術は最早無いに等しいが、僅かに残されたままの嗅覚はどこか不気味で不快感さえ感じる匂いを感じ、聴覚は真下でグツグツと液体が煮え滾る音を捉えた。
影のさす彼の背後――忍び寄るようにアリスが音もなくその姿をあらわした。姿は怪人ビルゲニアたる鎧の騎士に変わり、微かに揺れ動く前髪と照明の届かぬ影に目元は隠され伺い知ることは叶わない。
するり、と手にした鞘からサタンサーベルが引き抜かれ深紅の刀身を露わとなる。暗黒の闇の中でもそれは確かな輝きを魅せ、揺るがぬ覚悟のごとき切先は残酷な光を鋭く尖らせていた。
アリスは浩一郎の首元に刃を翳し、すぅ……と一呼吸入れて、天高く振り上げた。
慣れた動作で上段に構え、両手で柄を力強く握りしめる。
自分の心音ばかりが強く鳴り響く世界で、もはやアリスに迷いなどない。目の前の獲物を王子に捧げるのみ。ただそれだけだ。
一閃。
音より速く、光より素早く駆け抜けた剣筋は足場ギリギリで静止して。アリスを影にして隠された物体は、二つに分かれ、やがて、静かにエキスのプールへと落ちていった。
音も無く投下されたそれは、次第にエキスの青と混ざり合い、広がる波紋によって紫へと塗り替えられていく。
ゆっくりと。
髪が、
皮膚が、
肉が、
そして骨が溶けて、跡形もなく消えていった。
それが起こる間に螺旋階段を下り、広間へと戻ったアリスは一際大きい装置――儀式の要を担う制御マシンの前に立つ。複雑なコンピュータが埋め込まれたその中心には3つの窪みがあり、アリスは懐から小箱を取り出すと、中を開いた。
それは三神官がかつて所持していた神秘のストーン。――賢者の石とも呼ばれるそれは世紀王が持つキングストーンに次いで、強力な鉱石で、特別に強い怪人しか持つことを許されない。
今回はそれを――
「……アリス、本当にその石を使うのか?」
賢者の石を抱えるアリスを囲むように科学者達が集まってくる。彼らに代表して、一歩前に出たノミが彼女に問う。
「アリス、本当にやるんだな?」
「ノミ、何を今更……」
「……シャドームーンは本当にこれで甦るのか? 皆心配してるんだ……!」
ノミの一言に、アリスは全員を一度見渡す。
準備が全て終わり、開始を待つのみとなった今。皆浮かべているのは不安と恐怖、葛藤で。未だ失敗の可能性を捨てきれない儀式を大切な石を犠牲にしてまで起こす必要があるのか分からないのだ。
「……その石達の力がなければ甦る可能性が低いのはわかる。でも賢者の石は我々にとっても価値あるもの……それを消費するほどの価値がコイツに……」
「……ノミ、はっきりとした事は私にも分からない。……でも、今はもう時間がない……やるしかないのです」
箱からストーンを取り出し、掌に乗せる。
微かに発光するそれを見て浮かぶのは、かつての所持者である三神官達の姿。一度はこの身を切り刻み、怪物に作り替えた憎き仇だったとしても、永い時を共に過ごすごとにそれも薄れていって、今ではかけがえのない同族だと思っていた彼らの――彼らの最後としてはあまりにも残酷な結末。
静かに拳を握ると、周囲に背を向けてコンピューターへと賢者の石をセットした。
これでもう、後戻りはできない。
3つのストーンが共鳴して、眩い輝きを放つ。生じ始めたエネルギーは滞りなく機械へと蓄積され、起動のその時を待つ。
全員が配置に付くのを待ってから――
「……シャドームーン。我らゴルゴムに伝わる、天・海・地のストーンをお前に捧げる」
アリスの宣告を合図に、ノミ怪人がレバーを作動させた。
維持装置頭上に備えられたエキスプールが動き、二つを繋ぐプラグを通して熱せられたエキスがシャドームーン目掛けて注がれていく。それは瞬く間に球体内を埋め尽くし、飛蝗怪人すらも液体の中に沈めてしまった。無論、身体の至る所に刺さったチューブにより生命維持には支障は一切なく、むしろ包み込むヘブンの原液によって異形の肉体は力を取り戻すように身を捩らせた。
次に、その突き刺さるチューブを通し、シャドームーンの体内へと特殊な薬液が流し込まれ、浸透していく。これは創世王のエキスとショッカー製人工血液、そして浩一郎より採取した血液などを混ぜた複合液であり。シャドームーンのベースとされた少女の肉親により作られたそれは肉体への順応も早く。バイタルを計る計測器には紫の液体に満ちた装置の中で、異形の肉体が生気を取り戻していくのがはっきりと観測された。
サタンサーベルを抜刀し眼前に翳す。瞳を閉ざすとルビーの如き刃は3つのストーンの光を受けて色を変えていく。ゆらゆらと糸のようにサーベルへと纏わりつく糸を従えて、アリスは天高く剣を掲げた。
「……目覚めよ、シャドームーン!」
アリスの叫びに呼応するようにストーンは秘めた力を解放する。
白い蛇のように電流が広がって、やがて、
細いケーブルを伝ってシャドームーンへと向かっていった。
※
「……ん?」
日向ぼっこも飽きて校舎へと戻ろうとした詩乃の足を何かが止めた。
背後をむいても恐ろしいくらいに静かで誰もいない――が、不気味な気配を確かに感じて。
意識を凝らして周囲を警戒するが、増すのは身の毛もよだつような不快感ばかり。
身体の内側から舐めまわされるような根源的な悍ましさが湧き上がってきて――途端、自身を照らしていた光が消え失せて。
「……何、あれは一体……!?」
昼間だというのに世界が闇に包まれていって、太陽が、月に覆われていくではないか。
明らかに自然現象ではない、人為的な所業に唖然とすると。
ズキン、と
右眼が、
震えるように疼いて……。
「…………ぐっ!」
片目だけ、詩乃の制御を振り払い怪人シノンのネコ目へと変化した――ような気がして。
慌てて抑えると、それはすぐに収まったが。その違和感はさらに強くなっていて。
「……アリス、何を始めたの……!」
こんなことを起こせるのは、起こすのは1人しか知らない。
とにかく、真相を知るためにもと、詩乃は命令を無視してアリスの元へ向かうべく、足をショッカー基地へと向けた。
※
賢者の石のエネルギーが迸り、生命維持装置へと流れ込んでいく。その勢いは限りなく増し続け、強力な波動となって広がり、玉座の間は目を覆うほどの光に埋め尽くされていた。
「……ぐっ!?」
「うわぁ……!!!」
科学者の1人が力の波動に当てられて怪人態へと変化する。それは次々と広がっていき、僅かな時間でそこにいる全ての者が真の姿を顕にした。
「……ぐぅ、きゃぁぁ……!」
アリスの横にいたシリカもクロネコ怪人としての力を抑えられず変化し、既に怪人となっていた彼女もまた、感情の昂りを感じ、震え出した右手――黄金だった鎧が一瞬だけ漆黒に、濡れるように染まったのを見て、戦慄を感じた。
生命維持装置からは絶えることなくエネルギーが沸き続け、次第にそれはガラスの球体にさえ、亀裂が生じ始めた。
あまりの眩さに腕で目を庇いながらもアリスは王子の復活から目を逸らすことはない。
「……ようやく目覚めましたか」
水槽と化した容器の中、蒼く煌めく複眼がぼんやり浮かび、それはやがて、緑へと色が移り変わっていく。
同時刻。
昼の空は完全に真っ暗になり、日蝕の闇に包まれる。世紀王の覚醒につれて、闇もまた深く濃くなっていき、まるで地獄から蘇る王子を祝福するかのようだった。
グツグツとマグマのように煮え滾るエキスは亀裂から噴出し辺りへと散る。凄まじいほど熱せられていたそれはたちまち蒸気になって周囲を包み込む。
水槽内の飛蝗怪人の全身が複眼同様の緑の光に包まれていく。身体中を駆け巡るように緑の光線は異形の全身へと広がり、触覚から足の鉤爪までを繋いでしまう。
『ウッ、ウウウッ……!!!』
太く蠢くような呻きが響いて。水槽はもうヒビだらけで軋むような音を上げる。
激しいエネルギーの濁流はやがて王を蘇生するための機械さえ狂わせ、シャドームーンに繋がれていた管は全て振り切れ、装置に繋がるプラグやパイプは不快な音を立てて歪み、弾けてエキスを撒き散らしていく。
それは広間全域へと広がり。壁は亀裂を生んで火花を噴き上げて、綺麗だった床は無惨にも割れて耐えきれなくなった怪人達は続々と膝をついてしまう。
そして。
全ての枷から解き放たれた球体がひとりでに浮き上がり、閃光の如く煌めいて。まるで闇夜に佇む月のように静かに宙で静止する。
ピシリ、と音がしたと思った直後。破裂したような発光と同時に、強烈な衝撃と同時にあらゆるものが弾け飛んだ。
※
時を同じくして、世界のあちこちで異変が起きていた。
世界の果て。日本より遠く離れたどこかにある秘境。どこまでも広がる草原にポツリと建てられた小屋。
囲炉裏の火だけが照らす真っ暗なその中で、微かに燃える炎を見つめる壮年の男。筋骨隆々で薄紫の髪をオールバックにして顎髭を蓄えた厳つい風貌の彼は、何をするわけでもなく、ただぼんやりと座って何時間もそうしていたのだが――。
「……うっ」
突如、震え出した右手を見つめていると、次第にそれは痛みとなって襲い。野太い声で呻いた直後に全身から蒸気を吹き出した。
「……うっ――うあっ、あっ」
男らしい声は少女のソプラノ音色に変わって、逞しかった背格好はみるみる萎んで華奢な後ろ姿を晒し、オールバックの髪は伸びてポニーテールがふわりと揺れる。
たまらず地面に四つん這いとなった少女の少女の手の甲。お湯みたいに沸騰したと思った瞬間――激しく揺らいで脈打って、みるみる内に形を変えて飛蝗のような黒い腕へと変わった。
「――――!?」
驚き目を見開く少女。変化はすぐに収まって元の綺麗な腕へと戻ったが、彼女の気は晴れない。
筋肉質な男性向けに作られた服は少女には大きくて、やや不恰好な姿のまま静かに立ち上がり天井を見上げた。
「……明日奈」
ぽつり、と呟かれた名前にはどこか寂しさと切なさが入り混じって。
空を直接見ずとも分かる。遠く離れてしまった故郷ではあの忌まわしい夜と同じ現象が起きているだろう。
そして、その空の元――おそらくは。
赤く染まった瞳が元の緑色に戻ってもなお、浮かぶのは親友の姿だった。どこか哀しげな背中に刺す影と共に、少女は一人、拳を握りしめた。
――
――――
ショッカー日本支部。
桐ヶ谷兄妹監視の任務から一時帰還したユウキ。そして次なる任務に向けて待機するバットやスパイダー。
彼らは真っ暗な部屋で微動だにすることなく、時が過ぎ去るのを待っていた、が――。
「……んっ」
ユウキが呻くのと同時に彼女の甲に血管が毒々しく浮かび、目がヘビ怪人のものへと変わる。
意識もせずに何故、と疑うより早く周囲にいたバットとスパイダーにも同様の変化が起こったらしく、3人は互いを見やった。
「……何がどうなっている、この感覚は一体……」
「……私も先程から気になっていました。この胸から湧き上がるものは何なのでしょうか……」
彼らも今日の違和感を覚えていたようで、1人事情に心当たりのあるユウキは息を小さく飲み、親友を浮かべた。
(シノン、そっちは大丈夫だよね……?)
――
――――
「――ぐっ、……ああっ、あああぁぁぁぁぁ!!!」
屋上に続く階段を転げ落ちる詩乃。全身を引き裂くような激痛に襲われ、たまらず悲鳴を上げる。
「がっ!? ぐぅっ、あっ、うぎぃ、あああああっー!!」
割れるように疼く頭を抑え、床を悶える。
この悲鳴を聞きつけて誰かがやってくる事など気にかける余裕はなくて、破裂するように高鳴る心臓と狂ったみたいに氾濫する血流に、内部から破壊される感覚で意識が薄れていく。
「……アリス、アリス……何をしたの……! 何を……! ううっ……!?」
のたうち回る詩乃の髪と瞳は青と黒で往復するように点滅し、汗に濡れた肌を掻きむしり、たまらず引きちぎるブラウスの胸元。ショッカーエンブレムのペンダントが揺れ動き、白くなだらかな腹部は腹筋を浮かべて、引き攣っていく。
「……いやっ、うぐっ、あああっ……! あっ!」
次第に、脳裏に浮かび上がってくるのは見知らぬ記憶。知らない誰かの視界。
幼少の日の朧げな記憶から、薄紫髪の少女と親しくなって打ち解けた鮮明な記憶。知らないはずなのにどこか懐かしささえ感じて。
「やっ……ぐっ、ううっ……、うあっ、あっ……」
たまらず宙に伸ばした手が落ちる。
詩乃の意識は闇へと消え、気絶した彼女の身体は1人、糸の切れた人形のように転がった。
※
怪人も、装置も、全て、何もかも例外なく壁と激突して、鈍い音を奏でる。
「……くっ、これほどとは」
誰よりも早く起き上がり、部屋の一角を見つめるのはアリス。彼女の身体にも少なからず衝撃の負荷は残るものの流石は幹部怪人といったところか。
アリスの視線の先。湧き上がる蒸気と粉塵の中で、蠢く影が一つ。
頭部から伸びる触覚に、肩周りから覗く昆虫の脚らしい突起、全身が硬質な外骨格に覆われたそれは、擦れるような呼吸で、ゆらゆらと立ち上がり、一歩ずつ歩きました。
一歩、また一歩と踏みしめるように、確かめるような足取りは緩やかで。次第に晴れていく噴煙に隠れた銀色の体色が顕になった。
そして。
覚束ない足取りがしっかりと地を踏みしめるようになって、若干曲がっていた背筋が芯を持って伸びると同時に、異形の腹部に再度ベルトが出現――展開していた4枚の羽が中央に集まるように稼働して、楕円型のバックルを形作る。
瞬間。中央のリアクターが回転して発光。
眩い閃光が煙を吹き飛ばし瞬く間すら与えずに。その姿を変え、衆目の前に現した。
「……あれが」
アリスの目が見開く。
彼女の目前に立つのは最早飛蝗怪人ではなかった。
神々しいまでの銀色の装甲に精巧な飛蝗の仮面。V字のように左右に開き聳える触覚。背中から生えた鋭利なバッタ脚は攻撃的ながら、胸を守護する装甲ともなり。全身の至る所にある拘束具を模した装飾と複眼の淵や腕部を主として流れる緑のラインはどこかメカニカルで未来的な印象さえある。腕や足から生える鋭利な棘は獰猛なまでに鋭く伸び、触れるもの全てを敵といわんばかりだ。
その王の名は世紀王シャドームーン。
ゴルゴム怪人は勿論、ショッカー製やゲルダム製とも明らかに違う。別格の存在。まさしく王子に相応しき荘厳な姿といえよう。
ゆっくりと周りに立つ怪人達を見渡す影の王子。
皆、衝撃のダメージが残っていたが、歴史の瞬間に立ち会えた興奮と復活した王子の姿を一目見ようと続々と立ち上がっていく。
アリスは、朧げな足をひきづって異形の王子の前に立ち、不安げな眼差しで見つめた。
物言わぬ仮面に包まれ素顔を知ることはできないが、アリスは静かに剣を床に置き、膝をついた。
「シャドームーン様……」
目を閉ざし従属の意思を示す。
真っ黒な複眼でアリスを見下ろすシャドームーン。――が、すぐに視線はその他の怪人へと向く。
「……お前達はどうした? 頭が高い」
複眼が瞬時に緑に点灯――と、発せられた念動力によって全員同時――アリスもろとも吹き飛ばされ、王より下の目線へと転がされていく。
「……っ、何故私まで……っ!」
「……全てはあなたの教育不足ですアリス。私を誰と心得る」
ガチャリ、とレッグトリガーを鳴らし前に出る。
「我が名はシャドームーン。次期創世王だ!」
天高く腕を上げ、高らかに叫ぶシャドームーン。
続々と、その名を叫ぶ怪人が現れ、木霊していく。
地獄の底から甦った魔王が齎すは破壊か再生か。その真意は鋼鉄の仮面に遮られ、明日奈以外知る由もなかった。
当初は復活後の姿も銀殿様飛蝗怪人のままで展開していくつもりでしたが、せっかくベルトを付けたのと他の怪人との格差を作るために完全態の方にしました。この世界では仮面ライダーではなく世紀王ということで…汗(変身ポーズとかどうしよう…)