男の娘フレイと男装TS夢主(キラカガリ三つ子姉) 作:篠原えれの
あまりにもディザイアに無茶ぶりを言われた俺は誰でもいいから抱き着いて癒されたかった。髪色がピンクだったし美女だなってよく顔見てないけど勝手にそう判断した俺は泣きながらラクスに抱き着いた。
「あらあら、まぁまぁ。よっぽど辛いことがありましたのね。初対面の私に抱き着いて大泣きなんて普通じゃないですわ」
「なんて羨ましい……じゃないわ。オリバー、落ち着け。それ俺じゃねぇ」
言って、フレイはラクスから俺を放す。フレイだって分かった俺はもう我慢なんて出来なかった。
喋るなって言われてないもんね。喋るぞ。俺は。無理だもの。泣き叫びながら俺はフレイに助けを求めた。
だいぶ錯乱してると思う。落ち着けない。
「あと3カ月しかみんなと一緒に居られないとか無理だ。無理!なんでもディザイアのいうこと聞きゃいいってわけじゃない!やだ、俺はみんなのことを殺したくなんかない!」
「落ち着け。すまん、ラクス。医者呼んで来て貰えねぇか。多分オリバーの奴錯乱してる。けっこうあぶねぇ」
「分かりましたわ」
ラクスが病室から出て、あの軍医を探しに行ったようだった。それを見計らってフレイが俺にキスをしてきた。
「!?」
「落ちついたか?」
「そりゃキスされたら落ち着くけど、い゛……」
頭痛が酷い。視界が定まらない。多分ディザイアの嫌がらせだな。
【喋っても良いが、その分体への負担は強くするぞ】
そんな言葉が聞こえてくるような気がする。
「痛むのか?」
「ディザイアが喋るならその分負担強くするってさ。別にいいさ。別に。誤解がなくなるなら俺は全部話す。すまん、フレイ。俺は20歳になる前には死んじまう。だから別れよう」
「は?」
「今までぶっ倒れることが多かっただろ?あれ、ディザイアのせいじゃないんだ。俺が元々そんな体質なんだと。笑える。あ、キラは大丈夫だから安心しろ」
頭痛のせいで、とてもやつれた表情だったと思う。俺の言葉にキレる訳でもなく、フレイは黙って俺を抱きしめてくれた。
「別れるなんて言わないでくれ。俺は最後までお前のこと面倒見たい」
「それが無理なんだよ。ディザイアが許してくれねえ。俺も、この世界を護るためならそれでいい。それともあと3ヶ月でやれるならディザイアも許してくれると思うんだが。やってくれるか?」
「やる、俺はお前と一緒に居るためならなんでもする。なにをしたらお前と別れないでいいんだ?」
迫真の表情で、フレイに俺と一緒に居られるならなんでもすると言われ息を飲む。この話を言っても嫌われないだろうか。不安だ。
「――……信じられないと思うが、キラとフレイにはあと3ヶ月以内に、この世界の『勇者』になってほしいんだ。」
「は?」
さすがのフレイも面食らった様だった。『勇者』ってなんだって感じだ。
「信じられねぇだろ?でも本当なんだ。それが無理ならあと4年で俺と殺しあってでも絶対に『勇者』になってもらう。」
「ふざけんな。んなことしても勇者になんかなれるか。ほかに方法はねえのかよ!」
俺と殺し合うって言葉に無茶苦茶反応したフレイは絶対嫌だぞと言わんばかりに叫んだ。落ち着け。まあ無理か。フレイの悲鳴のような叫びは心に来るな。
「だからそのための猶予期間な。あと3ヶ月で勇者になれたらワンチャン、俺はお前らと殺し合いをしなくていい。――……もう一人の兄弟が勇者になってるかどうか分かんねえからなんとも言えねえけどな」
【カガリ・ユラ・アスハなら既に勇者としての力に目覚めている。そのおかげで、私は目覚めることができた。なるほど、確かにキラとフレイがあと3ヶ月で勇者になれるのならアラスカで別れなくともよかろう。ただし、絶対に勇者になることが条件だ】
ディザイアが急に補足を入れてきて笑う。まあ話す手間が省けてよかったといやよかったが。カガリのことはまだ内緒なのかフレイはディザイアが喋ってる内容が分からないみたいだった。
「ディザイアは別にそれでもいいってよ」
「おいまて、キラとお前以外に兄弟が居るって俺初めて知ったぞ」
「俺も初めて知った。ディザイアに教えてもらったんだ。もう一人の兄弟は妹らしいぜ?三つ子だからどっちが一番上とか分からんけど俺が絶対長女な」
「なんでそんな強気なんだよ。泣き虫な癖に。そんなところが好きだけどよ。で、もう一人の妹の方はもう勇者になってるのか?」
フレイが俺の長女発言に笑いつつ、カガリのことを聞いてきた。ま、話しても大丈夫だろう。
「なってるらしいぜ。それのおかげでディザイアも造れたらしいし。詳しいことはまたディザイア脅して聞きゃいいだろ。お互い様だわ。俺もディザイアに脅されてるし。――……あと3ヶ月で勇者になれなかったら俺と殺し合わなきゃならんのもそうだが、それ含めてあと4年で、キラとフレイが『勇者』になれなかったらディザイアが全身全霊でお前らを殺すってよ。ワールドイーターってアホみたいに強いから、妹だけで倒せるわけじゃないんだと」
「は?なんだそれ。……笑えねえけど、そうだよな。ディザイアはいつでも俺達2人を殺せるんだもんな。キラも殺そうと思えば殺せるか」
腑に落ちない様子だったが、フレイはディザイアだからで納得した様子だった。
ディザイアも、あそこまで強引に勇者になれって脅してくるぐらいだから、きっと俺の妹はそんなに強くないんだろうなってのは予想できる。でもそんな妹のおかげでディザイアを作れたってことは、妹の能力の1つぐらいは予想できるぜ。間違いなく、俺の妹はスフロン水晶を創り出せる能力がある。だからオーブの首長はスフロン水晶を創り出せる妹に目が眩んだと俺は推測してる。それとも事故かなんかでスフロン水晶が創れてしまって、スフロン水晶にもし娘を育てなければオーブを破壊すると脅されているかだが、その線は薄いと想像したい。多分普通にそうなる前にディザイアを造ってしまったんだと思うんだよなあ。欲に目が眩んだら次々に人が死んじまうし、でも破壊しようとしたら国滅ぼすとか言われてしまうし、きっとそんな感じなんだろう。可哀想だが、スフロン水晶1つで、新しい文明が発達すると言われてるぐらいだからだな。それでも使いたいと思う気持ちは分からなくもない。
ただ、あまり公にされてないってことは適応者以外使えない代物ってことに変わりないみたいだし。もしかして適応者って、勇者候補のことじゃねえよな……。もしかしたらキラもディザイアに乗れるんじゃって思うが、キラはディザイアの声が聞こえないみたいだしその辺がよく分からない。
「『勇者』になれなかったら、ディザイアがお前らを殺すのもそうなんだが、それも理由があるんだ。お前らが20歳になった時には、この世界に絶対ワールドイーターっていうバケモノが来て、お前らがそれを倒せなかったらこの世界は消滅してしまう。だから、あと4年なんだ。」
「あ――……20歳になったら、絶対にその試練が来てしまうんだな。それはまあ俺らの仕事だとして、オリバーが20歳で死んじまうのが滅茶苦茶腑に落ちないんだ。どうにかならないのか?」
その言葉に、俺は本当のことを話そうか迷う。
「俺が20歳で死んじまうのは、この世界にワールドイーターを呼び寄せないためだったんだが、それも今となっては無意味になってしまったからなあ。――……あるにはあるが。かなり天文学的な確率だな。」
「あるのかよ。はやく言えよ。なんでそんな勿体ぶるんだよ」
ゆさゆさ俺の体を揺らすフレイ。やめろ頭痛いんだ吐くぞ。それを我慢しながら説明する。
「俺はな、偽物で死人なんだ。本物の俺はまだ生きている。転生って知ってるか?それも結構特殊な転生の仕方をして俺は産まれた。本物の俺はまだ生きているのに、パラレルワールドで死んだことにされて異世界から転生してきた偽物の勇者なんだ。俺はこの世界のことをなんも知らないが、異世界で過ごした記憶ならある転生者なんだ。んー、なんていや分かるかな。とにかく俺は本物じゃないんだ。分かりやすく言うと、俺は前世の記憶がある、寿命が20歳までしかないクローンの1人なんだ」
「は?」
「訳分からんだろうけど聞け。俺はこことは違う異世界から転生してきたワールドイーターを倒すための勇者なんだよ。でも俺自身はクローンみたいな存在で、本物はまだ生きているし、本物が生きているせいでワールドイーターを倒せない偽物の勇者なんだ。勿論、偽物の俺より本物の俺の方が世界は大事だ。俺もそう思ってる。だから俺はこの世界にワールドイーターが来ないように20歳で死ぬように設定されているのな。それから、本物の俺は男だし、不老持ちだからこの容姿で、今年で80ぐらいになるんじゃねえかな。多分俺が女だから、本物がこの世界に来たら強制的に本物も女になるんだが、それでもよかったらだが、俺が生き残る方法は1つ。俺の本体をこの世界に呼んで、俺の情報を本体にインストールさせることだ。俺は本体と1つになることで生き残れる。――……問題は、どうやったら俺が生きている間に本体がこの世界に来るかなんだよなあ。多分、フレイ達が、俺が生きている間に、勇者になってワールドイーターを倒せられたらワンチャンあるんだが、そんな都合よくワールドイーターが来るわけないだろうし、でも本体がこの世界の異変に気付くためにはワールドイーターが必要な訳で、うーん……」
俺はここまで説明して、天を仰いだ。そう、これが難しいから俺は生きることを諦めてるんだ。本体が異変に気付いてこの世界に来てくれたら無茶苦茶嬉しいが、だって俺だぞ?本物だからってそんな都合よくいかないだろう。来たとしても、フレイ達が勇者になってワールドイーターを倒すようになってからだ。その条件は変わらない。4年後、勇者になって俺が死んでから本物の俺に会っても意味が無い。俺の情報は確かにこの世界に来たことによって本体にインストールされるだろうが、俺が生きていた20年の記憶、人格までは保管できないだろう。フレイ達とは全く赤の他人の俺がやってくるだけだ。
悩んでいると、がしっと、フレイが俺の両手を握った。
「やるぞ。そうすりゃ、オリバーは生き残れるんだよな。俺は勇者になって、オリバーが生き残ってる間にワールドイーターを呼び込んで、ワールドイーターを倒して本物にこの世界を見つけて貰う。んで、オリバーを助けて貰うんだ。……聞いたな、みんな?今の話に嘘はねぇぞ。オリバーのことを捕らえようとしたら俺が許さない」
医務室の入口の方を見ると、キラを含む艦長達が呆気にとられて立ち尽くしていた。
……聞いてたんかい!!
フレイが理解ある男なのと、ラクスがキラと軍医を連れてきた辺りでムウさんが合流して、これ艦長にも聞いて貰ってた方がいいなってなって医務室入口では大勢ガヤガヤして聞いてました。優しいアークエンジェルクルー。
マリューはマリューで、だから俺の方が詳しいって聞かなかったのねって納得してますがディザイアもあっちの世界にあるの?と困惑してます。
ナタルは信じられないって感じで唖然としてたらいいなぁ。でもどうあがいても俺は20歳で死ぬんだって発言に同情してます。
ガバだけど何も説明しないままアラスカで別れるよりいいかなって思ったんですよ。
フレイのパパが来るのかどうかは謎