男の娘フレイと男装TS夢主(キラカガリ三つ子姉) 作:篠原えれの
俺がシャワーを浴びて、点滴を始めた頃。ようやくアルテミスにアークエンジェルは入港することができた。シャワー浴びるのも正直しんどかったけどあのまま点滴とか絶対嫌だったからそこは頑張ったぜ。アルテミスの入港に関して俺は特に何もしてないけど、軍の認識コードを持たないからアークエンジェルは入港できないかもしれないって懸念していただけに、すんなり入港許可が降りてよかったなぁと思う。
俺とフレイを探してムウさんが医務室に入ってきた。
「あー居た。嬢ちゃんは熱下がったか?ってその状態じゃ無理か。フレイでもいいんだが、できるか?」
「どうした?おっさん」
「キラにも頼んだんだが、何せディザイアは特別性だからな。操作できるのがお前ら二人しかいない。機体のロックって出来るか?」
「やったことがないから分からないけど、まぁキラに出来るんなら俺でも出来るだろうな。いいぜ、やってくる。でもまたどうしてだ?」
「あの連中、馬鹿だからフレイがパイロットだって分かると絶対勝手に中を調べようとするぜ。嬢ちゃんがパイロットでも同じだな。俺達でも怖くて触ってないのにユーラシアの奴ら平気でブラックボックスに触りかねないからな。データをコピーしようとして死人が出ても困るし、しっかりコックピットが開かないようにしといて欲しいんだ。なんならディザイアが人を殺しそうなら教えて欲しいぐらいだ。二人とも、あの機体の感情が分かるんだろ?」
「なるほどな。分かった、やり方が分からなかったらその辺はまーディザイアに聞いてみるわ。」
ディザイアのロック方法とか分かればやっておいたほうがいいんだろうけどぶっちゃけ知らん。正直あんなのディザイアの気分だろ。トール達が触ってもキレてたし、何故か怒らないのが俺達二人だから何ともよく分からないけど、フレイはキラができるなら俺もできるだろの謎理論で挑戦しに行ったな。昔からあんな感じなんだぜあいつ。
「また敬語忘れてるぞ。まったく。」
「おっさんと俺の間柄だし別にいいじゃねーかー。やる時はきちんと仕事するんだし。マードック曹長なんて完全にタメ口だぜ俺ら」
「それはこれ、あれはこれだ。それからだ、アルテミスの連中に会ったら、嬢ちゃんとキラがコーディネーターだって言うのも黙っておいた方がいいぞ。他の民間人がぽろっと言い出したらどうしようもないが、その辺は頑張ってカバーするんだ。お互い、傷つきたくなかったらな」
「ご忠告どうも。ありがとうございます」
むすっとした声色が聞こえてきて笑えた。ディザイアの調節はフレイがやってくれるみたいだし、俺は休んどくか。点滴が終わるころには熱も下がってるだろう。
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「駄目ですよ、病人が寝てるんですよ?!」
「いいから、そいつも起きられそうなら連れてこい。命令だ。風邪じゃないんだろ?」
「そうですけど、具合いが悪いのは本当ですよ?!熱もありますし、ありえないです!」
寝てるところを叩き起こされて食堂まで連れて来られましたオリバーです。軍医が多少庇ってくれたみたいだけど動けてしまったから動くしかない。熱は……少しマシだが点滴途中だってのもあって完全には回復していない。変に動いたせいで吐きそうまである。
「姉さん、横になった方がいいよ。顔真っ青だよ」
「本当は寝ておきたかったんだけどアルテミスの奴らがどうしてもだってさ。すまんけど膝借りていい?」
「いいよ。ちょっとでも横になって。ほんと、動けない姉さんまで連れてきてどうしたいんだろうね」
連れて来られたはいいが何も説明が無いのであちこちで不満の声が聞こえる。なんとなくこうなるんじゃないかと予想していたフレイもあまりの待遇具合いに苛立っていた。ムウを始め艦長達はアルテミスの司令官に連れて行かれてしまったようだし、いよいよ危惧していたことが起きそうだ。
「識別コードが無いのがなぁ……」
「まぁ、目的は多分別にあるんだろうなぁきっと」
マードック曹長達もあぁ、分かってたけどと言う表情だ。大西洋連邦とユーラシアではお互い同じ地球連合軍でも立場が違う。プラントという共通の敵はあっても所詮は寄せ集まりだというのが今回の件でよく理解してしまった。ユーラシアも、大西洋連邦の情報が少しでも欲しい。機密情報満載のストライクとディザイア。あの2機のデータを欲しがっているのはなんとなく予想できてしまった。
艦長達が戻ってこないまま、ユーラシアの士官達が食堂に入ってきた。先頭に立った男が横柄な口調でたずねた。
「私は当衛星基地司令、ジェラード・ガルシアだ。この艦に積んであるモビルスーツのパイロットと技術者はどこだね?」
「俺がもごもご……」
「ばかお前、黙っとけ」
手をあげようとしたフレイがマードック曹長に止められる。はぁ?今ここで俺が出しゃばった方がいいじゃんと目線で滅茶苦茶訴えているのは分かった。そんなフレイをよそにノイマンがガルシアへ辛辣気味に聞き返した。
「なぜ我々に聞くんです?艦長たちが言わなかったからですか?」
そう言われて、フレイも彼らの目的にようやく気付いた。ムウさんに警告して貰ってほんとによかったな。なるべくなら喋らなくていいなら喋らない方がいいんだ。パイロットと言っても、軍務に慣れてない俺達よりノイマンさん達に対応して貰った方がいい。
「――――ストライクとディザイアをどうしようってんです?」
ガルシアはむっとした様子だったが、めげずに不敵な笑みを浮かびながら、発言したノイマンに寄っていた。
「別にどうもしやしないさ。ただ、せっかく公式発表より先に見せて頂く機会に恵まれたんだ。いろいろ聞きたくてね。決して動かせないはずのブラックボックスも艦内に保管できているようだしな。あれが凍結されて、再び動かされた時に死人が出なかったことが不思議でね。この中に適合者が居るんだろう?――パイロットは?」
マードック曹長が答える。
「フラガ大尉ですよ。お聞きになりたいことがあるんなら、大尉にどうぞ」
「さきの戦闘はこちらでもモニターしていた。ガンバレル付きのゼロを扱えるのは今ではあの男だけだ。それぐらい、私でも知っているよ」
ガルシアはマードックの言葉を遮るように、誰も他に答える者がいないと見て、点滴をしている俺がよっぽど目立ったのか容赦なく腕を掴みに来た。まて、今動かされたらマジで吐きそう。三半規管が死んでるんだぞ。
「ふん、こんな男女でも体調不良で寝込むのか。それもただの風邪じゃない。持病らしいが、そんな都合よく持病の発作で寝込むものかね?女がパイロットだってのは憎たらしいが、少しでもあのブラックボックスに死なず適合してるならこんな症状が出ていてもおかしくあるまい」
あかん。吐く。すまん。俺はうえっと腕を掴まれて無理やり立たされたせいで床にゲロをぶちまけてしまう。
「姉さん?!」と驚きあわててキラが俺を支える。それを見かねてフレイが我慢できずにガルシアの胸ぐらを掴みにいった。
銃口向けられてるのによくやるよ。
「てめぇ、上官だからって話を聞いてたら……!マジでいい加減にしろやゴラ。人の嫁吐かせてんじゃねぇぞ。いいか、あれのパイロットは俺だ。オリバーじゃねぇ。ヘリオポリスの脱出で無茶して体調崩してるだけだ。ふざけんな!」
「男女の次は女男……よく言う男装にオカマかね?全く顔が良ければなんでもしていいって話じゃないぞ。さっきの女は症状が出ていたからもしやと思ったが、まさか無症状で、君はあのブラックボックスに乗れたというのかね。それにあの戦闘をやってのけれるほどの実力がある風には見えん。こちらこそふざけたことをするな!」
ガルシアも負けんと言わんばかりにフレイに殴りかかるが、日頃からキラと取っ組み合いをしていたフレイにとってその攻撃はまるで赤子のように見えて回避することができた。フレイにとってはキラの方が、それにあのZ.A.F.Tに奪取されたモビルスーツのパイロット達の方が脅威で、ガルシアの攻撃なんて全く恐ろしくなかった。
「それが全くふざけてないんですがねこれが!俺の名前、フレイ・アルスターって言うんですけど聞いたことありません?以前そちらのシュミレーターで高成績をうっかり残してしまって親が軍人になれってうるさくてオーブに亡命したちょっと変わった民間人なんですけど!俺は親の名前だすの嫌なんですけど、一応高級官僚なんで言っときますね!大西洋連邦の外務次官ジョージ・アルスターって聞いたことありません?!」
「なに……!?確かに、話には聞いたことがある。大西洋連邦に最年少で高スコアをたたき出した天才少年がどうのこうの……君のことかね?!ジョージ・アルスター外務次官のご子息は成績優秀であったが病んでしまわれてオーブに亡命したという話は有名だが、それがこれ(オカマ)かね。笑わせてくれる。ではなぜ君は一度逃げたのに軍に入ったのかね?!戦争が嫌でオーブに亡命したのだろう?!」
軍服を着たフレイをガルシアは不敵に笑った。
「んなもん、嫁を護るために決まってるだろうがふざけんなクソ将軍!人の嫁吐かせた責任ぐらいは取れよ!本当にあいつ体弱いんだから勘弁してくれよな?!」
息を切らしながらフレイはガルシアに言い切った。副官と兵士達は呆気にとられて、マードック曹長達はあーやっちまったよあのバカという表情をした。キラとオリバーを護るためとはいえ、自らを犠牲に好き放題出自を喋ったのだ。ディザイアのパイロットとしての実力はもちろん、ディザイアを動かして無事であるという実績も作ってしまっているので連行は免れないだろう。フレイは舌打ちしながらも兵士達に囲まれて抵抗しなかった。
「ふむ。よかろう。では、ストライクのパイロットはどこかね。フラガ大尉に、アルスター少尉。他にもう一人パイロットが居ることは確認している。名乗り出なさい!この際、子供がパイロットでも驚かんよ」
「…………ぼくが、ストライクのパイロットです。これで、満足ですか」
「名前は?その男女のことを姉と言っていたな。兄弟か」
「そうです。キラ・ヤマトと言います。姉さんは、あのモビルスーツとは関係ないです。姉さんを巻き込むことだけは、やめて貰えませんか」
キラの表情はどこか決意した眼差しだった。フレイのおかげで自分が学生であるというヘイト意識はだいぶ薄れているが、それでも綱渡りの状態だ。ディザイアとストライク。いずれも少し技術をかじった程度だけで動かすのは大変な代物だ。たった16歳の少年が動かせるような代物ではない。ナチュラルのフレイが動かせるのはかつてそういった訓練を受けたことがある天才少年だからで、無名の少年が動かせる代物ではない。ガルシアにとって到底ありえない事態だった。
「そんなに君たちはこの男女が大切かね。全く、煩わしい友情だ。ウソをつくのも大概にしてくれたまえ。あとで君たち2人のパーソナルデータを見せてもらうとして、いいだろう。我々としてはあの機体のOSのロックを外して貰えればそれで良いんだ。ディザイアもハッチを開けて、写真なり見せて貰えたらそれでいい。我々もブラックボックスの中に入ってあの機体の怒りを買いたくないのでね」
ガルシアの言葉にフレイは悪態つく。
「それぐらいだったら多分ディザイアも許してくれると思いますけど、ぶっちゃけ中に入れるかは機体の気分次第ですよ。ディザイアは賢いから、きっとこの会話も聞いてるし見てる。俺がディザイアだったら絶対開けてやらないって思いますけどね。触れた瞬間殺されてしまうとかも言われてるので。適性者以外あの機体には絶対触んない方がいいですよ。もう遅いかもしれませんけど」
「はん。機体に感情などある訳なかろう。」
バタバタと、アルテミスの整備班が食堂に駆けつける。
「ガルシア司令官!支給、ディザイアの待機場所に来てください。何人か整備班がディザイアのハッチを開けようとして倒れました。機体が急に赤く、光りまして……!」
「なに……?!」
まさかの事態に、マードックが顔を真っ青にしてガルシアに尋ねた。
「あれに触ったんですか!?俺たちでも恐ろしくて触ってないんですよ?!」
「嘘をつくのではない!ではなにかね!あの機体は、整備をする必要が全くない不死身の機体だとでも!」
ノイマン達とアイコンタクトを取りつつ、マードックはきっぱりと話した。
「この際だから喋りますけど、そうですよ!あの機体はとんでもなく高性能な機体なんです!適合者以外の修理を受け付けない、一世一代限りの人格をもったモビルスーツです!あれが完成してから、あれを操縦したパイロット、研究者が次々に死んだ話はそちらもご存知のはずだ!ブラックボックスの由来を知ってて、それでも中を触ろうとするとか考えられません!」
マードックがそこまで喋って、ガルシアは苛立ちの表情を隠せなかった。そんな機体、存在してたまるかとも。元々、死んでもいいから機体を見てみたいといった連中が進んでディザイアのハッチを開けようとしたのだ。それがこんなに簡単に死んでしまうとは。どこまで呪われた機体なのかと、ガルシアは恐怖を隠せなかった。
ガルシア司令官が動かしやすすぎて笑いますよこんなの。
ディザイアの気分屋さんはガンドアームに似てんなと思いながら書いてます。
あっちは乗って戦ったら死んじゃうけどこっちは戦わなくても気に食わない奴はどんどん殺しちゃうんですよね。スフロン水晶が異世界仕様すぎる。
トール達のことは嫌いじゃないんですよ。好きピにはデレデレです。ダメなものはダメって警告してくれます。