※この作品はR-18です。

このすばらしい仲間と恋愛を!   作:てつろう

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この暗殺者(アサシン)に引導を!

 

 

 

「よっと、犯人が潜んでいるのはこの宿だね。」

 

 

時刻は深夜、草木も眠る丑三つ時。私たちはクリスに連れられて町外れにある宿に来ていた。カズマの命がかかっている以上失敗はできない。

 

 

「では行きますが、アクアくれぐれも静かにしてくださいね?」

 

「ちょっとなんで私だけに言うのよ!カズマの事もあるし今回は無茶しないわよ!」

 

 

宿の人に事情を説明して合鍵を貰ってきた。相手が寝静まっている間にクリスの潜伏スキルを使い玄関から堂々と侵入する。中に入ると男の人が寝息を立てているのが聞こえる。

 

 

『スティール』

 

 

小声でクリスがスキルを使う。クリスの手に握られていたのは男物のパンツだった。

 

 

「…………クリス、今はカズマを救出する大事な場面だ。相手のパンツを取って遊んでる場合ではないぞ。」

 

「違うの!これはたまたまで!」

 

 

クリスの幸運値はカズマよりも高いと聞く。そのクリスが目当ての物を取れないはずがない。つまり、あの男は指輪を身につけていない。どこか別の場所に置いているということだ。

 

 

「暗闇でもハッキリ見えるのはアクアだけです。もの探しは頼みましたよ。」

 

「ええ!私は女神ですもの!これくらい楽勝よ!」

 

 

暗くてよく見えないがアクアは引き出しの中を探しているらしい。

 

 

「あったわ!この指輪でカズマさんが消されたのね!」

 

 

アクアは指輪を掲げている。これでカズマは帰ってくる。そう安心した時だった。

 

 

「そこに誰かいるのですか?」

 

 

声のした方向を振り返ろうとすると飛んできた針がアクアの持っていた指輪を弾いたのが横目で見えた。起きてすぐに、しかも正確に指輪を射抜いた。この男、強い。

 

 

『バインド!』

 

 

すかさずクリスが潜伏スキルを解き相手を拘束しようとする。しかし、男は右腕に携帯していたナイフを取り出すと瞬時にロープを切り裂いた。クリスに続きダクネスが男との距離を詰め、男の上にのしかかり、両腕を掴む。

 

「クリス、私もろともで構わない。もう一度『バインド』を使え!」

 

「させるか!」

 

 

男は足を思いきり上げ靴下の裏に付いていた刃物をダグネスの太ももに突き立てる。麻痺させたのだろうか、途端にダクネスの腕から力が抜け、男はダクネスを跳ね除け立ち上がる。

 

 

「どなたでしょうか?おや?そこの銀髪の坊主には見覚えが…………なるほど、方法は分かりませんが私の跡を付けてきたのですね。」

 

 

不味い、主戦力のクリスとダクネスの攻撃が効かない上、私とアクアでは攻撃手段がない。

 

 

『隠密』

 

 

暗闇で僅かに見えていた男が完全に見えなくなる。と、体から突然力が抜けた。倒れ込むと自分の足に針が刺さっているのが分かる。

 

ドサッドサッ

 

アクアとクリスが倒れる音が聞こえる。2人とも針を刺されたようだ。

 

 

「さて、敵感知スキルにも反応がないことからして闇討ちに来たのは貴方方4人ですか?」

 

 

もう私たちは全員戦闘不能にされてしまっている。ここから勝つのはどう足掻いても無理だ。

 

 

「あの…………殺す前に聞きたいのですが、私のパンツがないのは貴方たちの仕業ですか?」

 

 

私たちの間に沈黙が続く。パンツを取った張本人は目を逸らし気まずそうにしている

 

 

「それならさっきクリスが嬉々としてパンツを手にしてたわよ」

 

「ちょっとアクアさん!?別に嬉しそうになんかしてないから!!」

 

 

男はクリスを変態を見るような目で見ている。

 

 

「まあそれはいいです。貴方たちには顔を知られてますからね。ここで殺すしかありません。」

 

 

そうか……私たちは負けたのか……死んだらカズマと同じところに行けるのだろうか。

 

 

「待て。クリスから聞いたがお前はエリス教徒なのだろう。人殺しなんてしてエリス様に申し訳ないと思わないのか」

 

「これは事故なんです。あぁお許しくださいエリス様。全ては我が国を守るため、どうか私にご慈悲を」

 

「ふっ」

 

「何がおかしいのです?」

 

「私たちはエリス様に会ったこともあるのですよ。あの方がカズマを殺した人物なんて許すと思いますか?あなた図々しいにも程がありますよ」

 

「では貴方から消してあげましょう。」

 

 

男は指輪を取ると私の方に近づいてくる。ああこれでカズマの所に行ける。心配したんですよカズマ。一生私の隣にいてくださいね

 

 

「最後に貴方の名前を聞いておきましょう。お名前は?」

 

「めぐみんです」

 

「…………それはあだ名ですか?」

 

「本名です」

 

「……そうですか……それは失礼しました」

 

「めぐみんさん、さようなら」

 

 

まさに殺されようとしていたその時、部屋の中に膨大な光が注いだ。なぜ急に明るくなったのか。いや、この光はクリスから出ている。クリスは光に包まれたかと思うとを僅かではあるがその姿を徐々に変えて言った。気づいた時にはそこには修道服に身を包んだエリス様がいた。

 

 

「え…………」

 

 

男は唖然としている。いや、男だけでない。ダクネスも私もアクアも突然エリス様が現れたことに驚いている。やがて我に返った男はエリス様の前で頭を垂れる。

 

 

「え、エリス様!?さっきの盗賊の男は……?」

 

「指輪を渡しなさい」

 

「は…………?」

 

「指輪を渡しなさいと言っているのです」

 

 

男はしどろもどろになりながらも指輪をエリス様に差し出す。エリス様は指輪を手にするとそれを上に掲げる。

 

 

「この世にある我が眷属よ……」

 

「幸運の女神エリスが命ず…………」

 

 

ただ事ではない現象に、それを注視する私たち。やがてエリス様がゆっくりと目を開き、声高に叫びを上げた。

 

 

「聖なる神器に封印をーー!」

 

 

指輪が淡く光り光の粒子となって消え去った。指輪が消える直前、中から何かが飛び出す。何かと目をやるとそこには数人の騎士とそして、カズマがいた。

 

 

「あれ……俺……?」

 

「さっきまで王城に居たはず…………ここはどこ?」

 

カズマと騎士たちは何が起きたのか分からずおろおろしているようだ。エリス様は男の前に仁王立ちしている。あまりの展開に心の整理が追いつかない。

 

 

「私はエリス、この世を管轄する幸運の女神です。私の化身であるクリスを殺そうとしたこと、そして仲間たちを殺そうとしたこと。その罪は到底許されるものではありません。」

 

「え…………あ…………と、とんだご無礼を!!!」

 

 

男はエリス様に平謝りし、自分が犯した罪に怯えているようだった。自分が信仰している女神を殺そうとしたのだ。当然正気じゃいられないだろう。

 

 

「あなたたちはこの男に消された王城の騎士たちですよね?犯人を連行して貰えますか。」

 

 

騎士たちは目の前に現れたエリス様に呆然としていたがそう言われるとすぐに男を拘束し連れていった。

 

 

「これでダクネスたちにも正体がバレてしまいましたね……」

 

 

エリス様は深くため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今までとんだ無礼を致しました。大変申し訳ありません。」

 

 

俺たちはエリスたちに助けてもらい何とか生き延びることが出来た。先程犯人も無事捕まり、俺たちは王城へと帰ってきた、のだが

 

 

「顔を上げてよ。ダクネス」

 

「今までクリス様に失礼なことをしてしまいすみませんでした。まさかエリス様とは思いもよらず……」

 

「めぐみんまで!!」

 

 

さっきからずっとこの調子だ。俺を助ける時にクリスがエリス様であるとバレてしまったらしい。エリス教徒のダクネスが萎縮するのは分かるがめぐみんまでも小さくなっていた。

 

 

「お前ら別にそこまでクリスに畏まらなくてもいいだろ。俺は前からクリスの正体には気づいてたけどたまにパンツ取るくらいの仲だぞ?今まで通りにしてればいいんだよ、」

 

「そうよ、エリスってば結構やんちゃで抜けている所もあるのよ。それに胸だってパッド入りだし……」

 

「わあああアクアさん!!その話は言っちゃダメです!」

 

「お前たちは失礼すぎるのだ!!クリス様、うちの仲間が重ね重ね無礼を……」

 

「もういいって!」

 

「ねえダクネス、めぐみん。私は君たちの友達のクリスってことで普段通り接してくれないかな?私もそんなに格式張った物言いだと慣れないって言うかさ」

 

「本当に宜しいのですか?クリス様」

 

「『様』も付けない!敬語も禁止!」

 

「…………わかっ……た、クリス」

 

 

ダクネスの言葉を聞くとクリスは満足そうに頷いた。

 

 

「女神様でもカズマを取るつもりなら容赦しませんが宜しいですか?」

 

「うん、その勝負受けて立つよ」

 

 

今の俺は正にハーレム系主人公という奴なのではないだろうか。俺も成長したなあ……

 

 

「なんだか今のカズマさんを見てるとイライラしてくるんですけど。その変な顔に聖なるグーを入れたいんですけど」

 

「これはモテる男の顔つきってやつだ。俺もハーレム系主人公に成り上がったんぶほっ!!」

 

アクアが俺の顔面に拳を叩き込んできた。

 

「お前本当に殴るやつがいるか!!」

 

「カズマさんが他の女に鼻の下を伸ばしてるのが悪いのよ!謝って!女神様を差し置いて他の女を見たことを謝って!!」

 

「てめぇ!!今日こそは許さないからな!駄女神があああ!!!」

 

「何もそこまで怒ることないじゃない!ちょっと反省して欲しかっただけよ!ねえカズマさん!ごめんなさい、謝るから!!」

 

俺はアクアを折檻してから自室に戻った。クリスの正体がバレてしまったがダクネスやめぐみんと上手くやっていけるだろうか。特にダクネスはエリス教徒だし心配だ。そんなことを考えてるうちに意識がまどろみ眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。めぐみんたちは夜遅くまで行動していたため、みんなが起きたのは昼過ぎだった。俺たちはアイリスの部屋に集まっていた。

 

 

「昨晩捕まえた犯人の情報が分かったぞ。」

 

 

クレアの話をまとめるとこうだ。

 

あの男はある国から雇われたらしい。犯人の供述によると最近魔王の娘が国の近くに引っ越してきたそうだ。軍事力の低いその国は魔王の娘の力によって周囲のモンスターが凶暴化し、国を守りきれてないという。そこでベルゼルグ王国のアイリスと結婚し軍事的な支援を受ける予定だった。

 

 

「だから婚約相手である俺を殺しに来たんだな。」

 

 

話を聞き終えるとゆんゆんとめぐみんが冷や汗をかいていた。一体どうしたのだろう。

 

 

「めぐみん、ゆんゆんどうかしたのかしら?」

 

「い、いえ何でもないですよ」

 

「め、めぐみん本当のこと言った方がいいんじゃないの?」

 

 

めぐみんとゆんゆんがすごく気になる。

 

 

「しかし、魔王の娘がなぜわざわざそんな場所に越してきたのだ?」

 

 

ダクネスがクレアに質問する。

 

 

「それは何者かが娘の住む城にに毎日のように爆裂魔法を撃ち込みに来て追い出されたらしい。」

 

 

…………ん?……爆裂魔法?

 

 

「なぁめぐみん」

 

 

めぐみんは俺が呼ぶとすぐに顔を背ける。

 

 

「確かめぐみんってゆんゆんと一緒に魔王の城に何回も爆裂魔法を撃ちに行ってたよな……」

 

「魔王の娘が城を追われて引っ越して来たのって昔めぐみんが魔王城に何度も爆裂魔法を撃ったからだろ!!今回の件も元はと言えば俺たちのせいじゃねえか!!!」

 

 

うちのパーティメンバーは何かやらかさないと気が済まないらしい。

 

 

「待ってください!それなら一緒について来たゆんゆんも同罪です!私だけ責められる謂れはないですよ!」

 

「ちょっとめぐみん!なんで私を巻き込むの!!こんな事になるなんて知らなかったんだってば!!」

 

 

めぐみんとゆんゆんが責任の押し付け合いをしている。まぁこの調子だと2人とも説教される流れだろう。

 

 

「犯人の事情はわかりました。しかし、我が国の勇者を暗殺しようとした事実には変わりありません。今後その国とは敵対関係となるでしょう。」

 

 

敵対関係か……この世界にもそういうのあるんだな。魔物という共通の敵がいるから人間同士は団結すると思っていたがそうでもないみたいだ。

 

 

「敵対関係って、具体的にはどうなるんだ?」

 

「まず、その国への物資供給や貿易を全面的に差し止めます。また勇者を暗殺しようとしたことが他国に知られれば各国から非難を受けます。各国からも経済制裁を受ければ恐らくその国は経済的に厳しくなるでしょう。それだけではありません。経済制裁に加え軍事的な侵攻を受ける可能性だってあります。このままではその国はますます貧しくなり社会的な立場も低くなります。そして魔王の娘が攻めてきているのならそのまま滅びるかもしれません。」

 

 

……よく分からないがとにかくめちゃくちゃやり返すってことかな?俺は政治にそこまで詳しくないがこれが普通なのだろうか。でもその国が俺を暗殺しようとしたのも魔王の娘が攻めてきたからで、その原因を作ったのは俺たちだ。俺たちにも多少の責任はある

 

 

「カズマカズマ、アイリスがあんなこと言ってますけど放っておいていいのですか?」

 

「そうだな、アイリス?俺も殺されかけたけどこうして無事な訳だからそこまでやり返さなくてもいいんじゃないか?」

 

「カズマ様がそこまで言うなら少し手加減しますが、私たちが何もしなくともあの国は魔王の娘に攻められて滅びると思いますよ」

 

 

このままだと1つの国が消えてしまうのか。普段の俺なら可哀想だと思うだけで特に行動することはなかっただろう。だが今回は俺たちにも一部責任がある。何より妹のアイリスに手を汚して欲しくない。そうだ、俺はいつも何だかんだで仲間を放っておけないのだ。

 

 

「しょうがねえなあ!!!俺が魔王の娘を追い出してやるよ!」

 

 

俺はアイリス達に宣言した。

 

 

 

 

 

 

 






さっき気づいたのですがクリスの一人称って「私」じゃなくて「アタシ」なんですね。今から全話修正してきます。



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