このすばらしい仲間と恋愛を! 作:てつろう
UA数5000回到達&連載1ヶ月!!!ここまで来れたのも偏に読者様のおかげです。本当は1ヶ月記念の話を上げようかと思ったのですがちょっとした用事で時間が足りずこのような形になりました。近々番外編としてあげるかと思いますのでどうぞご贔屓に
私達は今港にいる。バルバトスという国はこの海を超えた向こうにあるそうだ。ここの港は船を止める為の人が数人居るだけで他に人はいない。普段ここの港は使用してないそうだけど、王女様が自国に助けに来ると知って特別に船を寄越すらしい。カズマとアイリスは港の人に挨拶に行った。
「ねえダクネス、えっとね……その……カズマさんの興奮したカズマさんを見たって言ってたじゃない?その……あれってどんな感じだったの?」
アクアがいきなり気になることを聞いてきた。カズマのカズマ……私もカズマが死んだ時やお風呂に一緒に入った時にチラリと見た事はある。だが、聞くところによると男の人は興奮するとそこが大きくなるらしい。気になる、べ、別にこれは私がエッチな訳じゃなくていつか来るその日の為に知っておかなければならないと思っただけだ。そう決してやましい気持ちなどない。
「やめてくれ……私の口からは恥ずかしくて言えない。カズマにでも聞いてくれ」
普段変態なダクネスの羞恥心はどこにあるのか分からない。ダクネスにとってはカズマの子について言うのは恥ずかしいようだ。
「そもそもどうしてカズマのカズマを見ることになったんですか?また襲ったんですか?」
「わ、私は襲ってなど……襲ってなど…………」
ダクネスの声が尻すぼみになっていく。ヘタレのカズマがみんなが寝るすぐ横で襲うとも思えないしダクネスが何かしら誘惑したのでしょう。
「ダクネスもエッチな子になっちゃったね。ほんと誰のせいでこうなっちゃったんだろ」
ダクネスは更に顔を赤くしてしまった。
「それでどうなんです?率直に見た感想は?」
「……ちょっと気持ち悪かった。」
「あとお腹の方を向いて反っていた。」
「「「「…………」」」」
みんな押し黙る。
「ゆんゆん、なにか想像しましたか?」
「し、してないわよ!!」
私も実物を見た訳ではないから想像するしかない。カズマのアレがお腹の方を向くのか。
「よう、戻ったぞ」
声がした方を振り向く。今話題に上がっていた人物とアイリスが立っていた。
「「「「「…………」」」」」
「どうしたのですか?皆さん急に黙って」
内容が内容なだけにさっきの話をする訳にもいかない私達は喋らなくなった。おかげでカズマ達が来たら黙るという不自然な状態になってしまう。
「べ、別に何もないわよ。それより2人はどうだったの?」
「船はもうすぐ来るってさ。ほらあそこに小さいけど船が見えてるぞ。」
そちらの方を見ると確かに何か影が見える。私は3~4人乗れるボートみたいなものを想像していたがそれよりずっと大きい。
「ゆんゆんどうかしたか?俺のズボンに何かついてる?」
「ふぇ!?みみみ見てません!!カズマさんのことなんて全っ然、見てませんから!」
「ねえゆんゆん今見てたのって……」
「違いますよ!?何言ってるんですかクリスさん!?」
「…………」
男の局部を凝視するなんてゆんゆんは意外とむっつりなんだろうか。カズマにエッチなことを要求するようならゆんゆんにも注意しておかないといけないかもしれない。
「す、凄いです!こんな大きな乗り物に乗れるなんて!この船というものは紅魔族の琴線に触れるものがありますよ」
めぐみんは船の上で大はしゃぎしている。いや、めぐみんだけじゃない。ゆんゆんやクリスも船に乗ったことがないのかどこかそわそわしていた。
「ふふっみんなお子様なんだから。私は日本で船を見てきたからね。この世界の船も中々の代物だけどまだまだね。」
「アイリスは船に乗ったことあるのか?」
「ええ、昔他国に出向いた際に何度か乗ったことがあります。あの時は沢山の護衛を引連れていましたが今はカズマ様達がついてますものね。」
「私も父に連れられて乗ったことがあるな。たまには陸じゃなくて船の上で冒険するというのもいいものだ。」
かくいう俺も日本で船に乗ったことはないからワクワクしていた。とりあえず船内を探索しようかな。
「では出港します!良い船旅を!」
10分後
「「おろろろろろろろ」」
アクアとめぐみんは船酔いしてしまった。2人仲良く海に向かって吐いている。そんな2人をクリスとゆんゆんが介抱している。めぐみんはまだ分かるが、後輩に面倒見てもらう女神ってどうなんだ。まあアクアだししょうがないか。
『クリエイトウォーター』
俺は2人分の水を用意して渡す。
「大丈夫か?吐き気が治まったら船内で横になってこいよ。」
「カズマさん……!ありがおろろろろろ」
「ぎゃあ!!俺の服にかかったんだけど!?お前マジでふざけんなよ!!」
俺は海に半身乗り出しているアクアの足を抱きかかえ外に放り出そうとする。アクアはバランスを失い逆さまになって海に落ちそうになる。それを見たクリスとゆんゆんが慌ててアクアの両手を引っ張る。
「何やってるのさ!喧嘩で船から落とすなんて鬼畜にも程があるよ!」
「ちょっとカズマさん、足を持ち上げないでください!本当に落ちちゃいますから!」
「かじゅましゃーん!吐いちゃったことは謝るから許してえええ!!!」
「おろろろろろろ」
俺に海に投げ出されそうになってるアクアとそれを支えるクリス、ゆんゆん。隣で吐いているめぐみん。船上は地獄絵図だ。
「お前達は何をやっているのだ!」
駆けつけたダクネスによりアクアは勢いよく引っ張りあげられる。そのまま勢いがつきアクアは船板に頭をぶつけた。
「うわあああああん!!」
アクアは盛大に泣き出してしまった。
「こら!お前という奴は何をしているんだ!アクアが船から落ちたらどうするつもりだ!アクアもあんなに泣いているじゃないか!」
「いや、泣いてる原因についてはお前に非があると思うんだけど」
ダクネスはギロリと俺を睨む。これ以上ダクネスに逆らうと何をされるか分かったもんじゃない。ここは素直に謝ろう
「あーアクア、大丈夫か?その、悪かったよ。お前を船から落とそうとするなんてやり過ぎだった。ごめんよ」
「ううっ……かじゅましゃん……!」
アクアが俺に抱きついてきたので俺は拒むことなく受け入れる。いつも迷惑ばかりかけてくるがこいつは泣き顔より笑顔の方が似合う。アクアが落ち着くまでこのままでいよう。
「うぷっ」
俺はアクアのその声で危険をすぐに察知する。こいつまた吐くんじゃないか。俺はアクアから逃れようとするががっちりホールドされ抜けられない。
「ふふっ、さっきのお返しよ。さあ私に謝って!アクア様ごめんなさいって謝って!」
「アクア様ごめんなさい!もうしません!だから離してえええ!!!」
「おろろろろろろ」
「ぎゃああああああ!!!」
俺はアクアのゲロを前面から浴びてしまった。こいつ今度こそ海に放り出してやる!
ゲロ騒動の後、俺は船内に備え付けられたシャワー室で体を洗っていた。この船は遠方に漁に行く時に使うようで船員達が暮らせるようになっている。お湯もちゃんと真水だしこういう船の旅もいいかもしれないな。と、その時
ドドドドドドド
大量の何かが船を叩きつける音が聞こえた。何事だ。まさかモンスターか?海にもいるのだろうか。とにかく俺は何も聞かなかったということで自室で昼寝でもしよう。俺はシャワーをキュッと止め脱衣所に行くとめぐみんがいた。
「きゃあああああ!!!」
俺は声を上げる。
「ちょ、ちょっと待ってください!なんでカズマが叫ぶのですか!裸体を見せつけられた私が叫ぶべきでしょう!」
「お前何言っちゃってるの?ここは男のシャワー室で俺は裸を見られたんだよ。本来ならめぐみんに然るべき処置をしている所だよ」
「って、こんなことをしてる場合じゃありません!外が大変なんです!すぐ来てください!」
「ちょ、ちょっと待てよ!俺すっぽんぽんなんだけど!?せめてタオルを巻かせてくれ!」
俺は腰にタオルを巻きめぐみんに手を引かれ階段を駆け上がる。やがて甲板に繋がるドアをバンと開けた。俺の目の前に広がっていた光景は……
「なんでたい焼きが飛び跳ねてるんだよ!!」
そう、日本でお馴染みのあのたい焼きがピチピチと船の上を飛び跳ねていた。他の冒険者とたい焼きが乱戦模様になっている。
「カズマ!冒険者が言うにはこのたい焼き達は日頃人間に食べられてきた鬱憤を晴らすために我々を攻撃してくるそうです。しかも食べたら美味しいんだとか!」
関係ない情報が一つ混ざってた気がする。たい焼きに襲われて死ぬとか嫌だぞ。と、一匹のたい焼きがピチピチとこちらに跳ねてきた。たい焼きは前にいためぐみんの股の下を通り抜ける。そのまま進むと俺の股の下で大きく跳ね急所に突進してきた。
「ふぐう!!」
痛すぎる。俺の玉潰れちゃったんじゃないか。童貞のまま息子を失うのだけは嫌だ。
「カズマ、しっかりしてください!」
俺はその場に倒れ込みたい焼きはピチピチと飛び跳ねている。
「私の男に何をするんですか!この魚とっちめてやります!」
めぐみんはたい焼きに齧(かじ)り付き、バクバクと食べる。身が裂けた瞬間たい焼きは動きを止めた。死んだのだろうか
「カズマ、このたい焼きすごく美味しいですよ。カズマも食べてください」
「俺はいい……」
今は急所が痛くてそれどころじゃない。たい焼き一匹にこれだけ手こずるようなら俺はいよいよ活躍できないぞ。ここは自室に戻ってゆっくりするべきだ。
「カズマさん!」
アクアが俺の方に来た。手には虫取り網のようなものを持っていて網の中にはピチピチと動くたい焼きが何匹か入っていた。
「早く船内に避難するわよ!ってなんで裸なの?」
「……アクア、まずは回復魔法をかけてくれ」
『ヒール!』
アクアの魔法を受けると体がじんわりと暖かくなるのを感じる。下腹部の痛みも引いてきた。
「ふう……ありがとな。俺は自室に帰るわ」
「ちょっと待ってください!冒険者としてモンスターと戦うのが責務でしょう!勝手に帰るなんて許しませんよ!」
「そうは言っても、さっきの攻撃をまた食らうとなるとなあ……それに今裸だし」
「そこを何とかするのがいつものカズマでしょう!」
とんだ無茶ぶりだが、他の冒険者達を見ると多少苦戦しているようだ。もしここでたい焼き達に負けたら無事にバルバトスまで辿り着けない。仕方ないから俺も加勢するか。
「しょうがねえなあ!!!」
たい焼き騒動の後、船は宴会騒ぎになっていた。護衛として雇われてない俺達も戦闘に参加したことでいくらかの礼金が貰えた。俺は船内の安全なところからたい焼きに『スティール』をして根こそぎ回収するという作戦を取った。一人だけでは魔力が足りないのと、アクアも船内に入りたがっていたのでアクアに『ドレインタッチ』で魔力を貰いながら『スティール』を使っていた。おかげでたい焼きが大量に手に入った。
「勇者様!伝家の宝刀を見せてください!」
「「「スッティール!スッティール!」」」
俺が『スティール』で手に入れたたい焼きの数は冒険者の中で随一だった。その甲斐あってかこうしてはやし立てられている。戦士風の男がヒラヒラと持っているハンカチを揺らす。冒険者達のスティールのコールを聞いてクリスはダクネスの陰に隠れる。
「しょうがねえなあ!!行くぞ『スティール!!』」
俺の手は光を放ち手には布切れのようなものが握られている。
「勇者様、ハンカチは取られてないが一体何を取ったんですか?」
「あれ、確かに俺の手にはハンカチが……」
いや、違う。これはハンカチじゃない。青紫のパンツだ。一体誰のだろう。視線を奥にやると、アイリスが顔を赤くして立っていた。自分のスカートに手を当て顔がどんどん赤くなっている。
「……お兄様、何も言わずにそれをしまってください。」
「……はい」
俺はお宝をポケットにしまう。周りの冒険者には何を取ったのか見られてないだろうが不振な行動をしたように思われるだろう。
「私のハンカチを取られたみたいです。せっかくなのでカズマ様にあげますよ。」
俺が何と答えるべきか迷っているとアイリスがフォローを入れる。ここは早く離脱してお宝を返そう。
「自分のハンカチを取られたなら返してもらえばいいじゃねえか。もしかして今取られたのって……」
「どわあああああ!!!」
俺は戦士風の男が何か言う前に大声で声を打ち消す。そのまま床を転げ回った。
「おい、どうした!」
「急に頭に激痛が!!誰か!俺を医務室に連れて行ってくれ!」
「なら私が連れて行きます!」
アイリスが名乗りを上げ俺を持ち上げる。ちょっと不自然に思われるだろうがこうするしかない。……ん?……ちょっと待ってくれ。これって俗に言うお姫様抱っこというやつではないか。こういうのは男が女に対してするものだろ。結構恥ずかしいんだけど!?
「あ、おい……」
そして俺達は宴会の席から離れ船内の医務室へと逃げ込む。ここなら誰もいないから大丈夫だろう。アイリスは羞恥心からか怒りからか顔を赤くしてこちらを見ている。
「お兄様……何か言うことはありますか?」
「すみませんでした。」
俺はすぐに土下座をし、謝罪体勢に入る。俺の言葉を聞いたアイリスは大きくため息をつく。
「きっと他の冒険者達にパンツを取られたことは薄々バレていると思います。明日からどんな顔して会えば良いでしょうか……」
「本当に申し訳ありませんでした。」
そう言いながら俺はポケットから取り出したパンツを差し出す。アイリスは素早くそれを奪い取る。
「お兄様、向こうを向いていてください。」
俺はその言葉に従い後ろを向く。やがて聞こえる布擦れの音。アイリスがパンツを履いているのだろう。今振り返ってみてもいいが、今回は俺に責任があるしやめておこう。
「もういいですよ」
「アイリスもあんな大人っぽい下着を履くんだな。背も伸びてきたしもうすっかり大人だな。」
「下着の感想なんか言わないでください!そうですね。医務室に大人の男女が二人っきりですね。」
二人っきり……その部分だけやけに強調された気がする。
「想い人とのその後の進展はどうですか?」
想い人……?何のことだ。
「確かこう言ってましたよ。『俺が結婚すると悲しむやつがいるんだ。だからあいつの為にも結婚できない』って。」
確かそんなことを言ってた気がする。
「まあ特に進展はないよ。うちのパーティメンバーは互いに足引っ張り合うからな。」
「なら私が代わりに相手になりますよ?」
「アイリスは子ども……いや、もう立派な大人だったな。でも、俺はアイリスを選ばないかもしれないし無駄にイチャイチャしない方が良くないか?」
アイリスは俺の言葉を聞くと泣きそうな表情になった。俺も心が痛むがここは我慢だ。
「お兄様、私はそう簡単に諦めませんから。」
アイリスはこちらを見つめながら力強くそう言った。
「一つ頼み事をしてもいいですか?」
「なんだ?」
「また私とキスしてくれませんか?」
キスか……アイリスとこれ以上仲を深めるともっと傷つけることになる日が来るかもしれない……俺はアイリスが妹として好きだ。だからキスは……
「さっき下着を取ったのにキスは拒むのですか?」
それを引き合いに出されると断りづらい。それにアイリスの泣きそうな顔を見ると胸が張り裂けそうになる。俺は自分で自分を抑えられなかった。
アイリスにそっと口付けする。初めてしたアイリスからのキスとは異なり今度は俺からキスをした。と、その時……
「カズマさん、大丈夫です……か……?」
ゆんゆんが医務室に現れる。俺とアイリスがキスしてるところを見られた。
「ししし失礼しましたあ!どうぞごゆっくり!」
「ま、待て!ゆんゆん誤解だ!」
俺達はゆんゆんの後を追いかけた。