※この作品はR-18です。

このすばらしい仲間と恋愛を!   作:てつろう

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若干オリキャラが登場します。苦手な方はご注意を





この我儘な王女様に情けを!

 

 

 

 

 

翌朝。めぐみんの家には魔王軍遊撃部隊を名乗るニート達が押し寄せていた。

 

 

「乙女に対してこの仕打ちはどうかと思うのですが」

 

 

めぐみんはぶっころりーとかいう靴屋の息子に両腕を後ろに組まれて捕まっていた。少し拘束がきつかったと拘束を緩めたその時

 

 

「油断しましたね!」

 

 

めぐみんが拘束から逃れ振り向きざまにぶっころりーの首を絞めあげる。すぐに周りの人がめぐみんを止めようとするがめぐみんは中々手を離さない。次第にぶっころりーの顔が青ざめていきぶくぶくと泡を吐き始めた。

 

 

「めぐみんストップだ。もう意識飛んじゃってるから」

 

 

めぐみんがようやく手を離しぶっころりーがその場に倒れる。周りの人間がぶっころりーを介抱するがめぐみんはどこ吹く風と周りの声を気にしてない。そもそも何故こんな事になっているかと言うと……

 

 

「めぐみん昨日の爆発音でみんな迷惑してるんだ。大人しく連行されてくれ」

 

 

そう、昨晩起きた爆発音がめぐみんの仕業ではないかと魔王軍遊撃部隊が来ていたのだった。

 

 

「ですからそれは私の爆裂魔法じゃないと言っているじゃないですか!」

 

 

めぐみんが声を大にして否定する。

 

 

「じゃあ昨日の夜はどこに居たんだい?」

 

「そ、それは……」

 

 

ドーン!!!

 

特大の爆発音。

 

 

「ほら見たことですか!私じゃなかったでしょう!」

 

 

何度も爆裂魔法を聞いてきたからわかる。これは爆裂魔法じゃない。音の残り方が違う。爆裂魔法ならもう少し音が響くはずだ。それに音量も小さすぎる。

 

 

「まさかめぐみんじゃないなんて……とにかくすぐに音がした方の様子を見に行こう」

 

 

魔王軍遊撃部隊はぞろぞろと立ち去っていく。気絶してるぶっころりーもおぶわれて運ばれる。うちのめぐみんがすいません……

 

 

「魔王軍幹部にクレア達の対処もしないといけないしなあ……今日は忙しくなりそうだ。」

 

「お兄様、いつクレアが来てもおかしくありませんし天界に行きましょう。私もエリス様に会ってみたいです!」

 

 

クリスはここに居るし今天界に行ってもエリス様は不在だと思うが……

 

 

「ゆんゆん、天界から帰る時にゆんゆんのテレポートが必要だから一緒に来てくれるか?」

 

「分かりました!私なんかで良ければ是非お願いします!」

 

「じゃあ行くぞ、『テレポート!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視界がぐにゃりと曲がり眩い光に包まれる。目を閉じ、光が止むのを待っているとそこにはエリス様がよくいる天界が広がっていた。エリス様は不在のようだ

 

 

「わあここが天界ですか。初めて見ます」

 

 

アイリスが驚嘆の声を上げる。ここは相変わらず何もないところである。

 

 

「アイリスさんが一人でも退屈しないように色々持ってきましたよ!ボードゲームにトランプに……あと占いなんかもあります!」

 

 

ゆんゆんが次々とひとり遊びできるものを出していく。いつもひとり遊びをしてるからこんなに種類があるのだろうか

 

 

「ゆんゆんさんも私と一緒にここで遊びませんか?」

 

「え!?いいんですか!?でも私なんかと一緒に居てもつまらないと思いますよ……」

 

「そんな事ないですよ。きっと楽しいです!」

 

 

卑屈なゆんゆんをアイリスが励ましてあげている。アイリスは本当にいい子だなあ

 

 

「じゃあゆんゆん、アイリスのこと任せたぞ。俺は紅魔の里に行くから」

 

「お兄様、ちょっと待ってください。」

 

「ん?」

 

 

アイリスが俺にハグしてきた。俺達の様子を見てゆんゆんが分かりやすくおろおろしている。

 

 

「一つだけ聞いてもいいですか?」

 

「……お、おう」

 

「どうして私の為にここまでしてくれるんですか?」

 

 

期待と不安が混じったような目。何て答えれば良いのだろう。

 

 

「アイリスは俺の可愛い妹だからな。妹の為なら魔王も倒すし家出も手伝うさ。」

 

「そうですか……」

 

 

俺は鈍感系主人公じゃないからちゃんと分かる。アイリスが何と言って欲しかったのか。でも俺はアイリスの気持ちには応えられない。

 

 

「ゆんゆんテレポート頼むよ」

 

 

これ以上アイリスの悲しい顔を見たくなくて俺はゆんゆんに催促する。ここがラノベの世界ならハーレム作ってみんな幸せになったんだろうな

 

 

「はい、『テレポート!』」

 

 

俺はアイリスの気持ちに気付かないふりをして、紅魔の里へと戻った。

 

 

 

+

 

 

 

俺が紅魔の里に戻るとすぐにけたたましい警報が鳴り響いた。

 

『魔王軍幹部襲撃!魔王軍幹部襲撃!』

 

ここ紅魔の里ではモンスターの襲撃は珍しくない。襲撃の度に紅魔族の魔法で返り討ちにしている。今回の幹部襲撃もきっと乗り越えるだろう。

 

『ーー軍幹部襲撃!特に勇者カズマ一行はすぐに里の正門へ来てください!』

 

 

なぜここで俺達の名前が呼ばれるんだ。

 

 

「カズマカズマ大変です!」

 

 

めぐみんが俺の元へ駆けてくる。走ってきたからか息を切らしていた。

 

 

「どうした?やっぱり昨日は大人の階段登ってて妊娠したとか?」

 

「ぶっ飛ばしますよ!そんな事より大変なのです!」

 

「なんだよ、俺は面倒事はごめんだからな」

 

「魔法が……魔法が、使えないのです!」

 

 

魔法が使えない。昨日アイリスが言ってたことを思い出す。

 

『クレア達はきっと魔法を阻害させるスクロールを使ってくる』

 

魔法が使えなくなった。それはつまりクレア達がアイリスを奪還しに来たということを示している。

 

 

「それで魔王軍幹部が紅魔の里に襲撃に来たのですが、紅魔族の魔法を封じられて誰も戦えずに一方的に攻められているのです!」

 

 

紅魔族は魔法のエキスパートの一族。生まれた時からアークウィザードになれる素質を持つ。もしそんな一族が魔法を使えなくなれば何も出来なくなるだろう。

 

 

「とにかく来てください!」

 

 

俺はめぐみんに連れられて里の正門まで走る。やがて紅魔族とクレアが連れてきた王都の騎士だろうか、鎧に身を包んだ人達が見えてくる。視線を奥にやると魔王軍幹部らしき人が見えてくる。いや、あれは人というより……

 

ケンタウロスだ

 

筋骨隆々な上半身に下半身は馬のようになっている。あいつが魔王軍幹部か?ケンタウロスは紅魔族と騎士達に囲まれて対峙するように立っている。もっとも紅魔族は魔法が使えないが

 

 

「サトウカズマ!」

 

「危なっ!!」

 

 

稲穂を思わせる金髪に吸い込まれるような水色の瞳を持つクレアが出会い頭に俺に斬りかかってくる。俺は間一髪でその攻撃を避けた。

 

 

「アイリス様はどこだ!」

 

 

クレアはアイリスに変態的な執着がある。血相を変えて俺に聞いてきた。

 

 

「アイリスは俺しか行けない場所にいるよ。」

 

 

再びクレアが俺に斬撃を放つ。自動回避スキルで俺はそれを避ける。こいつさっきから俺を殺しに来てない?

 

 

「おい今は争ってる場合じゃないだろ。あのケンタウロスをどうにかしろよ。あいつを倒したらアイリスを連れてきてやるから」

 

 

血眼になっていたクレアは俺の発言でいくらか冷静さを取り戻したのか顔は怒ったままだが剣先だけをケンタウロスに向けた。

 

 

「ふんっ!」

 

 

ケンタウロスが近くの岩を手で砕く。轟音が響き岩が粉々になった。この音には聞き覚えがあった。昨夜から続いた爆発音の正体はこれだったのか。

 

 

「はあっ!」

 

 

ケンタウロスが砕いた岩の一つを持ち上げこちらに投げつける。咄嗟にしゃがんで避けたが後ろの木に当たった。振り返ってみると木が凹んでいる。マジか……当たったら一溜りもないな……

 

 

「はぁぁぁっ!!!」

 

 

ケンタウロスが大きく息を吐くと両の手で岩を四方八方に投げ始めた。その一つ一つが豪速球で当たれば一溜りもないことが分かる。

 

 

「「「退避!退避ー!」」」

 

 

騎士と紅魔族が次々と撤退する。中には大きく転ぶ者、人を押し倒してその上を走る者、士気をあげようと必死にみんなを押し留める者がいた。だが、そんな中……

 

 

「私が戦おう」

 

 

周りの騎士や紅魔族が下がる中クレアが一人、前に出た。みんながクレアを期待に満ちた目で見ている。彼女なら倒せるかもしれない。僅かな希望を持つことができた。それに応えるようにケンタウロスがクレアに石を投げつける。豪速球でかろうじて目で追うことができるほどだが、クレアは石を剣で一刀両断した。

 

 

「中々いい筋肉を持ってるじゃないか」

 

 

ケンタウロスがクレアを褒める。筋肉について言われたのが恥ずかしかったのかクレアの顔がほんのりと朱に染る。

 

 

「私の筋肉と勝負しようじゃないか」

 

 

ケンタウロスは体の肉をうねうねと動かす。次の瞬間、両手を使って大量の石を次々とクレアに投げつけた。クレアは時折被弾しながらも何とか攻撃を受けている。このままでは押される一方だ。助けてやらないと

 

 

「俺も戦うぞ!『スティール!』」

 

 

ケンタウロスに俺のスティールを使う。しかし、俺の手に握られていたのは白い布切れのようなものだった。

 

 

「なんだこれ?」

 

 

視線を奥にやるとクレアが顔を赤くして立っている。そこで俺は初めて取ったものがパンツだった事に気がつく。白スーツのくせにフリルがついた可愛らしいパンツだ。意外と女の子らしい一面もあるんだな。

 

 

「お前覚えていろよ……」

 

「……わ、悪い」

 

 

このまま敵の攻撃を受け続けるだけだと分が悪い。せめて紅魔族が魔法さえ使えればいいのだが

 

 

「おい!いつになったら魔法が使えるんだ!」

 

「効果が切れるまであと三日はかかります。カズマさんこんな時こそ何か小狡い手は思いつきませんか?」

 

 

レインがそんな無茶なことを言ってくる。紅魔族が魔法を使えない以上俺達で何とかするしかない。クレアもオリバーに苦戦しているし何か時間を稼ぐ手段はないか……?魔法が使えない……あ……

 

『バインド!』

 

魔法は使えないが一部のスキルは使うことが出来る。俺はミスリルで作った特注品のワイヤーでケンタウロスを拘束する。だが……

 

 

「ふん!」

 

 

ケンタウロスは体に力を入れると共に俺のワイヤーを引き裂いた。嘘だろ!?ミスリル製だぞ!?

 

 

「筋肉は全てを解決する!」

 

 

ケンタウロスは筋肉ポーズを取りながら自信満々に言ってのけた。バインドが効かないとなると俺達に出来ることはいよいよないと思う。ここは戦略的撤退を取るしか……

 

 

「カズマさんカズマさん」

 

「何だよまた何かやらかしたのか?」

 

「ちっがうわよ!私なら魔法を使えるようにできるけど」

 

 

……は?

 

 

「私の羽衣は状態異常を無効化するから私は魔法を使えるの。後はセイクリッド・ブレイクスペルでみんな魔法使えるようになるし」

 

「お前そんな重要なことをなんでもっと早く言わねえんだよ!!」

 

「わあああああ!待って!私もさっき気づいたのよ!」

 

 

アクアを叱っている場合ではない、一刻も早く解呪してもらわないといけない。

 

 

「この世にある我が眷属よ……」

 

 

アクアにしては珍しく厳かな雰囲気で声を紡ぐ。

 

 

「女神アクアが命ず……聖なる力を解放せよ!『セイクリッド・ブレイクスペル!』」

 

 

アクアがそう唱えると周りの人の体が僅かに発光した。特に紅魔族の体は大きな光を発している。

 

『ライト・オブ・セイバー!』

 

それは誰かが唱えた紅魔族が好んでよく使う魔法。手刀で放った光に魔力を込めると何でも切り裂くことができるという。一人の詠唱を皮切りに次々と魔法が放たれる。

 

 

『ライト・オブ・セイバー!』

『オブ・セイバー!』

『セイバー!』

『バー!』

 

それは戦いと言うより一方的な蹂躙と表現した方が正しいだろう。紅魔族が上級魔法で、しかも大量に魔法を使用する。ケンタウロスは為す術なく紅魔族の魔法でやられたのだった。

 

 

 

+

 

 

 

 

「迎えに来たぞアイリス」

 

新たな魔王軍幹部を討伐し、怒り狂うクレアに催促され俺は天界へと来ていた。目の前ではアイリスとゆんゆんがタロットカードのようなものを床に並べていた。

 

 

「アイリスちゃんが引き当てたカードは、ちから。今は断然押すべき時期! ただし、アンフェアな駆け引きは受け入れてもらえないからご注意を。真っ直ぐに気持ちを伝えるのが一番だって。」

 

 

ゆんゆんがアイリスに占いをしてあげてるようだ。恋占いかな?アイリスも乙女だからな。

 

 

「おーいお兄ちゃんが迎えに来たぞ」

 

 

俺に気づいたアイリスはとことこと俺の方に寄ってきてぎゅっと俺のことを抱きしめてきた。最近アイリスのスキンシップも増え軽いハグなら俺も慣れてきた。アイリスの綺麗な金の髪を手で梳きながら話す

 

 

「クレアがめちゃくちゃ怒っててさ。アイリスを連れて帰らないと略取誘拐罪と不敬罪で極刑に処するとか言ってるんだよ。アイリスから頼んでもうちょっと軽い罪とかに出来ないか?」

 

「クレアかお父様にお願いすれば出来るかもしれません」

 

「なら頼むよ。さっきパンツを間違えてスティールしたからか『カズマ、貴様を殺して私も死ぬ!』とか言い出してもう誰にも押さえられなくて困ってるんだ」

 

「何してるんですかカズマさん……」

 

 

ゆんゆんからの冷たい視線が心に刺さる。下着を取ってしまったのは事故だから俺に悪気はないのだけれど

 

 

「私、お兄様にお礼を言わなくてはなりません。」

 

「お礼?俺何かしたっけ?」

 

「私の家出を手伝ってくれたことです。」

 

「こんなこと初めてなんです。今までずっと自分で自分を律してきました。でもお兄様に出会ってからどんどんわがままになって……凄く楽しいのです。」

 

 

凄く楽しいと言っているのにアイリスの顔は全然楽しそうじゃなかった。それどころか頑張って自分を律しようとするのに律することが出来ずに苦しんでいるようだ。

 

 

「城にいるだけではきっとこんな気持ち味わえなかったでしょう。お兄様が私を変えてくれたのです。」

 

 

アイリスの目の奥からじわりと涙が溜まっていく。それらをどうにか零さないようにするので精一杯のようだ。

 

 

「だから本当に……私はカズマ様のことが好きなのです。」

 

 

アイリスの話を俺は黙って聞いていた。アイリスの声は話すにつれてか弱く掠れた声になっていく。

 

 

「……お願いですからお兄様……!……どうか私のわがままを聞いてください……!私と結婚してください……!」

 

 

アイリスの目からは大粒の涙が零れる。アイリスは俺の胸で泣きながら懇願してきた。

 

 

「ごめんなアイリス、すぐに結婚は無理だ。」

 

「だからまずは付き合う所から始めようぜ」

 

 

アイリスは俺の発言を聞いて言葉を失っている。そう、アイリスが泣きながらお願いされたから俺は断れなかったのだ。帰ったらめぐみん達になんて説明しようか。

 

 

「えええええ!!!カズマさん、アイリスちゃんと付き合うんですか!?」

 

 

そういえばゆんゆんが居たのを忘れていた。

 

 

「まぁそういうことだな。」

 

「お兄様ぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

アイリスは先程より沢山の涙を流して大声で泣き喚いている。あ、ヤバい。アイリスに強く抱きしめられ過ぎて背骨が悲鳴をあげている。

 

 

「お、落ち着けアイリス。このままだとお兄ちゃん死んじゃうから」

 

「私、嬉しくて嬉しくて!夢じゃありませんよね!?お兄様を好きな気持ちが強すぎて幻覚を見てる訳じゃありませんよね!?」

 

「夢じゃないから安心しだあああああ!!痛いって!本当にもう限界だから!ミシミシって変な音してるから!」

 

 

俺はしばらくアイリスの抱擁を受けて必死にゆんゆんに助けを求めていたのだった。

 

 

 

 

 

 





ちょっとしたお知らせです。そろそろ筆者の受験が近づいており中々投稿が出来ない状態です。受験が終わるまではかなり投稿頻度が落ちるかもです。ご了承ください。

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