※この作品はR-18です。

このすばらしい仲間と恋愛を!   作:てつろう

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UA一万回+お気に入り100人突破!!
ここまで来れたのも偏に読者さまのおかげです。ありがとうございます。
余談ですが前回の投稿の後UAとお気に入りの数が爆増しております。一体何があったのやら……
今回は約一万千字あります。





この夜の王城に招来を!

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。相変わらず俺とダクネスとめぐみんの三人は手錠で繋がれたままだった。

 

 

「それじゃあ庭に鍵を探しに行くぞ。アクアも起こして手伝ってもらうか」

 

「あ、その必要はありませんよ」

 

 

めぐみんは淡々と述べる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「だって手錠の鍵は私達の部屋にあるのですから」

 

 

…………は?

 

 

「何言ってんだお前。昨日鍵は屋敷の庭に捨てたって言ってたじゃないか。」

 

「ええ、ですからそれは嘘ですよ」

 

「すまないカズマ、私は反対したのだがめぐみんがどうしてもと言うものでな……」

 

 

なんてこった。つまり昨日の逆レイプは鍵をなくしたと嘘をついて俺を騙しためぐみんの計画的な犯行だったという事か?正直めぐみんの事を舐めていた。ここまでやる奴だったとは……

 

 

「どうしました、カズマ?酷い顔をしてますよ。」

 

 

お前に犯されて傷ついてるんだよと俺は言いたい気持ちに駆られるが隣にはダクネスもいる。今この話をする訳にはいかない。

 

 

「……だ、大丈夫だ。ちょっと昨日は寝付けなかっただけだから。」

 

「ふふ、昨日はお楽しみでしたもんね。」

 

 

めぐみんは上機嫌にそう言ってから自分の部屋へと向かっていく。勿論手錠で繋がれている俺とダクネスも後ろからついていく。

 

 

「カズマ、大丈夫か?めぐみんに何か言いづらい事があるなら私が聞くぞ?」

 

 

こっそりダクネスが耳打ちしてきた。俺は出来るだけ強がるように言った。

 

 

「大丈夫だって。いつも夜更かししてるから昨日は中々寝れなかっただけだ。」

 

「本当にそれが理由か……?」

 

 

ダクネスが尚も聞いてくる。それでも昨晩の事を言う訳にはいかない。ダクネスと会話しているうちにめぐみんの部屋へと着いた。めぐみんが引き出しから鍵を取り出す。めぐみんは鍵を手に取り名残惜しそうに手錠を眺めた。

 

 

「本当にもう外していいんですか?」

 

「当たり前だろ。このままだとトイレに行くのですら苦労するんだぞ。」

 

 

めぐみんは手枷に鍵を嵌めガチャりと鍵を回す。久しぶりに手が自由になって少し嬉しい。昨夜の事があって俺とめぐみんの関係は大きく変わってしまった。めぐみんが昨日の事をいつ誰かに言ってもおかしくない。早いうちに何とかしないといけない。俺は彼女(アイリス)に申し訳なさを覚えながらそう考えるのであった。

 

 

2

 

 

手錠を外し、朝食を終えた俺はウィズ魔道具店に来ていた。

 

 

「へいらっしゃい!仲間の紅魔の娘の醜い一面を見てしまい、悩みを誰にも言えず悶々と悩む小僧よ!よく来たな!」

 

 

俺が今やる事はめぐみんとの情事を他の奴らに隠す事だ。ダメ元ではあるがバニルに何か助言を貰いに来た。

 

 

「ふむ?あまり吾輩の好みの悪感情が湧いてこないな。」

 

「悪いがお前の発言に一々イラついてる程暇じゃないんだよ。」

 

「つまらんな。だがそんな汝にとっておきの商品を入荷しているぞ。」

 

「オススメはコチラ!記憶を消去するポーション!」

 

 

記憶を消去するポーション。これは昔王城で飲まされた事がある。バニルがこれを持っているなんて……

 

 

「これ……本物か?」

 

「無論本物である。王城の禁忌とされている幻のポーション。記憶喪失という珍しい状態異常を引き起こす代物であるな。」

 

 

もしこれをめぐみんに飲ませることが出来れば……昨晩あった情事を知る者は誰もいなくなる。正に今の俺にうってつけの商品だ。

 

 

「小僧の目論見通りこれを使えばネタ種族の娘との濡れ事を忘れさせることも可能であろう。」

 

「ありがとなバニル、これ買うぜ」

 

「毎度あり!と言いたい所だが、これは生憎希少なポーションでな。お金で買えるような物ではない。」

 

「はあ?ここに来て話が違うじゃないか?金ならいくらでも出すぞ。」

 

「無論金は貰う。だが、それだけでは足りぬ。このポーションを買いたいという貴族が居てそこも金を出すと言っておるのだ。」

 

「つまり……俺に何をして欲しいんだ?」

 

 

俺の言葉を聞くとバニルはわざとらしく口元をニヤッと歪ませ、

 

 

「対価としてあらゆる状態異常を治す『万能薬』を手に入れてきてもらおうか。それと一億エリスで如何(いかが)かな?」

 

 

万能薬……?聞いた事がないな。だがあらゆる状態異常を治せる薬ときた。相当貴重な物だろう。

 

 

「その万能薬ってのはどこにあるんだ?」

 

「王城の宝物庫の中である。」

 

「なめんな」

 

 

そんな場所に取りに行ける訳がないだろう。一度王城に侵入した事はあるが二度と行くのは御免だ。

 

 

「そもそも俺じゃなくてバニルが取りに行けばいいだろ。何で俺なんだよ」

 

「吾輩はポンコツ店主が居る以上、店を長いこと開けてられないのでな。それに相談屋の仕事もある。一日でも暇は作れないのだ。」

 

「もう一つ聞いていいか。お前は何で万能薬なんか欲しいんだ?お前って状態異常なんか無縁な存在だろ?」

 

「フハハハ、それは吾輩が悪感情を食す事が出来るからである。貴様が万能薬を取りに行くと滅多にお目にかかれない程の悪感情が手に入るのでな。」

 

 

なるほど、こいつにもメリットがあるのか。どうするか……正直言うと記憶消去のポーションは喉から手が出る程欲しい。だが、王城の宝物庫まで取りに行くのは危険すぎる。それこそ捕まってしまってはタダでは済まないだろう。

 

 

「バニル、もうちょっと条件を良くしてくれないか?流石に俺も城に入って宝を盗むのは……」

 

「では仕方ないな。今回の商談はなかったことにするしかあるまい」

 

「だあーー!!分かったよ!取ってくればいいんだろ!」

 

 

俺はバニルに向かって代金を投げつける。バニルはそれを難なく片手でキャッチした。これ以上ここに居てもバニルに悪感情を貪られるだけだ。俺は早足で店を出ようとする。

 

 

「少し待て小僧、商品をお買い上げ頂いたお得意様に二つほど助言をしておこう。」

 

 

バニルが俺を引き止める。俺は嫌な顔をしながら振り向いた。

 

 

「一つ目は、吾輩は人間ではなく悪魔だ。その事をしかと心得よ。」

 

「はあ?そんな当たり前のことを。今更何言ってるんだ?」

 

「まあ聞け。二つ目は今宵は満月だ。偶には悩んでばかりおらず夜空でも見上げてみろ。」

 

 

一体こいつは俺に何を伝えようとしているのだろうか。しかし、何でも見通すバニルの事だ。後々役に立つかもしれない。

 

 

「最後にこれを持っていけ。吾輩の仮面の試作品の第一号だ。」

 

 

バニルがこちらに何かを投げつけてくる。俺はそれをキャッチした。見てみるとそれはバニルが普段付けている仮面とは違うキツネのような仮面だった。

 

 

「仮面なら既にバニルの顔のものがあるからもうこれ以上仮面は要らないんだけど」

 

「たわけ。吾輩の仮面を使えばすぐにお前の正体がバレてしまうだろう。それにそのキツネの仮面は今までの仮面とは一味違う新機能が付いておる。つべこべ言わず持っていくが吉」

 

確かにあの仮面だとクレアに正体がバレていたな。俺は素直にキツネの仮面を受け取り店を出た。

 

 

3

 

 

俺は屋敷のリビングで王城に侵入する準備をしていた。久しぶりに盗賊としての活動だ。いざという時の為のダイナマイト、ワイヤー、弓矢の整備などに勤しむ。リビングには俺とめぐみんしか居ない。アクアとダクネスは恐らく自分の部屋だろう。俺も自室で王城へ侵入する準備をしても良かったのだが、めぐみんが誰かに昨晩の事を言いふらすのではないかと考えると怖くてめぐみんを出来るだけ監視できるようにリビングに居た。俺がテーブルで紅茶を飲んでいると、ふとめぐみんが

 

 

「カズマカズマ、良かったら今夜もエッチなことしませんか?」

 

「ぶはっ!!」

 

 

俺は紅茶を勢いよく吹き出す。

 

 

「なな、何言ってんだお前!?」

 

「動揺し過ぎですよ。前回は上手く中に入らなかったですからね。今夜はこの潤滑液を使いましょう。」

 

 

そう言ってめぐみんはポーションのようなものを掲げる。めぐみんはどこかワクワクした表情だった。

 

 

「俺にはアイリスが居るって言ってるだろうが!それに今夜は王都へ行くから無理だな。」

 

「なっ!?まさかアイリスに会うつもりですか?」

 

 

めぐみんが今にも掴みかかりそうな勢いで俺に詰め寄る。

 

 

「まぁひょっとしたら会うかもな」

 

「あの泥棒猫にカズマが取られるかもしれませんね……」

 

「ちょお前!どこ触ってんだよ!」

 

 

めぐみんが俺の隣のイスに座り、俺の股を手のひらで擦り始めた。

 

 

「カズマが私の物だって体に覚えさせてるのですよ。」

 

『ドレインタ……』

 

「あの事を言われたくなかったら抵抗しないでください。」

 

 

そこで俺の動きは止まる。あの事とは昨晩の情事のことだろう。それを口実にされたら俺は強く出れない。めぐみんの手はまださわさわと様子を窺うような手つきだ。

 

 

「め、めぐみん、ここだと……うっ……!いつアクア達が入ってきても……っ!……おかしくない。」

 

「ほう、ならアクア達に見せつけてあげましょう。カズマが私の物になる所を」

 

 

めぐみんはズボンの上から触るのを止め、ズボンの中に侵入してきた。ズボンの中でパンツを捲り俺の剛直に手を出す。俺の物は既にいきり立っており暴発するのも時間の問題だ。

 

 

「アイリスの事は忘れましょう。これからは私がカズマの面倒を見ます。」

 

 

相変わらず拙い動きだがそれでも俺の弱点を小さな力で刺激してくる。何かが股の奥から込み上げてくる。そして、暴発まであと一歩の所で……

 

ガチャ。

 

突然アクアがリビングに入ってきた。俺は完全に発射するつもりだったがめぐみんがすぐに手を引っ込めてしまった。俺は直前でお預けを食らってしまい大きな喪失感に襲われる。

 

 

「二人とも並んで座ってどうしたの?」

 

 

俺達はアクアに背を向けるようにして座っている。そのおかげでズボンからはみ出た俺の剛直はアクアに見えないだろう。だが、俺は呆然としており自分の物(ぶつ)をしまう事さえ思いつかなかった。

 

 

「べ、別に何もありませんよ。」

 

「ふーん?私は今からお昼ご飯作るから何か作って欲しいものある?」

 

「そうですね、サンドイッチなんてどうでしょう。」

 

「あらいいわね。じゃあお昼ご飯は高菜おにぎりにしましょう。」

 

「はい……ってちょっと待ってください。私の要望と全然違うじゃないですか!」

 

 

めぐみんとアクアが何か話してるのが耳に入ってくるがその内容を理解出来るほど俺は理性が残っていなかった。早くイきたい。早く出したい。その思いだけが頭を支配していく。

 

 

「カズマ、さっきの続きをして欲しいですか?」

 

 

アクアがキッチンに居る隙にめぐみんが誘惑してきた。俺は僅かに残った理性で首を横に振る。俺には彼女(アイリス)がいるのだ。

 

 

「もう、素直じゃないですね。」

 

 

俺の言葉を聞いてめぐみんは俺の隣の席を立ち上がって向かい側に座った。

 

ガチャ。

 

今度はダクネスがリビングに入ってきた。俺は我に返り自分の一物をズボンの中にしまう。鈍感なアクアと違いダクネスは敏感だ。怪しい行動を取ればすぐにバレてしまうだろう。ダクネスはさっきまでめぐみんが座っていた俺の隣の席に座った。

 

 

「みんな揃ったわね。これが今日の昼ごはんよ!」

 

 

アクアが持ってきたのはフライパンに入れられた炒飯だった。

 

 

「アクア、さっき高菜おにぎりを作るって言ってませんでしたか?」

 

「ええ、でもおにぎり作ってたら炒飯が食べたくなっちゃったの。」

 

「そうですか……自由奔放というか……まあいいでしょう。」

 

 

めぐみんとアクアはご飯を自分の皿に取り始めた。隣に座ったダクネスが暫く俺の事を見て訝しげに言う。

 

 

「カズマ、何だか様子がおかしいぞ?」

 

「……そんな事ないぞ。」

 

「……そうか」

 

 

それだけ言うとダクネスはそれ以上詮索してこなかった。

 

 

「そうだ!みんなに言っておかないといけないことがあるの!信者の子達が明日宴会を開いてくれるのよ!だから明日の夜ご飯はいらないからね!」

 

「いや、明日の夜ご飯の担当はアクアじゃなかったか?外出するなら別の人に頼んでおくといい。」

 

「じゃあカズマさん、お願いね!」

 

「……ああ、わかった」

 

 

ダクネスとアクアはキョトンとした表情でお互いに顔を見合わせる。

 

 

「カズマさんったらどうしたの?いつもなら何で俺がやるんだよとか、他の奴に頼めよとか言うのに」

 

「ああ、やはり様子がおかしいぞ。熱でもあるのか?」

 

「だから俺は普通っ……!」

 

 

めぐみんがテーブルの下から足を伸ばし俺の股の所に置いてきた。こいつ……隣にはダクネスが居るんだぞ!めぐみんは俺の焦った様子を見てニヤニヤとしている。俺はめぐみんの足が隣から見えないように下半身をテーブルかけの中に隠すように座った。

 

 

「今ならカズマさんが私の言う事を何でも聞いてくれそうね。カズマさん、今日のトイレと風呂掃除の当番代わってくれないかしら?」

 

「はぁ?誰がお前の……っ!代わりなんか……っ!す、するか……!」

 

 

めぐみんが俺の剛直をゲシゲシと足の裏で踏み潰す。先程よりも深い笑みをめぐみんは浮かべている。さっき寸止めされた事もあり敏感になってる俺の物は今にも暴発しそうだった。

 

 

「カズマさん?本当にどうしたの?お腹痛いの?」

 

「だからっ!何でも……うぐっ……!で、出るっ……!」

 

 

俺の息子は大量に中身の液体を外に出した。大きな快感と共に俺を襲う疲労。俺はテーブルに突っ伏したまま肩で息をした。

 

 

「ふふっ、カズマ、大丈夫ですか?一旦部屋で横になった方が良いんじゃないですか?」

 

「……ああ、そうする」

 

 

俺の事を心配そうに見るアクアとダクネス、俺を自分の思い通りにして喜ぶめぐみんに見送られながら俺はリビングを出た。

 

 

4

 

 

時刻は深夜。俺はテレポートで王都へ来て今は王城の門の前まで着いていた。今日はとにかく疲れた。昼食の時と言いめぐみんは暇さえあれば俺にエッチなイタズラを仕掛けてくるようになった。キッチンでダクネスとアクアが皿を洗っている間にソファで手こき。俺がトイレに入ったと思ったら後ろから入ってきて手こき。今日だけでも三発は出しており俺はかなり疲労感が溜まっていた。俺には彼女(アイリス)がいるというのに。

 

俺は黒装束に身を包み、今朝方バニルから貰った新しい仮面を付けていた。宝物庫は昔王城に居た時に何度か前を通った事がある。大まかな場所は分かっているつもりだ。

まず、ロープを括りつけた矢を二階の窓の近くに向かって放つ。俺は『パワード』で筋力を上げそのロープを伝っていく。やがて矢の先端に到達すると昔テレビで見た焼き破りの用法で窓の一部に穴を開ける。ガラスの破片が外に散らばらないように気をつけて少しずつガラスの窓を割っていく。多少音が鳴るが敵感知スキルで近くに人が居ないことは確認済みだ。やがて人一人が入れるほどになった穴から俺は潜入した。俺は部屋の中に散らばった窓ガラスの破片を『ウィンドブレス』で部屋の隅に寄せ集め、割った窓にはカーテンを閉めておいた。これで侵入に気づかれにくくなるだろう。と、その時二人分の話し声が聞こえてきた。

 

 

「俺はこんな暇な仕事をする為に訓練してきたのか?」

 

「まあそう言うな。兵士が暇なのは平和な証拠だ。」

 

 

この城を見回っている兵士だろう。俺は念の為潜伏スキルを発動し、机の下に隠れる。

 

 

「そうだけどよ、こう毎日毎日見回りばかりしていると飽きてくる。偶にはサボってどこかで遊び呆けたいぜ」

 

「そうやって油断している時に限って不届き者が入ってくるもんだ。もしサボりがバレたら減給は確実だろうな。」

 

 

二人組の足音はどんどん近づいてくる。この部屋に入られるか……?もし入られるなら今のうちに鍵を内側から閉めておくべきか。だがそのまま通り過ぎるかもしれない。俺は二人が中に入ってこない可能性に賭けてそのまま机の下で待機した。

 

 

「この部屋もどうせ誰もいないぜ。」

 

 

……大丈夫……か……?

 

 

「いいからついてこい。それ以上文句を垂れるようなら副隊長に報告するぞ。」

 

「けっ。お前はいつも頭が固いんだよ。」

 

 

部屋を通り過ぎようとした兵士をもう一人の兵士が引き止める。

 

ガチャ

 

部屋のドアが開けられた。真っ暗な部屋の中にランタンの光が差し込む。俺は息を潜め机の下から二人の足を観察する。

 

 

「……ん?何だかこの部屋だけ少し涼しいな。」

 

 

ここが涼しいのは部屋の窓が空いているからだろう。どうにか二人がその事に気づかないことを俺はエリス様に願った。俺の幸運値は高いはずだ。きっと何事もなく終わるだろう。

 

 

「……そうか?俺には何も変わらねえように思うが。……あれ、ここだけカーテンが閉まってるな」

 

「おい!今すぐ応援を呼んでこい!」

 

 

この部屋の異変に気づいた兵士がもう一人の兵士に叫んだ。俺はすぐさま机から出ていく。

 

『バインド!』

 

兵士をロープで拘束しようとスキルを使う。突然の俺の奇襲に一人は避けたが油断していたもう一人の兵士に命中した。

 

 

「その仮面……お前銀髪盗賊団だな?今日は一人か?」

 

「さあな、他にもこの城には俺の仲間が居るかもしれないぜ?」

 

 

俺は出来るだけ去勢を張って答える。地面に転がって拘束された方の兵士が言った。

 

 

「丁度見回りに退屈してた所だ。感謝するぜ坊主!」

 

「お前は黙っていろ!……さっき応援を呼ぼうとした時に襲ってきたのはお前だけだ。つまり少なくともこの部屋にはお前一人しかいない。」

 

 

図星を突かれた俺は何も答えることが出来ない。

 

『クリエイトアース』

 

俺は魔法を唱え土を手のひらに乗せる。

 

「そのまま『ウィンドブレス』で目潰しするつもりだろう?その手には乗らないぜ!」

 

俺の目潰しに警戒している兵士は間合いを一気に詰めて、俺に斬りかかってきた。

 

『バインド!』

 

「なっ!?」

 

 

意表を突かれた兵士は俺のバインドに為す術なくやられた。後は『ドレインタッチ』を使って二人の気を失わせる。万が一誰かが入ってきても出来るだけバレないように俺は二人を引っ張ってカーテンの裏に隠した。

 

ひと仕事終えて少し安心する。カーテンの裏から外を見ると、空には綺麗な丸い月が浮かんでいる。確かバニルが言っていた、『偶には悩んでばかりおらず夜空を見上げてみろ』と。正直言って今の俺には悩み事が多すぎる。めぐみんの過剰な愛にアイリスを裏切ってしまった事。その事を秘密にする為に記憶消去のポーションを手に入れなければならないし……。俺は空に浮かぶ月を見上げてるうちに次々と愚痴が溢れてきた。俺の不平不満を満月は黙って受け止めてくれるようで、床に座りボーッと月を眺める。そのうち意識が薄れ始め次第に視界が暗くなっていった……

 

 

5

 

 

……はっ!寝過ごした。月の位置を見るに最後に寝た時からそう時間は経ってないようだ。俺はすぐさま部屋から出て宝物庫へ向かおうとしたその時、

 

 

《小僧よ、闇雲に進んでも空回りするだけだぞ》

 

「うわっ!」

 

 

俺は驚いて小さな声を上げてしまう。この声はバニルの声だ。一体どこから声が聞こえるのか。まるで頭に直接響いてくるようだ。

 

 

《吾輩はここである。艶事を隠す為、ここまで乗り込むも敵陣の中で眠りこけた図太い男よ》

 

「うぜえ……」

 

 

バニルを見つけるより先に悪態をつく。声の元は俺が今顔に付けている狐の仮面からだった。バニルが仮面の試作品と言っていたがまさか仮面が喋るとは……

 

 

《今回のお目当てである万能薬は宝物庫の中にある。が、宝物庫には名うての魔法使い達が結界を張っていてそう簡単に中には入れない。まずはそこをどうにかするのだな。》

 

 

なるほど……宝物庫には結界が貼ってあるのか。まずはその結界を解かなければならないと。

 

 

「その結界はどうやって破るんだ?」

 

《これ以上の情報を望むならそれ相応の対価を払ってもらおうか。》

 

 

こいつ……!俺の足元を見てきてやがる……!バニルの思惑通りに対価を払うのも癪なので俺は無視して道を進む。しかし、宝物庫に結界が張っている以上、どうしようもない。その結界を張った魔道士を探さなければ……そう考えてるとふと廊下の横の部屋に目がいく。

 

『通信室』

 

……ふむ。俺はとある作戦を思いつきこの部屋の中に入る。部屋の中は飛行機のコックピットのように至る所にボタンやレバーが付いていた。

 

『ヴァーサタイルエンターテイナー』

 

俺はその内の一つのボタンを押しクレアの声を真似しながら話した。

 

 

『こちらクレア、アイリス様の容態が急変した。宝物庫にある神器を取りに行きたい。結界解除の準備を頼む。今から宝物庫に使いの者を送る。』

 

「あ、アイリス様が!?分かりました!急いで向かいます。」

 

 

アイリスの事を心配したのか焦った様子で向こうが答えた。よし、これで準備は完了だ。後は宝物庫に向かうだけ……と、俺は自分が怪しげな狐の仮面に黒装束を身につけていることを思い出した。流石にこの格好で人前に出る訳にはいかない。

 

 

6

 

 

「クレア様の命を受けて来ました。」

 

出来るだけ平静を装って話す。俺は宝物庫の前へと来ている。さっきドレインタッチで気絶させた兵士が身につけていた鎧を装着した。兜までつけた俺は傍から見れば俺は兵士の一人にしか見えないだろう。

 

 

「既に詠唱は終わりました。結界はもう解除された筈です。私達は中に入る許可が降りてないのでここで待ってますね。」

 

 

俺は宝物庫に入る。中にはいかにも神器らしい神々しいーラを放つ聖剣、禍々しい雰囲気の腕輪、畏怖を訴えかけるワンドなどが置いてある。そのうちの一つにポーションがあった。だが普通のポーションと違うのは、中身の液体がエメラルド色に淡く発光している事だ。その荘厳な様子に俺は息を呑む。

 

 

《汝が見ているそのポーションこそ万能薬であるな。》

 

 

……って見とれている場合じゃないな。早いことこの万能薬を持ってこの城から抜け出さないといけない。

 

 

「お前達、こんな夜中にここで何をしているのだ?」

 

 

部屋の外から見知った声が聞こえる。声の主はクレアだ。まずい、さっきクレアの声真似をしてここに来たばかりだ。

 

 

「クレア様!アイリス様は無事なのですか?」

 

「アイリス様は自室で眠っているだろうがどうした?最近はいつにも増して笑顔が増えていて元気そのものだぞ。」

 

「え?でもアイリス様の容態が急変したって。」

 

「なんだと?一体誰がそんな事を?」

 

「クレア様が言われたじゃないですか」

 

「「…………」」

 

 

バン!と宝物庫のドアが開けられる。

 

 

「そこの兵士!そこで止まれ!誰の命を受けてこの宝物庫に入った?」

 

「残念、一足遅かったな!『テレポート!』」

 

 

俺は万能薬片手にテレポートを唱え姿を消す…………事はなく、その場に立ったままだった。

 

 

「知らないようだが城にはテレポートを阻害する結界が張ってあるぞ。」

 

「…………見逃してくれませんか?」

 

「見逃す訳が無いだろう!!」

 

『フラッシュ!』

 

俺は目眩しを使い無力化したクレアと魔法使いの間をくぐり抜ける。

 

 

「賊だー!賊が出たぞ!」

 

 

クレアの大声が夜中の城に響いた。

 

 

7

 

 

「待てー!」

 

俺は必死に城の中を逃げ回る。しかも俺は今全身に重たい鎧を着ている。支援魔法はかけているが俺の筋力ではいつもより大分疲れやすい。

 

 

「こっちだ!挟み込め!」

 

 

前方からも追手が来た。挟み込まれた訳だがここで捕まるわけにはいかない。俺は『クリエイトウォーター』で廊下を水浸しにする。

 

『フリーズ!』

 

地面を凍らせた事で前の兵士が次々と転ぶ。次に予めロープを巻きつけた矢を弓にかける。ロープは俺の体と繋がっている。矢を射ると俺は物凄いスピードで兵士の頭上を飛び越えた。

 

 

「痛あああ!『ヒール!』『ヒール!』」

 

 

だが、俺は勢い余ってそのまま壁に激突した。俺が蹲(うずくま)っている間にも兵士は迫ってくる。早く逃げないと。今の俺の格好は全身に甲冑を着ており走るのも一苦労だ。この格好で走り回るのは分が悪すぎる。俺は近くにあった部屋の中に隠れ、身につけていた甲冑を次々と脱ぎ始めた。

 

 

「そこに誰かいるのですか?」

 

 

部屋の中から声がした。その声には心当たりがある。聞き間違うはずもない。俺の可愛い妹であり恋人でもあるアイリスだ。逃げる事に一生懸命で気づかなかったが、俺はいつの間にかアイリスの部屋へ来ていたようだ。

 

 

「アイリス、俺だ。お前のお兄ちゃんだよ」

 

「お、お兄様!?」

 

 

アイリスはすぐに跳ね起き俺の元へ寄ってくる。僅かな月明かりに照らされてアイリスの顔が浮かび上がる。その顔は喜色に満ちていた。

 

 

「アイリス様!クレアです。こちらに賊が侵入したかもしれません。入りますよ!」

 

 

部屋に入ってすぐ、クレアが入ろうとしてきた。まずい、ここに入られたら逃げ道はない。怪我をするかもしれないが窓から飛び降りるか?

 

 

「待ってください、クレア!ここには誰も入ってきていません。私は無事です。賊は他の所へ逃げたのでしょう。」

 

「しかし、アイリス様の無事を確認しない訳には参りません。その賊は他人の声を真似る事も出来るようです。万が一アイリス様の身に何かあってはいけません。ここの鍵を開けてください。」

 

 

クレアが今にも部屋の中に入ってきそうだ。どうしたものか……ここは俺が助太刀しよう。俺はアイリスの声真似をしながら喋る。

 

 

『クレア、恥ずかしいのですけれど今私は服を着ていないのです。ですからこの姿を見せる訳には参りません。』

 

 

隣のアイリスがギョッとした表情で俺の事を見る。そんな顔で俺を見ないでくれ。これはクレア達から逃げる為に仕方ない事なんだ。

 

 

「なっ!?それなら是非とも私にその姿を見せてください!!」

 

 

クレアがより一層興奮した様子で言ってくる。ダメだ、こいつには逆効果だった。

 

 

「服はちゃんと着てますから!とにかく今入ったらダメです!」

 

 

アイリスが俺の言った事をちゃんと訂正してくる。そんな事したらむしろ怪しまれる気がしてならない。

 

 

「やはりこれは賊が声を真似ているのでは……?貴様、アイリス様に何をした!」

 

 

今喋ったのはアイリスなのだが、クレアには怪しまれてしまった。なんとか誤魔化さなければいけない。

 

 

『とにかく今部屋に入ってきたら絶交です!もう二度と口を聞きませんからね!』

 

「うっ……もしこれで本当にアイリス様ならば私はどう立ち直ればいいんだ……!」

 

 

俺の脅し文句にドアを開けるのを渋っているようだ。そう、こいつは極度にアイリスを溺愛している余りこの手の発言に弱い。

 

 

『私はクレアの事が大好きです!信じてくれないのですか……?』

 

「この声はアイリス様に違いない!お前達全員他の部屋を探せ!賊は他の部屋にいるはずだ!」

 

 

クレアは俺の声を聞くなりすぐに手のひらを返した。部屋の外からドタドタと人が遠くへ駆けていく音がする。一先ず危機は去ったか……

 

 

「お兄様、扉の前に立っていないでこちらへ来てください。」

 

 

アイリスが自分のベッドに腰掛けポンポンと隣を叩く。確かにさっきまで走り回っていて疲れたな。少し休んでいくか

 

「ありがとなアイリス、匿ってもらって」

 

「いえ、恋人なのですからこれくらい当然です。」

 

「ですが、お兄様。私が服を着てないなんて言ったらダメですよ。はしたない人だと思われるじゃないですか。」

 

 

正直言うと、『大人のひとり遊びをしているから入らないで欲しい』とまで言うつもりだったが、それは言わない方が良いだろう。

 

「……それで、こんな夜更けにここに来たとはそういう事なんですよね……?」

 

「?……そういう事って?」

 

「で、ですから夜中に男女が二人っきりなのですよ?」

 

 

俺はここでアイリスが言おうとしている事に気づいてしまった。別に俺はそんなつもりは無かったのだが。

 

 

「あー……でもさっきまで走り回ってたし汗かいてるから、こういうのはもっと身を清めてからの方がいいような……」

 

「……えいっ!」

 

 

アイリスが俺の両手首を掴んで押し倒してきた。ベッドに寝転がる俺の上にアイリスが跨る。

 

 

「あ、アイリス……?」

 

「ふふっ、私はお兄様なら良いですよ、体を預けても……」

 

「お兄様……いえ、カズマ様」

 

 

 

 

 

 

 

 

「一緒に大人になりましょう。」

 

 

 

 

 






出来るだけハラハラするシーンを作るように意識してみたのですがどうでしょうか。酷評でも構いませんので感想くださると嬉しいです。
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