※この作品はR-18です。

このすばらしい仲間と恋愛を!   作:てつろう

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約6500字あります。


この淫靡(いんび)な記憶に封印を!

 

 

 

 

「一緒に大人になりましょう」

 

 

部屋の外からは相変わらず兵士が走る音が聞こえる。まだ俺の事を探しているのだろう。外の騒音とは対照的に俺達は静かに見つめ合っていた。そのままアイリスの顔が近づいてくる。二人の目は互いを捕らえて話さない。そしてそっとキスをした。アイリスの柔らかい唇の感触が俺に伝わる。

 

 

「アイリス……」

 

 

俺の口からアイリスの名前が零(こぼ)れ出た。

 

 

「カズマ様、大好きですよ」

 

 

アイリスからも俺への想いが口に出る。少し前までは妹としてしか見ていなかったアイリスは大人の色気を持つ女性に見えた。

 

 

「アイリス様、レインです。やはり賊がこの部屋に居る可能性が高いのでここを開けて貰えますか?」

 

「むう、続きはまた今度ですねお兄様。」

 

 

……え?……俺は完全に一線を超える覚悟だったんだけど。俺のこの昂った気持ちはどうしてくれるんだ。

 

 

「あ、アイリス。そこを何とかなりませんか?」

 

「私はこの通り無事ですよ、レイン。先程の賊ならそこに居ますが」

 

 

……ってもう扉開けてるし!!!俺は急いでキツネの仮面を付けて窓へと向かう。

 

 

「ここに居ました!兵士の皆さん急いでください!」

 

 

俺は思い切り窓に体当たりしガラスの破片と共に外へと出る。

 

 

「またお預けかよおおおおおお!!!」

 

 

夜中の城に俺の声が木霊した。

 

 

 

2

 

 

 

翌日。俺はバニルとの約束を果たすためウィズ魔道具店へ向かっていた。昨晩はアイリスの部屋の窓から外へ逃走。地面に着く瞬間に風魔法で受け身を取りそのまま王城の外へ出てテレポートでアクセルの街に帰還。我ながら追手から逃れるのが上手くなってきた気がする。そうこう考えているうちにウィズ魔道具店へと着いた。

 

 

「へいらっしゃい!……ほう、まさか本当に万能薬を手に入れて来るとは恐れ入った。」

 

「お前が取ってこいって言ったんだろうが!それで約束のものは用意出来てるんだろうな?」

 

「フハハハハ、地獄の公爵たる吾輩が契約を破る訳がなかろうて。ほれ、これを持っていくが良い。」

 

 

バニルが取り出したのは昔王城で飲まされた事のあるポーションと確かに一緒の物だった。

 

 

「はぁ……本当に助かったよバニル、これさえあれば後はめぐみんに飲ませるだけだ。」

 

「安心するのはまだ早いぞ、このポーションを買いたいと言う貴族がいると言っただろう。吾輩が汝を見た所によるとその貴族がポーションをこっそり盗んでいくやもしれぬ。」

 

「う、嘘だろ!?ここまで苦労して手に入れたんだぞ!絶対に盗まれてたまるか!」

 

「まあせいぜい頑張るのだな。」

 

 

バニルの予言はかなりの確率で当たる。そんなどこの馬の骨だか知れないやつにポーションを盗まれるなんて最悪だ!俺はポーションを懐に隠すようにして店を出る。

と、店の前にはクレアがいた。

 

 

「「…………」」

 

「やっぱりもうちょっと買い物していくわバニル!」

 

「待て、なぜ私を避ける?何か疚しい事でもあるのか?」

 

 

クレアのこちらを疑うような目に俺は思わず目を背ける。お、落ち着け。昨日盗みに入った事はバレてないはずだ。

 

 

「い、いやあ?な、何もないけど?」

 

「ならちょっとついてこい。お前に確認したいことがある。」

 

 

俺はクレアに腕を掴まれ仕方なく後を着いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

クレアに連れて行かれた場所は警察署。既に話は付けてあるのか中の警察達はクレアに向かって敬礼をするだけで何も言ってこなかった。俺とクレアは聴取を受ける為の取調べ室のような所へ入る。部屋の中にはレインが立っていた。

 

 

「な、なんだよ。お、俺は何もしてないからな!」

 

 

ダメだ、声が上擦っててこれでは自分が犯人ですと言っているようなものだ。クレアは俺をネズミをじっくりと追い詰める猫のようにゆっくり説明していく。

 

 

「実は昨日王城に賊が侵入してな。今その行方を追っている所なんだ。」

 

 

クレアは話しながら、懐から嘘をつくとチンチン鳴る魔道具を出した。とにかく嘘を言ったらダメだ。言葉を選びさえすれば大丈夫……

 

 

「その賊は、衛兵にバインドを使うかと思えば廊下を水浸しにした後フリーズを使い地面を凍らせるときた。そのように多種多様なスキルを使うのは、冒険者という職業しか考えられないという結論に至ってな。私は偶然にも身近にこの搦手から攻める冒険者を知っているのだ。」

 

「ほーん……な、ならこんな事してないで早く……そ、そいつを捕まえに行った方がいいんじゃないか?」

 

 

俺はしどろもどろになりながらも何とか答える。

 

 

「その必要はない。何しろその冒険者とは貴様の事だからな、サトウカズマ」

「昨日の夜、特に深夜2時頃、どこで何をしていた?」

 

 

この質問に答える訳にはいかない。もし適当な事を答えれば嘘を看破する魔道具がチンチン鳴るだろう。

 

 

「答えられないのか?まあそうだろうな!」

 

 

ヤバいヤバい。マジでヤバい。これは本格的にダメなやつだ。

 

 

「だが魔王を倒した勇者であるお前に温情をやろう。この事を世間に公表しない代わりに今回取った万能薬と罰金としてお前の溜まりに溜まった総資産の没収、そしてアイリス様に金輪際近づかないという条件で特別に見逃してやってもいい。」

 

 

お、落ち着くんだ俺。既に俺は冷や汗をダラダラと流し目線はあちこちに飛んでいかにも追い詰められた犯人のような振る舞いだ。クソっ!何か手はないのか!?

何か…………あっ……俺はバニルの言っていた助言を思い出す。

 

『一つ目は、吾輩は人間ではなく悪魔だ。その事をしかと心得よ。』

 

そうだ、嘘さえ言わなければ良いのだ。

 

 

「よく聞けクレア。俺は万能薬なんて別に欲しくもないし他の人に取るように頼まれてもいない。」

 

「……なんだと?」

 

 

魔道具は鳴らない。そう、俺はバニルに万能薬を取ってくるように頼まれたがバニルは人間ではない、悪魔だ。つまり俺は何も嘘をついてないのだ。

 

 

「ま、待て、お前が万能薬を取ったんじゃないのか!?昨日の夜は何をしてたんだ?」

 

『二つ目は今宵は満月だ。偶には悩んでばかりおらず夜空でも見上げてみろ。』

 

今ならバニルの言っていた助言の意味が分かる。

 

 

「昨日は久しぶりに王都でその辺を歩いてたな。月が綺麗で眺めていたらいつの間にか寝ちゃってたな。」

 

 

これもギリギリ嘘ではない。王城に居たから王都を歩いてたというのは事実だし、月を眺めてたら少し寝たのも本当だ。俺は今になってバニルの助言に感謝した。

 

 

「なっ!?この魔道具壊れているんじゃないだろうな!?」

 

 

ふぅ……何とか一番の窮地は脱したようだ。だがここで油断してはいけない。クレアが、いつ俺が万能薬を盗んでないという発言に拘ってもおかしくない。ここは俺からも攻撃するか。

 

 

「いつも俺の事を批判してるけどお前こそどうなんだよ。普段からアイリスに忠誠心以上の邪な感情を抱いているんじゃないのか?」

 

「そそそ、そんな訳ないだろう!」

 

 

チリーン。魔道具の鐘の音だけが部屋に響く。

 

 

「く、クレア殿?」

 

 

レインが信じられないとばかりに目を見開いている。くっくっく、このまま化けの皮を剥いでやるぜ!

 

 

「ほう?一体どんな感情を抱いてるんだろうなあ。まさか下着をクンクンしたいとかか?それとも素肌をぺろぺろ……」

 

「分かった!お前は無罪だ!もう帰っていいぞ!」

 

「おい、まだ話は終わって……」

 

「いいから帰れ!もうお前に用はない!」

 

 

俺はクレアに追い出されるように外に出た。ふう……一時はどうなる事かと思ったが何とか切り抜けたな……俺は疲れをとる為大きな伸びをして屋敷へと帰って行った。

 

 

3

 

 

屋敷へ着くと既に夕食が用意されていた。今日の料理担当はめぐみんだったか。確かアクアはアルカンレティアに宴会に行くって言ってたし今日は静かな食事になりそうだな。

 

 

「遅いですよカズマ、帰ってくるまでずっとご飯に手をつけてなかったんですからね。」

 

 

俺は先程手に入れたポーションを自室に置いてきた。とりあえず自分の部屋に置いておき、いざ飲ませる時に使う。問題はどうやってポーションを飲ませるかだな。どうせ忘れるのなら無理やり飲ませた方がいいか?でも、それだと何か反撃を食らうかもしれないしなあ。

 

 

「悪い、ちょっと急用が入ってな。あと今日は昨日みたいな色仕掛けはやめてくれよ。アイリスに悪いし何より心臓に良くない。」

 

「アイリスの事は忘れてくださいって言ってるでしょう。それに私も変態じゃないのでそこまでしませんよ。昨日のはアイリスに対するマーキングみたいなものです。」

 

 

ガチャ

 

ダクネスがリビングに入ってきた。だが、ダクネスはどこか様子がおかしい。長いこと一緒にいるから分かるが、ダクネスはどこか落ち着きがないように見える。

 

 

「よおダクネス、遅かったな。何してたんだよ。ご飯はもう出来てるぞ」

 

「べ、別に何もしてないぞ!?」

 

 

何か怪しいな。一体何を隠しているんだ?うーん……こいつが一人でする事と言えば……あっ……

 

 

「まさかお前大人のひとり遊びをしていたのか……?」

 

「そんな訳あるか!まるで私が性欲に飢えているみたいに言うのはやめろ!」

 

「でもお前この前の船旅の時は自分の部屋でオナ……」

 

「わあああああ!!!何も聞こえないぞ!!!」

 

「何を騒いでいるんですか?」

 

 

めぐみんが大きな鍋を手に食卓へと来た。ご飯の用意が出来たのだろう。

 

 

「別にダクネスが一人で自慰に耽っていようが構いませんよ。ダクネスの性欲が強いのは今に始まったことではありませんから。」

 

「ううっ……私は性欲なんて強くないぞ……多分……」

 

 

自信がないのか語尾の方はほとんど聞き取れなかった。性欲が強いことに関してはめぐみんも負けず劣らずな気がするが今は言わない方がいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

暫くご飯を食べる事約二十分。俺はキッチンでめぐみんにポーションを飲ませる手筈を整えていた。作戦はこうだ。特別に酒を飲ませようとめぐみんにお酒を渡す。そのコップに予めポーションを仕込んでおけば完璧だ。俺は少し緊張しながらもポーションをコップに注ぐ。後はカモフラージュの為に上から酒を注いで……よし、これでOKだ。

 

 

「めぐみん、シュワシュワ飲むか?」

 

 

俺はリビングに行きながらめぐみんにポーションの入ったシュワシュワを渡す。めぐみんは少し驚いた表情をしたが、すぐに笑顔になった。

 

 

「本当ですか!?前々から飲みたいと思ってたんですよね。」

 

 

めぐみんは俺の渡したコップをちびちびと飲む。だが、すぐにコップから口を離した。

 

 

「苦いですね……」

 

「これは大人の味だからな。お子様のめぐみんには早すぎたか」

 

「な、なにおう!これくらい余裕です!」

 

 

軽く煽るとめぐみんはごくごくとシュワシュワを飲み始めた。確か記憶消去のポーションを飲むと一時的に意識が飛ぶはずだ。

 

 

「うう……苦いです……」

 

 

しかし、いつまで経ってもめぐみんの意識は飛ばなかった。あれ……確かにポーションの中身を入れたはずなんだが。そうこうしているうちにダクネスが台所からやって来た。

 

 

「おいカズマ!めぐみんにお酒を飲ませるなと言っただろう!めぐみんはまだ子どもなんだ。お酒はもう少し大人になってからだな……」

 

 

ダクネスが色々言ってくるが俺はほとんど耳に入ってこなかった。記憶消去のポーションの効果がない……まさかバニルに騙されたのか……?

 

 

「……聞いているのか?カズマ」

 

「お、おう、ちゃんと聞いてるぞ」

 

「なら良いが……そういえばお前のために紅茶を入れたのだ。実家から貴重な茶葉を貰ってな。是非飲んでみてくれ」

 

 

ダクネスが紅茶を俺に差し出す。料理に関しては総じて普通の評価を受けるダクネスだが、紅茶に関しては格別に上手だ。それも貴重な茶葉を使っているなら尚のこと美味しいだろう。俺は深く考えずに、ダクネスから紅茶を受け取り飲んだ。ーーーー飲んでしまったのだ。

 

突然、体が重くなる。なんだ、一体何が起きてるんだ。心当たりはたった今飲んだダクネスの紅茶。この感覚は身に覚えがある。かつて王城で飲まされた記憶消去のポーション、あれと同じだ。笑みを深くしているダクネスの顔を見ながら俺の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

4

 

 

 

遡ること二日前……

 

 

納税騒ぎの後、私はカズマ、めぐみんと一緒に手錠で繋がれて寝ていた。事の発端はめぐみんが手錠の鍵をなくしてしまったと嘘をついたことに始まる。

 

 

「……カズマ。」

「……アイリスと恋人同士になったという話は本当ですか?」

 

 

実は私は起きていた。だが、めぐみんとカズマが仲睦まじく話しているのを聞いて私が邪魔をしたくない、そう思ったのだ。

 

 

「違うんだ……俺はアイリスと恋人同士になったんだ……」

 

 

カズマの言葉を聞いて、私は言葉を失う。今まで私とめぐみんがカズマを取り合う形で、カズマもどちらを選ぶか迷っている、そういう状況だった。だからカズマはめぐみんと私両方のものという認識があったのだ。それがアイリス様という部外者の手に渡ってしまった。時間は沢山あったのに……。私は何も行動しなかった事を大きく後悔した。

 

 

「…………分かりました」

「今から犯します」

 

 

そこから始まるめぐみんの逆レイプ。アイリス様の次はめぐみんにカズマを取られるのだと思って嫌な気持ちになった。そうだ、所詮私は受け身の存在。周りの女がカズマを奪うためにあの手この手を尽くすのを隣で指をくわえて見ているだけにすぎない。

 

 

「クソっ……!もう出る……!」

 

 

カズマの精子の一部が私の手にかかるのを感じた。私はその手を舐めてカズマの体液を胃に収めたい気持ちを何とか堪える。

 

 

「今晩の事、責任取ってくださいね。」

 

 

その後めぐみんは脅迫に近い形でカズマとの仲を進展させた。彼女のその強い意志には感服する。私も自慢じゃないが、自分の体には自信がある方だ。この体を使えば私もカズマと更に親密な関係になれるかもしれない。結局その日は一睡も出来ぬまま朝になった。

 

 

 

翌日。気づいたら私は朝からカズマの事を尾行していた。自分でも何がしたいのか分からない。でも、このまま屋敷でカズマを失った悲しみに一人で堪えるのは無理だと思った。やがてカズマがウィズ魔道具店から出てくる。一体中で何をしていたのかが気になって私は遅れて店に入った。

 

 

「へいらっしゃい!意中の男が王女と紅魔の娘に奪われ、遂にストーカーをするようになった娘よ、久しいな!」

 

「うぐっ……」

 

 

バニルの言葉に私は何も言い返せない。傍から見れば私はストーカーをする犯罪者だ。今の私の姿を見たらお父様はきっと悲しむだろう。

 

 

「して、今日は何用か?」

 

「それは……その……たまたま店に寄っただけで……」

 

「ハッキリ申さぬか。見通すまでもないが、どうせあの小僧の事だろう?今なら一万エリスで情報を売ってやってもいい」

 

 

私は黙って財布から一万エリスを取り出す。現在の手持ちのほとんどを使ってしまったがカズマについて知ることが出来るなら安いものだ。

 

 

「小僧が来た理由は他でもない。ネタ種族の娘との濡れ事を、記憶消去のポーションを使って忘れさせるためである。」

 

 

バニルは挑発するように右手のポーションをゆらゆらと揺らす。記憶消去のポーション……王城の禁忌とされる幻のポーションだ。でも……これはチャンスかもしれない……

 

 

「バニル、そのポーションを私に譲ってはくれないか。金なら幾らでも出そう。」

 

 

そのポーションをカズマに使えば、めぐみんとの情事だけでなく、アイリス様と付き合った事をも忘れさせる事が出来るだろう。つまり、カズマは誰とも親密な関係を持たない事になる。そうなれば……私にもカズマと付き合うチャンスが来るかもしれない。

 

 

「生憎だが、もう小僧と契約を結んだのでな。汝に渡すことは出来まい。」

 

 

私は記憶消去のポーションが喉から手が出る程欲しかったがバニルは譲ってくれなかった。仕方ない、諦めよう、と以前の私なら思っていたかもしれない。だが、昨日のカズマを奪われた喪失感が私を狂わせた。譲ってくれないなら奪えばいいだけの話だ。

 

 

翌日。カズマが屋敷に帰ってきてすぐに記憶消去のポーションを自室に隠したのを確認する。私はカズマの部屋に入り、予め用意していたただの回復ポーションと記憶消去のポーションを交換した。後はカズマに記憶消去のポーションを飲ませるだけ。作戦は上手くいった。カズマが意識を失うのを見て私は笑いが止まらなかった。後はカズマを誘惑するだけだ。いい加減私も腹をくくろう。受け身な私とはさよならだ。

 

そしてカズマには私だけを愛してもらうのだ。

 

 

 




闇堕ちめぐみんの次は闇堕ちダクネス。次は一体誰が闇堕ちするのでしょう。
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