このすばらしい仲間と恋愛を! 作:てつろう
約1万字あります。
(カズマ視点)
俺が監禁されてから二週間が経った。監禁生活はシンプルな毎日だ。エッチしてご飯を食べてエッチして湯浴みしてまたエッチする。とにかくセックスばかりしていた。最初の頃は
「カズマカズマ、この新聞見てください。」
俺がベッドの上で黄昏ているとめぐみんが新聞を渡してきた。促されるままに俺も新聞に目を落とす。
『王女アイリス様、魔王を倒した勇者と結婚か』
新聞の見出しにはそう書かれていた。この魔王を倒した勇者って俺の事だよな……。更に新聞を読み進めていく。
『我が国の第一王女、アイリス様が誕生日に結婚式を挙げる。お相手は勇者サトウカズマ。結婚式の日には、国中で盛大なお祝いを開くそうで…………』
アイリスの誕生日まではあと十日しかない。今俺は監禁されているから当然結婚式には出席できない。となると、この結婚式も破綻するだろう。新郎がいない結婚式など聞いた事もないし。
「新郎のいない結婚式でも挙げるつもりだろうか。新婦一人で結婚式に出るなんてあの王女も可哀想だな。」
ダクネスが可哀想と口では言いながらも本当はそんな事思ってないのはよく分かる。この監禁生活で、ダクネス達からアイリスに対する憎悪がひしひしと伝わってきた。
「今頃アイリスは何してるんだろうなあ」
「カズマが居なくて泣いてるんじゃないですか?ほら、今日もセックスしましょう。」
俺は毎日セックスをするので基本的に全裸で過ごすようになっていた。めぐみんは俺の息子に僅かな刺激を与える。彼女のエッチのテクニックも今ではかなり上手だ。
「なあめぐみん、一度でいいからさ外の景色が見てみたいんだ。」
「またその話ですか?カズマには永遠にここに居てもらうつもりですけど」
俺は幾度となくめぐみん達に外に出たいと懇願してきたが彼女らの意思は固く全く応じてくれなかった。
「ねえ、私はそろそろカズマさんを外に出してもいいと思うのだけど。」
アクアが俺に助け舟を出してくれる。この中で唯一アクアはまともだ。俺を外に出してくれる可能性があるのはアクアだけだろう。
「ダメですよ。せめてあと一年はここに居てもらわないと。カズマを出すならほとぼりが冷めた頃です。」
めぐみんがアクアの案を却下する。外に出るにはめぐみんとダクネスがどうしても邪魔だった。この際、二人がいない隙にアクアに出してもらおうか
「いや、私はカズマを外に出してもいいと思ってるぞ。」
意外とダクネスが俺を外に出してくれることに乗り気だ。
「ただし、一つ条件がある。カズマの両足を切断するというのはどうだ?」
何を言ってるんだこいつは。俺だけでなくアクアもめぐみんもあんぐりと口を開け、ダクネスの発言にドン引きしているようだ。
「ほら、足を斬れば私達から逃げられないし、私達がいないと生きていけないだろう?カズマも今まで以上に私達の事を求めてくれると思うのだが。」
ダクネスは本当に頭がおかしくなったようだ。
「……もう嫌だ」
俺は呟く。この監禁生活で俺のストレスはかつてないほどに溜まっていた。
「おらぁああ!!出せよ!ここから早く出せよぉおおお!!」
俺はめぐみんの首を絞めながら怒鳴った。
「かはっ……!く、苦しい……!」
「はぁ、カズマに首を絞められるなんて羨ましいぞ!次は私の首も絞めてくれ!」
ダクネスが尚も頭の狂った発言をしてくる。俺は我慢の限界に達してめぐみんを放り投げダクネスの首を絞め始めた。
「ごほっ!……かはっ!ぜぇはぁ……これは本格的にカズマがおかしくなってしまったようですね……。何か対策をしないといけません。」
「いいぞカズマ!その調子だ!もっと首を絞める力を強くしてくれた方が私は嬉しいのだが……」
「ほーら、カズマさんの好きなおっぱいよ〜。おっぱい飲んで元気出しなさーい」
隣でアクアが胸をさらけ出し俺の顔の前に持ってくる。ダクネスの首を絞めるのを止め、アクアの乳首をちゅぱちゅぱ吸うことにした。
「よーしよし、カズマさんは頑張ってて偉いわね。ご褒美に沢山おっぱい吸っていいからね。」
アクアは俺の頭を優しく撫でてくれる。何故だろう、アクアが神々しく見えてきた。まるでずっと歩いてきた砂漠の中で遂にオアシスを発見した時のような喜びを感じる。
「ママ、今日はみんなでエッチしたい。」
「なっ!?今アクアの事をママと呼びましたよ!しかもみんなでセックスしたいとか言いましたね!」
俺は今までアクア達とエッチしてきた訳だが、全員で一緒にやった事は一度もなかった。一人ずつ交代でエッチしてきたのだ。
「ママ、今日はみんなとエッチしないと僕泣いちゃう。」
「さっきから誰なんですかこの人は!?私の知ってるカズマじゃないのですが!」
「カズマさんにママって呼ばれると私の中で何かが目覚めそうなんですけど……。この気持ちは一体なんなのかしら……?」
俺はママのおっぱいを必死に吸う。ずっと吸っていたくなるような不思議な味だ。
「おら、お前らも胸を使って俺に奉仕しろよ!少しはアクアを見習え!」
「その罵詈雑言もいいぞカズマ!」
ダクネスは、寝転がってアクアの胸を吸ってる俺の息子を胸で挟む。所謂パイズリと言うやつだ。俺が想像していたよりも刺激はそこまで強くないがこの光景には満足だ。しかし、一人だけ何も出来ていない女の子がいた。めぐみんだ。
「どうした、めぐみん?お前も胸を使って俺を満足させてくれよ。」
「……い、いえ、私は遠慮しておきますよ。」
めぐみんは俺が言った事を少し気にしてるようだが怒ることなく言った。
「分かったわ!めぐみんはきっと自分の胸が小さいことを気にしてどうすることも出来ないのよ!」
「私が小さいのではなくてアクアとダクネスが大きすぎるだけなのです!なんですか!二人揃って私に対する当てつけですか!」
アクアとダクネスの胸をペチペチ叩きながら激昂する。やっぱり胸が小さいの気にしてたんだな。
「私は手で奉仕するのが得意なんです。ほーらカズマ、気持ちいいですか?」
めぐみんはダクネスの胸から顔を出している息子の裏筋を優しく刺激する。ぞわぞわとした快感が体を襲い間の抜けた声を出してしまった。
「やっぱりめぐみんは手こきが上手いんだなあ」
「ねえ、カズマさん。私のフェラも気持ちいいと思うんだけどめぐみんとどっちがいい?」
アクアはフェラが上手だ。元々器用なだけあって舌の扱いも一流。
「そりゃアクアのフェラの方が上手いよ。この前なんてフェラで死んじゃったしな。」
フェラで死ぬという意味不明な発言をしてしまう。事実だからしょうがないけど。
「カズマ、本当にアクアの方が上手いですか?」
めぐみんよりアクアの方が上手いと聞いて少し怒っためぐみんが亀頭を撫でる手を早める。ダクネスのパイズリにめぐみんの手こきが加わったことでより強い刺激となる。俺の太ももの内側からも精子が込み上げてくるのがわかった。
「体は私の手に正直に反応してますよ?本当は私の手の方が好きなんじゃないですか?でも、嘘をつく人には手こきしてあげません。」
めぐみんがパッと手を離した。寸止めだ。めぐみんは手こきする時いつも寸止めをするくせがある。少しSっ気があるから相手を虐める寸止めが好きなのだろう。だが、俺も負けっぱなしではいられない。
「ママ、めぐみんを手錠で拘束して」
「え!?な、何をする気ですかカズマ!私にMの趣味はないですから!こういうのはダクネスにやってくださいよ!ちょ……待ってくださいアクア!」
アクアがめぐみんに手枷を嵌めていく。この部屋にはエッチの時用に色々な道具が置いてある。この手枷もその内の一つだ。
「よおめぐみん、お前いつも俺に寸止めしてるよなあ。それがどれだけ切なくて苦しいことか分かるか?」
「それについては謝ります!ほら、この通りです!」
この通りですと言われてもめぐみんは仰向けの状態でがに股に足を開いてるだけで全然反省の色が見えない。まあ手錠で手足を拘束されてるから身動きが取れないだけだろうが。
「お返ししてやるよ。今度は俺が寸止めしてやる番だ。ほら、マンコもヒクヒクしてるぞ」
「や、ヤバいですカズマ!これは本格的にヤバいです!」
『ソードバイブ!』
「ひやああああっっ!!」
俺はかつてアイリスに使った電マスキルを使う。一応言っておくとこれは魔法ではなくスキルなのでこの部屋でも使うことが出来るのだ。
〜寸止め三回目〜
「うあっ……うう〜……またっ……」
「これで三回目の寸止め。どうだめぐみん?段々気持ちよくなってきたか?ダクネス達はめぐみんの乳首を刺激してやってくれ」
「あっ……んあっ……うぁあ……速い、速いですってカズマ……すぐイッちゃいます……!」
「羨ましいぞめぐみん!終わったら私にも寸止めを!」
ダクネスはいつもブレないな。
〜寸止め十回目〜
「はいストップ」
「うあああ゛あ゛ああっっ!!イきたい!イきたいですカズマぁあ!!」
「反省したか?」
「してます!反省してますから!触ってください!私のおまんこを触ってくださいっっ!!」
「カズマさん、やり過ぎじゃないかしら?めぐみん壊れてきちゃってるわよ。」
「めぐみんは普段Sだけどちょっと責められたらMになる素質があると思うんだ。もっと虐めたらきっと才能が開花するぞ!」
〜寸止め二十回目〜
「はいストップ」
「はあああ゛あっっ……イぎます!イぎますよ!」
「めぐみん、まさか乳首の刺激だけでイクつもりか?流石に乳首でイクのは変態だけだと思うぞ」
「イグぅううう!!!」
めぐみんがこれ以上ない程に愛液を撒き散らす。その勢いは凄まじく俺の顔はびしょびしょになった。
「はぁ……はぁ……気持ちいいです……」
「カズマ、次は私に寸止めプレイを!」
「よーし、次はアクアで遊ぶぞ。手錠嵌めろー。」
ダクネスを無視して俺はアクアに手錠を嵌めていく。
「嫌よ!この高貴で麗しい私がそんな汚らわしいプレイする訳ないじゃない!ああ゛っ……やめて……今敏感になってるから……」
そんなこんなで俺達はひたすらセックスを楽しんだ。時には全員で一人を責めたり、何度もイかせたり逆に全くイかせず寸止めしたりと。酒池肉林とはこの事を言うのだろう。
だが、俺の外に出たいという欲求は日に日に増していった。ニートだった頃の俺では考えられないことだ。アイリスは今頃何をしているのだろう……
(アイリス目線)
「お兄様……」
私は城でため息をつく。私の結婚式まで後三日。お兄様は相変わらず帰ってこない。この前クリスさんから聞いた話によるとララティーナ達が監禁しているそうですが依然として証拠は掴めていません。
「アイリス様、気分はいかがですか?」
いつの間にか部屋に入って来たクレアとレインが私の様子を尋ねる。私は返事をする気力もなくてクレアの事を無視してしまう。
「…………」
「カズマ殿が居なくなってお辛い気持ちはよく分かります。そんなアイリス様に私からプレゼントです。」
クレアが私にクマのぬいぐるみを見せる。何が言いたいのか分からず私はクレアの顔を冷めた目でじっと見つめた。
「これを今日からカズマ殿と思ってお過ごしください。きっと心も幾分か晴れますよ。カズマ殿が帰ってくるまでもう少しです。それまでこのぬいぐるみがアイリス様の支えになります。」
私はクレアから黙ってぬいぐるみを受け取った。子どもらしい見た目だが、昔私の下着に付いていたクマのアップリケに似ている。懐かしい気持ちになって私はぬいぐるみを優しく撫でてあげた。
「あぁ……アイリス様が久しぶりに笑われて……良かったですね、クレア殿。」
「アイリス様、私達が必ずカズマ殿を取り返してみせます。あと少しの辛抱です。どうか気を確かに持ってください。」
二人は目に涙を浮かべて喜んでいた。長い事笑っていない事に初めて気が付きました。これではいけませんね……
「お兄様元気ですか?」
私はぬいぐるみに向かって話しかける。返事はないが清々しい気持ちになった。
「その調子ですアイリス様。『俺は元気だぜえ。アイリスも元気か?ああ゛ん?』」
「クレア殿、そんな喋り方じゃないですよ!……『アイリス、心配かけて悪いな。もうすぐそっちに帰るからあまり無茶するなよ?』」
本当に楽しくなってきました。お兄様が近くにいるようです。
「お兄様!まだこのゲーム勝敗が決まってませんでしたよね!一緒に遊びましょう!」
『そんな事よりアイリスのパンツ見せろよ。ぐへへへ……』
「だから喋り方が違いますって!……『おう!今度は負けないぞ』」
私はレイン達と一緒にゲームをしました。こうしているとお兄様と遊んでいた日々が蘇ってきてとても楽しいです。クレア達は私に付きっきりで世話をしてくれました。ご飯を食べる時もぬいぐるみを通して喋ります。城の外の散歩も習い事もお兄様と一緒でしたから苦ではありませんでした。
「はぁ……良かったな。アイリス様の元気な姿を見れたのは久しぶりだ。」
「ええ、全くです。」
時刻も夜に差し掛かり、私はぬいぐるみと一緒にお布団で横になる。こうしているとお兄様と一緒に寝ているみたいです。そういえばこの前はお兄様と一線を超えましたしひょっとしてこのぬいぐるみともそういう事が出来るのでしょうか。
私は好奇心でぬいぐるみの手を私の敏感な部分に当てる。すると、体に電撃が走ったような感覚に襲われました。お兄様が私の事を触っている。そう感じたのです。私は必死にお兄様に私の体を触ってもらいます。子宮がキュンとなり愛液が溢れるのが分かりました。凄く気持ちいい……。ぬいぐるみの手が私のクリトリスを優しく愛撫していきます。どんどん幸せな気持ちになっていきやがて私は絶頂を迎えました。こんなに幸せな気持ちになったのは久しぶりですね……。私はぬいぐるみとセックスした後そのまま寝ました。
翌朝。
『おーいアイリス』
「んんっ……」
『アイリス!』
「ふぇっ?……お、お兄様!?」
目が覚めるとお兄様が私の部屋に居た。信じられない!お城に帰って来ていたなんて!
「ほ、本当にお兄様なのですか?いつからそこに居たのですか?」
『ああ、俺だよ。アイリスの部屋に入ったら眠っていたから、寝顔を眺めてたんだ。』
「もう!私がどれだけ心配したと思ってるのですか!?お兄様が居ない毎日はもう辛くて辛くて……」
私はお兄様に抱きつき体の温もりを感じる。
『ははっ、ごめんなアイリス。ちょっと意地悪してみたくなったんだ。』
「笑い事じゃありません!」
私は精一杯お兄様に怒ってみるのだが口角が緩むのが抑えられなかった。お兄様も私の笑っている様子を見てつられて笑い出す。
「失礼しますアイリス様、ご気分はいかがですか?」
護衛のレインが私の様子を見に来た。昨日までお兄様が居なくて日に日にやつれていた私はすこぶる心配されていたものだ。
「気分は最高ですよ!遂にお兄様が帰って来たのです!」
「え、カズマ殿がですか!?……ど、どこにおられるのです?」
「何を言ってるのですか。すぐそこに居るじゃないですか!」
私はおかしな事を言うレインにお兄様の方を指さし言う。レインは私の発言を聞いて次第に顔が青ざめていった。
「ああ、なんてこと……クレア殿!クレア殿来てください!」
「どうした。そんなに慌てて何事だ。……アイリス様、今日は一段と元気なご様子で安心しました。」
「ええ、お兄様ももう帰って来ましたし私は大丈夫ですよ!これから結婚式までお兄様と遊ぶのです!」
「……は?カズマ殿は一体どこにおられるのですか?」
「ですからここに居るじゃないですか!」
私はお兄様の手を取りクレア達に見せる。クレアは少し首を傾げた後、茫然とする。
「えーと……それはぬいぐるみですよね?」
「何を言っているのですか?ぬいぐるみじゃありません。ここにお兄様が居るではありませんか。」
私は物分りの悪いクレア達に何度もお兄様を説明する。
『もう白スーツ達は放っておいて俺達だけで遊ばないか?』
「はい!すぐに遊び道具を持ってきますね!」
私は部屋の隅に置きっぱなしにしていたボードゲームを取り出す。すぐにお兄様の所へ持って行き駒を並べた。
「アイリス様、非常に申し上げにくい事なのですが……アイリス様がお兄様と思われているものは私が先日あげたくまのぬいぐるみなのです。」
「何を言っているのですか?これはお兄様です。お兄様に意地悪するつもりなら容赦しませんよ!」
私はお兄様を守るように前に立つ。クレア達は可哀想なものを見る目で私の事を見ていた。
「ああ……もうどうしたら……ぬいぐるみをあげない方が良かったのかしら……」
「こ、こんな事になるなんて思うわけがなかろう!と、とにかくアイリス様に現実を言うしかあるまい。」
クレアとレインはとても困惑しているようです。私は二人を置いてお兄様の手を引き部屋の外へと走り出します。ご飯を食べて、ゲームをして、散歩して……とにかくお兄様とやりたい事が沢山あるのです。
城をお兄様と歩いていると周りの使用人達がヒソヒソと噂話を始めた。
「ぬいぐるみに話しかけているぞ。何か心の病かもしれない。」
「あれはぬいぐるみ?まさか幻覚を見てるのかしら」
「あぁ……王女様がこのような姿になられて……この国はもう終わりだ……」
この人達は不思議な事を言いますね。久しぶりにお兄様と一緒に居るから驚いているのでしょうか。でも、これくらいの陰口は大したことありません。だって私にはお兄様がいるのですから!
「待ってくださいアイリス様!」
護衛のクレアとレインが後ろから付いてくる。私は今すぐにでもお兄様と遊びたかったが、二人の相手をする事にした。
「アイリス様、今から辛い現実をお伝えする事になります。少なからずショックを受けるでしょうが私達が付いてますから大丈夫です。」
レインが私の事を抱きしめながら言う。一体何を言うつもりでしょうか。私がお兄様の方をチラリと見るとニコッと私に笑い返してくれました。私にはお兄様が付いている。きっと大丈夫です。
「分かりました。お兄様少し待っていてくださいね。」
レインは私の言葉を聞くと今にも泣き出しそうな表情になる。レインは一度大きく深呼吸をしたがその表情は崩れたままだった。
「はぁ……ダメです。私からは言えません。……やっぱりクレア殿から言ってくださいませんか?」
「わ、私か!?こんな事言ったらアイリス様にどう思われるか……ダメだ、本当の事を言うのは止めよう!」
「今ここで言わないでどうするのですか!もうすぐ結婚式だってあるのですよ!……もう!分かりました、私から言います……」
クレアとレインはしばらく押し問答を続けていたがようやく決心がついたレインが一歩前に出る。レインは杖を手に持ち長々と詠唱を始めた。やがて詠唱が終わり私の方を見て小さく呟いた。
「ごめんなさいアイリス様」
『セイクリッド・ハイネスエクソシズム!』
レインが最上級の回復魔法を唱える。私の体が淡く発光しただけで何もない……と思ったがお兄様の姿が消えてしまっていた。代わりにクマのぬいぐるみだけが廊下に落ちている。
「あれ?お兄様?」
「良かった……回復魔法でも幻覚を治す効果はあったようですね。アイリス様、カズマ殿はまだ帰って来ていません。どうかお気を確かに……」
「返しなさい……」
「ひっ!?」
「返しなさい!よくもお兄様をっ!許しませんよレインっ!!!」
折角お兄様が帰って来たのに、レインのせいでお兄様が消えてしまった!私の事を抱きしめているレインに強烈な腹パンチをする。レインはその場で
「お、おやめ下さい、アイリス様!誰か!手の空いてる者は手伝ってくれ!」
すぐに駆けつけた使用人五名ほどに無理やり手足を取り押さえられ私は地面に頭を擦り付ける。それでも私の口からはレインへの罵詈雑言が止まらなかった。私の味方だと思ってたのに。いつも私の世話をしてくれたのに。それなのにレインは私からお兄様を奪う敵だった。もう誰も信用出来ない。お兄様以外の人は敵だ。とうとう私の手には手錠が嵌められ、ヘタな行動はできないようになってしまった。
「レイン殿大丈夫か!すぐに回復用のポーションを持ってきてやる!」
私の前には血反吐を吐いて頭からも血が出ているレインがいた。彼女が憎たらしくてしょうがない。その日、城は大騒ぎになって私はまた部屋に塞ぎ込むことになった。
私の結婚式まであと一日。私はすっかり元気をなくしベッドで一日中横になっていた。手鏡を見たが私の顔は青白く血色も悪い。明日の結婚式でこんな無様な姿をお見せするのでしょうか。もう何もかもが嫌です。
「アイリス様、失礼します」
ノックと共にドアから顔を出したのはクレアだった。今日はレインは居ないようだ。
「アイリス様のお辛い気持ちお察しします。今日も私が一日中付き添いますので少しでも気休めになればと……」
「……そうですか」
昨日私がレインをボコボコにしたからかクレアの挨拶も少しぎこちなかった。あと一歩間違えていればボコボコにされていたのはクレアだったのだ。私に対して恐怖心を抱いてもおかしくないでしょう。
「今日は天気もいいですし外を散歩してみるのはいかがでしょうか?日光を浴びると健康にもいいそうですよ。」
「…………」
私は無言で返す。明日の結婚式が憂鬱だ。もういっその事めぐみんさん達を拷問して無理やりお兄様を取り返しに行きましょうか。私がムクリと体を起こすとクレアが、
「……レイン殿は、」
ぽつりと呟く。何が言いたいのか分からず声の方に目を向けた。
「レイン殿は、アイリス様に腹を殴られて頭を蹴られても……それでもアイリス様の身を案じておりました。彼女はアイリス様の事を心から愛しているのです。」
クレアから聞く話は私の予想を上回るものだった。レインが私の心配をしていた……?昨日、私はあれだけの事をしたのに……?自分のことではなく私のことを憂いていたのでしょうか。
「そしてアイリス様を愛している点では私も同じです。いいえ、私達だけではありません。昨日アイリス様を取り押さえた使用人もアイリス様が暴れて怪我をした料理人も、みんなアイリス様の事を愛しています。」
「ですからどうか一人で抱え込まないでください。王女とは責任の伴う大変重要な立場です。その重荷を一人で支えきれない時は私達を頼っていいのです。皆がアイリス様の味方です。例え世界中を敵に回してでも私達はアイリス様を守ります。」
クレアはつらつらと述べた。その時、私の中で心のつかえが取れた気がした。ああ……私はなんでこんな大切な事を見落としていたのでしょうか。私の周りにはこんなにも私を助けてくれる人がいるのに。私は一人で抱え込んで。近づいてくる人全員を敵だと思って。ずっと私を支えてくれたレインも傷つけて。
「クレア!レインはどこですか!?」
「……えっ!?れ、レイン殿は王城の自室で今日一日休暇を取っているはずですが。」
私はすぐさま部屋を飛び出す。レインに謝りたい。お腹を殴られて痛かったろう。頭を蹴られて辛かったろう。それでも私を愛してくれたレインの元へ行かなければならない。彼女に今の私の気持ちを伝えなければならない。全速力で走りレインの部屋へ辿り着く。
「レイン!開けますよ!」
返事も聞かずにバンと扉を開ける。中にはパジャマ姿のレインが居た。見た所によると怪我は治っているようだ。
「……うぇっ!?あ、アイリス様!?」
私はすぐさまレインのすぐ近くまで駆け寄ると、その場で潔く土下座した。お兄様に聞いた所によりますとこれが最上級の誠意を表す姿勢なのだとか。
「なな、何をしているのですか!?王女様が土下座など前代未聞ですよ!?ここ、こんな所誰かに見られたら私の首が飛びます!お願いですからおやめ下さい!」
私はそれでも土下座をやめない。いつの間にかクレアが後ろから付いてきていたのか足音が聞こえてきた。
「な、何事だこれは!」
「クレア殿!アイリス様が部屋に入ってくるなり頭を下げてきて……。」
半ば強引にクレアに頭を上げさせられた。レインは私の事を心配そうに見つめている。私は彼女への懺悔の言葉を口にするため口を開いた。
「ごめんなさい、昨日の私はレインを敵だと認識して。痛かったですよね?辛かったですよね?」
「ああ……アイリス様……良かった……本当に良かったです……」
レインは顔を手で覆ってしまった。それでも顔が紅くなっているのは分かる。
「本当にごめんなさい」
私は再度謝る。レインは立っていられなくなったのかその場にへたり込んでしまった。私はレインの体を優しく包み込みその温もりを感じた。
「レイン、もしあなたが良ければ明日の結婚式の練習を手伝ってくれませんか?」
レインは顔を覆っていた手を離し私にくしゃくしゃした顔を見せて言った。
「喜んで」
ーーーーーそして遂に結婚式当日がやってくる。