このすばらしい仲間と恋愛を! 作:てつろう
約8000字あります。
(カズマ目線)
俺は一ヶ月ぶりに監禁部屋から出て外の世界を見る。外がこんなにも広いこと、自然が沢山あること、人が沢山いることを改めて実感する。
「じゃあカズマくん行こうか!」
俺とクリスとエリス様の三人で王城へ向かう。先程テレポート屋を使い既に王都に着いていた。後は結婚式場に向かうだけ。アイリスは元気にしているだろうか。
「エリス様?さっきからすれ違う人がエリス様を見て仰天した顔をしていますけど大丈夫なんですか?」
エリス様の今の格好はいつもと変わらない姿だった。この世界で知られているエリス様の姿と瓜二つ。道行く人が驚くのも無理は無い。
「今日は私達にとって大切な日ですからね。多少騒ぎになっても大丈夫ですよ。」
エリス様の言う大切な日という言葉がイマイチピンと来なかったが、人目を気にするつもりはないようだ。
「あれだ!あそこに城が見えてるぞ!」
ずっと走り続けていると城が見えてくる。相変わらず豪華な城だ。久しぶりに俺が住んでいた城をみて遂に帰って来たんだという実感が湧いてくる。
「カズマくん、私は王女様とお話があるから別のルートで城に侵入するよ!」
クリスが一人近くの屋根に飛び乗り早々と走り去っていく。盗賊はこんな身軽な行動も出来るのか。俺とエリス様は二人で城の門へと向かう。エリス様が支援魔法をかけてくれたからか息切れすることもなく走ることが出来た。
「カズマはどこに行ったんでしょうか……」
「うおっ!?」
曲がり角を曲がった瞬間めぐみんが視界に入った。俺はエリス様を引き止めてすぐに角に隠れ、様子を窺う。
「なんでめぐみんがここに居るんだ……?」
「恐らくカズマさんが居ないことに気がついて慌ててここへ来たのでしょう。彼女達も私達が向かうべき場所が結婚式場だと分かっているのではないでしょうか?」
クソっ、厄介だな。めぐみんは丁度城の門の所にいてこのままだと城には入れそうにない。俺はどうにか突破出来ないかと策をめぐらせる。
「そうだ!クリスが城に入ったルートで俺達も城に入るのはどうですか?」
「あれはクリスが盗賊職だから入れるルートです。冒険者のカズマさんとアークプリーストの私では真似することが出来ません。」
我ながらいい案だと思ったが難しいようだ。時間からして丁度結婚式が始まる頃だろう。一刻も早く城に入らないと。
「あっ」
俺の中で一つ名案が浮かぶ。これならいけるかもしれない。
「エリス様、いい案が思いついきました。」
+
俺とエリス様は手を繋ぎ堂々と歩く。ただし、潜伏スキルを使って。長い事監禁されていて忘れていたがここでは魔法もスキルも使えるのだ。この状態なら見つかることもないだろう。
「めぐみーん、カズマさんいた?」
めぐみんの横を通り過ぎようとしたらダクネスとアクアがやってきた。勿論俺達が居ることには気がついてない。
「いいえ、まだ見てません。」
「そうか……もしカズマを見つけたらすぐに両足を切断しよう。そうすれば今日みたいに脱出されることもない。」
恐ろしい内容をすぐそばで話すダクネス達。もしダクネス達に捕まったらと思うと……。絶対に捕まったらダメだ。早くここから逃げたい。
「あれ……なんか匂うわね。女神特有の匂いがするわ」
アクアが鼻をスンスンと鳴らしながら俺の方に近づいてくる。こいつ女神の匂いとか分かるのか!?やがてアクアが近づいてきて俺とバッチリ目が合う。
「…………」
「居たわよめぐみん、ダグネス!パッド付きのエリスも一緒だわ!」
パッド付きと言われて一瞬エリス様がムッとした表情になった気がする。今はそんなこと気にしてる場合ではないが。
「逃げますよエリス様!」
「は、はい!」
俺は急いでエリス様と共に城へと向かう。ここまで来たら強行突破するしかない!城の門に着くと門番が俺達の事を制止してくる。
「おいそこで止まれ!ここから先は立ち入り禁止…………」
エリス様の姿を見て言葉を失ったのか呆然と立ち尽くす門兵。
「えっ……エリス様……?」
エリス様は門番の言葉を聞くと両手を合わせて言った。
「ここを通して貰えませんか……?」
少し上目遣いで聞いてくるその表情に篭絡されない男はいない。門兵は慌てた様子で城の門を開けた。
「しし、失礼しました!どうぞお進み下さい!」
俺とエリス様は城へと駆ける。後ろにはめぐみん達が付いてきていた。
「カズマ!それ以上逃げる気なら今ここで爆裂魔法を撃ってもいいんですよ!」
「そんなはったり俺が聞くと思うか?……じょ、冗談だよな?流石にここでそんな事しないよな?」
めぐみんは頭がおかしい。特に爆裂魔法に関しては。ひょっとしたらここで爆裂魔法を放ってもおかしくない気がしてきた。
「私が冗談を言うと思いますか?今なら家出したことは許してあげます。私の気が変わらない内に早くこっちへ来てください。」
本当に撃つかもしれない。ここで爆裂魔法が放たれたら大惨事は免れない。俺は逃げていた足を止め、めぐみん達の方へゆっくりと歩き始めた。
「か、カズマさん!?アイリス様の所に行くんじゃないですか!?」
俺はエリス様の質問には答えない。めぐみんは俺の態度を見て安堵した表情で、ほくそ笑む。
「カズマ、お家に帰る気になりましたか」
「ああめぐみん、勝手に家出してごめんな」
俺はそのままめぐみんに近づき、めぐみんの事を軽く抱きしめた。めぐみんも俺のことを抱きしめ温かい吐息が俺の胸に当たる。
『ドレインタッチ』
「ぬわあああああ!!!」
俺はめぐみんの首に手を回す時にドレインタッチを発動する。めぐみんは魔力を吸われて力なくその場に倒れた。
「はっはっは!俺が大人しく帰ると思ったか!俺はもう監禁されるのは嫌なんだよ!じゃあな!」
俺はめぐみん達を置いて走り去った。アクアとダクネスはピンピンしたままだが、ダクネスはエリス様を捕まえる気がないのか追いかけてこない。アクアも俺を外に出すことに賛成だったからか何もしてこなかった。
俺達は急いで結婚式の所に向かう。
+
(アイリス目線)
「それでは誓いのキスを」
プリーストの声に従い私はぬいぐるみの顔を手に取ります。私はそっと口を近づけぬいぐるみにキスしました。
「……さようならお兄様」
「ちょっと待ったぁああああ!!!」
会場中に響く声。私もレインも貴族達も皆驚いて結婚式場の扉の方を振り向く。バンと勢いよく開かれた扉の向こうにはお兄様の姿があった。
「俺だ!佐藤和真だ!アイリスの婚約相手はここに居るぞ!」
一瞬静まり返る場内。だがすぐに大きな歓声に包まれた。勇者が帰ってきただの、王女様が救われただの様々な声が飛び交う。
「……これは幻覚じゃないですよね?」
念の為隣にいるレインに聞いてみる
「はい……!私の目にもハッキリとカズマ殿が映っています……!」
歓声の中お兄様はゆっくりとバージンロードを歩く。私は必死にお兄様に抱きつきたい気持ちを抑えながらお兄様が来るのを待った。
「あー……アイリス……元気してたか?」
お兄様は少し照れ臭そうに話しかけてくる。お兄様との一ヶ月ぶりの会話だ。
「……はい」
「えっと……その……アイリスにずっと言いたい事があってだな……」
「……はい」
お兄様は散々迷った様子を見せながらもバチンと自分の頬を叩いた。私は淡い期待を持ちながらお兄様の行動を見守る。
「アイリス様」
お兄様は私に向かって片膝をつく。
「俺と結婚してくれませんか?」
お兄様は綺麗な四角の箱に包まれた結婚指輪を取り出した。それはかつて私がお兄様に奪われたあの指輪だった。会場中がより一層の歓声に包まれる。
「……」
「……そ、その……へ、返事を貰えると嬉しいのですが……」
私が何も言わないのを見てお兄様が上擦った声で返事を催促する。私は少しずつお兄様の元へ足を進める。お兄様も緊張した様子で私の目を見つめていた。
「お兄様」
「ひゃい!」
素っ頓狂な声を上げたお兄様。その姿を愛おしく思いながらも、私はお兄様の頬を両手で掴む。そして私は顔を近づけ……
お兄様とキスをした
もうこの人を死んでも離したくない。ずっと私のそばに居て欲しい。そんな思いを込めて口付けする。そっと口を離すと耳まで赤くしたお兄様が居た。
「大好きですよ……お兄様」
私は思い切りお兄さまのことを抱きしめる。王女様なのにはしたない行動をしてしまった。でも、今日はクレアもレインも私の行動を許してくれるだろう。ひとしきりお兄様の匂いを堪能した所で少し落ち着く。まだ結婚式の途中だ。お兄様と式を挙げなくては。
「ここからは女神エリスがこの結婚式の神父を務めます。」
いつの間にかエリス様が祭壇の前に立っていた。その声を聞いて貴族達からは再び歓声が上がる。中には泣き出している者もいた。
「エリス様が特別に俺達の結婚式を祝ってくれるらしいぞ」
お兄様が私に教えてくれる。女神様までが私の結婚式を祝ってくれる。お兄様も帰ってきた。幸せすぎて消えてしまいそうです。
「それでは新郎新婦は前へどうぞ」
エリス様の声で私とお兄様は前へ出る。遂にお兄様と結婚式を挙げることが出来る。エリス様は軽く咳払いをすると長々と誓いの言葉を聞いてきた。
「汝サトウカズマは、この女クリスを妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、死が二人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
…………えっ?聞き間違いだろうか。今私の名前じゃなくてクリスさんの名前が呼ばれたような……エリス様の言葉を聞いて会場は一気に静かになった。
「カズマくんも忘れてたみたいだけど、私とカズマくんは結婚することになったの!」
クリスさんが嬉しそうにお兄様と腕を組む。その表情は私に対する侮蔑の思いも含まれているような気がした。
「あっ…………そうだった。契約があるんだった……」
お兄様は何かを思い出したようにボソボソと呟く。
「……う、嘘ですよね……?嘘と言ってくださいお兄様!」
「…………」
お兄様は何も答えず青ざめた顔で立ち尽くすだけだ。
「まだ結婚式の途中です。誓いの言葉が終わっていませんよ?この式は佐藤和真さんとクリスさんの結婚を祝うものです。王女様は参列席へお座りください。」
エリス様もお兄様とクリスさんを祝うつもりのようだ。私は仕方なく近くにあった参列席へと座る。未だに何が起きてるのかよく分かっていない。お兄様が他の女の人と結婚……?
「それでは改めまして……。汝クリスは、この男サトウカズマを夫とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、死が二人を分かつまで、愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
「誓います」
会場内にいる王家の人達も相手が女神様というだけあって誰もこの式を止めることは出来ない。私はただお兄様とクリスさんが結婚式を挙げる様子を見るだけだった。
「それでは誓いのキスを」
お兄様とクリスさんの顔の距離が近づいていき、やがて二人はキスをした。そのキスが自分達は幸せだとアピールしているようでとても見ていられない。ウエディングドレスを着ているのに私は参列席でただ二人のことを指をくわえて見るだけだった。
「お兄様……さっきのプロポーズは何だったのですか?」
私は出来るだけ怒りを抑えて聞いた。会場内は静まり返っておりみんなが私達に注目している。
「ごめん……その……契約があるから……」
「カズマくんは王女様と結婚するつもりはないみたいだよ!これからは私と一緒に暮らすもんね!」
クリスさんの本当に幸せそうな顔は腹が立ちます。
「私がこの一ヶ月間どんな気持ちで過ごしていたか分かりますか?お兄様のことをずっと待ち続けていたのですよ」
「……ならアイリスも俺と結婚するか?」
…………はい?お兄様は何を言っているのでしょう。
「ほら、クリスも俺と結婚したいって言ってるし、アイリスも結婚したいんだろ?ならもう二人とも結婚するしかな……ぶはっ!」
私はお兄様にビンタしました。お兄様がほかの女の人とイチャイチャするのを公認するわけがありません。
「クレア、式はもう中止です。披露宴も中止にしてください。」
私は純白のウエディングドレスを着たままバージンロードを一人で歩き会場を後にします。私の結婚式はクリスさんに花婿を奪われて終わることになりました。
+
クリスさんに結婚式を乗っ取られた夜。私はクリスさんを部屋に呼び出していました。
「結婚式とっても楽しかったね!ごめんね、王女様の結婚式を奪っちゃって!でも仕方ないよね!カズマくんが私のことを選んだんだもん!」
「…………」
ニコニコと語るクリスさん。本来なら私とクリスさんの立場は逆だったのだろう。今頃私がお兄様との結婚を喜んでいたはずなのに。
「一体どんな手を使ったんですか?クリスさん……いや、エリス様」
「あれ、バレていましたか」
私はクリスさんの正体がエリス様だと気づいていた。女神様がわざわざ結婚式を祝いに来るならそれ相応の理由が必要だ。そう考えると自然とクリスさんとエリス様が同一人物だという結論にたどり着く。
「まあ私の正体の事はこの際どうでもいいです。それより私を部屋に呼び出したのには理由があるのでしょう?」
いつものクリスさんの口調とは異なり敬語で話すクリスさん。それが少し不気味でゾッとしてしまう。
「ええ、一体どんな手を使ってお兄様をやり込めたのかは知りませんがお兄様を返して欲しいのです。」
私はただ頭を下げることしか出来なかった。お兄様がクリスさんと結婚すると言っている以上、強奪することは出来ない。とにかくお願いするしかないだろう。
「アイリス、ちょっといいか?」
部屋をノックする音と共に聞こえるお兄様の声。ここは私の部屋ですからお兄様は私に何か用があるのでしょう。軽く返事をするとお兄様がドアから顔を出しました。
「お、クリスも一緒に居たのか……」
少し面食らった様子のお兄様。
「どうしたのカズマくん?私が居ない方が良かった?」
「いや、クリスが居るなら丁度いい。大事な話があるんだ……」
お兄様は覚悟を決めた様子でクリスさんの方を向く。
「クリス、やっぱり俺はアイリスと結婚したい。だからアイリスを第二夫人にさせてくれませんか?」
第二夫人……!私が一番じゃなくてクリスさんが一番……!そのことに憤りを感じるが、ここは我慢だ。
「ふーん、アイリス様もカズマくんの第二夫人でいいの?」
そんなの嫌に決まっているが、ここで断ればお兄様とは結婚すら出来ないかもしれない……。それだけは避けないと。
「……分かりました。私が第二夫人でも構いません。お兄様の心の中では私が一番ですから大丈夫です。」
「ふーん」
お兄様はクリスさんに頭を下げたままだ。私はお兄様の提案にかろうじて許可を出してあげた。第二夫人でもチャンスはある。いつかお兄様の一番に返り咲くことだって出来るはずだ。
「ねえ、何か勘違いしてない?」
クリスさんが足を組んで私に聞いてくる。丁度光が窓から差し込んできてクリスさんを照らしているようだ。それが彼女の女神としての神々しさを表しているように思えた。
「私が王女様にカズマくんを貸してあげてるんだよ?カズマくんは王女様の所有物なんかじゃないの。結婚式だって私とカズマくんが結ばれたんだから。」
「そ、それは勿論分かってます!で、でも元々お兄様と私は婚約者だったわけで……!」
ダンとクリスさんはテーブルを叩く。その言葉に威圧され私もお兄様も黙ってしまった。
「まだそんな過去の話してるの?もう私がカズマくんを奪ったんだよ。形勢は逆転してるわけ。本来なら王女様が私に必死にお願いしてようやくカズマくんの側室になるのを許してあげるレベルなんだよ」
「うっ……」
クリスさんの言葉に何も言い返せない。今日の出来事で既にお兄様はクリスさんのものになってしまっている。今度は私がお兄様を奪おうとしているのだ。
「でも……どうしてもって言うなら第二夫人になる事を許可してあげてもいいよ。」
クリスさんが私にニコッと笑いかけてきた。一体何を言うつもりなのだろう。彼女の目が笑っていないことに私は気づいている。クリスさんはこちらに歩いてきて私の右肩を左手で掴む。
そして思い切り私の腹をパンチした。
「ぐはっ……!」
「今朝のこと覚えてる?君にアタシは腹を何度も殴られたんだよ……。こんな風にね!」
クリスさんは何度も腹を殴ってきます。私は立っていられなくなってその場に
「おいクリス、やり過ぎだって!」
お兄様がクリスさんを止めに入ってなんとか収まりました。私はまだお腹の痛みで動けないままです。
「はぁ〜、スッキリしたしこれくらいにしてあげようかな。第二夫人になるのは諦めなよ。私とアイリス様が一緒だときっと毎日が修羅場になるよ」
クリスさんは地面に横たわる私の前でしゃがみながら話す。私を見下しています。クリスさんがこれ以上私を
「待ってください……!」
私は這いつくばったままクリスさんの足首を掴んだ。
「確かに私とあなたは決して仲良くなれないかもしれません。……でも、私のお兄様に対する想いは本当です!お兄様の為なら何でも出来ます……!」
「ふーん」
クリスさんは私の想いを値踏みするように見つめる。私は負けじとクリスさんを睨み返した。
「じゃあさ、私の靴を舐めてよ。カズマくんを愛してるなら出来るでしょ?」
今朝、私はクリスさんを蹴り上げ靴を舐めさせるように指示をしました。今度は立場が逆になったのです。私は理解しました。これは彼女にとっての仕返しなのだと。
「おいクリス!そんな要求呑めるわけないだろ!アイリスも無理にやらなくていいって!」
「これは女同士の戦いなの……。カズマくんは黙ってて。」
クリスさんは私を見下したまま椅子の上に座ります。左右の足は組まれていて右足がゆらゆらと私の眼前で動いていました。私は覚悟を決め地面を這いつくばります。もうクリスさんの足は私の目の前です。
「どうか……私を……第二夫人にしてください……」
私はクリスさんの裸足を舐めながらお願いしました。お願いした後も指の間を念入りに舐め上げます。その様子を見たクリスさんは満足そうな笑みを浮かべました。
「仕方ないなー、カズマくんもどうしてもって言うし今回は特別に許してあげるよ」
どうにかクリスさんの許しを貰えたようです。これで私もお兄様と結婚できます……!
「失礼致します……アイリス様……?そんな所で寝転がってどうされたのですか……?」
ノックと共にレインが部屋の中へ入ってくる。私とクリスさんがいがみ合っている姿を見せるのは良くないだろう。私は脇腹が痛むのを我慢しながらよろよろと立ち上がった。
「別に大丈夫ですよ……それよりどうかしましたか?」
私は部屋を出ていきお兄様達がいない所でレインと話す。
「アイリス様がそういうなら深く詮索しませんが……。実は、クリス殿の告発でめぐみん殿、ダスティネス殿、アクア殿の身柄を拘束したのでそのご報告をと思いまして。」
「そうですか……」
お兄様が城へ帰ってきてからめぐみんさん達は全員お兄様を誘拐した罪で投獄された。これから裁判にかけられるがほぼ極刑は間違いないとの事だ。
「それとですね……もし、アイリス様が望むのであれば……私がカズマ殿を徹底的に落とすテクニックをお教えしようかと。」
「……はい?」
「い、いえ!ただカズマ殿がクリス殿に奪われてアイリス様もさぞ落ち込まれていると思ったので……。お見受けした所クリスさんは胸の発育が良くないようでしたからアイリス様の胸を使って誘惑するというのはいかがでしょう。具体的な計画はこちらの紙に書いていますので是非参考にしていただければ……。」
「余計なお世話です!」
レインが用意してくれた紙を私は勢いよく破った。
「ああっ!折角クレア殿と相談して作ったのに!」
「何ですかもう!こんな紙なくても私は充分魅力的な女性ですよ!そこまで言うなら分かりました!明日にはお兄様が私にゾッコンになるようにしてみせます!」
私は高らかに宣言した。
今回は想いを強く出すことを意識して作ってみました。いかがだったでしょうか。少しでも作品が面白くなってくれたら幸いです。