このすばらしい仲間と恋愛を! 作:てつろう
約8000字あります。
私はカズマと一緒に王城へと来ていた。カズマを殺した罪についてもカズマ自身が被害届を取り消し私も釈放となっている。カズマにはいつもお世話になっている。
「いいかめぐみん、出来るだけアイリス達を刺激しないようにしてくれよ。」
これから私とカズマはアイリス達に結婚の許可を貰いに行く。私は第四夫人だからクリス、アイリス、ダクネスの許可が必要だ。王城の中を進んでいきながらカズマと話す。
「分かっていますよ。カズマと結婚する為なら何でもしますから。そんなに心配しなくても大丈夫です。」
私はカズマを安心させるように言う。それでもカズマの不安は拭えないようだった。やがて城の一室の前で足を止める。この部屋の中にアイリス達が居るのだろう。
「開けるぞ?心の準備はいいな?」
カズマは再度私に確認してくる。そんなに身構えなくてもどうにかなるでしょうと私は楽観的だった。私が了承すると、カズマは部屋のドアを開ける。そこに居たのは頭を掴みあって喧嘩するアイリスとクリスだった。
「許しませんよ!私がお兄様から貰った指輪を奪ったのはクリスさんでしょう!」
「そんなの知らないってば!いつもこれ見よがしに指輪を付けてるバチが当たったんでしょ!」
暴れ合う二人が居る中ベッドに座っているダクネスが目に入る。彼女はお腹の中に子供がいるからあまり暴れないようにしているのでしょう。カズマがアイリス達の間に割って入り二人の喧嘩を止める。
「おい二人とも、喧嘩するなよ。ここには赤ちゃんの出来たダクネスも居るんだぞ。少しはダクネスを見習え」
カズマは慣れた様子で二人を離す。今みたいに二人が喧嘩するのはいつもの事のようだ。クリスと離されて少し落ち着いたアイリスと目が合った。
「めぐみんさん!あなたのせいで……!私がどんな目にあったと思ってるんですか……!」
アイリスは再び怒りがぶり返した様子で私に迫る。はて、なんの事だろう。
「忘れたとは言わせませんよ!めぐみんさんが持ってきたポーションのせいで私は裸で王都に放り出されたんですからね!」
思い出した。そう言えばこの前アイリスに会った時にポーションを渡したのだ。ポーションの効果はアイリスの言った通りだ。
「私は忠告したはずですよ。衝撃を与えないようにと。あなたが勝手にポーションを使っただけでしょう。」
「ううっ……幸い近くにいた奥様が服を貸してくれましたがもうあんな思いは二度とごめんです!」
アイリスと掴み合いの喧嘩になると思われたが王女様も疲れていたのか襲ってくることはなかった。
「それで、めぐみんをわざわざここに呼んだということはそういう事なのだろう?」
ダクネスが私に話を振ってくる。元々結婚の許可をもらいにここに来たのだった。
「えっと……三人とも落ち着いて聞いてくれ。俺はお前達三人を愛している。それは変わらない。だけど、そこにめぐみんを加えてやってくれないか?めぐみんを第四夫人にしたいんだ。この通り、お願いします。」
カズマは頭を下げてアイリス達にお願いする。私も立場上一応頭を下げておいた。誠意を見せればアイリス達も許可してくれるだろう。
「…………」
暫く沈黙が続く。アイリス達は頭を下げている私とカズマを黙って見ているようだ。
「カズマくんはどうしてそんなに奥さんを増やしたがるの?」
最初に口を開いたのはクリスだった。その言葉は怒りというより呆れたという口調が強かった。
「モテる男は辛いぜ……い、今のは冗談だ。だからそのダガーをしまってくれませんか?クリス様」
容赦なく刃物をチラつかせるクリスにカズマがビビってしまう。本当にこの男は……。肝心な時に格好が付きませんね……。
「私も反対です。大体めぐみんさんは短気で喧嘩っ早いでしょう。もしめぐみんさんが妻になったら私達の日常生活は修羅場になりますよ。」
クリスとアイリスは私の結婚に反対なようだ。これ以上文句を言うようならまた全裸で外に放り出してあげようか等と考えているとカズマが私に助け舟を出す。
「大丈夫だ、めぐみんは俺の妻になる為にも少しは我慢するらしい。多少アイリス達と諍いが出来ても喧嘩しないぞ。そうだよな、めぐみん?」
カズマが私に縋るような目で見てくる。肯定しろという事でしょうか。そんなカズマの意図を汲んで私は答えた。
「そんな訳ないでしょう。私はアイリス達がカズマを奪うようならとことん戦いますよ!喧嘩だって受けて立ちます!」
大きく口を開けたまま固まるカズマ。やはりちゃんと自分の言いたい事を言うとスッキリしますね。
「こんな人、妻に出来るわけがありません!クリスさん、一緒にめぐみんさんを追い出しましょう!」
クリスとアイリスが私にジリジリと近づいてくる。仲が悪いくせにこんな時だけ手を組むのですね。
「二人とも私に近寄ってきて大丈夫ですか?また全裸で王都にテレポートする事になっても知りませんよ。」
私の言葉がハッタリかどうかアイリス達は迷っているようだ。一触即発の空気が流れる。私も流石に二人を相手に喧嘩するのはマズイ。このままじゃ負けてしまうかもしれない。と思ったその時、
「私はめぐみんを妻にしてもいいと思う」
静かな声が部屋に響いた。ダクネスの声だ。彼女が私の擁護をしてくれるのは意外だった。
「……ララティーナはお兄様が他の女に取られても良いのですか?」
「出来ることなら取られたくない。だが、私達はいつも喧嘩ばかりしているじゃないか。たまには仲良く暮らしたいと思っただけだ。」
ダクネスは今ではお母さんという表現がしっくりくる。カズマを手に入れるのに躍起になっていた彼女の姿はもうどこにもなくてただ穏やかに暮らす一人の母親だった。
「そんなこと言ってダクネスは赤ちゃんがいるから余裕があるだけじゃないの?私達に子供がいないからって一人見下しているんだよ」
「なっ!?ち、違う!私の赤ちゃんとお前達の話は別だ!」
クリスの指摘が図星だったのかダクネスは背を向けてお腹の赤ちゃんを守ろうとする。
「ならお腹の中の赤ちゃんをちょっと触らせてよ。いつも頑なに私達には触らせてくれないよね。仲良くしたいならそれくらい出来るよね?」
「や、やめろ!私の子に触るな!か、カズマ、何とかしてくれ!」
ダクネスとクリスに板挟みになったカズマが二人の間に割って入る。元々私の結婚の話だったのに。これでは埒が明かない。私はテーブルに置いてあったティーカップを手に取り思い切り床に投げつけた。パリンと割れる音と共に部屋が静かになる。みんなが私の方に目を向けた。
「とにかく私は第四夫人としてここで暮らします。これは決定事項です。アイリス達が了承しなくても関係ありません。」
「めぐみんさん、あまり調子に乗っていると……」
「また全裸で外に放り出しますよ!」
「ひっ……!」
アイリスに威圧して溜飲を下げる。このままここに居ても喧嘩に巻き込まれそうなので私は部屋を出た。
+
それから私はカズマ達と暮らすことになった。クエストにも行かず、一日中城の中で過ごす。冒険者としてこれでいいのかと思ったがカズマが一緒に居ればどうでもいい気がした。
「はぁ……イきそうです……ああっ……イきますよ……!」
時刻は深夜。私とカズマはお互い裸の状態で愛し合っていた。カズマの熱い吐息が私の肌にかかり私も足でガッチリとカズマを掴んで離さない。
「めぐみん……はぁ……めぐみん……!」
カズマも限界が近いのか腰を振るスピードがラストスパートのように上がる。このままカズマと一緒に気持ちよくなりたいので私はイきそうになるのを必死に堪えた。
「カズマ……一緒にイきましょう……!はぁ……はぁ……イクッ……!」
私は溜めに溜めた愛液を放つ。と、同時にカズマからも熱い液体が放たれた。私のお腹の中にカズマの精液が入ってくるのが分かる。ココ最近のセックスで気づいたが二人で一緒にイクこの瞬間が一番幸せだ。私は暫くボーッとしたままカズマと抱擁していた。
やがて我に返ったカズマが息子を蜜壷から引き抜く。ぬぽんと音を立て中からは精液が溢れ出していた。
「ふぅ……今日は沢山出たな……」
カズマが満足気に呟き私の横に寝転がる。そんなカズマに抱きつきながら彼の匂いを嗅いだ。カズマの汗の匂いも私は好きなのだ。
「めぐみんはアイリスと違って失禁しないんだな。」
「カズマ……他の女の名前を出すものではありませんよ……。」
この男は愛し合っている時に何を言っているのでしょう。私でなければ怒って部屋を出ていく所でしたよ。私だから良かったですけど。
「わ、悪い」
「カズマの中で誰とのセックスが一番気持ちいいですか?」
カズマの中では常に私達は比べられているのだろうか。私は形式上第四夫人となっているがどうにかカズマの一番になりたい。
「げっ……あまりそういう話はしたくないんだが……」
カズマは心底嫌そうな表情をする。それでも私はカズマの返事をじっと待つ。
「ダクネスは妊娠してから夜はご無沙汰だから除外だな。残ったアイリスとクリスだが……正直クリスはエッチが下手だな。まあ女神様でメインヒロインだからそれだけで充分だけど。」
ふむ、クリスはエッチが下手と。私から見てもクリスは性知識に疎い気がする。ただちんこを握ればカズマが気持ちよくなると思っているようですし。
「アイリスは凄く献身的でエッチも上手だな。めぐみんと同じくらい気持ちいい。だが、ロリっ子と妹枠なら当然妹枠の方が上だ。つまり、一番はアイ……ふぎゅっ!」
私はカズマが言い終わる直前でカズマの金玉を捻りあげる。私の攻撃にカズマはへっぴり腰になり股間を押えていた。
「もう一度聞きます……誰が一番ですか?」
「……め、めぐみんが一番です!だから玉から手を離してくれませんか……?」
仕方ないので私はカズマから手を離す。あと少しで私が二番になる所でしたね……でも、私が一番という言質は取れました。
「カズマがそこまで言うなら仕方ないですね。二回戦もしましょう?今なら口で綺麗にしてあげますよ。」
「おふ……めぐみんはエッチな子だな。」
カズマは満更でもない様子で私の提案を受け入れる。私はシックスナインの体勢でカズマの陰茎を貪った。じゅるじゅると下品な音が響く。
「カズマのせいでこうなったんですからね?結婚までしたのですから妻としてこれくらい当然です。」
「結婚か……あっ」
カズマが私の尻をペチペチと叩く。一度フェラをやめろということだろうか。私は口を離しカズマの方に目を向けた。
「今思い出したんだけど、俺達ってめぐみんの親に結婚の挨拶に行ってなくないか?」
そういえばすっかり忘れていた。私がカズマと結婚してから既に三週間。毎日クリス達と喧嘩したりカズマとイチャイチャしたりで親のことなど考えていなかった。
「それなら明日にでも挨拶に行きますか?これ以上挨拶が遅れたらカズマの印象が悪くなるでしょう。まぁ私の親ですから結婚には賛成してくれるでしょうが。」
「明日か……一夫多妻の事も言わないといけないよな……。」
カズマは何やら考え込んでいるようだ。
「なあめぐみん、やっぱり結婚を取り消したり……」
「それ以上言うつもりなら今度は玉を潰しますよ」
カズマは分かりやすく顔が青ざめる。結局この日はカズマの息子は立たないまま終わった。少し脅しすぎてしまったと私は反省するのだった。
+
翌日。私とカズマは紅魔の里に来ていた。今回はテレポートを利用して来たので移動もあっという間だ。ただ、結婚の挨拶に来たのは私とカズマだけではなかった。
「ダクネス大丈夫?休憩したくなったらいつでも言ってね」
「ありがとうクリス、だがこれくらい平気だ。」
どういう訳かクリスとダクネスも私達の結婚の挨拶に付いてきていた。私としてはせっかくカズマと二人きりになれると思ったのに、二人に邪魔されていい迷惑だ。
「そんなに二人を睨むなよめぐみん。クリス達も妻にしたことを言わないといけないんだから仕方ないだろ」
私の心情を察したのかカズマが言ってくる。私だってカズマの言うことは分かっているつもりだ。だがカズマの事になるとどうしても嫉妬してしまうのだ。
「はぁ……まあ仕方ありません。今日だけは我慢しましょう。それよりカズマ、手土産は忘れてないですよね?」
「ああ、アルカン饅頭にクッキー、カルネや小さなケーキも持ってきたぞ。」
カズマの手には綺麗に包装された菓子が大量にあった。あの親を説得するには食べ物で釣るのが一番だろう。手土産の用意に時間がかかってしまって紅魔の里に着いたのは夕方頃になってしまった。そんな事を話しているうちに我が家の前へ着く。
「こめっこー!姉が帰って来ましたよ〜。」
ドタドタと走る音が聞こえてドアが開けられる。だが、そこに居たのはこめっこではなく父だった。
「よく帰ってきたなめぐみん、こめっこなら居間で寝ているぞ。」
「これ……つまらない物ですが良ければ皆さんで食べてください」
父に会うなりカズマが食べ物を差し出す。父は目の色を変えてすぐさま食べ物を受け取った。
「よく来たねカズマくん!君ならまた食べ物を持ってきてくれると信じてたよ!」
単純な父親だ。私達は父に言われるまま部屋の中へ通される。寝ているこめっこにも軽く挨拶をしておいた。
「ねえカズマくん、私達のこともめぐみんの親に言うの?そんな事言って結婚を許可してくれるのかな?」
クリスがカズマと腕を組みながら尋ねる。この女は私の前で堂々とイチャついて……。いっそ爆裂魔法で灰塵と化してあげましょうか。
「クリス、今日は私とカズマの結婚の挨拶に来たのですよ。今日の主役は私なのです。分かったら早くカズマから離れてください。」
「私は第一夫人でめぐみんは第四夫人だよ?私の方が優先されるの。」
「いいでしょう。ここでケリをつけてあげます。私と勝負です。」
私とクリスは互いに睨み合う。間のカズマが困った顔で私達を止めようとするが私達はジリジリと互いに近づく。決闘が始まろうとしたその時、
「お茶が入りましたよ。」
我が母ゆいゆいが部屋に入ってくる。その言葉でやる気を削がれて私達は暫く沈黙した後席に着いた。母の後ろから父も出てくる。
(カズマ、今がチャンスではないですか?)
こっそりカズマに耳打ちする。結婚の報告を今するべきだということだ。こういう事は単刀直入に言うのが一番良い。変に後回しにしない方がいいのだ。クリスとダクネスには席を外してもらい、隣の部屋に行ってもらった。部屋には私とカズマと両親だけになる。
「……きょ、今日は娘さんの結婚の挨拶に来たのですが……」
カズマの話を聞いて父は驚いたようだ。母は薄々結婚の報告だと分かっていたのか落ち着いた様子だった。
「ただ俺には既に妻が三人います。隣の部屋にいるダクネスとクリス、そして王城にいるアイリスです。」
カズマの言葉を聞いて今度は母が唖然とした表情になる。まぁ妻が三人いるなんて普通は有り得ないでしょうし。父はもう話についていけないようだ。
「その……必ずめぐみんを幸せにしてみせます。どうか娘さんをください!」
カズマが頭を下げる。そんなに
「娘との結婚は認められません。」
えっ、と私は小さく声を発してしまった。当然結婚は受け入れて貰えるものと思っていた。だが、事態はそんなに甘くないようだ。
「ちょっと待ってください。どうしてダメなんですか。今までカズマと私をくっつけようと色々してきたじゃないですか。」
「ええ、娘とカズマさんだけが結婚するなら何も文句は言いません。でもカズマさんは他にも妻が三人いるのでしょう?そんな婚約認められるわけがありません。」
何を頭の固い事を言っているのでしょう。助けを求めようと父の方に目をやるがふいっと視線を逸らされてしまった。
「先程からあなた達の様子を見てましたがすぐにカズマさんを取り合いになって言い争いが絶えないではありませんか。こんな状態で娘が幸せになれるとは思いません。」
母は頑として受け入れないようだ。確かに一夫多妻が珍しいことは分かってる。でも、話くらい聞いてくれてもいいじゃないか。
「私がカズマにどれだけ救われてきたのか母は知らないでしょう。爆裂魔法を諦めそうになった時も、私が逮捕された時もカズマはずっと傍に居てくれました。私にはカズマが必要なのです。」
「カズマさんと二人だけで結婚するならまだいいです。でも、一夫多妻は認められません。」
「一夫多妻の何が不満なんですか。私とカズマが愛し合っているから結婚する。これだけで充分じゃないですか。」
「めぐみん、あなたは結婚したことがないから事の重大さが分からないのよ。きっとこのまま結婚すれば後悔する事になるわ。」
「絶対に後悔などしません。カズマが私の全てなのです。カズマなしでは生きていけません。」
「いいえ、あなたは何も分かっていないわ。親の言うことをちゃんと聞きなさい。そもそもあなたはーーーー。」
それからも私と母の話は平行線をたどりいつまでも押し問答を繰り返す。何度も言い合っているうちに私達は互いにヒートアップしてきて傍から見れば怒っているように喋ってしまう。
「ーーーですから私にはカズマが必要なのです!カズマの居ない人生など考えられません!」
「今までカズマさんと一緒に暮らしてきて嫌になったことはないの?喧嘩ばかりしているんでしょ!私はあなたの為を思って言っているのよ!」
母は私の為を思ってるように言ってるがただ一夫多妻という前例のない結婚を嫌がっているだけだ。母は頭が固いのだ。
「もう母と話すことはありません!そんなに結婚に反対するようなら私は家を出ていきます!」
私はとうとう言い切ってしまった。肩で息をして呼吸を落ち着かせる。私達の様子を見ていたカズマと父は完全に置き物となっている。母は私の言葉を聞いて目に僅かに涙を浮かべて答える。
「もう勝手にしなさい!少し一人にさせてください……」
母は私の言葉を聞くと部屋を出ていく。少し言い過ぎてしまっただろうか……。私はモヤモヤした気持ちを抱えたままテーブルに視線を落とす。
「ま、まぁあれだ。母さんは少し機嫌が悪かったのかな。きっと帰ってくる頃には怒りも忘れているはずだ。」
父が場を和ませようとする。しかし、私のどんよりした気持ちは晴れなかった。
「すいませんお父さん、俺が情けないせいで怒らせてしまって……」
「いやカズマくんは気にすることない。魔王を倒した勇者となれば妻の二人や三人くらい普通だろう。とりあえず夜ご飯でも食べよう。」
父は隣の部屋にいるダクネス達を呼びに行く。父が扉を開けた時、隣の部屋にいたこめっこがとてとてとこちらに歩いてきた。
「姉ちゃん喧嘩してたの?」
私達の言い合う声が隣まで響いていたのでしょうか。こめっこを起こしてしまったようですね。
「いえ、ちょっとした話し合いをしてただけですよ。ほら、こめっこの好きな饅頭もあります。一緒に食べましょう。」
「いらない」
なんと、あのこめっこがご飯を前にして興味を示さないとは。一体どうしたのでしょう。
「どうしたのです?体調でも悪いのですか?」
「姉ちゃんとお母さんが喧嘩したままだとご飯が美味しくない。ちゃんと仲直りしてきて」
こめっこ……。妹なりの気遣いなのでしょうか。姉としてはその厚意を無下にはできません。私は可愛い妹にハグをした後、部屋を出ます。えーと……母の部屋はこっちのはず……。ありました、ここですね。私はノックをして部屋の中に入る。
「あの……さっきは言い過ぎてしまいまし……」
部屋に入ると母がいた。だが、涙を流している。私は突然のことに気が動転して変な声をあげてしまった。
「なに……まだ結婚を認めてもらいたい話をするの?何度言っても返事は変わりませんよ」
「あ……いや、そ、そうではなくてですね……」
「はぁ……こんな事になるならあなたなんて産まなければ良かったわ。」
”あなたなんて産まなければ良かった”。その言葉が強く頭に残った。なぜそこまで言われなければいけないのだろう。
「私だってあなたの子供になりたくなかったですよ!」
私の言葉を聞いて母は何も言わなくなってしまう。今の発言で母の地雷を踏んでしまった。マズイと思ったが、今更言葉を取り消すことも出来ず私はただ母を睨み返すことしか出来ない。
「……出ていきなさい」
母は静かにそう言った。これ以上ここに居ても関係が悪化するだけだろう。私は部屋を出て大きなため息をつく。母を傷つけてしまった。
「もう、どうしたら良いのでしょう……」
私は静かに涙を流すのだった。