※この作品はR-18です。

このすばらしい仲間と恋愛を!   作:てつろう

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約5000字あります。





このロリっ子に大人の洗礼を!(後編)

 

 

 

部屋に戻ってくると皆が夜ご飯を食べていた。こめっこもガツガツとご飯をかき込んでいる。てっきり私が帰ってくるまでご飯には手をつけないと思っていたのですが……。まだ子供なので仕方ないですけど。

 

 

「めぐみん、お母さんはどうだった?」

 

 

カズマがそれとなく私に聞いてくる。母を傷つけてしまった後悔や怒りのせいでなんだかカズマまで憎く思えてしまう。私はカズマを無視して席に座りご飯に手を伸ばした。

 

 

「その様子だとまた喧嘩したみたいだね。もうカズマくんと結婚するのは諦めたら?」

 

 

クリスが私を冷やかしてくる。しかもちゃっかりカズマの隣に座っているし。ここは一発殴ってどちらがカズマにふさわしいか決めるしかありませんね。

 

 

「なにめぐみん、ここで喧嘩するつもり?妹さんも見てるしやめた方が……ふぐっ!」

 

 

油断していたクリスの首を後ろから絞める。じたばたとクリスが逃げ出そうとするが、私は強く締め付けている。私達が暴れているのを父もカズマもこめっこも黙って見ていた。

 

 

「めぐみん、ゆいゆいさんが言ってたのはこの事じゃないのか?」

 

 

ダクネスが私に言ってくる。彼女の言ってる意味がイマイチ分からない。

 

 

「どういう事ですか?」

 

 

私はクリスの首を絞める手を少し緩めてダクネスの声に耳を傾ける。

 

 

「私達がいつも喧嘩ばかりしてる事だ。私はもうすぐ子供が産まれる。私達がこんなに喧嘩する所を子供に見せられるだろうか」

 

 

ダクネスの言葉を聞いて私はクリスから一度手を離す。クリスは大きく咳き込み床で蹲(うずくま)っていた。

 

 

「姉ちゃん、顔が怖いよ」

 

 

こめっこの言葉に私は我に返る。少し家族の前で羽目を外しすぎていたのかもしれません。自重しなくては。

 

 

「ちょっと私は外の空気を吸ってきます。」

 

 

この場にいるのもいたたまれなくなって私は部屋を出た。なんだか皆の視線が痛かった。私はダクネスの言葉を反芻しながら紅魔の里に繰り出すのだった。

 

 

 

+

 

 

 

夜の帳が降りて子供のこめっこならもう眠りにつく時間帯。私が家に帰ると居間には寝転がっているクリス、ダクネス、カズマの姿があった。雑魚寝する三人の傍に母ゆいゆいがいる。一人で酒を飲んでいる。

 

 

「カズマさん達は眠らせておきましたよ。あとは好きにしなさい。」

 

 

私との関係がギクシャクしてる時も母の手際の良さは相変わらずだった。

 

 

「まだ結婚の許可は出してくれないのですか?」

 

「ええ、ダメです。」

 

 

また先程のように言い争うのも嫌なので、私はそれ以上言い返すこともなく近くに座った。母が飲んでいた酒をコップに注ぎ私も一杯飲む。私ももう大人なのだ。

 

 

「めぐみん、あなたにずっと隠してきたことがあります。」

 

 

母は畏(かしこ)まった様子で私に話しかける。私はお酒をチビチビ飲みながら母の声に耳を傾けた。

 

 

「実は私、昔は喧嘩ばかりしてたのよ」

 

 

何を言い出すかと思えば。昔はワルだったというよくある武勇伝だろうか。私は鼻で笑いながら母の話を聞き流す。

 

 

「でも、めぐみんが産まれてから私はお淑やかに生きようと思ったの。子供達のお手本になろうと思ったのよ」

 

 

黙って母の話を聞く。私の喧嘩っ早い性格は父譲りかと思っていたが実際は母に似たようだ。私が産まれてから母が誰かと喧嘩するのは見たことがない。

 

 

「それは……意外でしたね。母はいつも父を支えていて、私達の面倒も見てくれる家庭的な人だと思ってました。」

 

「あなたもいつかは子供が出来るでしょう。いつまでも子供のままじゃいられないのよ。大人にならないといけない時が来るの。」

 

 

母の言い方に私はカチンとくる。私のことを子供扱いしているのでしょうか。

 

 

「私はもう充分大人です!カズマ達も私を子供扱いしますがお酒だって飲めますよ!」

 

「大人になるのはお酒が飲めることじゃないの。もっと大きな意味があるのよ」

 

「では大人になるとはどういう意味なのですか?」

 

「…………」

 

 

母は私の発言に答える前に暫し私の顔をじっと見る。

 

 

「それは自分で考えなさい」

 

 

一番大事なことを母は教えてくれなかった。

 

 

「それと……めぐみん、カズマさんとは夜の方もお世話になってるの?」

 

「なっ!?」

 

 

急に夜の話になって動揺する。私も大人として扱われたいのならこれくらいで動揺してはダメだ。私は出来るだけ平静を装って答えた。

 

 

「ええ、それはもうカズマを骨抜きにしてますよ。数ある妻達の中でも私のテクニックが一番と言われています。だから何も心配することはありません。」

 

 

自分で言いながら恥ずかしくなってきた。夜のテクニックが上手いということはそれだけ私がエッチな子だと言っているようなものだ。私は朱を散らしたように顔が赤くなるのを感じながら答える。

 

 

「そう、ならこれを使っておきなさい。」

 

 

母が渡してきたのは妊娠検査薬。この親は本当に人のプライベートにズカズカと入ってくるのですから!

 

 

「こういう事はちゃんと自分で管理しますよ!」

 

「いいから今検査しておきなさい。いつの間にか妊娠していてもおかしくないから。」

 

 

私の生理は予定通り起きている。今の所妊娠したという症状は出ていない。母と少し喧嘩になっていたし仲直りのためにもここは母に従いますか。

 

私はトイレに行って妊娠検査薬を使う。子供を作るならもう少し私が大人になってからがいいですね。いえ、私は充分大人ですが。採尿して結果が出るのを待つ。

数分後、検査の結果が出た。

 

 

「どうでしたかめぐみん?」

 

 

先程と同じ位置にいた母が私に聞いてくる。私は検査の結果が間違っていないかと疑いつつも答えた。

 

 

「……陽性でした」

 

 

+

 

 

 

私は眠らされていたカズマをお姫様抱っこで運び自分の部屋へ入る。クリスとダクネスは母が連れて行った。久しぶりにカズマと二人きりになれたが、私の心はどこか沈んでいた。未だに母と喧嘩したままで結婚の許可は貰えてない。それなのに子供が出来てしまった。これからどうすればいいのでしょう。

 

 

「……めぐみん?」

 

 

布団でカズマに添い寝しているとカズマが目を覚ましてしまった。

 

 

「すいません起こしてしまいましたか。」

 

「いいよ、どうせ今からエッチするんだろ?」

 

「しませんよ!実家でするわけないでしょう!」

 

 

この男の頭は煩悩だらけですね。とは言えカズマが起きてくれたのはちょうど良かった。子供が出来たことを相談したかったからだ。

 

 

「なあめぐみん、俺達大人になれたのかな。」

 

 

私が妊娠したことをカズマに伝えようとする前にカズマが話し始める。仕方なく私はカズマの話を聞く。

 

 

「どういう意味ですか?もう年齢的には大人でしょう。」

 

「そうじゃなくてさ……。なんだか大人になった実感がないんだよ。もうすぐダクネスの子供が産まれるけど、まだ心は学生の時のままという感じがしてさ。」

 

 

カズマの言ってることは私にも当てはまった。学生の頃からゆんゆんを揶揄(からか)うのは変わってないし喧嘩っ早いのも当時のままだ。

 

 

「そうですね……。それってつまり私達がまだ子供のままだということですか?」

 

「ああ、多分ゆいゆいさんが言ってるのはそういう事なんだと思う。俺達もどうにかして大人にならないといけないんだよ」

 

 

ふむ、母がそこまで考えていたのかは分かりませんが、カズマの言うことにも一理あります。私も子供扱いされるのを嫌がっているだけで大人になる努力を何もしていませんでしたね……。

 

 

「でも、大人になる為にはどうすれば…………あっ。」

 

 

母が言っていた。”昔は喧嘩ばかりしてた”と。でも、今の母は、少なくとも私の前では、喧嘩する所を見せてない。つまり、大人になるとはそういう事なのではないだろうか。

 

 

「子供の手本になれる人が大人なのではないでしょうか。」

 

「ゆいゆいさんがそう言ってたのか?」

 

「ハッキリとは言われてません。でも、昔は喧嘩っ早かったけど、私達の前ではお淑やかに生きるように心がけていると言っていました。」

 

「………明日、ゆいゆいさんにもう一度お願いしてみるか。」

 

 

いつもイチャイチャしている私とカズマがこんなに真面目な話をしている。それだけで私は一歩大人に近づいたような気がした。

 

 

 

+

 

 

翌朝。私は誰かの怒鳴る声で目が覚めた。隣を見ればカズマはまだ寝ている。

 

 

「ーーじゃ……。一……だけ。」

 

「ーーめろ!……の子に……るな!」

 

 

隣のカズマが気持ちよさそうに寝ているので起こすのも悪いと思い彼をそのままにして部屋を出る。一階に降りると居間でクリスとダクネスが言い争っていた。

 

 

「それ以上近づいてみろ!私は容赦しないからな!」

 

「ねぇダクネス、私達は親友でしょ?親友ならお腹の子を触らせるくらい普通だよね?」

 

 

またクリスがダクネスの赤ちゃんを触ろうとして揉めているようだ。ダクネスはパーティ仲間で身重ですから彼女の味方をしましょうか。私は後ろからクリスを羽交い締めにしようとして……

ダクネスの膨らんだお腹が視界に入った。そう、ダクネスは妊娠しているのだ。そして今となっては私も妊娠している。もう子供が産まれるのだ。子供に今の私を見せられるでしょうか。

 

 

「め、めぐみん!クリスをどうにかしてくれ!」

 

 

ダクネスが私に助けを求める。もう暴力には頼りたくない。ダクネスはクリスに背中から抱きつかれお腹を触られそうになっている。このままダクネスを見捨てるのも目覚めが悪いですね……

 

 

「ねえダクネス、ちょっとだけでいいの。赤ちゃんが生きてるか確かめるだけだから。ちょっとお腹を殴っちゃうかもしれないけどそれはゆるしてね。」

 

 

今のクリスは完全に悪者だ。私はダクネスを助けようとしてクリスとダクネスの間に割って入る。だが、クリスには手を出していない。私はダクネスを守るようにしてクリスに対峙する。

 

 

「なにさめぐみん、また私と喧嘩したいの?」

 

「いいえ、あなたとはもう喧嘩しません。私はもう子供が出来ますから」

 

 

私の言葉を聞いてクリスの目から光が消える。私に子供が出来たというのがショックだったのだろう。

 

 

「どうして……めぐみんが先に……。私の方がカズマくんと一緒だったのに!」

 

 

クリスはブツブツと独り言を呟く。タダならぬ彼女の様子に私は怯えたが、ダクネスを守るためにそのまま立ち塞がった。大人になりたいからだ。

 

 

「もう許さない……!流産させてあげる……!」

 

 

クリスは私の腹を殴りかかってくる。私は蹲(うずくま)って必死にお腹の子を守る。

 

 

「なんでダクネスやめぐみんには子供が出来て私には出来ないの!私が第一夫人なのに……」

 

 

クリスはしゃがんでいる私を足蹴にして怒る。それでも私はクリスに反撃しなかった。このままクリスと喧嘩になっては私の子供に顔向け出来ません。

 

 

「もういいよ。今すぐカズマくんとエッチしてすぐにでも私の子供を……」

 

『スリープ』

 

バタンとクリスが倒れる。突如唱えられた睡眠魔法は我が母ゆいゆいによるものだった。クリスは意識を失って床に寝転がる。

 

 

「愛しい我が娘を痛めつけるこのクリスさんという盗賊は私がしっかり懲らしめておきます。大丈夫ですか、めぐみん?」

 

 

ピンチに母が助けに来てくれたせいで私は少し泣きそうになった。だが、泣いては子供のままだと思われる気がしたので涙を堪える。

 

 

「けほっ……、まあなんとか大丈夫ですよ。ダクネスが無事なら良かったです。」

 

 

私は立ち上がって答える。お腹の子は心配だが、どうにかダクネスを守ることは出来たようだ。

 

 

「我が母ゆいゆい、もう結婚の許可を認めてくれとは言いません。その代わり、私が立派な大人になったら……」

 

「認めるわ」

 

「……はい?」

 

 

母の言葉に耳を疑う。

 

 

「あなたがカズマさんと結婚するのを認めると言っているのよ。先程のあなたの様子を見て確信しました。もうあなたは立派な大人です。胸を貼りなさい。」

 

 

思わぬ形で母から結婚の許可が降りた。その言葉でギクシャクしていた母との関係も解消されたような気がして嬉しくなる。私は昂(たかぶ)った気持ちのまま母に抱きつく。

 

 

「ありがとうございます……!子供が産まれる時にはまた帰ってきますから……!」

 

「ええ、待ってますよ。その時はダクネスさんもアクアさんも連れていらっしゃい。」

 

 

私は母と仲直りのハグをするのだった。そんな私達をダクネスが温かく見守っていた。

 

 

 

 

+

 

 

その後、私達は朝食を食べた後、王城へ帰ることになった。玄関先で母達に別れの挨拶を告げる。

 

 

「それでは俺達は帰りますね。」

 

 

結婚の許可も貰えたしやるべき事は全て出来た。私のお腹にも新たな命が宿ったし嬉しいこと続きだ。

 

 

「そういえばクリスはどこに行ったのだ?姿が見当たらないが。」

 

 

ダクネスが疑問を声にする。クリスは今朝母が眠らせたきりで姿を見てない。どこへ行ったのでしょう。

 

 

「ああ、クリスさんは寝ていましたので身ぐるみを剥いで王都にテレポートしておきましたよ。」

 

 

母の容赦ない仕打ちに驚く。つまり、寝たままのクリスを全裸で王都にテレポートしたのだろうか。私がこの前アイリスにした仕打ちと同じで私は母に似たのだなと再度実感する。

 

 

「めぐみんは俺が必ず幸せにします。」

 

 

カズマの言葉に母は大きく頷く。無事に結婚の許可を貰えたので親公認の結婚だ。

 

 

「またいつでもいらしてくださいね?カズマさんもダクネスさんも歓迎しますよ。」

 

 

私達は母の見送りを受けながら王城へと帰った。帰り道私は自分のお腹を優しく撫でる。今の私は”お母さん”と呼んでもいいのではないだろうか。

 

 

 






クライマックスが盛り上がってるかイマイチ分かりません。読んでいて違和感があれば遠慮なく誤字報告や感想で教えてください。
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